福留 友(京都) vs. 小宮山 研一郎(山梨):エターナルパーティ東西レガシー王座決定戦カバレージ【マジックフェスト・名古屋2020#1】

By Riku Imaizumi


大会参加人数200名超の大規模大会、エターナルパーティ。日本中のレガシープレイヤーがそれに向けて調整し、練習を積み、自信作のデッキを持って雌雄を決する、そんな場所だ。
近年はレガシーでのグランプリが開かれない年が多いが、彼らが目指す王座はいつもそこにある。「エターナルパーティ優勝」とは、「その年におけるレガシー最強」の称号に他ならない。


2019年のエターナルパーティは大阪と東京の2地点での開催となった。
大阪には243名が、東京には278名が参加する大盛況を記録した。


だが、2地点でエターナルパーティが開催されたということは、当然「エターナルパーティ優勝」が二人いることになる。
「その年におけるレガシー最強」が二人いる。そんな状況、勝負にこだわる人間なら一度はこう思うはずだ。



本当のレガシー最強は誰だ?



そんな疑問にお答えするべく、マジック・フェスト名古屋のイベントステージを用いて最強決定戦の場を用意した。
東の王者と西の王者が、たった一つの王座をかけて、いま、剣を抜く!



西の王者:福留 友(京都)


大阪大会優勝者は福留 友。


エターナルパーティ王座決定戦 (6).JPG


日本レガシー選手権2012にてTOP8に入賞、エターナルパーティ2015で準優勝を記録したのち、
エターナルパーティ2019大阪大会にて見事優勝を果たした、関西で活動する強豪だ。
彼と同地域で活動するプレイヤーなら、フォーマット問わず精力的にマジックに打ち込んでいる彼の姿を見たことがある人も多いだろう。


エターナルパーティ2019大阪大会では、「タツオムニ」と名付けた青赤オムニ・スニークを使用した。
《実物提示教育》から《全知》《引き裂かれし永劫、エムラクール》を呼び出す、レガシー伝統のコンボデッキだ。


オムニ・スニーク.jpg


「東西レガシー王者決定戦」ではエターナルパーティ2019参加時に使用したデッキをそのまま使うルールなので、今日も「タツオムニ」を駆る姿を見せてくれる。



東の王者:小宮山 研一郎(山梨)


福留と切り結ぶのは、東の王者・小宮山 研一郎。


エターナルパーティ王座決定戦 (4).JPG


BIG MAGIC Open Vol.9併催のBIG MAGIC Sunday LegacyにてTOP8に入賞。晴れる屋のレガシー神挑戦者決定戦でもTOP8入賞経験を持つ。
今回のマジック・フェスト名古屋でもレガシー選手権に出場予定という、生粋のレガシープレイヤーだ。


小宮山の剣は「ボンバーマン」。《オーリオックの廃品回収者》と《ライオンの瞳のダイアモンド》による無限マナ・コンボだ。
《大いなる創造者、カーン》や《神秘の炉》の加入により近年も強化が続くデッキタイプである。


ボンバーマン.jpg


福留の「タツオムニ」と小宮山の「ボンバーマン」。
王座を手にするのはどちらか、注目の一戦が始まる。



Game1 ~ 決着は一瞬で ~


先手の小宮山がダブルマリガン。
幸先の良いスタートとは言えず、わずかに渋い表情だ。


しかし、その末に手に入れた手札は悪いものではない。


小宮山は《裏切り者の都》から《虚空の杯》X=1とスタートを切った。


虚空の杯 エタパ.jpg


《虚空の杯》により1マナ呪文が無効とされ、福留のコンボパーツ収集が大きく阻害されることになった。もしも彼の手札に1マナのドロー呪文(《思案》《渦まく知識》)が複数枚あるのであれば、小宮山のダブルマリガンの差を埋めるだけのアドバンテージを事実上手に入れたことになる。


悪くはない。むしろ場合によってはゲームを決める一手になる。
小宮山は《ウルザのガラクタ》を出して起動と続け、ターンを終了した。


ターンが回ってきた福留。コンボデッキ定番の第一手、《渦まく知識》《思案》による手札調整が封じられている。
小宮山は福留の姿を見守った。彼のデッキに入っている11枚の1マナの呪文は効力を失ったのだ。彼の手が鈍くなるはず、そんな期待を持つような眼差しに見えた。


どのように戦略を立てていくか、手を止める――そんな姿を、福留は見せない。


《古えの墳墓》、《水蓮の花びら》。
《実物提示教育》、そして《引き裂かれし永劫、エムラクール》!


