BIGs渡邉崇憲「囲いとボクと、ときどき古典」

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◆はじめに


どうも!BIGsのデカナベこと渡邉です!
まずは皆さん1年間お疲れさまでした!


リアルイベントも続々と復活した2022年下半期、競技シーンはパイオニアシーズンでしたね。
11月末に開催されたプレイヤーズコンベンション愛知2022は、まさに往年のグランプリやマジックフェストを彷彿させるイベントでした。


チャンピオンズカップ・ファイナル サイクル1も同時開催で、多くのMTGプレイヤーが会場に集まっていました。
さらにその翌週には、ハイライフプラザいたばしでBIG Pioneer Festivalの記念すべき第1回目が開催されました。
どちらのイベントもあと1勝が足りず上位入賞はできませんでしたが、パイオニアをたっぷりと楽しむことができました。


今回は私がパイオニアを練習してきた中で、自分の考えてきたことと世間一般の認識にズレがあり「面白い話になるのでは?」と思ったのでキーボードを叩きました。
どちらかというと初~中級者向けの内容になると思いますが、みなさんが何か考えるきっかけになれば幸いです。


  


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◆初めての《思考囲い》


MTGをある程度プレイしたことがある人に「囲い」と言えばすぐに連想できるのではないでしょうか。
初登場は『ローウィン』です。
当時大学生だった私が初めてこのカードを見た時の印象は「2点くらうのか・・・痛いな・・・」という感じでした(笑)。


初心者の頃にありがちな「ライフを失うことへの極度の恐れ」というのを、スタンダードを始めたてほやほやの私も抱きました。
そんなピヨピヨ歩きの私を打ちのめす


1ターン目《思考囲い
2ターン目《タルモゴイフ


という悪魔的初動。
「ライフもリソースの1つ」というのは割と最初に学ばせてもらいました。


ただ、当時は学生で使えるお金も限られていたので、《思考囲い》は最後まで手に入れることができませんでした。


そして『ローウィン』発売から約6年後、『テーロス』で再録されます。
その頃はすでに社会人となっており、再録を機に4枚揃えることにしました。
いわゆる大人買いってやつです。


買ったカードは使いたくなるのが世の常。
私は当時のトップメタの一角、黒単信心を組むことにしました。


1ターン目《思考囲い
2ターン目《群れネズミ


の悪魔的ムーブからネズミの大群で押しつぶしたり押しつぶされたりしたのも、もう10年近く前のことです。


 


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◆ミッドレンジ同型では《思考囲い》をサイドアウトする


このままだとおじさんの思い出話が終わらないので、そろそろ本題に向かいます。
当時のプレイング指針として「黒単信心ミラーでは《思考囲い》をサイドアウトする」というものがありました。


黒単信心というデッキは、今風の言い方にすると黒単ミッドレンジです。
優良クリーチャーと優良除去、アドバンテージを確保できるカードを数枚入れて、25~26枚程度の土地を入れる、まさにミッドレンジです。


ここでは黒単信心の詳しい解説はしませんが、つまり「ミッドレンジ同型では《思考囲い》をサイドアウトする」という理論を初めて認識したのはこのときでした。


「なんでミッドレンジ同型で《思考囲い》をサイドアウトするの?」
という質問にはリード・デュークの名記事


Thoughtseize You - Star City Games(外部リンク)


がすでにあるので、時間のある方は読んでみてください。


「・・・それはわかった。いいから要点だけ教えてくれ!」
という人のために、自分なりに要点を2つにまとめます!


