0.はじめに
ニーハオ!BIGsの簗瀬 要です。
今回は先日行われたGP上海のレポートと使用した、そこで使用したスゥルタイエネルギーについて書いていきたいと思います。
タイトルに「幸せになりたくて」とありますが、太陽マークの某お店とは特に関係ありません。どうぞ、最後までお付き合いください。
1.GP前
そもそも、GP上海に行くことを決めたのは前回のGP香港で勝てなかったのがきっかけでした。
諸々の事情でGP上海に出ることは考えていなかったのですが、香港での負けがあまりにも悔しくて悔しくて...。
そんな感じで、突如行くことを決めたGP上海ですが、それまでほとんどスタンダードの練習をしていなかったので、大急ぎで環境の2大デッキであるティムールエネルギーとラムナプ・レッドを回してみました。
(どちらのデッキもみっちーやはまちさんがデッキ解説記事を書いてくれているので、詳しく知りたい方はそちらを参考にしてください!)
回してみた感想としては、《熱烈の神ハゾレト》でド突きたければラムナプ・レッドだし、いつ引いても強い《ならず者の精製屋》で幸せな気持ちになりたいのであればティムールエネルギーという印象でした。
神を取るか幸せを取るか
当然のことながら、ゲーム中に"幸せになる"のが好きな僕はティムールエネルギーを使っていたのですが、11/4の夜にあったMOPTQにてこのデッキでコテンパンにされて「これじゃだめだ~!」になってしまい、結局同日に行われていたプロツアー『イクサラン』の結果を待って使うデッキを決めることにしました。
結果は皆さん知っての通り、Seth Manfieldのスゥルタイエネルギーが優勝したわけですが、スタンダード成績上位者のデッキを見ると、やはりティムールエネルギーが多く「やっぱりこのデッキ強いよな~」と改めて実感しました。
この結果を受けて、このままティムールエネルギーを練習するのも考えたのですが、優勝したスゥルタイエネルギーも《ならず者の精製屋》が入っていて幸せになれそうなデッキなので、寄り道して使ってみることにしました。
すると、この寄り道が当たりでMOリーグを5-0こそできなかったものの3-2、4-1、4-1とまずまずの成績と使用感。
GP当日に使用人数の多いと思われるティムールエネルギーや4色エネルギーにも戦いやすく好感触でした。ちなみに、寄り道しなければモダンのランタンコントロールのスペシャリスト、kanisterことPiotr Glogowskiの4色エネルギーを使おうと考えていたのですが、結局時間がなくなってしまいそのままスゥルタイエネルギーを引っ提げて上海に行くことにしました。
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
一応、リストを一部変更しようといろいろ考えたのですが、元のリスト自体良く作り込まれており、いじる必要はないなとSeth Manfieldと75枚同じデッキにしました。
2.GP
皆さんもTwitterで何度も同じ写真を見たかと思いますが、会場があまりにも衝撃的でした。
BIGsの吉森さんと晴れる屋のスタンダード神の岡井くんと一緒に。
(岡井くんは2日目のPTQを抜けていました!おめでとう!)
ちなみにこの建物、「Happiness Factory」という名前です。
裏はボロだけど表側はこんな感じでした
名前に反してまったく幸せそうではない内装に「おいおい、上海まで来てこんなところでマジックするのかよ!」という気持ちになりましたが、何とか抑えてGP本戦を戦いました。
その結果↓
Day1
Round1 BYE
Round2 BYE
Round3 スゥルタイエネルギー ○○
Round4 スゥルタイエネルギー ○××
Round5 ティムールエネルギー ○×○
Round6 4色エネルギー ○××
Round7 ラムナプ・レッド ×○○
Round8 スゥルタイエネルギー ○×○
Round9 4色エネルギー ××
6勝3敗
Day2
Round10 スゥルタイエネルギー ○○
Round11 ラムナプ・レッド ○○
Round12 ラムナプ・レッド ×× (BIGsの石田くん)
Round13 ラムナプ・レッド ××
Round14 No Show
Round15 ラムナプ・レッド ××
合計9勝6敗
2BYE、No Show 含め9-6で、賞金はおろかプロポイントすらもらえない成績でした...。
得意な4色エネルギーに土地事故とマリガンで落としてしまったのが痛く、
2日目は苦手なラムナプ・レッド4連戦に耐えることができませんでした。
建物も成績も幸せではありません...
