0.はじめに
こんにちは、BIGsの簗瀬 要です!
10月に『ラヴニカのギルド』が発売されてもう3ヶ月が過ぎましたね!最近、歳のせいか3ヶ月なんてあっという間に過ぎていきます(笑)。この期間中、『ラヴニカのギルド』のカードはいろいろなフォーマットで活躍していますね。《弧光のフェニックス》なんてスタンダードだけではなく、モダンでも活躍するカードになってしまいました。発売した時にこんなにすごいカードだとは全然思わなかったですね。
さて、10月はスタンダードの変わり目なので、ちょうどこのタイミングで「マジックをはじめました」という方も多いかと思います。3ヶ月もするとだいぶゲームにも慣れてカードも覚えてきた頃かと思います。いかがでしょうか、楽しんでいますか?
「友達には負け知らず!」
「俺のイゼットが最強!」
「遊び足りなくてMTGArenaをインストールした!」
大いに楽しんでそうですね!
でも、そうやって楽しんでいるプレイヤーはそろそろこんな欲求が湧いてくるころじゃないですか?
「大会に出てみたい...」
僕もそうでした。だんだんいつもの友達と遊んでいるだけでは物足りなくなってきますよね。最強のイゼットデッキが実際にどれくらい強いのか試してみたくなるわけです。ただ、同時にこんなことも思っていませんか?
「知らないことや分からないことがあったらどうしよう...」
やっぱり初めて大会に出るのは何かと不安ですよね。
ということで、今回はフライデーナイトマジックのような一般的な店舗大会に参加しようと考えているプレイヤーを対象に、覚えておくといいことをまとめてみました。それでは早速いってみましょう~!
1.持ち物で覚えておくといいこと
一般的な店舗大会に参加するときは以下の様なものが必要になります。
【持ち物リスト】
(1)メインデッキとサイドボード(構築戦であれば)
(2)参加費
(3)ペン
(4)メモ
(5)スリーブ
(6)ダイス
(7)トークン
(1)と(2)は言わずもがな。(3)もいいでしょう。(6)のダイスは+1/+1カウンターや忠誠値カウンターのカウンターとして使用するほか、先手後手を決定するのに使用します。(7)のトークンは自分のデッキでトークンが生成されるカードがある場合は準備しましょう。パックから出るトークンを使ってもいいですし、それが手に入らなければマジックのカード以外で何かトークンを示せるもの(例えば他のTCGのカードとかでもいいです)を準備しましょう。(4)と(5)に関しては覚えていてほしいこと、注意してほしいことがあるので説明します。
(4)メモ
自分のライフや《強迫》などで見た対戦相手の手札をメモするのに使います。他の国産のTCGはゲーム中にメモをとることが認められていないことが多いですが、マジックではゲーム中に適正な時間の範囲でメモをとることが認められています。なお、自分のライフをカウントするために市販のダイヤル式のカウンターや20面のダイスを使用してもいいですが、ゲーム中にライフの表示がずれてしまったりすることがあるので、きちんとメモに書くことをおすすめします。ライフの推移も確認できるので、トラブルになりにくいです。
普通のメモにこんな風にライフを書くと分かりやすいです
お店に行くとこんな専用のライフメモが売っていたりすることもあります
(5)スリーブ
一般的な店舗大会からグランプリやプロツアー(今度からミシックチャンピオンシップて言うんだっけ?)といった競技性の高い大会まで、トラブルが起きやすいのがスリーブです。スリーブに関してははじめにちゃんと覚えることが大事だと思っています。どんな大会であっても、準備段階で以下の4つのことに注意しましょう。
①あまり使い古したスリーブを使わないこと
マジックのゲームの大前提なのですが、ライブラリーから引くカードが裏面からわかってはいけません。特定のカードを裏面から見てわかるのはマークドと呼ばれ、ペナルティー(編注:イベント上の誤り ―区別できるカード)の対象になります。使い古したスリーブの何が悪いかというと、スリーブに傷が付いていて特定のカードがわかってしまう可能性があります。そのため、大会に行く時はなるべく使い古しではない、新しいスリーブを使うようにしましょう。
②裏面が透けないスリーブを使うこと
製品によっては裏面が透けていることがあります。(よーく見ないとわからないときもあります)もし、《アズカンタの探索》等の裏面のあるカードを使う場合はスリーブを着けた状態で裏面が透けていないかを確認するようにしましょう。
③スリーブをよくシャッフルすること
よく40枚のスリーブが1つの袋に入っていてそれが2つで計80枚、という形式の製品がありますよね?このような製品は袋ごとにスリーブの大きさが異なっている場合があります。(全部のスリーブが異なっているわけではないですが、製品が作られる過程でロットが違うと発生することがあるみたいです)これに気が付かずにデッキをスリーブに入れてしまうと「スペルと土地でスリーブの大きさが異なっていた」、「メインデッキとサイドボードでスリーブの大きさが異なっていた」なんてことが発生するかもしれません。品質のいいスリーブであっても不慮の事故を防ぐために、デッキに入れる前にスリーブをシャッフルするようにしましょう。
80枚1袋のBMスリーブなら大きさが変わらず安心!
