レガシーデッキ解説:原田 暖平の感染 in 日本レガシー選手権2020#1【マジックフェスト・名古屋2020#1】

By Riku Imaizumi


レガシープレイヤーたちが狙いを定めて調整を続ける大型大会のうちのひとつがレガシー選手権だ。
グランプリが開催されることが少なくなったため、マジック・フェスト中のこの大会への注目度は高い。


今回は日本レガシー選手権2020#1参加選手のうちの一人、原田 暖平に自身のデッキについて伺った。
グランプリ・横浜2019にてTOP8に入ったこともある実力者で、今回は自身が長年愛用しているデッキに関して基本的な解説をしていただく。
そのデッキはレガシーでも特有の勝利手段を持つコンボデッキ、「感染」だ。


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プレイヤー:原田 暖平


「普段は大阪府でプレイしています。ドラゴンスターやBIG MAGICなど、日本橋のお店に行くことが多いですね。晴れる屋にも行きます。
梅田、難波、日本橋が主な活動範囲です。KMC(関西の草の根大会)にもよく参加します」


KMCのTOP8には何回か入っています。......あと、モダンだったんですけど、グランプリ・横浜2019ではTOP8に入りました」


主な戦績にグランプリでのTOP8経験。カバレージにも取り上げられており、当時の原田の試合を今でも見ることが可能だ。
ちなみに、使ったデッキはというと、感染ではなくドレッジとのこと。「ギリギリまで使っとったんですけど、諦めました(笑)」と笑う。


感染の使用経験は長く、期間を問えばこのような答えが返ってきた。


「だいぶ使ってますね。《師範の占い独楽》が禁止される前から使ってましたし、4年くらいになりますかね」


「そのころから変わったカードといえば、メインボードに《厚鱗化》と《王冠泥棒、オーコ》。
あと、サイドボードには《夏の帳》、《活性の力》が追加されましたね」



デッキ解説:感染


ぎらつかせのエルフ.jpg荒廃の工作員.jpg


デッキリスト:原田 暖平の感染


土地
4《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》
4《Tropical Island》
2《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
2《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
2《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
2《霧深い雨林/Misty Rainforest》
1《冠雪の森/Snow-Covered Forest》
1《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》
1《不毛の大地/Wasteland》


クリーチャー
4《貴族の教主/Noble Hierarch》
4《ぎらつかせのエルフ/Glistener Elf》
4《荒廃の工作員/Blighted Agent》


スペル
4《渦まく知識/Brainstorm》
3《巨森の蔦/Vines of Vastwood》
2《思案/Ponder》
2《呪文貫き/Spell Pierce》
2《狂暴化/Berserk》
1《輪作/Crop Rotation》
1《厚鱗化/Scale Up》
4《目くらまし/Daze》
1《森の知恵/Sylvan Library》
4《激励/Invigorate》
1《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
3《意志の力/Force of Will》
1《強大化/Become Immense》


サイドボード
3《夏の帳/Veil of Summer》
2《活性の力/Force of Vigor》
2《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
2《外科的摘出/Surgical Extraction》
1《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
1《水流破/Hydroblast》
1《青霊破/Blue Elemental Blast》
1《四肢切断/Dismember》
1《呪文滑り/Spellskite》
1《狼狽の嵐/Flusterstorm》



デッキの強み


デッキの強みは、コンボデッキでありながらテンポデッキの動きができる点だと言う。


「ソフトカウンター(《呪文貫き》《目くらまし》といった不確定カウンター)が多いので、同じ速度のコンボデッキに対して強く動けます。
《呪文貫き》や《目くらまし》のような軽量カウンターで相手の動きを妨害しながら、感染持ちのクリーチャーたちで詰めに行きますね。
感染持ちのクリーチャーたちが12枚も入っているので、これらのうちどれか一枚でも引ければデルバーデッキと同じくクロック・パーミッション戦略をとれるんです」


