【マジックフェスト・横浜2019】土曜ミシックチャンピオンシップ『バルセロナ』予選 準々決勝:酒井 泰正(京都府) vs. 高野 翔太(東京都)

By Riku Imaizumi


「絶対、当たらないと思ったんですけどね」
「7位と8位だったのに」


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高野(左)酒井(右)


朗らかな雰囲気だった。


スイスラウンド5時点で、高野と酒井は8位と7位の順位でマッチし、ID(合意の上の引き分け)を選択、共に決勝ラウンドに残っていた。
マジックフェスト・横浜2日目、中日となった土曜のミシックチャンピオンシップ予選のスイスラウンドは、ラウンド5終了時点でトップ8全員がIDを選択し、そのまま決勝ラウンドに進む珍しい事例が起きていたのだ。


すでに顔を合わせていた両者は、簡単な談笑をしつつ、ジャッジのデッキチェックを待ったり、お互いのデッキのシャッフルを進めている。
高野も酒井も張り詰めた感じは見せず、まるで草の根大会の1回戦目といった調子だ。


しかし、事実として彼らはあと3段のところまで迫っていた。ミシックチャンピオンシップまで。
草の根大会の1回戦目? 開始前からテーブルを取り囲む10人弱のギャラリーは、そんなゲームを見に来ていない。
1対1、観客を従える様はボクシングのリングのようだ。大量の観戦者はいれど、彼らの試合は誰にも邪魔されることはない。


ジャッジのゴングが響くと――「第1回戦、開始してください」――高野と酒井はカードに手をかけた。


Game 1


高野の《明日への探索》《桜族の長老》《探検》。
トップスピード。高野は手数で相手の上を行く立ち回りだ。


一方の酒井は《剃刀境の茂み》。2ターン目、土地1枚のまま動かないターンを挟むと、3ターン目には《林間隠れの斥候》でパンチを狙う姿勢を見せた。


すでにお互いに手の内はわかっている。


《桜族の長老》の追加。《ハイエナの陰影》《怨恨》による《林間隠れの斥候》の強化。


【ヴァラクート】を使う高野は、高速のマナブースト戦略から《原始のタイタン》《風景の変容》で《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の能力を発動させ、ノック・アウトで勝負を決めるハードパンチャー。
酒井の【ボーグルズ】は《林間隠れの斥候》《ぬめるボーグル》に強化オーラをエンチャントし、強烈なブローを何発も浴びせて仕留めるヒッターだ。


4ターン目を迎えた高野、ここでカードを繰る手を止めた。


高野の土地は4枚、場には桜族の長老が2枚。
対して酒井の場は《林間隠れの斥候》+《ハイエナの陰影》+《怨恨》、土地が2枚。
使えるマナの数で大差をつける高野が一見有利に見えるが、【ボーグルズ】のクリーチャーは時として《引き裂かれし永劫、エムラクール》に匹敵するほど強大になる。
《明日への探索》を待機せずにプレイ、土地を5枚にすると、《大始祖の遺産》を置いてターンを返した。


一方の酒井からすると、"呪禁"クリーチャーは万能ではない。高野が最悪のケースを想像するのも無理ないことだが、酒井の手札が最良であるとは限らなかった。


《蜘蛛の陰影》を2枚唱えるに留まる酒井を見て、高野は《桜族の長老》を2枚とも土地に変換する。


「次、いきましょう」
《風景の変容》を見て、酒井はタオルを投げた。


酒井 0 - 1 高野



朗らかなどとは微塵も感じさせない、息つく暇もないゲームだった。
アクションを持てないまま2ターン目をパスした不運が響いた酒井、先手の利を失った結果がそのまま勝敗に結びついたようだ。
押し付けが良しとされるモダン環境において、先手後手の差が明確に響く光景は珍しくない。だからこそスイスラウンド上位の利点は大きいのだが、それを逃してしまった。


