0.開始フェイズ
こんにちは、BIGsの簗瀬 要です!
『灯争大戦』が発売されて約一か月、皆さんプレインズウォーカーをプレイしてますか?右を見ても左を見ても『灯争大戦』に収録されたプレインズウォーカーが場に出ていますよね!
新しいプレインズウォーカーが活躍するのは大いに結構なことだと思いますが、ここのところそのプレインズウォーカーの常在型能力をうっかり忘れてプレイしてしまったという話をよく聞きます。当記事の熱心な読者の方であればまさか《覆いを割く者、ナーセット》がいるのに《薬術師の眼識》を使ったり、《伝承の収集者、タミヨウ》がいるのに《強迫》を使ったりしていませんよね!?
何かを禁止する系の常在型能力は慣れないと結構忘れてしまいますよね。
さすがに「これらに注意しましょう」を羅列しだすと記事の内容がチープになってしまうのであまり多くを書きませんが、《苦しめる声》のようなカードを誤って唱えると「手札を2枚失っただけで終わり」みたいなことになるので本当に気を付けましょう!
さて、今回もこんな調子でスタンダードのTips&Tricksを紹介していきたいと思います。今週末にマジックフェスト・台北に行かれる方も多いと思うので、今一度読んで確認していただけると幸いです。なお、「マジックフェスト・台北直前!」なんて謳っておきながら僕は金曜・月曜が休めず不参加です!参加される方は頑張ってきてください~!
それでは、最後までお付き合いください。
1.《主無き者、サルカン》とゆかいなプレインズウォーカーたち
周りのプレインズウォーカーがクリーチャーになる能力が思いのほか強く、よく見かけるようになったプレインズウォーカーの1人です。今回初めに紹介するのはそのプレインズウォーカーをクリーチャー化させる能力を使ったテクニックです。次の盤面をご覧ください。
プレインズウォーカー達をドラゴンにして颯爽と攻撃したいのになんとも邪魔な《再燃するフェニックス》が立ちはだかっていますね。
「《再燃するフェニックス》をどかして《主無き者、サルカン》の+1の能力を使ってアタックしたい。《ドミナリアの英雄、テフェリー》の忠誠値が3なので、-3の能力を使うと死んでしまうけどやむなしか。」
なんとなくこんなことを考えて《ドミナリアの英雄、テフェリー》→《主無き者、サルカン》の順で能力を使って4点のダメージを与えてしまいそうですが、実はこの順番を逆にするともう4点多くダメージを与えることができます。サルカンの+1の効果でテフェリーがクリーチャーになっているときはプレインズウォーカーではないため、忠誠値が0になってもそのカードは墓地に置かれません(クリンナップステップに《主無き者、サルカン》の効果が終了するとプレインズウォーカーに戻るので、その時に状況起因処理として墓地に置かれます)。よって、サルカンで+1の能力で《ドミナリアの英雄、テフェリー》をクリーチャーにした後に彼の-3の能力で《再燃するフェニックス》をライブラリーに戻してもテフェリーは場に残りアタックすることができます。
ちなみにこの状態で手札の《ドミナリアの英雄、テフェリー》を場に出すとレジェンドルールで2枚の内どちらかを墓地に置く必要があります。
忠誠度0のテフェリーを墓地へ
このテクニックはマイナスの忠誠値能力を持つプレインズウォーカーであればどれでも同じことができるので、《主無き者、サルカン》を使う方は是非覚えておきましょう。
2.《時を解す者、テフェリー》とゆかいなソーサリーたち
さっきもテフェリーが出てきましたが、今度は《時を解す者、テフェリー》の方です。このプレインズウォーカーの+1の効果である「ソーサリーをインスタントタイミングで使用する」はいつものソーサリーの使い方と全く異なる使い方ができるのでテクニックの宝庫です。何種類かのソーサリーの使い方を見ていきましょう。
【基本その1 - 対戦相手のドローステップに手札破壊】
