こんにちは!「BIGs」&「MTG通販Nageya」 の斉田逸寛です。
前回から間が空いてしまい申し訳ありません!今回からまた気を引き締め直して頑張っていく所存ですので、何卒よろしくお願いします!
0.禁止改訂
先日モダンにて《精神を刻む者、ジェイス》と《血編み髪のエルフ》が解禁となりました。無論どちらも強力なカードですが「どのデッキが一番強く使えるか」ということを考えずにはいられません。
そこで今回は特例として、解禁カードを使ったベストデッキを模索するため、1つのデッキではなく複数のデッキで合計50マッチを行い、その結果と所感を述べていきたいと思います。
解禁カードは2種類ありますので、まずは《血編み髪のエルフ》から!
1.『赤緑ポンザ』
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
相手の土地を破壊して動きを鈍らせ、フィニッシャーを出して勝利するという至極明快なコンセプトのデッキです。このデッキは構造上かなり上手く《血編み髪のエルフ》を使うことができます。
まずは3マナ域のカードが多いという点。通常のデッキでは3マナ域が多いとかさ張るためそこまで多くとることはできませんが、このデッキは基本となる動きが1マナでマナを増やすアクション→3マナで相手の土地に干渉していくという流れのため、2マナ域が入っていません。
続唱すると60%くらいは3マナ域がめくれるため、《石の雨》→《血編み髪のエルフ》から続唱で《石の雨》という動きは十分にあり得る範囲です。
そして逆に続唱で1マナ域がめくれてしまっても、最低限マナは増えるかたちになります。『ジャンド』などで《血編み髪のエルフ》を使う場合、クリーチャー除去やハンデスは時に本当に何もしないことがあるため、それと比べると幾分か許容できます。
(2枚目の《血染めの月》だけ何もしません。そこは諦めましょう。)
また、一度相手をマナスクリューに追い込んでも、のんびりしているといずれ土地を引かれてしまうので、極力速やかに倒すという点において3/2速攻はなかなか優秀です。
以上のことからまずはこの『赤緑ポンザ』をプレイすることを選びました。対戦はMOで(一応グランプリを想定して)15マッチ行いました。結果は以下の通り。
【対戦成績:9勝6敗】
少し勝ち星が伸び悩んでしまいましたが、初めて使用したことを踏まえると悪くはない成績で、ポテンシャルを感じることができました。
まずは肝心の《血編み髪のエルフ》ですが、期待通りとてもデッキにフィットしていました。得意な対コントロール・対土地コンボなどに勝ち星を取りこぼすことが少なくなり、単純にデッキの強さや安定感を底上げする存在になっています。
特に『緑単トロン』は(禁止改訂適用前ですが)直近のグランプリでトップ8に4名を送り込んだ現在のトップメタで、そこにすこぶる相性が良いのは魅力でした。
ですが、対アグロなど相性の悪い相手には《血編み髪のエルフ》が明確な回答になっているわけではないため苦戦を強いられます。サイドボードがもっとブラッシュアップされると成績を伸ばせそうです。
[サイドボーディングについて]
デッキが真っ直ぐなこともあり、プレイングはもちろんサイドボーディングも簡単な部類になります。コントロールや土地コンボには1~2枚しか入れ替えないことが多いです。《精神を刻む者、ジェイス》に対しては《真髄の針》を、『緑単トロン』には《古えの遺恨》を、それぞれ《クルフィックスの狩猟者》などと入れ替える程度です。
アグロには《ムウォンヴーリーの酸苔》や《石の雨》を抜いて、除去や《台所の嫌がらせ屋》を入れます。『ストーム』なども相性が悪いので《アメジストのとげ》を採用しています。
効かない相手にはまず《血染めの月》から抜くのを忘れずに!
[マリガンについて]
キープ基準は1マナ10枚なのでちょっと少なめです。先手であれば1マナが無くても土地破壊や《血染めの月》などで連続して阻害できて《血編み髪のエルフ》もいるなど内容が良ければキープでも良いと思います。後手は7枚で1マナ域がなければマリガンしますが、6枚でも無い場合はドローを信じてキープがベターです。
デッキの構成上、土地を破壊してもフィニッシャーが遅れると結局巻き返されるため、ダブルマリガンするよりは勝率が良いと感じました。
2.『赤緑エルドラージ』
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
前述したTOP8に『緑単トロン』が4名入った直近のグランプリですが、優勝はGrzegorz Kowalski選手が使用した『赤緑エルドラージ』でした。
リストを見た私は「このデッキに解禁された《血編み髪のエルフ》を入れればまさに鬼に金棒!最強間違いなし!」と意気込んでMOリーグに突撃しました。
...えー、ご存知の方も多いかと思いますが、後日Grzegorz Kowalski選手の『赤緑エルドラージ』の記事が掲載され、とても詳しくデッキを解説頂いてるうえ「《血編み髪のエルフ》はこのデッキには入らないと思うよ」というありがたいお言葉が記載されていました。
正直その瞬間、自分の記事を丸めてポイしたくなったのですが、もったいないのでMOモダンリーグの5-0リストには頻繁に《血編み髪のエルフ》入りの『赤緑エルドラージ』が名を連ねており、「全く無し」という選択ではなさそうなので参考程度に私の結果もお伝えしたいと思います。
【対戦成績:10勝5敗】
デッキの主な説明はご本人の記事がありますので、《血編み髪のエルフ》を入れたことによる変化の部分だけ所感を述べたいと思います。
[メインボードについて]
《血編み髪のエルフ》の使用感は思いのほか悪くありませんでした。続唱でスカとなり得るのは《四肢切断》だけなので基本キャストするのをためらう必要もありません。3マナがめくれればもちろん、《稲妻》や《古きものの活性》でもそれなりの働きをします。
元々4マナ域は《難題の予見者》のみでしたが、《血編み髪のエルフ》が加わったことで2マナ→4マナへの加速が重要になりました。《極楽鳥》は1マナ→3マナになりますが対処もされやすいので《精神石》や《衝動のタリスマン》を増やしてもいいと思います。苦手な《血染めの月》への耐性も上がりますしね。
[サイドボードについて]
《虚空の杯》や《仕組まれた爆薬》は続唱でめくれてしまう可能性はあるのですが、《古きものの活性》で探しに行けるサイドカードなので抜くことはできないかなと感じました。《最後のトロール、スラーン》は《精神を刻む者、ジェイス》に強いカードとして採用されていますが、もともと「速攻」が多く倒すのには苦労しないので別のカードでも良いと思います。
3.『ジャンド』
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王道。もはやデッキの説明は不要と言っていいでしょう。《血編み髪のエルフ》が禁止されたのは『ジャンド』がメタゲームを席巻したことが理由であるため、ベストデッキ候補の中では本命中の本命。
だったのですが...