3.スゥルタイエネルギーについて
ここからは、使用したスゥルタイエネルギーについて書いていこうと思います。
基本的に《巻きつき蛇》のカウンターを1つ多く乗せる効果を利用して、大量のエネルギーを得たり、多くの+1/+1カウンターを載せたりしながらビートダウンしていきます。エネルギーの注ぎ先は《光袖会の収集者》と《牙長獣の仔》で、これらのクリーチャーを《顕在的防御》で除去から守ります。《光袖会の収集者》や《スカラベの神》、そして幸せになれる《ならず者の精製屋》が入っているおかげで攻めが切れにくく、序盤から終盤まで戦えるデッキです。
ただ、デッキの構造上、2つ弱点があります。1つめはマリガンに弱いこと、2つめはスクリュー(土地を引けない事故)に弱いことが挙げられます。1つめのマリガンに弱いというのは、このデッキは単体のカードパワーで攻めるデッキではなく、カードを組み合わせて強くしていくデッキなので、マリガンしてしまうと必要なカードが揃わなくなり、結果何もできずに負けてしまうこともあります。
2つ目のスクリューに弱いのは、自分のクリーチャーを守るためには《顕在的防御》を使用しなければならないのですが、そのためのマナが確保できずにクリーチャーがどんどん除去られてしまい、結果盤面が作れずに負けてしまうことがあります。(GPでの負けの多くはこの弱点が影響していました)
他のデッキの相性としてはティムールエネルギーや4色エネルギー、青白系の副陽や青黒コントロールには強く、赤単やトークン系、王神系にはあまり強くありません。
これからPPTQで使いたい方もいるかと思うので、ゲームプランやサイドボードを少し書きたいと思います。なお、TCGPLAYER.comにSeth Manfield本人のデッキ解説(The Complete Guide to Sultai Energy)が載っています。それと合わせてみていただければと思います。
(こんなタイトルの記事があるのに、同じデッキについてコメントするのは中々辛いものがあります(汗))
【ティムールエネルギー、4色エネルギー】
《光袖会の収集者》や《牙長獣の仔》を維持しながら攻めていくのが基本です。特に《牙長獣の仔》が大きくなってしまうとティムールエネルギー側は《慮外の押収》でしか対処できなくなるため、そこを《顕在的防御》で弾きましょう。また、負けパターンとして《反逆の先導者、チャンドラ》でマウントを取られたり、地上を固められて《栄光をもたらすもの》で空から攻撃されたりすると簡単に負けてしまうので注意が必要です。
■サイドボード
先手
OUT
2《ピーマの改革派、リシュカー》、 1《歩行バリスタ》、 1《致命的な一押し》
IN
2《自然に仕える者、ニッサ》、 1《スカラベの神》、 1《本質の散乱》
後手
OUT
2《ピーマの改革派、リシュカー》、 1《歩行バリスタ》
IN
1《自然に仕える者、ニッサ》、 1《スカラベの神》、 1《本質の散乱》
《導路の召使い》からの攻撃が怖いので《致命的な一押し》はなるべく残します。
《自然に仕える者、ニッサ》は先手3ターン目に着地すると強いのですが、後手は8マナから必殺技を繰り出す時が一番強いので1枚のみです。
■Tips
《人質取り》は《慮外の押収》で取られたカードを取り返すのに利用できます。
《スカラベの神》のような強力なクリーチャーを奪われたときに覚えておくといいでしょう。
【ラムナプ・レッド】
ティムールエネルギーとスゥルタイエネルギーの大きな違いは《つむじ風の巨匠》の有無です。ティムールエネルギー vsラムナプ・レッドのキーカードである《つむじ風の巨匠》がこのデッキには入っていないため、メインボードはかなり苦戦を強いられます。《牙長獣の仔》を大きくして勝つか、《スカラベの神》が盤面をコントロールするかが唯一の勝ちパターンです。
