0.はじめに
こんにちは、Bigsの簗瀬 要です!
前回の記事から半年ぶりの登場です。その間、全く勝てないわ、幸せはBANされるわ、りゅうじさんの弟子になるわと散々でした...。
さて、近況報告はほどほどにして、今回は先日行われたBMOで使用した赤単について書いていこうと思います。どうぞ最後までお付き合いください。
1.赤単を選択するまで
まずは、赤単を選択するまでのお話をしたいと思います。『ドミナリア』の全カードが公開された日、そのカードを見てぱっと思いついた強そうなデッキが以下の4つでした。
(1)《ラノワールのエルフ》→《鉄葉のチャンピオン》を軸にした緑系《原初の飢え、ガルタ》デッキ。
(2)《ベナリア史》、《ベナリアの軍司令》を使用した白系ウィニー。
(3)《封じ込め》、《黎明をもたらす者ライラ》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》で強化された青白系コントロール。
(4)《喪心》、《中略》で序盤が強化された青黒コントロール。
何となく、この4つは皆さんも想像したのではないでしょうか。他にも《ウルザの後継、カーン》や《ランプのジン、ザヒード》を使ったデッキを考えた方もいるかもしれません。
そんな新しいデッキを考えている中、Bigsの斉田君がプレリの週にスタンダードの調整会を開催するということで(1)~(3)に強そうな青黒コントロールを作って参戦することにしました。
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
ちなみにこの調整会はBigsの斉田君と中道君をはじめ、GP静岡2013チャンピオンの仲田君、GP神戸2017 18位の佐野君、今をときめくスタンダード神の岡井君、そしてBIG MAGICの記事でおなじみの森安さんと錚々たるメンバーで行われました。
実際に総当たり戦をやってみると、想定した3つのデッキにすべて勝ち、想定していなかった赤単と《アンティキティー戦争》入りの4色機体に負けて4-2。手ごたえとしてはそんなに悪くありませんでした。
調整すれば結構いいところまでいけそうな青黒コントロールでしたが1つだけ懸念点がありました。それは《アンティキティー戦争》入りの4色機体のような置物で攻めてくるデッキです。青黒コントロールの性質上、《ヴラスカの侮辱》で倒せるカードであれば怖くないのですが、エンチャントやアーティファクトで攻めてくるデッキはとても苦手で、カウンターで打ち漏らした瞬間負けになることもよくあります。
実際にMOで青黒コントロールを使ってみると、《形成師の聖域》や《宝物の地図》1枚で負けることもあり、対戦相手のデッキの中身が読みにくい環境最序盤の大会で青黒コントロールを使用するのはあまり良い選択ではないと判断し、早々にあきらめました。
その後、調整会のメンバーのラインで青赤ゴブリン王神が話題に上がり、自分でも回してみることにしました。
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
実際にMOで回していると《スカークの探鉱者》のおかげで予想外のところから勝てたり、《包囲攻撃の司令官》で盤面をコントロールできたりと楽しいデッキでした。しかし青白コントロールに対してあまり勝率がよくありません。そして、赤単から出てくる致命的なカードがあることに気が付きます。それがこれ↓
いくらクリーチャーが墓地におかれることがメリットになるとはいえ、赤単相手に盤面が崩壊させられては全く勝てません。結局、青赤ゴブリン王神もあきらめることにしました。
2.赤単について
さて、BMOの3日前にしてデッキが無くなってしまったのですが、この時散々いじめられた赤単がとても気になっていました。実は調整会でも斉田君が赤単を使っていたのですが、その時は成績は思わしくなく、特に緑単にサイズで圧倒されてしまうこと、青白コントロールに《熱烈の神ハゾレト》や《再燃するフェニックス》が《封じ込め》で対処されてしまうことの2つの弱点があり、そのことで想定したデッキにあまり相性が良くないという印象がありました。ただ、赤単というデッキ自体のポテンシャルは高く、環境最序盤特有の完成度の低いデッキを倒すには十分なパワーがあり、上述した2つの弱点を何とか克服できれば十分に勝てる可能性があるのも事実です。