コンボデッキとしてデッキを見た時、感染クリーチャーはコンボパーツである。しかしながらそれらがクロック・パーミッションのためのクロックにもなる構造がデッキの強みということだ。



有利なデッキタイプ


自分より大ぶりなデッキタイプに対しては総じて有利です。《実物提示教育》を使うSnT(ショウ・アンド・テル)、奇跡系のコントロール、それからPostNic Fitといったデッキが挙げられます。
また、最近見かけるようになった《死の国からの脱出》コンボにも有利です」


《死の国からの脱出》コンボデッキとの対戦は、カウンターの打ち合いになる。お互いにハンデス(《思考囲い》など)呪文がないことがその理由だ。
カウンター合戦は、両者のデッキのカウンター呪文の総枚数が同程度なため、互角。それでいて感染側にはコツコツと勝利に近づいていけるクリーチャーたちがいる分、有利がついているとコメントをしてくれた。


「除去呪文もあまり入っていないので、こちらのクロックを妨害されないんですよね」



不利なデッキタイプ


「不利なデッキタイプというよりは、特定の苦手なカードがあります。
《不毛の大地》《思考囲い》、それから黒い除去呪文です」


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《不毛の大地》は重要なクロックの一角・《墨蛾の生息地》や、絶対数の少ない多色地形を、
《思考囲い》はコンボパーツを、
黒い除去呪文......例えば《致命的な一押し》は感染側のあらゆるクロックを排除する。


特に感染はアドバンテージを取る手段に乏しく、これらの除去呪文に対して有効なリカバリーをするのが難しい。


「どれか一種類だけならなんとかなるんですが、これらを複合したデッキが多くて......グリクシスデルバーとか、BGデプスとか。
あとは、エルドラージストンピィも苦手です。《不毛の大地》はもちろん、《難題の予見者》というハンデスがいますからね。
赤単プリズンも同様です」


トップクラスに辛いマッチアップは「グリクシスデルバー」「BGデプス」「エルドラージストンピィ」「赤単プリズン」だと言う。
一拍置いて、「その次に苦手なのが......」と原田は口にした。


「グリクシス以外のデルバー、特にURデルバーが苦手です。
他のデルバーに比べて除去が多い構成になっているのに加え、《戦慄衆の秘儀術師》が非常に辛いです。


昔のデルバー相手は《激励》を《稲妻》へのカウンターとして使って、《荒廃の工作員》を《ペンデルヘイヴン》でバックアップしてクロックを刻むのが勝ちパターンでした。
ですが、《戦慄衆の秘儀術師》を相手にすると1対1交換していても勝てません。あのクリーチャーのせいでマッチアップが不利になっています。
《水流破》《青霊破》は《戦慄衆の秘儀術師》対策の意味を持っています」



サイドイン・アウト


 


コンボ相手


「ハンデスを撃ってくるコンボ......ダークデプスやANTに対しては、《夏の帳》3枚、《外科的摘出》2枚、《狼狽の嵐》1枚を投入します。


ダークデプス相手だと《王冠泥棒、オーコ》《四肢切断》も追加しますね。サイド後に《闇の腹心》で手札を増やしてくるので、それに触れるカードを増やします。
また、《突然の衰微》のような除去をずらせる《呪文滑り》も入れます。《呪文滑り》は《吸血鬼の呪詛術士》の対象を変える小技も持ってます。


SnTに対しては、《水流破》《青霊破》《狼狽の嵐》、それから《夏の帳》を1~2枚くらいです」


「コンボデッキとのサイド後、まず減らすのは《巨森の蔦》です。コンボデッキの除去は大した枚数が入っていないので、カウンター呪文で(《巨森の蔦》の役割は)事足ります。


また、除去されにくいという理由で《荒廃の工作員》1枚と《墨蛾の生息地》2枚も不要と判断しています。
コンボ相手では《呪文貫き》や《狼狽の嵐》をひたすら構えておきたいので、2マナの《荒廃の工作員》を唱えるタイミングが少ないんです。
《墨蛾の生息地》は複数枚引いても青マナが増えず、青マナが出る土地を優先的ににセットしたい関係上、1枚あれば十分ですね」