エターナルパーティ王座決定戦 (11).JPG


《虚空の杯》を乗り越えて、15/15、滅殺6、プロテクション(有色の呪文)が降臨した。


第1ターンにしてクライマックス。小宮山、これに頭を抱える。


エターナルパーティ王座決定戦 (9).JPG


《実物提示教育》の効果で場に出した《神秘の炉》を頼りにデッキトップをめくっていく。《ミシュラのガラクタ》、《ミシュラのガラクタ》、《水蓮の花びら》。
《引き裂かれし永劫、エムラクール》を打倒する手はない。ならば滅殺6に耐えられるよう、パーマネントを並べるしかないのだ。


福留は《引き裂かれし永劫、エムラクール》で戦闘を行い、滅殺6を誘発。小宮山は《神秘の炉》に全てを託し、他のパーマネントを全て墓地に置いた。
最後に残ったターン、コンボさえ決まれば――と私たちギャラリーが小宮山の動向を見守る中、彼はデッキトップから《虚空の杯》を置くことしかできなかった。


福留 1-0 小宮山


 


Game2 ~ 《意思の力》を切るか否か ~


《虚空の杯》を全く意に介さない高速コンボでGame1を勝利した福留。
「真の王者」の座まで、あとたった一勝だ。


エターナルパーティ王座決定戦 (017).JPG


このゲームさえ取れれば王者。そんな福留の勝利への渇望を天が汲んだか、小宮山はまたしてもダブルマリガンを喫した。
あと一勝、福留の王座が近づいている。


とはいえ、福留のキープも万全ではない。どちらかといえば「受け」側に回る手札が配られていた。


手札 エタパ.jpg


コンボパーツの《実物提示教育》《騙し討ち》はあるものの、相方となる《グリセルブランド》《引き裂かれし永劫、エムラクール》の姿はなく、加えてキャストのための土地も足りておらず、2枚のみ。
欠けたパーツをを探し当てるドローソースの姿もないので、万能カウンター《意志の力》をどこに当てるか、それにより福留がコンボを決めるまでゲームを引き延ばせるかが焦点となるだろう。


さて、マリガンを2回重ねた小宮山の手札もまた万全ではない。彼は《魂の洞窟》で「人間」を指定ののち、《ライオンの瞳のダイアモンド》プレイでターンを終えた。福留は《沸騰する小湖》を置いてターンを返す。


2ターン目に入っても、小宮山は動けずに苦笑い。


エターナルパーティ王座決定戦 (19).JPG


《オパールのモックス》――もちろん金属術達成はしていない――をプレイして、動けないままの歯がゆさに耐える。


小宮山が動けないなら、それは福留にとってのチャンスだった。時間を与えればいずれコンボが決まるのは両者同様。特に小宮山はコンボパーツのひとつ、《ライオンの瞳のダイアモンド》を場札に出している。ならば小宮山が土地すら置けないうちに勝敗を決したい。


攻め気でいきたい福留だが「受け」の手札をキープしていたため、彼もまた2枚目の《沸騰する小湖》を置いてターンを置くのみに終わった。


エターナルパーティ王座決定戦 (21).JPG


3ターン目を迎えた小宮山は《ミシュラのガラクタ》をプレイ。
福留はここで手を止めた。


エターナルパーティ王座決定戦 (20).JPG


《ライオンの瞳のダイアモンド》《ミシュラのガラクタ》とならぶと、《オパールのモックス》からマナが出るようになる。
そうなれば、小宮山の手札に眠っていたカードが福留の前に姿を現すかもしれない。