土地を置けなければ、先手と後手が入れ代わる。
両者にこのゲームの肝を聞くと、口をそろえてこう言った。
「速度勝負です」。



Game2


両者、ふたたびリングへ。先手と後手は変わらない。
酒井は《剃刀境の茂み》から《ぬめるボーグル》。2ターン目には《怨恨》と、ファイティンポーズは完璧だ。
一方の高野、1ターン目《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》から2ターン目《桜族の長老》。生きているマナ加速の利点は、チャンプ・ブロックしつつ土地を供給すること。強烈なヒッターたる【ボーグルズ】のパンチを躱せれば、その隙にブローを撃ちこめるのだが。


酒井の3ターン目、《夜明けの宝冠》をいだいた《ぬめるボーグル》。6/4、先制攻撃、軽快、絆魂、加えてトランプル。《桜族の長老》でパンチ1発見切りたかったところだが、《怨恨》が高野のライフを狙って逃さない。


《桜族の長老》を《山》に替え、土地をフルオープンにしたまま高野はターンを渡す。


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足の止まった高野に、《ぬめるボーグル》で酒井は拳を振り上げる。これには《内にいる獣》が《夜明けの宝冠》を破壊、不完全ながらもガードが入った。


確実にダメージを与え続ける酒井、一歩バックステップを踏んだ。《神聖の力戦》だ。
《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》に先手を撃たれた高野、勝利するために《神聖の力戦》を破壊する必要が生まれた。攻防一体、酒井のファイトスタイルはパンチだけではない。


そのまま酒井は攻め続けた。増えるオーラに、高野は再度《内にいる獣》を撃ちこみガードすることしかできない。酒井の場に増えるビースト・トークン。パンチの連打を受け、高野はリングに沈んだ。


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酒井 1 - 1 高野


「普通に回らないことが多々あるデッキなので、それがしんどいんですよね」と酒井は言った。
【ボーグルズ】は、"呪禁"能力の希少さ、オーラを多数入れなければ成立しない構造、加えてそれらをバランス良く引く必要など、全力を出すには整えなければいけない条件が多い。
しかし、しっかりとデッキが応えた時の対処の難しさはモダン環境でも指折りだ。加えて、ブロッカーを用いないデッキとの相性や、《神聖の力戦》をメインデッキから採用することができる性質から、適したメタゲームでは抜群の実力を誇る。


【ボーグルズ】の多彩なパンチを乗り越え、【ヴァラクート】がストレートを叩き込めるか。
サイドボードに手を触れることもなく、両者はゲーム3での打ち合いを開始した。



Game 3


先手を得た高野、しかしマリガン後の手札を見た彼の表情は楽観的なものではない。
キープを選択し、《燃えがらの林間地》をセットランド。


その林間を渡り歩く《林間隠れの斥候》が酒井の1ターン目に現れると、
高野の2ターン目は、《明日への探索》待機のみで終わった。


土地を置けなければ、先手と後手が入れ代わる。


好機と見た酒井、《天上の鎧》《怨恨》でクリーチャーを強化。
高野は《明日への探索》2枚目を待機。土地は、置けない。
酒井はオーラをプレイし続ける。


決定的な2ターン差。


《明日への探索》待機明け、山をサーチした高野。
《探検》をプレイし、カードを引くと、


「頑張ってください」と酒井を激励した。


酒井 2 - 1 高野


「速度勝負」という焦点のもと、両者のサイドボーディングは先手後手問わず変わらない。
わずかにエンチャントを破壊できるカードを入れた高野は、「特別なサイドボードはとっていない」と語る。
酒井も「《ガドック・ティーグ》を入れるのと、《虚空の杯》が入ってくる場合に備えて《帰化》系のカードを入れるくらい」と語る。


結果はご覧の通りだ。
ゲーム1を除き、遺憾なくパンチを連打した酒井と、足をもつれさせてしまった高野。


しかし、高野はめげることなく席を立った。日曜開催の、新たなミシックチャンピオンシップへ。
惜敗の無念も感じさせず、高野は再びリングへ上がる。


「頑張ってください」。
不屈の精神に、酒井が激励を返した。


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