こんにちは!BIGsの斉田逸寛です。
先週開催されたMMM Finals2017参加者の皆様はお疲れ様でした!私自身も参加させていただき、200名を越えるモダンプレイヤーの熱気を肌で感じてきました。
結果はというと途中の引き分けが響いて6勝1敗1分の9位という悔しい内容でしたが、来年も開催予定とのことなので次こそ優勝目指して頑張りたいと思います!
さて、第2回となる今回は私がその大会でも使用した人気急上昇中のこのデッキ!
0.デッキ選択
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
デッキの呼び方が色々あるのでややこしいですが今回は『ジェスカイテンポ』と銘打つことにします。
その昔モダンには『トリコトラフト』というデッキが存在しました。カラーリングの呼称は近代版になったものの、代名詞の《聖トラフトの霊》をはじめ採用カードに大きな違いはありません、ただ1種類を除いて...。
それが《呪文捕らえ》です。
昨今のモダンは「押し付け」環境。多くのデッキが自分の最大効率で動けるようにデッキを組み上げています。そうなると必然的に少なくなるのが相手の邪魔をする「除去枠」で、その手のデッキの多くが1スロット3枚前後の最低限の除去しか採用していません。
そこに《呪文捕らえ》が突き刺さります。相手の呪文を抑え込んで出す「2/3 飛行」はクロックとして十分な性能で、もとよりメインフェイズで動くことの少ないこのデッキに非常にフィットしています。またモダンは軽量の優秀な呪文が多いため、点数で見たマナコストが5以上のカードが限られていることも強さを後押ししています。
このカードの登場によって『トリコトラフト』は『ジェスカイテンポ』へ昇華し、メタゲーム上位に名乗りを上げました。
1.対戦結果
さて、気になる勝率ですが今回はMagic Onlineだけではなく、リアルの大会にもいくつか参加したのでそれらを合わせたものとなります。
前回は目標としていた「60%」に届かず不甲斐ない結果となりましたが今回は...
37勝12敗1分【勝率74%】
(先手23回:後手27回)
・・・!?
えー、第2回にしておそらく今後これ以上の勝率はないかもと思える数字が出ました。(笑)
もちろんこれは運が良いことの多かった「上ブレ」の結果でもあるのですが、それを差し引いてもこれだけの勝ち星を重ねられたのにはいくつかの理由があります。
・相性とサイドボード
モダンのメタゲーム上に存在するデッキは約30種類もあるため、どこかで必ず「相性差」が生まれます。加えてサイドボードの対策カードは相手のデッキを機能不全に追い込むほど強力なものが存在します。
『ジェスカイテンポ』はそれらの影響が比較的少ないデッキです。「当たり運に左右されにくい」「対策カードで完封されにくい」という長所は平均勝率を底上げしてくれます。
またサイドボードは強力なカードこそ多いですが、15枚で採用できる各種対策の枚数はかなり限られているのも事実。そこで頼もしい存在となるのが「ドロー操作」と《瞬唱の魔道士》です。少ない枚数でもサイドボードにたどり着く可能性を上げ、たどり着いたら使い回せるというのはモダンにおけるかなりのメリットと言えます。
・「押し付け」と真逆の一貫性「受ける」
基本的な動きがメインフェイズでは何もせずに相手の行動に合わせて最良の手を選ぶ「受ける」デッキなので、プレイングで裏目が発生しにくいのが特徴です。一見すると使いこなすのが難しそうですが、実は選択肢が少ないゲームもしばしばあります。
・非固定パーツの調整
メインボードのリストが固まりきっていない部分の調整が早い段階で納得のいくものに仕上がったことも勝率に繋がったと考えています。
【《聖トラフトの霊》or《ヴェンディリオン三人衆》】