■サイドボード
OUT
4《光袖会の収集者》、 2《ピーマの改革派、リシュカー》
IN
3《貪る死肉あさり》、 2《短命》、 1《スカラベの神》
《光袖会の収集者》はメインでは「お願い!《ボーマットの急使》と相打ちにさせて!」というくらいのカードなのでさっさとサイドアウトしましょう。重い《スカラベの神》を追加するのは意外かもしれませんが、この手の赤単デッキ相手にデッキを軽くしすぎると今度は勝てるカードが無くなってズルズル火力で負けるというパターンがあるため、これを追加で入れています。
■Tips
《損魂魔道士》がいるときに《巻きつき蛇》に《ショック》を撃たれるとなんと死んでしまいます。思わぬところでやられると計算が狂うので気を付けましょう。(先日、MOでこれを知らずにBIGsの石田くんにやられたときはMOのバグかと思いました(笑))
【スゥルタイエネルギー】
攻めるカード多く《顕在的防御》を構えやすい先手のほうが有利です。後手は何とかして2アクションを取りながら攻守を入れ替えたいところです。
■サイドボード
先手
OUT
2《ピーマの改革派、リシュカー》、 2《歩行バリスタ》
IN
2《自然に仕える者、ニッサ》、 1《スカラベの神》、 1《本質の散乱》
後手
OUT
2《光袖会の収集者》、 2《ピーマの改革派、リシュカー》、 1《歩行バリスタ》
IN
2《短命》、 1《自然に仕える者、ニッサ》、 1《スカラベの神》、 1《本質の散乱》
サイドボードの仕方はティムールエネルギーに似ていますが、ティムールエネルギーと違い2マナのクリーチャーが強いため、後手は《短命》を入れて相手の2ターン目のクリーチャーに対応できるようにします。
【青白副陽】
「《致命的な一押し》ばかり引いた!」ということがなければ基本的に有利なマッチアップです。2マナからビートダウンを開始して、一旦《燻蒸》や《残骸の漂着》を打たせて再展開。1回目の《副陽の接近》を打たせたあたりでライフを0にすることを目指します。
■サイドボード
OUT
3 《人質取り》、3 《歩行バリスタ》、2 《ピーマの改革派、リシュカー》、4 《致命的な一押し》
IN
3 《貪る死肉あさり》、3 《強迫》、2 《否認》、1 《本質の散乱》、1 《人工物への興味》、2 《自然に仕える者、ニッサ》
無駄な除去カードを抜いて手札破壊やカウンター、《燻蒸》や《残骸の漂着》で壊れない置物を入れます。何かしらクリーチャーが入ってくるかもしれないので《ヴラスカの侮辱》は残しておきましょう。
■Tips
メインでクリーチャーがほぼ入ってない青白副陽に《人質取り》は無駄カードなのですが、自分の《ならず者の精製屋》や《光袖会の収集者》を隠すことで《燻蒸》や《残骸の漂着》から守ることができます。リセットしたはずなのにクロックが途切れずしかもアドバンテージまで稼いでくるので、副陽側からしてみればかなり嫌なプレーになります。
4.おわりに
GP上海や同日の他のGPの結果を見ると「ティムールエネルギーとラムナプ・レッドが板!」という結果に(朴くんが記事を書いてくれているのでみんな見てね!)、スゥルタイエネルギーは悪いデッキではなかったのですがベストではなかったのかなという気がします。ただ、「この2つのデッキどっちも嫌い!」という環境の王者嫌いの方にはお勧めなので、そのような方は是非一度試してみてください。
GPの成績はあまり幸せなものではなかったため、レポートも半分くらい反省文みたいになってしまいました(笑)
今度はもう少し、幸せなレポートをお届けできればと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
簗瀬 要