こんにちは!BIGsの吉森奨です。
日本チームの優勝で幕を閉じたワールド・マジック・カップの熱もまだ残る頃ですが、今のスタンダードはかなり面白い!
今年も残り僅かながらThe Finals 2017などのイベントも残されており、熱い年末になると思っています。
環境煮詰まっててつまらない...と思う方もなかにはいらっしゃるかと思いますが、
個人的にはまだまだ色々なカードが実はプレイアブルで、掘り下げる余地がある楽しい環境と捉えています。
ということで、今回はFinals予選とPPTQを突破できた、
普段あまり見ないであろうデッキの紹介とその調整過程などをお話していきたいと思います。
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目次:
1.デッキレシピ
2.デッキ紹介と選択の理由
3.想定のメタデッキと相性/苦手なデッキやカード
4.大会に参加するにあたっての調整方法/デッキを作っていく上での考え方
5.参加レポート
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1.デッキレシピ
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
2.デッキ紹介と選択の理由
・デッキ紹介:
いきなり良くわからないリミテッドカードの束が出てきて何?
と思った方もいるかもしれませんが、色々な勝ち筋を持ち、シナジー満載な面白いデッキです。
序盤からトークンを大量展開していくこともあり、《燻蒸》を自ら打ちボードコントロールに徹することもあり、表情がコロコロ変わりますが、基本は《秘密の備蓄品》や各種不朽・永遠クリーチャーに《選定された行進》を掛け合わせ物量により盤面を固めて勝つことを目指します。
いわゆるミッドレンジに分類されるデッキで見た目はもっさりしていますが、コストの軽いカードが多かったり占術ができるカードのお陰で案外滑らかに回ります。
メインボードからエンチャントに触れることが難しい環境の中で、それらに加え対処しにくかったりライフやカードアドバンテージを稼げる手段を多く搭載し、「負けなければ勝てる」という事を体現したデッキだと思います。
・選択の理由:
このデッキを見つけたのはプロツアーの2週間ほど前でした。
以前からメタゲームの大半を占めていたティムールエネルギーやラムナプレッドに勝つこともでき、かつ面白いデッキがないかMTG Goldfishを探しているときに出会いました。
当時はアブザンカラーやエスパーカラーの3色で構成されていることが多かったのですが、
・《改革派の地図》や《進化する未開地》により予想よりマナベースが緩和されている
・《秘密の備蓄品》を使い回し続けられることにより、安定感のある継戦能力がある
・上記二つから色を足しても構成上大きな支障はきたさない
という理由から、デッキを使うことを決めるとともに4色で構築してみて、感触も良かったのでメタゲームの遷移を見つつ調整を続けていました。
3.想定のメタデッキと相性
・想定しているメタデッキ:
ざっくりですが、現在のメタデッキとの相性は以下のように認識しています。
◎有利~やや有利
・青黒コントロール
相手がエンチャントにほぼ触れないことと、単体除去が多く物量に対処しにくいことから有利が付きます。
特に、2ターン目に《秘密の備蓄品》を着地させられた場合にはそのまま勝っている場合も多いです。
・スゥルタイエネルギー
地上での戦いが中心になるため、《燻蒸》が活きるマッチアップ。
負けるパターンは備蓄品がない状態で先手の《牙長獣の仔》から押し込まれるか、《巻きつき蛇》と《歩行バリスタ》によってトークンが薙ぎ払われて収集がつかなくなるパターンですが、それ以外はだいたい容易に対処できます。
・4cエネルギー
ティムールエネルギーと比較すると《栄光をもたらすもの》がない場合が多く、直接本体を狙われるパターンが少ないためボードコントロールがしやすいです。
〇互角くらい
・ティムールエネルギー
ライフゲインの基盤を築けるかの勝負になります。
対処しにくいチャンドラや本体を早急に狙ってくる《栄光をもたらすもの》、スゥルタイエネルギーと同じく《牙長獣の仔》で押し込んでくるパターンがありますが、後半まで耐えられれば相手が物量もしくは出来上がったライフゲインの基盤により対処できなくなっています。
・ラムナプレッド
序盤を凌げるかの分かりやすい勝負になるため、ブロッカーを継続的に用意できる《秘密の備蓄品》や《致命的な一押し》がキープ基準になります。
序盤の最たる脅威は《暴れ回るフェロキドン》が想像されますが、3マナ圏までで一番厄介なのは《アン一門の壊し屋》です。
重めのサイドボーディングをされる場合が多いですが、こちらは大きくクロックは変わらない想定で入れ替えると駆け引きがしやすいと思います。《イクサランの束縛》が最も活躍します。
△ちょっと苦手
・マルドゥ機体
序盤は高クロック、中盤は直接本体を狙ってくる対処しにくいパーマネントが多く、デッキの構造上苦手です。
相手もこちらのパーマネントには対処しにくいので先に盤面が構築できれば勝てますが、
それを上回るクロックで攻められる場合も多いです。
×割と無理
・青白副陽
クロックが遅めになりがち、カウンターも刺さりやすい、除去が手元で腐るという点からメインボードは非常に厳しい戦いを強いられます。サイドボード後はデッキが最適化されますが、展開スピードの関係で《副陽の接近》が間に合ってしまうパターンも多いです。
?不明
・青白王神
身近でサンプルを取れていないため、ちょっと書けません。
互いに好きなことををして優位を取っていくことになると思いますが、
贈り物から出てくるクリーチャーのサイズ感から多少不利がつくかなと予想しています。
もう少し具体的に書くと、《発明の天使》の対処可否と《王神の贈り物》の着地速度に対し《燻蒸》を安定して構えられるか、ないしは継続的に守れる盤面を作れるかでゲームが決まりそうです。