クリーチャーの枠は《瞬唱の魔道士》と《呪文捕らえ》が4枚ずつの固定。残り2~4枚をこの2種類で埋めていくことになるのですが、一般的な《聖トラフトの霊》3枚が私としても気に入っています。「受ける」デッキの軸とは異なりますが、リスクに見合うリターンを得ることができます。
まずは単純明快に除去できないデッキが非常に多いこと。加えて相手の視点から見ると「《呪文捕らえ》のためのピン除去は《聖トラフトの霊》に効かず、《聖トラフトの霊》を対処できるカードは《呪文捕らえ》には効きづらい」という嫌な組み合わせになります。
また《謎めいた命令》との相性が良いこともあげられます。モダンでも随一のカードパワーですが、いかんせん色拘束と重さがネックとなります。このカードをプレイするためにマナベースを無理していると言っても過言ではないので、可能な限り採用枚数は増やしたいところ。
基本の「受動的」な撃ち方に《聖トラフトの霊》の攻撃を通すための「能動的」な撃ち方というパターンを与えることで最大枚数の採用が正当化されると考えています。
【《血清の幻視》or《選択》】
ドロー操作は一般的には《血清の幻視》が採用されていますが、私は《選択》を採用することを強く推奨します。
ここはデッキの強みである「受ける」ことに特化すべきです。そもそもメインフェイズで《血清の幻視》をキャストしても、占術のカードが今後必要になるかどうかが分からないことがあり、カードの特性を活かし切れていません。
『青赤ストーム』などの手札の理想形が決まっているデッキや、「探査」コストに関与する『グリクシス死の影』では《血清の幻視》に軍配が上がりますが、このデッキでは相手のターンの行動を見てからドロー操作を行うほうが都合が良いです。
また、一度土地が止まってしまうと3~4マナを構える必要があるこのデッキでは、僅か1マナでもソーサリータイミングで使うことは許されず、土地事故の回避すらままならない状態になります。《瞬唱の魔道士》での使いやすさからも、ドロー操作の枠は《選択》がベストと考えます。
【《アズカンタの探索》の採用】
非採用のレシピがほとんどですが、反転して起動できる余裕ができたらそのままゲームに勝てる強さがあります。メインに複数枚入れるかたちも試したのですが、《論理の結び目》などの兼ね合いで墓地が溜まっていない早い段階で引いてしまうと弱いので、メインは1枚だけに抑えて引けたときすぐに恩恵を受けやすいかたちに落ち着きました。
デッキが最適化されるサイド後は余裕ができて貼りやすくなるので追加を1枚用意しています。
2.サイドボーディング
このデッキのサイドボーディングは非常に流動的です。まずサイド15枚はメタに合わせて毎回考え直す必要がありますし、Game2の相手のサイドボーディングを加味してGame3で微調整をすることもあります。
主要デッキに対するサイドボーディングをいくつか書かせていただきますが、入れ替える明確な理由があるものは記載しますので、それ以外の部分は思うがままに替えてみるのがオススメです。デッキの理解度や手に馴染む早さという点で後々きっと役に立つと思います!
ちなみに今回の「主要デッキ」ラインナップは以下の通り。
・ジェスカイテンポ同系
・親和
・青赤ストーム
・5C人間
・グリクシス死の影
・エルドラージトロン
・バーン
・黒緑トロン
・タイタンシフト
「ジェスカイテンポ同系」
相性:五分
サイドアウト
3《流刑への道》、1《稲妻》、(1《呪文捕らえ》)
サイドイン
1《アズカンタの探索》、1《ヴェンディリオン三人衆》、1《払拭》、1《否認》、(1《軽蔑的な一撃》)
《流刑への道》はゲーム最終盤の《天界の列柱》にしか撃ちたくないので1枚残っていれば十分です。このマッチアップに限らず、デッキに1枚でも残しておくことは《瞬唱の魔道士》の選択肢が増えることに繋がります。
焦点となるのは《聖トラフトの霊》とサイドから加わるアドバンテージ要員。このデッキでは《アズカンタの探索》ですが、一般的なリストでは《ピア・ナラーとキラン・ナラー》《思考を築く者、ジェイス》などになっているので《軽蔑的な一撃》も検討できます。
