By Riku Imaizumi
「ヴィンテージを始めたいけど始め方がわからない」という方は多いのではないだろうか。
マジック最古のパワーカード・パワー9の打ち合いが頻発し、他のフォーマットにおける禁止カードを利用できる魅力的なフォーマットは、ヴィンテージをおいて他にない。
しかし、そんなヴィンテージを始めるには多大な費用がかかってしまう。それに、始めたところで大会に人が集まるのかもわからない。
そんな人がどのようにしてヴィンテージを始めれば良いか、マジック・フェスト名古屋2020#1で開催された競技ヴィンテージのチャンピオン・藤平 康平に尋ねてみた。
最古のマジックへの入り口は、彼らが「新規大歓迎!」を掲げるDiscordコミュニティにある。
このコミュニティ、誰でも入会可能なのだ。
プレイヤー:藤平 康平
――競技ヴィンテージ優勝、おめでとうございます。まずは、普段どこでどのフォーマットをプレイされているのか教えてください。
藤平「関西の兵庫に住んでいまして、地元では大会がないので大阪の晴れる屋さんやKMC(関西の草の根大会)に遊びに行くことが多いです。レガシーがメインですが、モダン以下のフォーマットは一通りやっていますよ。
ヴィンテージは開催回数が少ないので、大会があるときはそっちが優先、という感じに続けています」
――主な戦績を教えてください。
藤平「ヴィンテージに関しては、このようなサイドイベントでの競技ヴィンテージの優勝が2回目。
TOP8という意味では、競技ヴィンテージには6回連続で入賞しています」
――6回連続! それはすごいですね。他のフォーマットはどうですか?
藤平「レガシーのことなんですが、グランプリ・静岡2018の時に12-3で11位でした。
途中で目なしになっちゃって、残念です(笑)
あと、KMCIT(KMC invitational。関西の草の根大会の成績上位者のみ参加できる大会)にも、一度だけ出場したりしましたね」
――本日は4色の墓荒らしデッキでの優勝でした。このデッキを使って、どれくらいになりますか?
藤平「ここ2、3回(の大会)はこの形ですね。
その前はパラドクスストームやメンターなどを使っていて、青いアーキタイプは一通り触っています」
――ヴィンテージを始めたのはいつ頃ですか?
藤平「ヴィンテージ自体はここ4、5年くらい前から始めました。
もともとレガシーを精力的にプレイしていたんですよ。やっていくうちにパーツが集まって、「次、どうする?」ってなって(笑)」
――(カードが集まるとデッキの入れ替わりが少なくなるので)にする人もいますよね。
藤平「そんな時、地元の友達がヴィンテージを始めたんです。もともと「(その友人が)やるなら、僕もやるよ」っていうふうに言っていたので......それでやることに(笑)」
――ちなみに、当時いくらかかりましたか?
藤平「その時は、BIG MAGICさんや晴れる屋さんの100万円くらいの福袋にパワー9が入ってるかな、っていう時期に集め始めました。僕はシングルを探して購入していましたね」
ヴィンテージプレイヤーを増やすために - 最も新規参入を欲しているのは既存のプレイヤーたち
――ヴィンテージ、人口増えて欲しいですよね。
藤平「ヴィンテージは大会頻度や在住地域の事情、友人の有無にもよって始めづらいですから、界隈が活性化しづらいんですよね。
それを危惧して、今回の競技ヴィンテージの大会にも「もっと情報を発信していこうよ」っておっしゃられる方もいました。
そのためにデッキテクを作成したり、ヴィンテージプレイヤーのためのDiscordのサーバーを作ったりしています。ヴィンテージプレイヤーがいつでも集まれるコミュニティを目指しているんです」
――Discordですか。
藤平「誰でも入れるフリーのチャットスペースのような形で使っています。(使用のイメージとしては)Skypeみたいな感じで。
添削さん(ハンドルネーム)という方がそのDiscordを作ったりとヴィンテージ普及のための活動をしています」
――やってないけどやってみたいっていう人も入れるんですか?