【対戦成績:6勝9敗】
大敗を喫しました。理由は自分なりに判明しているので順を追って説明します。
[求められるプレイングの正確さ]
ジャンドはフェアデッキの代表格。この手のデッキはブン回りが少ない分、様々なデッキに対応して戦うことができます。ですがそれは逆に言うと、どんなデッキにも負けうるということ。あくまで最適な75枚を選択し、きちんとプレイングとサイドボーディングをこなして初めて勝率はついてきます。
そう、端的にいって私が未熟でした。大きなミスもあったのですが、細かいところで一度のコンバットの間違い、一枚のサイドボーディングの間違いがそのまま勝敗に関与していると思えることが多かったです。
しかし普通のデッキならいざ知らず、《血編み髪のエルフ》が帰って来たかつての王者『ジャンド』なら多少のミスもカードパワーで取り返せるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、私の所感は公式の声明と同じものになりました。
[《血編み髪のエルフ》のリスクとリターン]
「時を経て、競技モダンは進化し、速くて先行型の脅威のあるフォーマットになりました。自分のメイン・フェイズに土地4枚をタップして1つの呪文を唱えるというハードルはとても高く、直接勝ちに繋がるようなカードに限られることもあります。」
引用 - マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
《血編み髪のエルフ》は続唱という不確定な要素を含んでいるためリスクはつきもので、構築やプレイングを工夫することが必要になります。《致命的な一押し》よりも《稲妻》を優先して採用しているのはその最たる例ですね。
《血編み髪のエルフ》禁止前のモダンは今ほど環境全体が速くはなく、4マナまで伸ばす余裕があり、仮に続唱が外れても致命傷にはならず当たったときのリターンのほうが大きかったため文句なく採用されていました。
しかし高速化が進んだ現在のモダンでは、そこまでの余裕はありません。前述した2つのデッキにはマナ加速が入っていたのである程度4マナを許容できましたが、マナ加速のない『ジャンド』の4マナは重く、続唱で意図したものがめくれないと、かなり不利になってしまうというシチュエーションが増えたように感じられました。
「4マナという重さ」「続唱は不確定で構築に制限もかかる」というリスクに対してリターンが上回ることが少なくなったので、昔ほどの「タダ強」「誰が使っても勝てる」といった部類のデッキではなくなりました。
さて、ちょっとマイナスな意見を多く述べてしまいましたが、勘違いしないでいただきたいのは勝ち星が少なかったこと自体は私の責任で「MOの5-0リストには日々『ジャンド』が名を連ねている」という事実があります。技術と勝率がしっかり比例するデッキなので、練習あるのみですね。
ちなみに構成が似ているのでついでに紹介すると
『ジャンド死の影』
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一度リーグで使って2勝3敗でしたが、こちらは正直オススメできません。最近の《死の影》デッキはグリクシスか黒緑タッチ青赤のトラバース(ウルヴェンワルド横断型)の2択でしたが、これはそのトラバースからタッチ青のカウンター呪文の要素を抜いた構成になっています。
そもそも《死の影》デッキは3マナで止まることが理想で、2マナでもギリギリ動けるくらいの軽いデッキです。加えてタッチ青の《頑固な否認》はデッキを選ぶ理由になるくらい強力なカードなので、これが採用できないのも大きなマイナス。
《ウルヴェンワルド横断》でクリーチャーがサーチできるころには《死の影》のサイズも膨れ上がっていることが多く、わざわざ不確定要素のある《血編み髪のエルフ》をサーチすることもありませんでした。
《死の影》のおかげで普通の『ジャンド』より『緑単トロン』には勝ちやすくなりますが、《血編み髪のエルフ》はデッキに合っていないので《頑固な否認》がある本来のトラバースのままがベストです!
4.まとめ
いかがでしたか? ご意見・ご感想ありましたら MTG通販Nageya Twitterアカウントへ是非お送りください!
後日《精神を刻む者、ジェイス》編も公開できればと考えてます。今回のように複数のデッキを広く浅く紹介するか、一つのデッキを狭く深く紹介するかは決めかねているので、そのあたりご意見いただけますと非常に助かります。
それでは!