そこで、その弱点を試行錯誤の上、補ったものが今回のBMOで使用したリストになります。
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
2つの弱点を以下のように補っています。
ⅰ.緑単対策
サイズで負ける大きな理由としてまず1つ、《ラノワールのエルフ》を除去できず、《鉄葉のチャンピオン》のような火力1枚では対処しにくいタフネスの高いカードが早いターンに出てきてしまうことがあります。特に後手の時にこの動きをされてしまうと赤単側はほぼ負けてしまうため、1マナの除去はある程度多く取る必要があり、《狂信的扇動者》と《ショック》を4枚ずつ計8枚採用することにしました。1ターン目の《ラノワールのエルフ》を叩くと、緑単側の2ターン目のアクションは赤単にとっては脅威であるものが少なく、序盤の盤面の組み立ては大体五分になります。
2つ目のサイズで負ける理由として、そもそも火力でクリーチャーが倒しにくいというものがあります。赤単の基本的な火力が3点ダメージなので、それを上回るタフネスのクリーチャーが出てくると赤単側のクリーチャーは攻撃にいくことができないのですが、それを《損魂魔道士》と《反逆の先導者、チャンドラ》を使うことで解決しました。《損魂魔道士》は火力と組み合わせることでクリーチャーのサイズを小さくし、戦闘を有利に進めることができます。また、《反逆の先導者、チャンドラ》は単体でもタフネス4まで対処してくれるので緑単の《原初の飢え、ガルタ》以外のカードをほぼ除去してくれます。
ⅱ.青白コントロール対策
青白コントロールに負ける理由が《再燃するフェニックス》や《熱烈の神ハゾレト》が《封じ込め》で簡単に対処されるようになってしまったことにあります。基本的に序盤は赤単側がバシバシ攻撃できるのですが、《残骸の漂着》を打たれる4ターン目を境に雲行きが怪しくなってきます。それでも、今までであれば《再燃するフェニックス》や《熱烈の神ハゾレト》が最後押し込んで勝てていたのですが、そこをマナのかからない《封じ込め》で簡単に対処されてしまうと赤単としては非常に苦しくなってしまいます。
そこで、緑対策でもでてきた《反逆の先導者、チャンドラ》の出番です。青白コントロールからすると《封じ込め》できない《反逆の先導者、チャンドラ》に対処しようとすると《排斥》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》で除去するか、カウンターで対処するしかありません。いずれにせよマナを多く使うので、赤単としてはその隙にさらに攻撃を仕掛けることができます。
とにかく、どちらの弱点も補える《反逆の先導者、チャンドラ》はすごいカードですね。他のデッキを相手にした時にも不要なカードにならないのもメインに採用する重要なポイントです。
次にメインのその他の部分についての解説をしていきます。
・《ゴブリンの鎖回し》の採用と《アン一門の壊し屋》の不採用
攻めるときはとても強い《アン一門の壊し屋》ですが、守りのときはとても弱く盤面の状況で価値が変わるカードでした。それに比べて《ゴブリンの鎖回し》は攻守ともにバランスよく、赤単からすると鬱陶しい1/1もまとめて一掃してくれる頼もしいカードです。唯一の問題はトリプルシンボルで《陽焼けした砂漠》や《絡みつく砂丘》がデッキに入れられなくなってしまうことですが、《ゴブリンの鎖回し》自体がダメージを飛ばせるのでさほど問題ないでしょう。
・《ボーマットの急使》の不採用
赤単不動の1番バッターでしたが、緑単への耐性を上げるために同じ1マナ域の《狂信的扇動者》と《損魂魔道士》を4枚ずつ採用するにあたり、元々クリーチャー戦でそこまで強いクリーチャーではないこのカードを抜くことにしました。
・《山》23枚、《屍肉あさりの地》1枚