④「とても大事なスリーブ」を使わないこと
ときどき「スリーブが傷つくのでシャッフル(特にファローシャッフル、よく横入れシャッフルと言われるシャッフルです)をしないでください」と対戦相手にお願いしているというプレイヤーを見かけることがあります。スリーブが大事なのはわかりますが、シャッフルはしっかり行う必要があるので、それを自分のスリーブが大事だからという理由でやらないでくださいとお願いするのはあまりいいことだとは思いません。大事なスリーブを使って大会に出たいという気持ちはわかりますが、大会に出るということはルールを守る必要があります。スリーブは消耗品であると割り切って、大会用の普通のスリーブを使うようにしましょう。
2.大会で覚えておくといいこと
大会の始まりから終わりまでの流れは以下のようなイメージです。
大会の会場についたら、まず受付を行います。受付では参加費を支払い、名前と『DCIナンバー』を登録します。その後、大会開始時間になると『ペアリング』が発表されるので、それにしたがって自分の対戦テーブルに着席します。(ゲームが始まる前に「お願いします」、ゲームが終わったら「ありがとうございました」はどんなゲームであっても欠かせないマナーです)
その後、『大会の形式』や参加賞などの大会の情報の説明があります。その説明を受けている間に、プレイヤーは『ゲームの準備』をします。大会の情報の説明が終わり、ゲーム開始の合図が出たらゲームスタートです!
もし、ゲーム中にわからないことがあった場合は『ジャッジ』を呼びましょう。きっとわからないことを解決してくれるはずです。ゲームが進み、決着がついたら『結果記入用紙』にその結果を記入し、提出して1回戦が終了です。2回戦が始まるのを待ちます。後はこの繰り返しで決められた回戦数まで戦います。回戦がすべて終了したら大会は終了です。
大体こういう感じです。『』を付けたところに関しては是非覚えてもらいたいので説明していきます。
(1)DCIナンバー
マジックのプレイヤーを識別する登録番号で、インターネットで事前に登録することができます。
【新規にウィザーズ・アカウントとDCI番号を取得する方法】
https://mtg-jp.com/reading/customer/0012010/
ここで入手するDCIナンバーは今後あなたが大会に出るときに毎回必要になりますので、番号を忘れないようにしましょう。なお、大会に出る前に登録するのを忘れてしまっても、受付をする際に店舗のスタッフさんが案内してくれるはずですので、その指示に従いましょう。
DCIナンバーを手に入れるとインターネットで自分のプレインズウォーカーポイントを見ることができるようになります。
【プレインズウォーカーポイント】
https://www.wizards.com/magic/planeswalkerpoints
プレインズウォーカーポイントを期間内にたくさんためるとグランプリの不戦勝がもらえたりするので、頑張ってためましょう!
