By Riku Imaizumi
大型の大会に参加すれば、BIG MAGICのユニフォームを着たプレイヤーを見たことがあるとだろう。
彼らはBIG MAGICとユニフォーム契約を結んでいる、BIGsというプレイヤーたちだ。グランプリ京都2019でトップ4に入賞した加藤 健介や、グランプリ千葉2019を優勝した中道 大輔などが所属している。2019年だけでもしっかりとタイトルを獲得しており、これからも活躍が期待されている。
マジック・フェスト名古屋が開催された、2019年11月。プロ制度や競技イベントのあり様が大きく変貌を遂げる中、BIG MAGICはBIGsに新たなメンバーを迎えることに決定した。その数、総勢6名。
本記事では、そのうちの1名、マエノソノ ケンタについて紹介する。
マジック・フェスト名古屋2019の会場で、インタビューを受けてもらった。
マエノソノ ケンタについて
――まずは、プロフィールとして在住地域、良く行くお店、それからマジック歴について教えてください。
マエノソノ「鹿児島県に住んでいて、良く行くお店はカードショップ彩々さんです。
一時期鹿児島にはカードショップが全くない状態になってしまったんですけど、カードショップ彩々さんが声を上げてくれて、マジックの大会が開催できるようになったんです。大会参加人数は少ないながらもマジックを取り扱ってくれている良いお店なので、鹿児島に来たらぜひ遊びに来て欲しいなと思います。
宮崎県にはBig Redというお店があって、そこにも行きます。宮崎はプレイヤーが豊富で、精力的にマジックを広めてくれています。あとは、Big Redと同じ場所にノマサハウスという宿がありますね」
――鹿児島に行ったときにはぜひ寄りたいです。
――どのようなきっかけでマジックを始めましたか?
マエノソノ「はじめてマジックに触れたのは『テンペスト』や『ウルザ』ブロックの時代でした。ただ、小学生の半年ほどの期間でしたので、友人とパックを開封して遊ぶくらいでしたね。その後はずっとブランクで、大学卒業間際の『ラヴニカへの回帰』で回帰しました」
――復帰勢、というやつですね。
マエノソノ「復帰......というか、マジックのルールをちゃんと知ったのもその時です。佐賀の大学を卒業して鹿児島に戻ったときに同年代の仲間ができたので、一緒にグランプリに出てみようよ、となったんです。そうしたら楽しくて、本格的にカードショップデビューしました(笑)」
――競技マジックに臨むようになったきっかけはなんですか?
マエノソノ「最初のきっかけは、グランプリ神戸2014で友人がTOP8に入賞してプロツアーに行ったことですね。その後、友人達と鹿児島のMTGチーム・モルテンレインを結成し、九州を中心に遠征するようになりました。
もう1つの転機は2年ほど前にレガシーを始めたことだと思います。レガシーをするために思い切って遠くまで遠征を始めてみたら、九州外のプレイヤーとも交流が増えたんです。それが楽しくて一気に競技mtgに傾倒していったと思います。下環境(※モダンやレガシーなどのエターナル環境)に限定的ではありましたけど」
モルテンレインについて
――お話が出ましたが、マエノソノさんはチーム・モルテンレインに所属されています。結成のきっかけはなんだったんですか?
※モルテンレイン......鹿児島で活動を続けるマジック・チーム
マエノソノ「友人がグランプリ神戸2014でTOP8に残ったとき、覚前輝也(Cygames所属プロ)さんのバーンが相手だったんですけど、モルテンレイン(《溶鉄の雨》の英語名)を撃たれて負けたんです。それで"もう二度と撃たれるもんか! じゃあ、俺たちはモルテンレインだ!"って言って(笑)。それでこのチームができたんです」
――2014年結成ということは、もう5年間活動しているんですね。長いですね。
マエノソノ「割と長めではあるんですけど、結成当時は競技に興味を持ちだしたくらいでした。憧れが芽生えたのはその時ですね。
遠征をサポートしてくれるなど、競技マジックを続けてこられたのはチームメンバーのおかげです」
――モルテンレインに関して、何か伝えたいことはありますか?
マエノソノ「鹿児島から大会に参加する人って、少人数なので寂しい思いをしている人が多いんです。なので、見かけたら積極的に絡んでもらえるとメンバーは喜ぶかなと思います。"そのシャツなんですか、モルテンレイン撃つんですか"みたいな(笑)」
競技マジックや、プロ・プレイヤーの活躍に興味を持つ人に向けて
――競技マジックをやっている人の中には、なかなか勝ちきれなくて悩んでいる人がいると思います。他にも、競技マジックに興味があっても参入しにくいと感じている人もいると思います。そういった人々に向けて「競技マジックのこういうところが良かった」と思えた瞬間を教えてください。
マエノソノ「競技マジックをやっていて良かったことのひとつは、遠方のマジック友達が増えたことです。
遠征を始めたての頃には寂しくて震える夜を過ごすこともありましたが、今では会場に行けば誰かがいると思うと、それだけで行ってみようってなります。
マジックでは勝たなくても、試合の後にみんなと飲めるなら夜の優勝は約束されてますからね。マジック以外のことにバリューを見出せたからこそ、競技マジックを続けられていると思います」
――仲間が増えるのは良いことですね。
マエノソノ「でも、一番嬉しかった瞬間は、間違いなくマジック・フェスト横浜2019のMCQ(ミシックチャンピオンシップ予選)で優勝した時ですね。
いい年こいてたかが遊びで......と言われてしまえばそれまでなんですが、今までの努力や "自分も憧れの舞台に立てるんだ" という思いがこみ上げてきて涙ちょちょぎれてしまいました(笑)
初めてのカバレージも熱く書いていただいて、またこんなカバレージを取ってもらえるように頑張りたいです」
――ありがとうございます。努力が報われた時はどのような感覚でしたか?
マエノソノ「もともと、プロツアーやミシックチャンピオンシップは夢の舞台でした。競技としてマジックをしてはいても、自分がその場に立てるとは基本的に思っていなかったんです。
でもそれは、負けた時、敵わなかった時に悲しい思いが強すぎるので、出られたらいいな、くらいで考えてただけでした。
MCQで優勝して夢の舞台に立てることを実感した時、"自分もこの舞台に立って良いんだ、競技としてがっつりやって良いんだよ" って言われたような気がしましたね」
――今後スポンサードプレイヤーとして活動するにあたり、何か意識したいことはありますか?
マエノソノ「競技マジックの敷居が下がれば良いなと思います。
というのは、僕は本当、プレイングが雑なんです。ひどいプレイを時々やっちゃうんですけど、"そんな人でも競技マジックをしてもいいんだ" って思ってもらいたいです。
へたくそだな、って後ろから笑っててもらって構わないので、"そんな人でもスポンサードプレイヤーになるチャンスがあって、競技マジック頑張ってるよ"ということを伝えたいです。"俺たちもやるぞ!"ってなってもらえるようなモデルケースになればいいなと思いますね」
鹿児島の地でマジックを続けるマエノソノ。スポンサードプレイヤーとして活動を始めるにあたり、競技マジックの敷居が下がれば良いと語る。
というのも、彼自身もともとカジュアル寄りのプレイヤーだったからだと言う。自分がスポンサードプレイヤーとなって良いのかと思うことがあるようだが、そんな自分がBIGsとして活動することで、競技マジックに憧れを抱く人に一歩踏み出してもらうことを願っているのだ。
競技マジックに臨むすべての人に勇気を与えるべく、マエノソノの物語が動き出す!
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