まずは基本中の基本です。手札破壊の弱点は対戦相手のトップデッキを防げないことや捨てる手札がないときに手札破壊を引いてしまうと効果がないことが挙げられますが、《時を解す者、テフェリー》の能力はそんな弱点をカバーしてくれます。特にひねりもなく使っても強いのですが、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の-3でライブラリーに戻したカードや、除去した後にライブラリーに戻った《永遠神ケフネト》をドローするタイミングを狙って使用するのもいいでしょう。ただし、対戦相手のターンに使えると思って喜んでいると思わぬ落とし穴が...。
《グルールの呪文砕き》が場にいるときだけはメインで使いましょう。
【基本その2 - 対戦相手のターンに全体除去】
基本中の基本その2です。《スカルガンのヘルカイト》のような速攻クリーチャーを巻き込むと対戦相手は1ターン空振りに終わるんでできれば狙いたいところです。ただし、《ラノワールのエルフ》のようなマナクリーチャーがいる場合はこちらのメインで使用したほうがいい場合もあるので慎重に状況を見極めましょう。
【大技 - 対戦相手のターンに《戦慄衆の指揮》】
さすがに6マナのソーサリーなだけあって効果は絶大です。対戦相手のアタックに合わせてこれを唱えると対戦相手の場は壊滅しそうです。もちろん、墓地から出すカードの効果によっていろいろタイミングを見計らうのがいいかと思います。例を挙げると対戦相手のドローする効果に合わせて《覆いを割く者、ナーセット》を場に出してドローできなくしたり、対戦相手のドローステップに《聖堂の鐘憑き》を出して引いたカードを捨てさせたり、対戦相手の《戦慄衆の指揮》に合わせることで空振りさせる「《戦慄衆の指揮》返し」があったりします。
【意外な使い方 - 対戦相手のターンに《古呪》】
そもそもプレインズウォーカーは能力を使われるのが嫌なので自分のターン中に倒しておきたいカード。なので《古呪》を対戦相手のターンに使うことなんてないだろう...と思っていたのですが、面白いことを友人から聞いたので紹介します。次の盤面をご覧ください。
《時を解す者、テフェリー》は残念ながら《グルールの呪文砕き》にやられてしまいそうですが、この《時を解す者、テフェリー》に《古呪》を使って隣の《ドミナリアの英雄、テフェリー》にカウンターを乗せると...、
なんと、忠誠値が8になりそのまま自分のターンになれば奥義が使えます!いきなり忠誠値が2増えるのは対戦相手も想像しにくいですね。単に《古呪》を使ってプレインズウォーカーの忠誠値を上げるよりは対戦相手のアタックを1度かわすほうがお得なので、対戦相手がプレインズウォーカーを出してこない場合などはこのプレイを検討してみてもいいかと思います。
4種類のソーサリーの使い方をご紹介しましたが、ソーサリーの種類が増えれば増えるほど《時を解す者、テフェリー》の+1能力はその真価を発揮します。次のエキスパンションが発売されたときには面白い使い方のできるソーサリーがないかなと考えてみるのもいいかもしれませんね。
3.《成長室の守護者》とゆかいな仲間たち
今回の記事の最後は「まぎれ」に関する話について紹介したいと思います。スタンダードのカードの中で、この話をするのにちょうどいいため《成長室の守護者》を選んでみましたが、必ずしもこのカードでなければいけないわけでもなく、ましてやスタンダードだけの話というわけでもありません。ちょっと難しいですが、できるようになるとちょっとうまくなった気がする内容なので最後まで読んでみてください。
さて、いきなりですが、次の盤面を見てください。
グルールアグロのミラーマッチの1ゲーム目です。対戦相手は先手で《ラノワールのエルフ》→《グルールの呪文砕き》(暴動は+1/+1カウンター)→《グルールの呪文砕き》(暴動は+1/+1カウンター)→《スカルガンのヘルカイト》(暴動は速攻)のいわゆるブン回りです。自分はというと後手2ターン目に《成長室の守護者》、3ターン目に《グルールの呪文砕き》(暴動は+1/+1カウンター)といたって平和な回りです。現在自分のブロッククリーチャー指定ステップです。12点のダメージをもらってはさすがに勝ち目がないので相手の《グルールの呪文砕き》を1体ブロックするしかありませんが、さてどうブロックしますか?
