0.開始フェイズ
こんにちは、BIGsの簗瀬 要です。
いよいよ今週末はグランプリ・静岡ですね!今回はスタンダードのグランプリに参加する前に絶対に確認しておきたいカードやプレイングについて書いていきたいと思います。「ラヴニカのギルド」が発売されてもう2カ月が経ち、だいぶスタンダードのカードに慣れてきたかと思いますが、思いがけない使い方があったり、実はテキストを勘違いしていたなんてこともあるかもしれません。グランプリ当日に「気が付かなかった...」だったり、「そんなの知らなかった...」なんてならないように今一度おさらいしましょう。
1.少しでもよい戦果を!《暗殺者の戦利品》
モダンやレガシーでも活躍している《暗殺者の戦利品》、スタンダードでもゴルガリミッドレンジによく採用されています。どんなパーマネントでも壊せるというのはとても魅力的な効果ですが、対戦相手に基本土地を与えてしまうのは結構大きなデメリットです。そうすると、少しでも相手のメリットにならないタイミングで相手のパーマネントを破壊したいものです。以下のような場面を考えてみましょう。
ゴルガリミッドレンジの同系で、お互いリソースを消耗しきった後、対戦相手が《ビビアン・リード》をトップデッキするも、手札に入ったのは《森》。返しの自分のターンは幸運にも《暗殺者の戦利品》です。さて、いつ《ビビアン・リード》を破壊しますか?何となくとっとと破壊したいのでメインフェイズに使ってしまいそうですが、それは少しだけ損です。
この場合、対戦相手のデッキにカウンターが入ってなさそうなので、対戦相手のドローステップに使用するのが一番いいでしょう。対戦相手のドローステップ前に使ってしまうと、デッキの中から基本土地が1枚なくなっている状態でドローステップにカードを引くことになってしまい、わずかながら有効なカードを引く可能性が上がってしまいます。(もしかしたら最後の基本土地を引いて、《暗殺者の戦利品》で持ってこれないなんていうミラクルが起こるかもしれません)とても小さい差でしかないのですが、こういう小さいことをおろそかにしていると、マジックの神様はすぐに対戦相手にトップデッキを授けます。
今回の例はプレインズウォーカーですが、他にも《最古再誕》や《ベナリア史》のような英雄譚を《暗殺者の戦利品》で破壊するときも対戦相手のドローステップのほうがいい場合があります。英雄譚の誘発はメインフェイズ開始時なので、ドローステップに《暗殺者の戦利品》を使用しても誘発させることはありません。
もう1つ、よい戦果を挙げる《暗殺者の戦利品》の使い方を紹介します。
またまたゴルガリミッドレンジの同系です。いい調子で《殺戮の暴君》で攻撃していたら、対戦相手がライブラリーの上から《殺戮の暴君》を発見しました。《殺戮の暴君》は呪禁があるので《暗殺者の戦利品》は効きません。さて、どうしましょう?
その昔、対戦相手が《炎族の先触れ》で《目覚ましヒバリ》を持ってきてライブラリーの上に置いてある状態で《流刑への道》を勢いよく《炎族の先触れ》に使って、対戦相手が思わずデッキから基本土地を持ってきてしまったということがあったとかなかったとか...。何となくその対処方法に似ていて、対戦相手は手札もなく場に土地が6枚しかなので《森》に《暗殺者の戦利品》を使うと、基本土地をライブラリーから持ってきて《殺戮の暴君》を諦めるか、5マナしかないけど《殺戮の暴君》を次のターン引くかの2択を迫られます。ただの《森》に《暗殺者の戦利品》の使うなんてもったいない気もしますが、状況によってはそれが一番いい戦果をもたらしてくれることもあります。
2.A・P・N・A・P! 《パルン、ニヴ=ミゼット》VS《パルン、ニヴ=ミゼット》
次は現在のスタンダード5大打ち消されないカードの1つ《パルン、ニヴ=ミゼット》です。(ちなみに現在のスタンダードには「打ち消されない」カードが7枚ありますが、勝手に5大にしました)最近ではジェスカイコントロールやイゼットドレイクのフィニッシャーとしてメジャーになりつつあります。メジャーになってきたと言うことは、つまりこういう場面にも遭遇する可能性があるわけです。
一発触発のなんとも緊張感のある場面ですね。ちょうど対戦相手の《パルン、ニヴ=ミゼット》を除去できる《裁きの一撃》を引いたところです。《裁きの一撃》を使うとお互いの《パルン、ニヴ=ミゼット》の下段の誘発型能力が同時に誘発するので使うタイミングによっては有利不利が一転します。さて、いつ使うのがいいでしょうか?
この状況のようにお互いに何か誘発するような状況で大事になってくるのが「APNAP順」です。少し前に似たような名前のペンと果物のギャグが流行りましたが、「APNAP順」はれっきとしたマジックの黄金律に記載されているルールです。このルールをすごくざっくり説明すと、双方のプレイヤーが同時に何か選択する必要がある場合は、アクティブプレイヤー/Active Player(ターン進行中のプレイヤー)→非アクティブプレイヤー/Non Active Playerの順に選択を行っていくというものです。今回のように双方のプレイヤーに誘発型能力が誘発した場合もこれに従って処理を行っていきます。
まず、アクティブプレイヤーが誘発した能力をスタックに乗せ、次に非アクティブプレイヤーが誘発した能力をスタックに乗せます。スタックは上のものから順番に解決されるので、非アクティブプレイヤーのものが先に解決されることになります。ということは、上のイメージのように自分のターンに《裁きの一撃》を使ってしまうと、対戦相手に先にカードを引かれてしまうことになり少し不利になってしまいます。
なので、《パルン、ニヴ=ミゼット》同士がにらみ合った場合はできるだけ対戦相手のターンに動いた方が有利になります。今回の場合ではなるべく対戦相手がカードを引いてない状態で仕掛けたいので対戦相手のアップキープに使うのがベストでしょう。
なお、この例はなるべく簡略化して書いているのでまだいい方ですが、《パルン、ニヴ=ミゼット》がお互いの場に出ると、少し動くたびに能力が誘発しあうので、処理がとても複雑になります。MOでやってると自動で処理をしてくれるので比較的楽なのですが、処理の仕方に慣れていない方がリアルのマジックでこの処理を行う場合はとても難しいと思います。お互い《パルン、ニヴ=ミゼット》を出し合うことが想定されるのであれば、スタック上の能力を示すマーカーみたいなものを事前に準備しておくことをお勧めします。また、処理の仕方に自信がなくなった場合は迷わずジャッジを呼びましょう。きっと、ゲームを進めるのをサポートしてくれるはずです。
3.《中略》のXはいくつ?