クロック・パーミッション戦略で立ち向かうが、肝心のクロックは減らしても良い。除去呪文の少ない相手だからこそ成立するサイドボーディングだ。


マリガンルールが変更され、常に7枚から選択できるようになったのもこの戦略を後押しする。



クロック・パーミッション相手


「基本的に入れるのは《呪文滑り》《四肢切断》《狼狽の嵐》の3枚です」


除去呪文の身代わりになる《呪文滑り》


相手のクロックを押しとどめる《四肢切断》


各種の妨害呪文への回答となる《狼狽の嵐》



次いで重要なのが《水流破》《青霊破》だ。


「《水流破》《青霊破》も《戦慄衆の秘儀術師》対策で重要です。《王冠泥棒、オーコ》も投入候補なんですが、先手後手によって入れるかどうかが変わります。
また、黒が入ったデルバーに対しては、《夏の帳》を2枚追加しています」


サイドアウトするカードは何か、と尋ねると、真っ先に一枚のカードを指した。


アウトするカードの筆頭は《輪作》です。リソースが減っちゃいますからね。
最近のデルバー相手だと、《呪文貫き》も抜いちゃいます。《戦慄衆の秘儀術師》を止めないと意味がないですから。
それに、最近のデルバーは中速にシフトしてきているので、土地がけっこう伸びるんですよ。《呪文貫き》が効きにくいんです。
あとは《意志の力》を1枚抜いて......これで合計4枚、《不毛の大地》をアウトして5枚になります。
《夏の帳》を入れる黒いデルバー相手だと、ハンデスに弱い《巨森の蔦》を追加で抜きます。《夏の帳》のほうが強いですからね」



コントロール相手


コントロール相手のサイドボーディングは色によるとのことだ。
『モダンホライゾン』からの《氷牙のコアトル》加入、『エルドレインの王権』からの《王冠泥棒、オーコ》加入により、奇跡系のコントロールでも色の分化が進んでいる。



青白純正、青白赤のコントロール


「緑入りのタイプなら《狼狽の嵐》は要らないんですけど、青白や青白赤であれば入れます。
他に《王冠泥棒、オーコ》、《呪文滑り》はほぼ入るカードですね。


あとは《外科的摘出》です。
青白や青白赤の単体除去はほとんど《剣を鍬に》にしかないので、それを《外科的摘出》で抜き取ると楽になります。
決めたいターンの直前に使うことで、《ギタクシアの調査》のような使い方をしますね。



緑入りのコントロール(《氷牙のコアトル》《王冠泥棒、オーコ》入り)


緑が入ったタイプのコントロールだと、先に話した内容が一変するという。
緑入りに対しては《狼狽の嵐》が不要だと話してくれたが、それは《氷牙のコアトル》《王冠泥棒、オーコ》に無力のためだろう。


「(《剣を鍬に》を抜くだけで楽になる)青白や青白赤に対しては《外科的摘出》を入れるんですけど、緑相手だと話が変わります。
《氷牙のコアトル》《剣を鍬に》に加えて、最悪《突然の衰微》まで撃たれることがありますから、除去を根絶するのが難しいんですよ。
それでも《氷牙のコアトル》を抜いてしまえば《墨蛾の生息地》が通りやすかったりするんですが......。
緑入りに対しては、《氷牙のコアトル》を除去するために《四肢切断》を入れています」


ちょうど《外科的摘出》の代わりに《四肢切断》を入れるようなイメージ、といったところか。



サイドアウトするカード


《不毛の大地》は(タイプ問わず)絶対抜きます。
良く抜けるのは《強大化》ですね。ミラクル相手だと墓地が増えにくいんですよ。能動的に動くと損しやすいマッチアップなので、構えてチクチク刻むことになるんです。
そうすると《強大化》は撃ちにくいですし、一気に6点当てて勝つことも少ないので、あまり出番がありません」


