text by Seigo Nishikawa
ミシックチャンピオンシップに参加する方法はいくつかあるが、その中でも最もわかりやすい手段が予選会で勝利することであろう。マジックフェスト京都のサイドイベントとしてこの予選会が3日間にわたって開催されることとなった。
だがわかりやすいだけに、その道のりは簡単ではない。スイスドローを勝ち抜いて決勝という形は変わっていないものの、予選のラウンド数の関係で、ほぼ1敗も許されないという険しい道となっている。それだけにここにいるメンバーはどれも猛者であり、そしてミシックチャンピオンシップにかける思いが強い者たちが決勝には残っている。
激戦の土曜日を経て、日曜日に持ち越された決勝戦に集いし8名の戦いをお送りしよう
土曜ミシックチャンピオンシップ予選 SE1 SINTONI FILIPPO vs 岡井 俊樹
Game1
SINTONIが手札を開くとそこには土地がなく、頭をふりながらマリガン。エスパーミッドレンジを使用するSINTONIだが6枚となった手札にはある土地は白を生み出さない。若干の不安を感じつつも、これを受け入れたSINTONI。だが予選ラウンドでIDを選択せず堂々の全勝を果たしたSINTONI、その勢いは本物であった。
SINTONI FILIPO
2ターン目にライブラリートップに《神聖なる泉》があることを《発見》すると《正気泥棒》をキャスト。これは岡井の手によって《喪心》されるが、続くターンには《第1管区の勇士》《思考消去》と連弾。さらには《屈辱》《聖堂の鐘憑き》《人質取り》と豪華絢爛なカードが次々と送り出されると、《第1管区の勇士》の号令下、SINTONIの旗下に集う1/1の群れ。
いつまでたっても止まらないSINTONIの攻勢の前に防戦一方の岡井。《聖堂の鐘憑き》こそは《翡翠光のレインジャー》で相打ちに持ち込むが、時はすでに遅し。一気に押し切られてしまうこととなった。
SINTONI 1-0 岡井
Game2
初戦をなすすべもなく敗れてしまった岡井だが、2戦目の立ち上がりもやや鈍い。《培養ドルイド》を着地させるも、SINTONIの《思考消去》によって岡井の手札から《クロールの銛撃ち》《ハイドロイド混成体》と連続で奪い取られてしまい、残った手札は土地だらけ。続くSINTONIの《正気泥棒》こそは引き入れた《ヴラスカの侮辱》で取り除くのだが、SINTONIからは《第1管区の勇士》《発見》と続けられ、Game1の再現の要素を呈し始める。
岡井 俊樹
それでも岡井がこの程度で膝をつくような男でないことはこれまでの実績が雄弁に物語っている。岡井は《培養ドルイド》を順応させその時を耐えて待つ。
そしてついに1枚のカードがもたらされた。つい先ほどまでは戦場にも手札にもマナしかなかったはずなのにの1枚のカードによってよって全く別のものへと様相を変化させた。
スタンダードを定義しているこの1枚は、岡井に新鮮なる3枚のカードをもたらしながら戦場へ降り立つ。そこにあった《マーフォークの枝渡り》が探検の結果《ビビアン・リード》を発見すると、その《ビビアン・リード》は《殺戮の暴君》を呼び込む。
《第1管区の勇士》によって制圧していたはずの地上は、今や完全に岡井のものとなり、《ハイドロイド混成体》に関してはただ見上げることしか許されない。
戦線崩壊を認めたSINTONIは、第3ゲームで雌雄を決することを岡井に告げた
SINTONI 1-1 岡井
Game3
再びの先手を得たSINTONIは、まずは《第1管区の勇士》。これは即座に《喪心》されるものの《思考消去》で岡井の手札が
《クロールの銛撃ち》
《跳ねる混成体》
《マーフォークの枝渡り》
《暗殺者の戦利品》
《ラノワールのエルフ》
《森》
であることを暴くと、じっくりと吟味の上で《クロールの銛撃ち》を取り除いた。
岡井も沈思黙考。まずは《マーフォークの枝渡り》を戦場へ送り込むと、次に出番を待つのは《クロールの銛撃ち》。先ほどSINTONIが嫌がった《クロールの銛撃ち》に目を向けると再び思考の海に潜る。最終的にこれをトップに残すことを選択し、森から《ラノワールのエルフ》を追加すると、《マーフォークの枝渡り》で攻撃することでターンを終了する。
SINTONI、ターンを得ると流れるように4マナを倒し1枚のカードを手に取ってキャスト......する直前で思い直し、土地をもとに戻す。改めての選択は《発見》、そして2枚目の《思考消去》で《ハイドロイド混成体》に対処。
このSINTONIの動きを見てここが山場と考えたか、岡井はSINTONIの手中をじっくりと予測にかけ、ジャッジにプレイを促されると意を決したように出番を待っていた《クロールの銛撃ち》を追加する。
これに対してSINTONIは、4マナではなく5マナを倒し《最古再誕》。岡井の手札は先に公開されている《暗殺者の戦利品》の1枚。SINTONIも《最古再誕》が壊されると考えていたようだが、引き入れたカードを見た岡井はその1枚を残すべく《暗殺者の戦利品》は使わずに《最古再誕》へと捧げた。
SINTONIは先ほどの4マナの行為が《秤の熾天使》であることを提示する。そこに飛ぶのは岡井の《喪心》。だが当然のように《最古再誕》で復活し、これは岡井にとって損な取引となってしまったか。
それでも常に攻勢に出ているのは岡井。派手なスペルの応酬が行われているのをしり目に、淡々と攻撃をし続ける《マーフォークの枝渡り》。じわりじわりとSINTONIのライフが削られ、気が付けば残りライフは一桁代に。《採取》で《ハイドロイド混成体》を復活させるとそこで得た《ヴラスカの侮辱》で《秤の熾天使》は排除。即座に《屈辱》にあうも《愚蒙の記念像》で三度戦場へ送り込まれる《ハイドロイド混成体》。
SINTONIも《ケイヤの怒り》で必死に追いすがる
激戦は続く。
《翡翠光のレインジャー》によって《人質取り》が発見されると、SINTONIは《正気泥棒》。《翡翠光のレインジャー》を攻撃をその身で受け残りライフ1。《人質取り》には《屈辱》をあて、《正気泥棒》に全てをかける。
岡井から3枚のカードを渡されたSINTONIは、そこから2枚の土地カードを岡井に返し、そして自身の土地8枚全てを力強く横向きにする。瞬間SINTONIのライフは4へと戻り、3枚のカードが新たに手札に。
そうそこにいたのは《ハイドロイド混成体》! まさにこれしかないという1枚だ。
......しかしそれがもたらされたのは岡井のライブラリーから。ということは岡井のデッキも完璧な回答を用意していた。
岡井の指示を受け、《ビビアン・リード》が放った一筋の矢によって裏切り者は地に落ちる。目の前に迫る《翡翠光のレインジャー》を前にSINTONIは右手を差し出すのだった。
SINTONI 1-2 岡井
岡井俊樹、ミシックチャンピオンシップまであと2勝!
マジックフェスト・京都2019 サイドイベントカバレージページ