ごくごく普通に考えるとこちらの《グルールの呪文砕き》だけでブロックしてしまいそうですが、このようにブロックしてみてはいかがでしょうか?
「4/4の《グルールの呪文砕き》に6点のダメージを与えなくても倒せるのになぜ?」と、少し不思議なプレイに見えるかもしれませんね。このブロックの狙いこそが「まぎれ」を作ることです。
仮にこの状況で《グルールの呪文砕き》を《グルールの呪文砕き》1体でブロックしたとします。そうすると呪文砕き同士が相打ちになり、対戦相手は8点クロック、自分はライフ8で2/2のクリーチャーしかいないというかなり苦しい場になります。もし次のターンに《スカルガンのヘルカイト》を倒せる除去カードを引いたとしてもその次の対戦相手の《グルールの呪文砕き》のアタックを止めることはできません。(ちなみに《成長室の守護者》を順応させることを選んでもヘルカイトが止まらず、結局4点のダメージが入るのであまりよくなさそうです)
かなり敗色濃厚です...。
では、2体でブロックした場合はどうでしょうか?対戦相手が《グルールの呪文砕き》を倒すことを選べば状況は1体でブロックした時と同じですが、もし《成長室の守護者》を倒すことを選び、かつ次のターンにヘルカイトを倒せる除去カードを引けた場合には...対戦相手から除去カードが飛んでこない限り対戦相手の呪文砕きを自分の呪文砕きでブロックし、相討ちに持ち込むことができそうです。
ワンチャンあるかも!
「でも、この盤面でサイズの小さい《成長室の守護者》とわざわざ相打ちするのかな?」と思われる方もいるかもしれませんが、これがもし《ゴブリンの通り魔》だったら対戦相手は100%《グルールの呪文砕き》と相打ちにすることを選択するでしょう。
これに対して《成長室の守護者》はマナさえ払えば大きくなり、ライブラリーからどんどん仲間を呼び出しカードアドバンテージをとることができるクリーチャーです。もし、対戦相手がこのカードアドバンテージを取ることを嫌がっていたとしたら...?
人間はどうしても自分の視点のみの考えになりがちで、《グルールの呪文砕き》を倒されるほうが苦しいから対戦相手も《グルールの呪文砕き》を倒すはずだと考えがちです。しかし、対戦相手の視点から見ると同じ盤面でも全く異なるように見えているのはよくある話です。また、「最初は呪文砕き同士で相打ちにする気満々で殴ったけど、思いもよらない2体のブロックによって急に考えが変わってしまった」なんてこともよくある話です。対戦相手も人間なので考え方も様々、そんな対戦相手にあえてこちらから選択肢を与え、対戦相手にとっては最善ではないプレイを、自分にとってはとてもラッキーなプレイ(「まぎれ」)を引き出すのがこの2体ブロックの狙いです。
このような「まぎれ」を作れるようになるにはある程度マジックを覚えた後でないと難しいですが、できるようになると上記のような貴重な1勝を挙げられる確率が上がります。「自分にとれる選択肢がほとんどなくてブン回りで負けた!」と友達と嘆く前に、対戦相手にこちらから与えられる選択肢はなかったかと考えてみてはいかがでしょうか?
4.最終フェイズ
今回はこれでおしまいになります。いかがでしたでしょうか?
さて、このちょっとしたテクニックを紹介するシリーズも『ドミナリア』が発売されたときに開始して今回でちょうど1年となりました。(大体1エキスパンション発売後に1つ書いてきましたが、『基本セット2019』が発売されたときはネタがなく書かなかったんですよね...筆者過去記事はコチラから)
小学生の時から国語が大嫌いで、読書もしない僕のこんな乱文をいつも読んで頂き誠にありがとうございます。
もう少し、このシリーズは続けていこうかと思っていますが、折角書くならもう少し需要に合わせた記事にしていきたいと思います。僕のツイッターの固定ツイートにアンケートを乗せておきますので、もしお暇があるときに答えていただけると幸いです。
それではまた次回お会いしましょう、さようなら!
簗瀬 要