1.後半、トップデッキ勝負になったときに弱いカードはデッキに残さない
2.金太郎飴デッキ相手に《思考囲い》を残すリスク


この2点について解説します。


 
◆後半、トップデッキ勝負になったときに弱いカードはデッキに残さない


「うおー!!!残りライフ2!呪文を引かないと負け!!ファイナルドロー!!!・・・《思考囲い》!!!うおー!!!負けー!!!」


《思考囲い》を使ったことがあるプレイヤーなら、一度は似たような状況に遭遇したことがあるのでは。
《思考囲い》はクリーチャー、除去、アドバンテージ源の全てに対処することができる可能性があります。
序盤の攻防で使えた場合は、その魅力を十分に発揮できます。


しかし、中盤以降はどれだけクリーチャーを唱えて、相手の脅威を排除できるかという勝負になるので、驚異を場に出すor場に出ている驚異へ対処することに焦点が定まります。


そしていよいよ終盤戦。もう無駄なカードは引けません。土地じゃだめ。呪文が欲しい。ハンドも枯れてトップデッキ頼み、緊張のドローが続きます。
そんな場面で《思考囲い》を引いても、相手のハンドもなければこちらのライフもカツカツで腐ってしまう可能性が大。


これは1つのリスクです。


 


grn-113-risk-factor.jpg
◆金太郎飴デッキ相手に《思考囲い》を残すリスク


「金太郎飴デッキ」という表現を普段見かけることが少ないと思います。


内輪の通称の可能性があるのでどういうことか説明すると、
「似たような役割のカードが同じマナ域に多数採用されているデッキ」
という感じでしょうか。


パイオニアで1番金太郎飴っぽいデッキは白単人間ビートダウンだと思います。
白単人間ビートダウンは1〜2マナ域のクリーチャーにウエイトを置いたデッキです。
《思考囲い》により1枚クリーチャーを抜いたところで、デッキの回りが極端に鈍ることはありません。


それどころか、軽いカードがデッキのほとんどを占めているのであっという間にハンドが空、つまり後半の《思考囲い》が腐ってしまいます。
ビートダウン戦では大人しく《思考囲い》を減らして、追加の除去をサイドインしましょう。
逆に、どんな相手に《思考囲い》が1番輝くかというと、ズバリ、コンボ戦の時です!


パイオニアですと《不屈の独創力》デッキを想定するのがわかりやすいと思います。


デッキ名にもなっている《不屈の独創力》から大型クリーチャーをシュートするこのデッキ、白単人間ビートダウンと見比べてみるとデッキの構成が大分違うのは一目瞭然です。
2枚のフィニッシャー、4枚の《不屈の独創力》、残りは土地とドローや妨害呪文で構成されています。


つまり、先ほどの金太郎飴デッキの要素、「似たような役割のカードが同じマナ域に多数採用されているデッキ」ではないことがわかりますね。


《不屈の独創力》は唯一無二の役割を持ったカードなので、《思考囲い》でキーカードを攻める戦略は非常に有効で、サイドボードでは追加のハンデスを投入するべきです。


 



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◆「本題に向かうと言ったな、だが入るとは言っていない」



いよいよ本題!
「私がパイオニアを練習してきた中で、自分の考えてきたことと世間一般の認識にズレ」


~ラクドスミッドレンジミラーでは《思考囲い》を残すのかどうか~


私の結論は「1枚も残さない」です!
最初は特に理由もなく「ミッドレンジ同型では《思考囲い》をサイドアウトする」という古からの言い伝えをそのまま実践していただけです。


ですが、MTGOのリーグ戦に潜ると、ラクドスミラーのサイド後にまあまあ《思考囲い》を打たれます。
「ほーん、どんどん撃ってくれい!」くらいの感覚でミラーマッチは勝ったり負けたりしましたが、道中15連勝(ラクドスは5回くらいです)も成し遂げたので特にサイドプランに不満はありませんでした。


常滑の1週間前、リーグ戦で練習していると顔見知りに当たりました。
ラクドスミラーで、やはりサイド後に《思考囲い》を撃たれ、「おいおーい!サイド後は《思考囲い》残しちゃだめだよ!」と思い、お節介にもDMして伝えようとします。


が!!!