さて、いきなり問題です!ジェスカイコントロールの同系で、対戦相手の手札は1枚の状況で対戦相手は《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えてきました。《ドミナリアの英雄、テフェリー》なんて通したら負けてしまうので、もちろん《中略》を使うのですが、《中略》のXをいくつで唱えますか?
Xを3と答えたあなた、きっとグランプリ当日にこうなります↓
《発展》で《中略》をコピーして...、
3マナ払えません...。
マナコストにXを含む呪文はスタック以外の領域にあるときはXを0として点数で見たマナコストを計算しますが、スタック上にあるときはXは支払われたマナの数になります。そのため中略のXを3で唱えると《中略》の点数で見たマナコストは4なので、《発展》でコピーされてしまいます。コピーは《中略》のXが3としてコピーされるので、マナを支払えず自分の《中略》は打ち消されてしまいます。《発展》を考えるとXは4にして点数で見たマナコストを5にした方が良さそうです。
※一応、「《呪文貫き》に引っかかるじゃん!」とか言われないように捕捉すると、ジェスカイコントロールにおいて《発展+発破》と《呪文貫き》では《発展+発破》のほうが入っている頻度が圧倒的に多いので、ケアするなら《発展》のほうが妥当でしょう。
4.+α カードのテキストはよく見ておこうね!
ここからはテクニックでもなんでもなく、ただただテキスト読みあげニキになります。あまり人のことは言えませんが、意外とカードのテキストって覚えていないものですよね。友達と遊んでいる時だったら優しく教えてくれるかも知れませんが、グランプリとなれば対戦相手は何も教えてくれません。《黎明をもたらす者ライラ》に先制攻撃があるのを知らずにチャンプアタックしても誰も巻き戻してはくれないのです!泣いてもゴネても許してはくれません!そんな悲しいことにならないように、今回は間違いそうなカードを選んでみたので、みなさんもグランプリ当日に間違わないようにしましょう!
①《絶滅の星》
少し前まで「20点(笑)」なカードでしたが、ゴルガリミッドレンジの《殺戮の暴君》と《愚蒙の記念像》を一遍に対処できるいう理由で最近ではジェスカイコントロールの定番のカードになりました。でも、いくら《殺戮の暴君》と《愚蒙の記念像》を一遍に対処できるからと言って絶対にこの使い方だけはしないでください!
《絶滅の星》のテキストをよく読むと土地を1枚対象にしています。カードのテキストに対象がある場合、その対象がすべて不適正になるとその呪文は立ち消えになります。つまり《愚蒙の記念像》を対象にして《絶滅の星》を使ったとき、対応して《愚蒙の記念像》の能力を使用されてしまうと、《絶滅の星》が立ち消えになり7マナも支払ったのに何もなかったことになります...。こんなことしててはマジック勝てないので気を付けましょう。
ちなみに、《愚蒙の記念像》を起動できるマナがあるときに《絶滅の星》で対象にしてはいけないとふんわり覚えていると、以下のような千載一遇のチャンスをうっかり見落とすかもしれません。テキストをよく見ることも大事ですが、盤面をよく見ることも大事ですね!
墓地にクリーチャーが無いので《愚蒙の記念像》が起動できない!
②《真夜中の死神》
ゴルガリミッドレンジによく入っているこのカード、3/2という中々のパワーの持ち主なうえに、同系でもクリーチャーの相打ちでおまけがつくようになり、ジェスカイコントロールの《轟音のクラリオン》の被害を小さくするなど、結構強いカードです。ただ、能力は死神らしくダメージを与えるのがマストです。なので、強いからといって調子に乗って並べすぎると...、
死神の鎌で自分の首を落とされないように!
③《発展》
さっきも出てきた《発展》ですが、こんなのもコピーできたりします。
キッカーコストは点数で見たマナコストには含まれないのでキッカーで使われた《火による戦い》もコピーできます。
歯を見せた赤単を許すな!
④《発破》
今度は《発破》のほうです。このカード、対象を2つ取ってるの知ってました?《スフィンクスの啓示》のイメージがあるのでカードを引くのは自分だと思っている方いらっしゃいませんか?実はドローもプレイヤーを対象に取ります。《発破》の入るデッキが大体コントロールなので、デッキの残りが少なくなることがよくあるのですが、ドローの対象を対戦相手にすれば気兼ねなく対戦相手にダメージを与えることができます。
もしこの状況でダメージを対戦相手、ドローを自分で使うと《発破》解決後に双方のプレイヤーが敗北条件を満たすので引き分けになります。
5.最終フェイズ
駆け足で書いてきましたがいかがでしたでしょうか?
「知らなかった~!」というのが1つでもあれば幸いです。グランプリまで後少し、みなさんが少しでもいい成績を収められることを祈っています!
それではまた、ネタができたらお会いしましょう!バイバイ!
簗瀬 要