(2)大会の形式
一般的なフライデーナイトマジックなどの店舗大会の場合、大会はスイスドローで行われます。1ラウンド1マッチ2ゲーム先取で行われ、マッチに勝利したプレイヤーは3点、敗北したプレイヤーは0点、引き分けの場合は両者に1点が与えられます。また、1ラウンドは50分で行われ、それで決着が付いていない場合は時間切れになった時のターンを0ターン目として追加の5ターンを行い、そこで決着がつかない場合はそのゲームは引き分けになります。
この中で大会に出たことがない方が一番馴染みがない言葉が「スイスドロー」だと思います。他のTCGやボードゲームをやったことがないプレイヤーは聞いたことがないプレイヤーのほうが多いかもしれません。これは原則同じ勝ち点のプレイヤー同士が対戦し、あらかじめ決められた回戦数を戦う形式です。スイスドローでは、参加者全員が勝敗に関わらずその決められた回戦数を遊ぶことができます。
また、1度対戦したプレイヤーとはその大会中は当たることがありません。なお、原則同じ勝ち点のプレイヤー同士が当たりますが、参加人数によっては勝ち点3点と勝ち点0点のプレイヤー同士が対戦することがあったり(こういうのを「上当たり」、「下当たり」と言ったりします)、参加者が奇数だと不戦勝が発生したりすることがあります。
ちなみにマジックでよく用いられる対戦形式は他に「シングル・エリミネーション」というものがあります。これは1回負けたらそこで終了のいわゆる「勝ち抜き戦」のことを言います。ただ、この形式は一般的な店舗大会で用いられることはほとんどありません。
(3)ペアリング
ペアリングの発表は店舗ごとに違いますが、ここではWERというWizards of the Coast社指定のペアリングソフトで出したペアリング表について説明します。
初めて見ると英語ばかりでビックリするかもしれませんが、そんなに難しいものではありません。左から順に「対戦テーブル番号」「プレイヤーの名前」「プレイヤーのDCIナンバー」「対戦相手の名前」「対戦相手のDCIナンバー」「プレイヤーの勝ち点-対戦相手の勝ち点」になっています。まずは「プレイヤーの名前」(アルファベット順になっています)の列で自分の名前を探しましょう。
そうしたらその行の「対戦テーブル番号」「プレイヤーの勝ち点」「対戦相手の名前」を確認しましょう。1回戦目は「プレイヤーの勝ち点」は0ですが、2回戦目以降は勝つとこの点数が増えていきます。もし、自分の勝ち点に誤りがある場合は急いでジャッジに伝えてください。後から間違いに気がついても修正できないことがあるので、必ず毎ラウンド確認するようにしましょう。
(4)ゲームの準備
ゲームを行う前に準備することは3つあります。「デッキのシャッフル」「先攻後攻の決定」「マリガンチェック」です。
①デッキのシャッフル
まずはお互いのデッキをよくシャッフルしましょう。シャッフルの仕方は「ファローシャッフル」「ディールシャッフル(5山切りや6山切りというシャッフル)」「ヒンズーシャッフル(トランプを切るときによく使うシャッフル)」などがありますが、この中で注意が必要なのが「ディールシャッフル」です。マジックでは「デッキの枚数を数える」という名目で1ゲーム中に1回のみしかディールシャッフルを行うことができません(あまりランダムにならないシャッフルだからだそうです)。ディールシャッフルを2回も3回もやらないように注意しましょう。
②先攻後攻の決定
マジックの1ゲーム目の先攻後攻の決定はランダムな方法であれば何を使って決めても問題ありません。先攻後攻の決定方法でよく用いられるのが「サイコロを振って出た目の大きい方のプレイヤーが先攻か後攻かを決定することができる」というものです(High Rollと言います)。
また、2ゲーム目以降は前のゲームで負けたプレイヤーが先攻か後攻かを決定することができます。なお、大体のプレイヤーが先攻を選びますが、ごく稀に後攻のほうがいい時もあるので、先攻後攻を決定する際は「後攻を選ぶこともできる」ということを覚えておくといいことがあるかもしれません。
③マリガンチェック
先攻後攻が決まったら、ライブラリーから引いた7枚を見てマリガンするかどうかを決定します。これは先攻のプレイヤーが決定した後に後攻のプレイヤーが決定します。先攻のプレイヤーが決定する間に後攻のプレイヤーが手札を見ていてもかまいません。
マリガンを選択したプレイヤーは手札をデッキに戻し、再度シャッフルを行い、前回引いた枚数よりも1枚少ない枚数をライブラリーから引いて、マリガンするかどうかを決定します。