「すみません、チームで調整しているのでプレイ方針とかはあまり話せないんです」とお節介おじさんはあえなく撃沈(その節は失礼しました!)。


そこで私の中に1つの疑問が浮かびます。
「もしかして、サイド後も《思考囲い》を残すのが今の定石???」
そう、自分が古い定石にこだわり、最新のトレンドに気づいていない可能性が浮上しました。


そんな疑問を持ってしまったら、もう15連勝などなんの足しにもなりません。
「《思考囲い》をサイド後も残す!」確固たる理由を考えます。
・・・が、やはり根っからのミッドレンジ原理主義者なので、自分の中からは特になにも出てきませんでした。


 


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◆《思考囲い》を残す派


常滑の会場で、ラウンドの合間に暇そうな知り合いを見つけてはこの話を聞いてみました。
そうすると驚くことに「サイド後も《思考囲い》を残す」と答えた人がほとんどでした。


「ここで持論を展開するのはやめよう・・・ここは見で行く!」
ということで"残す派"の意見を聞いてきたのでかいつまんで紹介します。


 


1.ミラーマッチで《税血の収穫者》が弱い問題


これを最初に聞いたときは衝撃が走りました。
2マナ3/2、メリット能力持ちが弱い!?
「まさか、そんな・・・。いや。でも・・・」
簡単には受け入れられません。


説明をすると、パイオニアのラクドスミッドレンジには《砕骨の巨人》が4枚採用されています。
もうお分かりいただけただろうか?的を減らすという論法なのです。


確かに、序盤で2マナ立てている相手に《税血の収穫者》をポンと出すかと言われると、積極的に出したくはない。
《砕骨の巨人》と《鏡割りの寓話》はラクドスミッドレンジを代表するお手軽アドバンテージカードです。
その一角の使い道を制限する、ということです。


 
2.《鏡割りの寓話》強すぎ問題


個人的にはこちらの方がよりクリティカルな問題だと思います。
「ミッドレンジ同型では《思考囲い》をサイドアウトする」という定石が打ち出されたのは約10年前の話。
当時のカードパワーと比較して《鏡割りの寓話》は破格の性能です。
基本的には1対1交換を繰り返して、小さいアドバンテージを重ねて徐々に有利になっていく、そういうゲーム展開を想定しての《思考囲い》全抜きでした。


しかし《鏡割りの寓話》を先に着地させられたら、そこから捲るのは困難です。
《鏡割りの寓話》を唯一無二のカードとして、それを巡る戦いと位置づけるなら《思考囲い》でハンドを攻めるのは有効に思えます。


 


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◆《思考囲い》を残さない派


お互いにいろいろ語り出すとキリがありませんが、残す派の2つの意見に反論する形で残さない派の意見を展開します。


 
1.ミラーマッチで《税血の収穫者》が弱い問題


むしろ必要な枠だと思ってます。
墓地の侵入者》をスマートに除去する方法はなく、基本的にはクリーチャーで止めることになります。
パワー3でブロックに回れるのは貴重な戦力です。
砕骨の巨人》とも相打ちが取れるので、場にいれば一方的に殴られることはないでしょう。


また、血・トークンがないと《致命的な一押し》が《鏡割りの寓話》から出てくるゴブリン・トークンの宝物に依存するのも気になります。
キキジキの鏡像》とのプチコンボもあるので、減らす必要はないと思います。


 
2.《鏡割りの寓話》強すぎ問題


たしかに、強すぎ問題なんですが、ハンデスで触りにいくのは違うと思います。
《鏡割りの寓話》は強すぎるとはいえ、それだけで負けるかというとそうでもありません。


ゴブリン・トークンは除去、もしくはクリーチャーで止めることも十分できますし、《キキジキの鏡像》にはほとんどの除去が当たります。
《鏡割りの寓話》に限らず他の3マナ域である《砕骨の巨人》や《墓地の侵入者》も十分強力で、これら3枚がハンドにあると、《思考囲い》でハンドをみてもどれを抜いて良いか正解はないと思います。