福留の指にかかっているのは、このゲームの初手における勝負の要、《意志の力》。
これをどこに切るかが彼の勝敗を左右するといっても過言ではない。


......数秒の後、福留は《意志の力》から右手を離すと、それを開いて宣言した。


エターナルパーティ王座決定戦 (23).JPG


「いや、通します」


相手のマナを縛る行為は、優位の時にほど効力を発揮する。彼らの戦場は現時点でイーブンであり、福留がゲームを決める一手を引いていないのなら、《意志の力》を使ってもただ小宮山の手をひとつ遅らせたにすぎなくなる。


福留は《ミシュラのガラクタ》、ひいては《オパールのモックス》金属術達成を認めた。すると小宮山は《虚空の杯》X=1をプレイ。これにより、福留はコンボパーツを探しに行くドロースペルを失うことになる。


無事にアーティファクトを4枚揃えた小宮山は《ミシュラのガラクタ》の能力を起動。福留のデッキトップ(《水蓮の花びら》)を確認してターンを終了した。


福留は《沸騰する小湖》起動でデッキトップをリセットすると、《Volcanic Island》をサーチする。そのままターンに入るが......口をとがらせて《霧深い雨林》をセットするにとどまった。このタイミングで《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《グリセルブランド》を引けていれば、《実物提示教育》を使えたのに。
コンボが揃わないままドロースペルを封じられ、戦局は少しずつ小宮山側に傾き始めた。福留もそれを感じている。


福留が見守るなか、小宮山は《古えの墳墓》をセットし、勘案する。
数秒置いて、《オーリオックの廃品回収者》を唱えた。


エターナルパーティ王座決定戦 (24).JPG


福留はここで虎の子の《意志の力》を切りたい――ところだろうが、《魂の洞窟》から現れた「人間」に打ち消し呪文は無力。
そのまま《オーリオックの廃品回収者》が着地することになるが、《ライオンの瞳のダイアモンド》がすでに場にあるため、この時点で無限マナが完成する。


「起動します」と《ライオンの瞳のダイアモンド》を生贄に捧げる小宮山の右手を、福留の視線が追う。
コストで捨てられた手札の中には――


歩行バリスタ.jpg


「あるのかぁ......」


――《歩行バリスタ》の姿があった。


これにより、《オーリオックの廃品回収者》の能力で無限マナ、墓地の1マナ以下のアーティファクトを無限回収、そして《歩行バリスタ》の無限ダメージの構図が完成。先に勝利の道筋を拓いたのは小宮山のほうだった。


小宮山は《オーリオックの廃品回収者》の能力で《ライオンの瞳のダイアモンド》を回収し、それをプレイ。
福留に残された手はもう一つしかなかった。


「打ち消します」


意志の力.jpg


《意志の力》だ。


白マナの浮きどころか白マナソースすらない小宮山のコンボは、温存に温存を重ねたこの一枚でいったん時間を置くことになる。


さて、いよいよ残された時間の少なくなった福留。依然として《虚空の杯》で動きを封じられているが、《実物提示教育》を打つ準備は整っている。
「頼むよ」とばかりに「タツオムニ」のデッキトップを叩いた。


福留は《裏切り者の都》をセットすると、小宮山に追いすがる一枚、《実物提示教育》を唱えた。
その能力で《全知》が彼の場に。続けて《騙し討ち》を2枚戦場に繰り出した!


エターナルパーティ王座決定戦 (26).JPG


......だが、彼の手はここまで。
《引き裂かれし永劫、エムラクール》も《グリセルブランド》も《狡猾な願い》も、さらに言えば《衝動》さえ続くことはなかった。


数回のドロー・ゴーを挟んで、小宮山が最後のコンボパーツ、白マナを用意(《古えの居住地》)すると、
「(《意志の力》の対象が)違ったかな」と福留は首をひねった。


福留 1-1 小宮山


 


Game3 ~ そして王座へ ~


両者一本ずつ勝利し、残すゲームはあと一回となった。
最後に勝った方が真の王者だ。


エターナルパーティ王座決定戦 (29).JPG


小宮山は三度目のダブルマリガン。コンボデッキ同士の対決のためリソース勝負となることは比較的少なくなるだろうが、それでも望ましくない状況に変わりはない。
それとも、青赤オムニ・スニーク相手への勝ち筋を手に入れるための積極的なマリガン判断だろうか。


それがベストな手札かはわからないが、小宮山のマリガンは


《魂の洞窟》
《裏切り者の都》
《ミシュラのガラクタ》
《歩行バリスタ》
《僧院の導師》


の5枚でストップする。
福留に最速のコンボ達成を狙われるとどうしようもないように見えるが......