「相手の構成を選んで抜くカードはカウンター呪文の3種類(《意志の力》《目くらまし》《呪文貫き》)です。これらのうちどれかを選択して減らしています。
緑入りとのマッチアップでは《目くらまし》を減らせるんですけど、青白やジェスカイだと《相殺》や《基本に帰れ》のような致命的な2-3マナ域のカードが多いので、減らせませんね」



《虚空の杯》を使うデッキ相手


「このマッチでは、《活性の力》全投入と、《王冠泥棒、オーコ》が確定します(笑)」


どちらの致命的な妨害である《虚空の杯》に触れるカード。これらはまずすべて投入する。


それ以外のカードは相手によって取捨選択が必要だ。


「エルドラージ相手なら《四肢切断》も入って......時々《呪文滑り》も入れます。《歩行バリスタ》のダメージを受けたり、《作り変えるもの》をブロックできますからね。


Post相手はメインの構造が一番強いくらいなので、あまり変えませんね。《活性の力》と《王冠泥棒、オーコ》くらいです。《虚空の杯》に触れるようにだけします」



墓地を使う相手 - リアニメイト、ブリーチストーム


「入れるのは墓地対策4枚、それに加え《狼狽の嵐》です。ブリーチ相手だと《水流破》も。
リアニメイト相手は《水流破》が抜けて《夏の帳》を代わりに投入します」



特別なチューンアップ


原田独自のチューンアップがあるか尋ねたところ、「最近はもうしてないですね」と第一声があった。
しかし、「とってない人もいるんですけど、これは絶対に入れておいた方が良いと一枚のカードを指さした。


《呪文滑り》は一枚入れておいた方が良いと思います。あると楽になるマッチアップが多いので。
《四肢切断》も同様です。《戦慄衆の秘儀術師》が本当にきついので、《水流破》3枚を入れようかと思ったんですけど、そのうちの一枚を《四肢切断》にしている感じです。デルバーを対象にとれますからね」


呪文滑り.jpg四肢切断.jpg



最近のカードの評価


「《王冠泥棒、オーコ》は《貴族の教主》から2ターン目に着地してそのまま勝てちゃうことがあります(笑)
毒殺を諦めて鹿を大量に作ってそれでとどめ、みたいなことも(笑)


《夏の帳》はハンデスを使うデッキとの相性を変えてくれました。
《突然の衰微》や《暗殺者の戦利品》に対しても使える当たり、裏目が少なくて優秀ですね。《巨森の蔦》は構えているところにハンデスを撃たれる裏目がありますから。


赤単プリズンとのマッチアップを大きく改善してくれたのが《活性の力》です。
実はもともと2対8くらいの絶望的なマッチアップだったんですけど、今はなんとかなるくらいに感じています」



デッキの強み


「プリズン系のデッキに対しての相性が改善したので、今のメタゲームを考えても良いデッキだと感じますよ。


絶望的なマッチアップがほとんどありませんからね。


あと、このデッキの良いところは、どれだけ不利なデッキが相手でも《ぎらつかせのエルフ》《目くらまし》《激励》《狂暴化》と引ければ勝てるところですかね(笑)。
無理なマッチアップでも勝てる時は勝てる。それにマリガンルールの変更のおかげで、2キル、3キルの準備ができる手札を手に入れやすくなりました」




関西方面で活動を続ける感染使い、原田 暖平。


使い続けて4年になる自身のデッキを指し、「今のメタゲームを考えても良いデッキ」だと評してくれた。


細々とではあるが近年のカードによる強化も進んでいる。実際に使ってみると細かいクロックの積み重ねや読み合い、そしてカウンター呪文やパンプアップスペルの応酬が癖になるデッキだろう。


今こそ手に取ってみてはいかがだろうか。



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