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そう考えると、金太郎飴デッキの法則からハンデスが効きづらいデッキに分類されます。


サイドプランとしては、相手よりも少し重くしてデッキを強くするのがミッドレンジミラーでは有効なので《絶望招来》や《領事の旗艦、スカイソブリン》などの5マナで強力なカードをサイドインしたいですね。


 


mp2-45-thoughtseize.jpg


◆まとめ


繰り返しになりますが、私の結論は「1枚も残さない」で変わらないです。
それが正解なのか間違いなのかは、結局のところ勝った負けたでしか判断できません。


「寓話頼みのぬるいハンドから囲いで寓話を抜かれて負け!」
という負け方もしたことがあるので、自分の考えが全て正しいとは思いません。


これだけ風呂敷を広げておいてなんですが、
「《思考囲い》を残すor抜く」という話は今回の本質的な部分ではないと思います。


大事なのは理由です。
自分が社会人になりたての頃にPDCAサイクルというものを習いました。


Plan(計画)


Do(実行)


Check(評価)


Action(改善)


の4項目をPDCAP(繰り返し)とサイクルを回して品質を向上させる概念です。
この中で一番大切な項目を1つ選ぶとしたら、私はPlan(計画)を選びます。


自分の考えが1番反映されるのは計画の段階です。


「この相手にはサイド後はこういう戦い方をしたい」
「この相手にはこのカードが弱いからサイド後に減らしたい」
「相性が悪すぎるから強烈なメタカードでワンチャン作りたい」


など様々な理由から15枚のサイドボードを決めます。
「ネットからいくらでも大会の優勝デッキやリーグの5-0デッキを見つけられる令和のこの時代にそんな非効率な作業を・・・」
わかります。
私も1からデッキを作ることはほとんどしませんし、コピーデッキを拾ってきて回すことも多々あります。
ただ、デッキリストは見つけることができても、そのデッキを適切にサイドボードができるかどうかはまた別の話です。


自分の参加するトーナメントと、コピー元が優勝したトーナメントは別物です。
参加するトーナメントに合わせて微調整をしていく必要があります。
今回話を伺った人はみんなそれぞれ経験値もありますし、独自にラクドスミッドレンジを微調整していました。


大きく構造を変えることは難しいですが、自分の使いやすさだったりスタイルに合わせているのが見て取れました。
そういう人たちと議論ができたのは本当に良い機会でした。
私自身も自分なりに考えたことを伝えたからこそ、ディスカッションになったと思います。


また、「昔の常識、今の非常識」じゃないですけど、MTGも歴史があるのだなぁとしみじみ思いました。
今回は記事の中でちょくちょく古典的な定石を紹介しましたが、来年で30周年を迎えるMTGにはまだまだ多くの古典的定石や考え方があります。


「《思考囲い》を撃つときは《陰謀団式療法》だと思って撃て」
この辺は、昔の人は考えることに重きを置いていたことがよく分かりますね。


まとめの割には全然まとまっていませんが、この辺でお開きとします。
折角の機会なので、皆さんも是非この機会に《思考囲い》を抜くのか残すのか考えて見てください!


昔に比べればSNSで気軽に自分の意見を発信できるので、これを利用しない手はないですよね。
今回はパイオニアの話ではありましたが、ミッドレンジ環境のスタンダードにも通じるところはあると思います。
日々勉強ですね!


それではまたー。


 


 


m21-246-fabled-passage.jpg


◆おまけ



常滑にて


の??「デカナベ!聞いてくれ!難しい問題なんだ!」


渡邉「ど、どうしたんですか?」


?そ?「ラクドスミラーのサイド後、《思考囲い》を残すか抜くか、諸説あるんだ」


渡邉「・・・なるほど・・・それで?」


??の「いや、だから!諸説あるんだよ!!!」


渡邉「の?のさんはどっちだと思うんですか?」


のそ?「・・・難しい問題だ。諸説ある」


fin


 


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