なお、両者マリガンの場合は再度お互いのデッキをシャッフルしてライブラリーからカードを引いて先攻→後攻の順にマリガンするかどうかを決定します。両者がマリガンをしないことを決定したら、それまでにマリガンしたプレイヤーは占術1を行い(両者マリガンの場合は先攻→後攻の順に占術をします)、ゲームスタートとなります。店舗大会ではお店の方が「今日は参加者○○人なのでスイスラウンド△回戦で...」などの説明をされている間に、シャッフルからマリガンチェックまでを進めておくことがほとんどです。
(5)ジャッジ
「カードは覚えたし、ルールもばっちり!」と思っていても、いざ対戦が始まると結構わからないことがあるものです。このタイミングでインスタントをつかうことができるか?だったり、知らないキーワードが出てきたり、ときには対戦相手の手札からイタリア語のカードが「Buongiorno!」してきたり。
このようなわからないこと、疑問に思ったことがあるときは迷わず手を挙げて「ジャッジ!」と呼びましょう。そうすると担当の方がテーブルまで来てくれるので、わからないことや困っていることを伝えれば、対応してくれます。
また、初めての大会で緊張していたりすると、手が震えて対戦相手のデッキのシャッフル中にカードをこぼしてしまったり、カードを1枚引くときに誤って2枚引いてしまったりすることがあるかもしれません。このようにゲーム中に何かしらのトラブルが発生した場合は、対戦相手と話して解決するのではなく、必ずジャッジを呼びましょう。きっと、トラブルを解決してゲームを再開できる状態に戻してくれます。
このように書くと「え!?ジャッジを呼んだら間違ったプレイヤーが負けになったりしないの?」と疑問に思うプレイヤーがいるかもしれません。他のTCGで「ジャッジキル」なる言葉があるので、このように思うプレイヤーもいるかと思いますが、マジックでは少しくらいゲーム中に間違ったことをしてしまっても、ほとんど負けになるようなことはありません。そのため、ゲーム中に何かしらのトラブルが発生した場合はジャッジを呼び、正直に事情を説明してトラブルの解決をするようにしましょう。
ただ、ジャッジにトラブルを解決してもらう際に1つだけ大事なことがあります。それは事情を「正直」にジャッジに伝えることです。人間、何か間違ったことをすると少しでも悪くないように見せようとするものです。そこで少しでもよく見えるように嘘をついたりすると、結果は真逆の負けになります。マジックにおいて「嘘をつく」は重度のペナルティーが与えられる場合が多いです。ゲーム中に間違いを犯してしまった場合は「正直に」ありのままをジャッジに伝えましょう。
(6)結果記入用紙
ここではペアリングと同様にWERで出した結果記入用紙について説明します。
※画像はMTG質問箱より引用しました
「勝ったゲームの数」「引き分けたゲームの数」「ドロップ欄」「サイン欄」からなります。自分の「勝ったゲームの数」に勝ったゲームの数を書きこみ、「サイン欄」に自分のサイン(漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベット何でもOK)をしましょう。
もし引き分けたゲームがあった場合は「引き分けたゲームの数」にその数を記入します。もし、残念ながらデッキがポンコツで「もう帰りたい!」となったら「ドロップ欄」にチェックを付けることで大会から棄権することができます。
対戦相手と共に一通りの記入を終えたら、そのマッチの勝者がジャッジに結果記入用紙を提出しましょう。稀に「負けたので持っていきます」というプレイヤーがいますが、負けたプレイヤーが持っていくと、「こっそり結果を書き換える」などの不正に繋がる恐れがあるので、必ず勝ったプレイヤーが持っていくようにしましょう。
3.おわりに
この記事を書きながら自分が大会に初めて出たときのことを思い出していました。僕が初めて大会に出たのは2000年10月1日の『インベイジョン』のプレリリースパーティーでした。プレリリースパーティーなので当然シールドなのですが、そのとき組んだシールドデッキは60枚でした(笑)(知らなかったんですよ~、シールドは40枚でデッキを組んでいいということを...。ほら、スタンダードは60枚でデッキ組むでしょ!)
そのデッキを見た対戦相手は苦笑されていましたが、40枚で組んでいいことや他にわからなかったことを優しく教えてくれて、結果として大会を最後まで楽しめた思い出があります。18年も前のことですが、その時の体験をもとに今回の記事を書いてみました。(今も昔も、困るポイントってそんなに変わらないですね!)少しでも多くのプレイヤーにこの記事を読んで、「初めての大会で役に立った!」と言ってもらえると幸いです!また、初めて大会に出るプレイヤーが周りにいましたらこの記事を紹介してもらえると幸いです!
今回はこんなところで、またお会いしましょう、バイバイ!
簗瀬 要