text by Seigo Nishikawa
所謂プロプレイヤーをはじめとする有名プレイヤーがここ最近次々とMtGの配信や、記事投稿などを行っている。それをみてそのプレイの凄さに驚いたり、プロでもミスをすることがあるのだと安心したり、知らない知識を手に入れたり、と私たち視聴者・読者側は日々楽しみを享受している。一方で配信者・投稿者がどういったことを考えてそれを行っているのか、そういったことを知る機会は意外にも少ない。
幸いにもBIG MAGICで公式ページにおいて、何人もの方に配信・投稿を行っていただいている。彼らが何を考え日々の配信・投稿を行っているのか、その一端をお伝えしたくインタビューを依頼したところ快諾いただいたので、この場を借りてお送りしたい。
Aさんの愛称で知られる松本友樹は、自分の趣味はマジックですと言い切る。まさにこの言葉こそが、常にハイパフォーマンスの結果を残し続ける松本の実力の基盤となっている。
マジックの練習をするのではなくて、マジックで遊んでいた結果が練習になっていました
-- 松本さんは2016年6月から3年近くにわたって配信を続けられています
松本 もう、そんなに。びっくりしますね
-- これだけの間続けてこられた原動力を教えてもらえますか
松本 週に1回の習慣というのが大きかったかと思います。そこまで頑張る必要があるペースでも無いですし、適度に休みを取ることができる間隔なので、楽しく続けられているのかなと。実際忘れてたくらいなので、あまり意識していませんでした。
-- 配信は楽しいですか
松本 そうですね。元々人と話すのが得意な方ではないのですが、配信だとそういった嫌だなという気持ちも余りなく、コメントを貰えれば嬉しいですし、そこに返すという形になるので自分のペースでできるというのが大きいのかなと思います。
-- 3年前配信開始されたとき、当初は「Aさん生放送」という名前で、途中から「今夜もA定食」に代わりました。個人的に大好きなタイトルなんですが、どのように決められたのでしょうか。
松本 元々「A定食」という記事を書いていたのもあって、岩SHOWさんに付けて貰った形ですね。
-- 内容としてはA定食という言葉のイメージからは違っていて、デッキ紹介、カード考察、グランプリ振り返りなど色々なことを行われています
松本 グランプリが近かったらそこにはどんなデッキがあるかを、環境を追っていない人にもわかるように伝えたいですし、終わったら終わったで結局何が流行り何が勝ったのか、というのを考えるのが好きなのでそれを伝える形です。新しいカードには需要もあると思っていますし、その配信のテーマがあったほうがわかりやすいとも思うので、その都度内容は変わっていますね。時事ネタのような感じで配信に取り入れているというイメージです。
-- 今回の横浜も終わったら、振り返り放送などの様な形になるのでしょうか
松本 ただ今回はすぐにミシックチャンピオンシップが来ますし(4/26~4/29)、同時に新しいカードが入って新スタンダードが始まるので、次回がどうなるかはまだわからないです。
-- 確かに次回は色々とフォーカスする要素がありそうですね
松本 そうですね。新しい環境では話すことがたくさんありますから。
-- 毎回色々なテーマで配信をされていますが、そこで気を付けていることなどありますか
松本 活舌が悪いところがあるので聞き取りやすくしゃべることが一番。それからカードのことを競技的なプレイヤーではない人にもわかりやすく伝えられるようにしたいなというのはいつも考えていて、そこだけはできるだけ気をつけようとしていますね。それ以外はやりたいようにやっているという感じですね。
-- 配信で使われているデッキを実際本戦に持ち込んで、とかされているのですか
松本 前回のGP京都のスタンダードは、生放送で使用したデッキほぼそのまま、数枚入れ替えたぐらいでそのまま持っていきました。そこはあまり気にしないでオープンにやってますね。
-- 松本さんの提供する週1回のA定食を楽しみにされている方はたくさんいらっしゃると思います
松本 いつも見ていただいてありがとうございます。最近は多くの方が配信されていて、時間が被ったりしているところもあったりして、自分でも見ている余裕が無いよなと思う中で、時間を作ってみてくださっている人がいる、これは本当にありがたいですね。
-- 毎回平均3時間近く放送をされていて、そのヴァイタリティに驚きます
松本 試合をしているとどうしても2時間弱はかかってしまって、それにプラスして何か話をしているとそれぐらいの時間にはなってしまいます。
-- そもそもBIG MAGICから配信をお願いしたのは、松本さんにプロ契約をしていただいたことが切っ掛けとなっていると思います。
松本 ええ
-- 「プロ」と呼ばれることは松本さんの中でどのような感じなのでしょうか
松本 ちょっと前までは恥ずかしいなというのはありました。ただ今MPL(マジック・プロリーグ)という制度が始まってもしかしたら「プロ」という呼び方が消えるんじゃないかなと思ってます。そうなったときにどうなるのかなと考えたりはします。
-- マジックのプロ、と言われても、プロの定義とはとなりますよね
松本 プロと言っても色々なレベルがあると思いますが、市川ユウキさんとか高橋優太さんとか、彼らはMPLには入っていませんが、配信とか記事とかを精力的にされている方たちはプロだな、って感じがします。そういう風に自分もなれたら、とは考えますね。これからのマジックはMPLかそうでないか、という区分けがされるようになってしまうと思っていて、どうしようかなと。
-- プロに対して敢えて「一般」という言葉を使いますが、所謂一般のプレイヤーから見て、プロの方が常に戦績を残し続けるということの努力、練習というのは一体何をしているのか、という疑問がいつもあります。
松本 多分なんですが「練習」とは言葉では言うんですが、その実は遊んでるだけですよね(笑)僕の場合はそもそも趣味がマジックから始まっていて、マジックが滅茶苦茶好きだからずっと遊んでいて、勿論仕事とかはあるけれども空いている時間はマジックをやってしまう。結果としてそれが練習になっている、というぐらいな感覚ですよ。メニューを考えてどうこう、というのは余りないですけどね。
-- 好きこそものの上手なれ、ですか
松本 そういう感じですね。プロツアーなど明確な目標があるときは、ある程度の期間絞り込んで集中して、というのは勿論あります。ただあまり計画立てて、というよりは練習も含んだ遊び、という面が非常に強いかなとは思います。
-- 一緒に遊ばれている方のレベルが高いというのもあるのでしょうか
松本 チームCygamesや武蔵のメンバーは日本の中でも最上位のプレイヤーの集まりで、そこで遊ばせてもらっているのは大きいですね。この前はLast Samuraiで練習会という名前の集まりがありましたけど、マジックだけじゃなくて色々なことをして、やっぱり練習という意識はなかったですね。
-- 遊びの結果を発表する日がもうすぐやってきますね
-- 次回ミシックチャンピオンシップはロンドンマリガンというのが試行されますが、今日のデッキ選択には影響していますか。
松本 あまりしていないですね。チームメンバーが使う予定のデッキにそのまま相乗りして完全コピー。フィードバックしていく形になる予定です。
-- ロンドンは今日と同じデッキになる予定ですか?
松本 現状はまだ考えていなくて、ロンドンマリガンによって有利とされるデッキには結局対策カードが刺さってしまう。そのような状況があるので決めるのがだいぶ難しいですよ。
-- まずはこの二日間を終えてから検討、決断というかたちですか。
松本 そうですね。まぁ今回のグランプリはすでに終わってしまっている(ドロップ)のですが
-- それは失礼な質問で申し訳ありません
松本 考える時間はできたので。明日は『灯争大戦』のドラフトに潜ろうかと思います。ドラフトをするのがカードを覚える一番の近道ですからね。
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