藤平「良いと思いますよ。おーい、添削さーん!」
添削「はーい」
ちょうどインタビュー現場の付近にいらっしゃった添削さん
藤平「あのDiscordのサーバー、あるじゃないですか。あれ、興味あったら誰でも入って......」
添削「大歓迎ですよ! 大歓迎です!!」
――(食い気味だ)
添削「あのDiscordのグループは、やりたい意思のある人たちのサポートもコミュニティの目的にしていているんです。
僕が......いや、僕だけじゃなくてみんながそう思っていると思うんですけど、ヴィンテージプレイヤーって仲間を増やしたいと思ってるんですよ。プレイヤーの数が少ないんで。なのでおせっかいな人が多いんです(笑)
Discordのチャットグループなら、新規で始めたい人たちも気兼ねなく(作りたいデッキやその相談について)聞けるかなと思ってて。
それに、実際にこのチャットグループから始めた人もいるんですよ。予算やデッキの候補を相談して始めたりしてね」
藤平「マジック・オンライン専門の人もいますしね。あっちならだいぶ安くなりますし」
添削「始めてから何をやれば良いかわからない人って、ヴィンテージに関しては多いと思うんですよ。特に地方の人は情報格差があるので。
そういうのを解消していければいいなと思ってやってます」
――デッキの内容や予算について相談できればかなり新規参入の手助けになりそうですよね。プレイヤーが集まっているので、仲間はいるわけですし。
藤平「(予算に関しても)パワー9を9枚入れるデッキはほとんどないので、まずは1枚頑張ってトレードしたり、下取りで手に入れてもらえるとヴィンテージの世界を楽しんでもらえます。青が好きなら《Ancestral Recall》だけでも使ってもらえると嬉しいですね。それ1枚で十分です。
例えば《戦慄衆の秘儀術師》と組み合わせて6枚ドローしたりね(笑)
僕も最初は《Mox Pearl》からでした。特価品で、それと《Time Walk》もかな、購入しました。
フリースロットの多いオースデッキ(《ドルイドの誓い》デッキ)を組んで、けっこう勝てましたね。レガシーの経験やプレイングを意識すれば、けっこういけます。パワー9が多いから勝てるというゲームではありませんから。
まあ、パラドックスストームなんかでは必要ですけどね(笑)」
――そうですね、デッキを考えれば問題ないわけですね。
藤平「土地と呪文の構成をちょっと考えてもらえれば、1枚でも十分に楽しめます。そうやってヴィンテージを体験してもらって、楽しかったら買い足していくような感じで始められますよ。
言い方はちょっと良くないかもしれませんが、合わないなと感じたら売ってしまえば(それなりの金額が)帰ってきますから(笑)」
――ほかにヴィンテージを始めたい人に伝えたいことはありますか?
藤平「ヴィンテージはプレイ人口が少ないので、特定の人と良く対戦することになります。そうすると仲良くなりやすいのが良いところですね。それに、その人たちもいっしょに遊んでいる人たちが貴重だってことがわかっているので、新規のプレイヤーを歓迎してくれます。
みんなヴィンテージが流行って欲しいと思っているんですよね(笑)
添削さんのDiscordサーバーのように、新規プレイヤーを歓迎するコミュニティはあります。やりたい気持ちがあるならカードの値段に尻込みしないで一度来てもらえれば、みんな歓迎してくれると思いますよ」
ヴィンテージを始めたいなら、「新規大歓迎!」のDiscordサーバーへ
競技ヴィンテージ優勝の藤平も、「ヴィンテージプレイヤーは新規参入を欲している」と言う。
そんな彼らヴィンテージプレイヤーは、すでに新規参入を考える人に入り口を作ってくれていた。それが添削さんの作ったDiscordサーバーだ。
ヴィンテージ参入の障壁は、「高額なカード」「少ないプレイ人口」の2点。地方在住者には「情報の少なさ」も加わる。
だが、藤平いわく「パワー9は1枚でも楽しめる」し、Discordサーバーを使えば「仲間」が手に入るのでプレイ人口を気にする必要もない。「情報の少なさ」は言わずもがな、Discordサーバーできれいさっぱり解決する。
ひそかに新規参入を考えていた人は、この機会にそのサーバーに参加してみると良いだろう。
製作者いわく「おせっかい」な人たちが、あなたの相談に乗ってくれるはずだ。
Discordサーバー招待URL:https://discordapp.com/invite/Fd7KvMA
添削さんによる同サーバー紹介:https://note.com/kakikukeko2131/n/n5958acbe2d5d
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