《ゴブリンの鎖回し》を入れるので極力赤マナの出ない土地は入れたくありません。だからといって《山》だけにするのも土地が弱すぎるので、1枚だけ《屍肉あさりの地》を採用することにしました。3ターン目に《ゴブリンの鎖回し》が出せずに負けてしまうゲームは確かにあると思います。しかし、仮にいろいろなデッキと1000回ゲームしたとき、《ゴブリンの鎖回し》が出せないで負けるゲームの数よりも《屍肉あさりの地》で勝てるゲームの数のほうが多いと思います。
・メインのその他のカード
基本的に前の環境から大きく変わっていないカードたちです。特に《地揺すりのケンラ》、《稲妻の一撃》、《熱烈の神ハゾレト》はこのデッキの強さを支えているカードなので、滅多なことでは抜けないカードだと思っています。
最後にサイドボードのカードについての解説をしていきます。
・《火による戦い》4枚
対緑単、対《黎明をもたらす者ライラ》用の除去カードです。対青白コントロールでも相手の《黎明をもたらす者ライラ》を見越して4枚サイドインします。ちょっと多すぎじゃないかと思われますが、《黎明をもたらす者ライラ》が出てこなくても《残骸の漂着》で土地が伸びること、《反逆の先導者、チャンドラ》からマナが出ることを考慮すると意外と9マナからキッカーでプレイヤーに10点が炸裂するので、手札でダブつくことは少ないです。
・《ピア・ナラー》2枚、《再燃するフェニックス》4枚、《包囲攻撃の司令官》2枚
デッキのプランを変更するときにサイドインするカードです。メインの4マナ域である《熱烈の神ハゾレト》や《反逆の先導者、チャンドラ》は攻撃的なプランの時は強いですが、防御的なプランを取る場合はこれらのカードのほうが優秀です。サイドインするときの指針として、4マナ以上はなるべく8枚までに納めること(多く入れすぎると重すぎて手札が使えなくなるので、いつもこの枚数を目安にサイドインしています)、《熱烈の神ハゾレト》を除去するのが難しいデッキが相手のときは防御的なプランでもなるべく抜かないこと、この2点をお勧めします。
・《削剥》2枚
この環境に割りたいアーティファクトは山ほどあります。《削剥》4枚で戦いたいけどそれだと除去が多すぎてクリーチャーが少なくなりすぎる、というときには《稲妻の一撃》を抜きましょう。
・《屍肉あさりの地》1枚
25枚目の土地です。《ゴブリンの鎖回し》が入っているので墓地対策としてサイドインするときも《山》と入れ替えるのではなくスペルと入れ替えましょう。
3.BMO
理論上、最適に組み上げた赤単ですが、はたして結果は...↓
1回戦 スゥルタイミッドレンジ 勝ち
2回戦 白タッチ黒機体 負け
3回戦 エスパーミッドレンジ 勝ち
4回戦 赤タッチ黒機体 勝ち
5回戦 赤タッチ黒機体 負け
6回戦 赤黒ミッドレンジ 勝ち
7回戦 青白コントロール 勝ち
8回戦 赤単 勝ち
9回戦 緑単 勝ち
10回戦 赤緑モンスター 勝ち
8-2の22位!惜しい!
周りを見る限りでは緑単や青白コントロールはとても多い印象がありましたが、思った以上にそれらのデッキと当たらなかったです。想定と違う当たり方をしても、赤単の持つポテンシャルの高さで乗り切ったという感じです。2回戦目と5回戦目はどちらも事故で落としてしまい、特に5回戦目は3枚目の土地を引いたらそれが《屍肉あさりの地》で《ゴブリンの鎖回し》が出せずに負けと起こるべくして起きた負けでした。
こんなアンラッキーもありましたが、《屍肉あさりの地》を24枚目の《山》に変えたいとは微塵も思っていませんし、王神系のデッキにあったとき用に必要なカードであるのは間違いなので次に赤単を使用するときもこの枚数だと思います。
ちなみにこの結果を師匠のりゅうじさんに報告したら、とっっっっっっっっっっても冷たい反応をされました。別に師匠が喜ぶかどうかは"どうでもいい"ことなのですがもう1回くらいは勝ちたかったのは事実ですね。
4.おわりに
今回はBMOで使用した赤単を解説しました。
結果としてはTOP8に残れずですが、8勝2敗とまあまあの成績だったので今回は毎度おなじみ反省文にならずにすんでほっとしています。
次にまたまあまあの成績だったらデッキの記事を書きたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
簗瀬 要