4.大会に参加するにあたっての調整方法/デッキを作っていく上での考え方
大会に参加するにあたっての調整方法:
ここからはデッキの紹介からちょっと外れて、普段の調整過程について簡単にお話しようと思います。
僕がトーナメントで使うデッキを選択する際、デッキを自分で作る前に情報収集を行います。
入れ替わりが発生する大型エキスパンションの発売時は一から構築することもままありますが、スクラップ&ビルドはあまりしない方だと思います。
情報源にするのは先述のMTG Goldfishに掲載されているMOやGPで結果を出したデッキ、SCG Openの結果を参考にし、デッキを決めた後も定期的に微調整の参考にしています。
この辺りは多くの方と概ね同じかと思います。
また、調整の際は活動を中心にしている横浜方面のメンバーとLINEグループを組み調整することが多いです。
一人で黙々と調整を進めることもありますが、PPTQやGPのシーズンに合わせ、ベクトルの合う人と組んでデッキを掘り下げていく過程がとても楽しいことだと思っていますし、成果につながることもあると思います。
今回、10月の半ばにFinals予選をこのデッキで抜けた際は一人で調整していましたが、予選を抜けてからは同じBIGsの三宅くんと、今年のGP静岡でもチームメイトだった長尾君と3人でグループを組み、意見交換や試したカードのフィードバックを行いあい、PPTQに挑んでいました。
(三宅君は同じデッキでPPTQを早々に抜けています)
デッキを作っていく上での考え方:
今回のデッキを調整していく上で主軸に置していた考え方は以下です。
・早期の勝利は目指していないが、環境で勝っているデッキは押し付けるデッキが多いので、盤面で選択肢を押し付けていくプランを取れるようにする。
・ロングゲームに強いデッキなので、土地以外に対処できないパーマネントがないメインデッキ造りをする。
・4色を扱える=利用できるカードプールが多いので、サイドボード含め様々なカードを試していく。
現在のデッキにはないが試行したカード群:
1か月程度このデッキを調整してきた中で、採用していたカードをいくつか紹介していきます。
このデッキの役割を埋めるという観点で採用してきたカードもあるので、馴染みのないカードもあると思います。
・《排斥》
コストが高めの生物やPWを対処することを目的に積んでいました。
《排斥》はメインデッキの潤滑油(サイクリング用)の役割も兼ねていましたが、《イクサランの束縛》の方が このデッキでは有用であったので、外れていきました。
・《ヴラスカの侮辱》
概ね《排斥》と同じ理由ですが、これでは対処できないパーマネントがあり、かつ黒黒が確保できない場合をケアして抜けていきました。
・《領事の権限》
主に対赤単のためのカード。その赤単に採用されているカードが《アン一門の壊し屋》から《暴れ回るフェロキドン》に移っていったことから外れていきました。今後、速攻クリーチャーが増量されるなら戻すと思います。
・《アズカンタの探索》
《宝物の地図》に近い役割のカード。序盤少々出しにくい場合があることから外れていきましたが、変身まで持ち込めた場合のアドバンテージは測り知れません。
・《選定の侍臣》
このデッキにおいては貴重なタフネス4及びドローエンジンでした。
4マナ圏のカードが多いことから現在は入っていませんが、デッキの柔軟性を上げたい時は《イクサランの束縛》とさし変えてみると良いと思います。
・《残骸の漂着》
ナイスサイドボードで、副陽デッキなどで使う場合と同じ役割を持っていました。
最近は《栄光をもたらすもの》など速攻持ちのクリーチャーが減っているため、見送っています。
・《失われた遺産》
主に対副陽デッキ向けのカード。多少後ろ向きであり、同じ1枚を使うなら相手に選択肢を押し付けられるカードが良いと判断し、《夢盗人》を採用しています。
・《アルゲールの断血》
対コントロールカード。対コントロール戦でライフには困らないため有用ではありますが、《失われた遺産》と同様の理由から採用を見送っています。
5.参加レポート
最後に簡単ですが、先月突破したPPTQのレポートを書いていきます。
参加したPPTQはマックスゲーム大井店さん主催で、予選ラウンド5回戦+SE3回戦でした。
この日の最大勢力はラムナプレッドで全体の3割程度、次いで4cエネルギーでした。
1回戦:グリクシスコントロール 先手 ×〇〇
2回戦:赤単 後手 ×〇〇
3回戦:赤単 先手 ×〇〇
4,5回戦:ID
1戦目はカウンターで完封された後のゲームは《秘密の備蓄品》や《スカラベの神》によって一方的な試合運びにすることができました。
その後の赤単2連戦ではどちらもメインボードを落とすものの、サイドボードからの単体除去の増量が功を奏しライフを1桁に落とすこともほぼ無く勝つことができました。
IDをして休憩を取りつつ、3位でシングルエリミネーションへ。
SE1回戦:ティムールエネルギー 先手 〇〇
SE2回戦:赤単 先手 〇〇
SE3回戦:4cエネルギー 後手 〇〇
1戦目のティムールは相手が事故を起こしたことと、サイド後は盤面を固めて《秘宝探究者、ヴラスカ》の奥義から勝利しました。
2戦目の赤単はライフがなくなる寸前まで追いつめられるも、人質取りからクロックを逆転させて相手のライフを削り切りました。
決勝戦は序盤は攻められていた所からこちらに着地したスカラベの神がうまく作用して盤面をとっていき、勝つことができました。
運が良い試合もありましたが、概ね想定した戦いができPPTQを抜けることができました。
今回はここで終わりにしたいと思います。
来年には『イクサランの相克』も発売され、デッキの幅より広がっていくと思うと楽しみでなりません!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。