エターナルパーティ王座決定戦 (30).JPG


......福留もまた、少々苦い顔をしつつもキープを宣言している。見えたのは土地5枚、《思案》、《全知》の手札。
《思案》の結果によるが、現時点ではゲームを決めるほどの手札は完成していない。


小宮山が手札を整えると、福留が動き出す。
《汚染された三角州》から《Volcanic Island》、そして《思案》。《引き裂かれし永劫、エムラクール》《定業》《全知》と並べ替え、そのままカードを引いた。
あとは《実物提示教育》さえ手に入れれば、福留の勝利は目の前にやってくる。


実物提示教育.jpg


さて、そんな福留の勝利へのカウントダウンを知ってか知らずか、小宮山は《古えの墳墓》をセットランド。2ターン目には《魂の洞窟》から《僧院の導師》をプレイした。


僧院の導師.jpg


小宮山もまた、勝利へのカウントダウンを開始する。しかもこちらはクリーチャーのクロックな分、カウントの減り方が明白だ。福留は手を止めて事態を把握すると、《Volcanic Island》にかけていた指を離し、リアクションがないことを伝えた。
小宮山は《ミシュラのガラクタ》を唱えてモンク・トークンを一枚戦場に置く。


福留の手札に眠る《全知》《引き裂かれし永劫、エムラクール》。
小宮山の場で臨戦態勢の《僧院の導師》。


東西の王者はお互いに剣を構えた。
ここからのゲームは簡単。どちらの切っ先が相手の首に先に届くか、それだけにゲームの行く末が委ねられた。


《渦まく知識》《思案》《渦まく知識》と最後の一枚を求める福留に、
《虚空の杯》《オパールのモックス》と唱えて果敢を誘発させた小宮山が切りかかる!


エターナルパーティ王座決定戦 (38).JPG


このターンのクロックは7点。デッキシャッフル用の《霧深い雨林》の起動も含め、福留のライフは10まで減少する。
小宮山の残る手札は2枚(と《ミシュラのガラクタ》のスロー・トリップによる1枚)しかないが、場にはモンク・トークンが3体いる。彼がもしも非クリーチャー呪文を2つ唱えられるのなら、福留に残されたターンはあとわずか1ターンしかない。


福留は最後のターンを迎えると、手札のカードを場に出した......


実物提示教育.jpg


......それは、勝利へのラストピースだ。


《実物提示教育》から最初に現れたのは《全知》。続けて《騙し討ち》。
そして後を追って手札から「唱え」られたのは、《引き裂かれし永劫、エムラクール》だ。


エターナルパーティ王座決定戦 (43).JPG


「唱え」たときに誘発する《引き裂かれし永劫、エムラクール》の能力により、福留は最後の1ターンにもう1ターンを追加した。
そして《引き裂かれし永劫、エムラクール》で攻撃宣言を行うと――滅殺能力により小宮山の場を壊滅させたことで――今度は小宮山の喉元に「最後のターン」を突き付けた。


エターナルパーティ王座決定戦 (45).JPG


小宮山の場に残ったのは3体のモンク・トークンと《僧院の導師》のみ。
だが、それだけいれば彼の刃は届き得る。手札から《裏切り者の都》《古えの墳墓》などをセットし、0~2マナの呪文を2回唱えることで福留の首を捉えられる状況にあるのだ。


小宮山もまだ勝利への道の中にいる。
最後のターン、彼はデッキからカードを引くと......


エターナルパーティ王座決定戦 (48).JPG


その手を「真の王者」に差し出した。


福留 2-1 小宮山


 




エターナルパーティ2019東西レガシー王座決定戦、


王座に着いたのは福留 友! おめでとう!


エターナルパーティ王座決定戦 (1).JPG


優勝賞品の《意志の力》Foil版と共に。
なお、小宮山にも《意志の力》アライアンス・ドイツ語版が贈られた。



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