「親和」
相性:有利
サイドアウト
2《謎めいた命令》、2《論理の結び目》、1《聖トラフトの霊》、1《差し戻し》
サイドイン
2《儀礼的拒否》、1《至高の評決》、1《仕組まれた爆薬》、1《イゼットの静電術師》、1《神聖な協力》
相手の展開力についていけない2マナ以上の打ち消し呪文を抜きます。
負けパターンは《刻まれた勇者》と《血染めの月》です。《聖トラフトの霊》は《刻まれた勇者》への抑止力になるので少し残しています。《血染めの月》を貼ってくる可能性のあるデッキには基本土地を持ってくる関係で《謎めいた命令》が撃ちづらくなるので減らすのがベターです。
「青赤ストーム」
相性:微有利
サイドアウト
4《流刑への道》、2《謎めいた命令》、1《電解》、1《聖トラフトの霊》
サイドイン
2《大祖始の遺産》、1《払拭》、1《否認》、1《アズカンタの探索》、1《ヴェンディリオン三人衆》、1《イゼットの静電術師》、1《仕組まれた爆薬》
相手の核となるクリーチャーは3点火力で対処できるので、デメリットのある《流刑への道》は全て抜きます。その他は後手ならもっと《聖トラフトの霊》を抜くなど微調整します。
ちなみに『青赤ストーム』を使ったことのない方は、対戦するよりまず『青赤ストーム』を一人回しするほうが練習になると思います。完璧に使いこなす必要はありませんが、少なくとも相手の「目的」がわかるようになると「受ける」動作を選びやすくなります。
「5C人間」
相性:有利
サイドアウト
2《論理の結び目》、2《謎めいた命令》、1《聖トラフトの霊》、1《差し戻し》、1《呪文嵌め》
サイドイン
1《神聖な協力》、1《天界の粛清》、1《アズカンタの探索》、1《ヴェンディリオン三人衆》、1《至高の評決》、1《イゼットの静電術師》、1《仕組まれた爆薬》
《霊気の薬瓶》と《魂の洞窟》があるので打ち消し呪文から抜きます。
とにかく片っ端から除去しましょう。相手と比べて1枚で2枚分の役割をするカードが多いので、お互い順当な引き方をすると必ずこちらが有利になります。
「グリクシス死の影」
相性:五分
サイドアウト
2《論理の結び目》、2《呪文捕らえ》、1《電解》、1《稲妻》、1《稲妻のらせん》、1《聖トラフトの霊》
サイドイン
2《大祖始の遺産》、1《神聖な協力》、1《天界の粛清》、1《アズカンタの探索》、1《ヴェンディリオン三人衆》、1《至高の評決》、1《仕組まれた爆薬》
モダンにしては珍しく、実力が勝敗に直結しやすいマッチアップです。
《大祖始の遺産》を入れる関係で《論理の結び目》と、探査生物を捕まえられずピン除去も刺さる《呪文捕らえ》を減らすところから始めて、クリーチャーサイズに関係なく除去できるカードを入れていきます。
《聖トラフトの霊》はメインなら対処されにくいので単体で出してOKですが、サイド後は《ヴェールのリリアナ》がいて単体では出しづらくなるので減らします。火力を少しずつ抜くのは受けれる広さを確保するためです。1種類のカードを2枚持っているより、2種類のカードを1枚ずつ持っている方がより多くのシチュエーションに対応できます。
「エルドラージトロン」
相性:不利
サイドアウト
4《稲妻》、2《論理の結び目》、1《呪文嵌め》、1《差し戻し》、1《電解》
サイドイン
2《儀礼的拒否》、2《軽蔑的な一撃》、1《神聖な協力》、1《アズカンタの探索》、1《ヴェンディリオン三人衆》、1《至高の評決》、1《仕組まれた爆薬》
《虚空の杯》と《魂の洞窟》がキツく不利なマッチアップ。
3点火力ではクリーチャーをほとんど除去できないので減らしますが、《虚空の杯》X=1で置かれた時のことを考えて《稲妻のらせん》よりも優先して《稲妻》から抜きます。
《魂の洞窟》は入っている枚数が少ないので考え過ぎてもしょうがありません。メインに入っている条件付きの打ち消し呪文は流石に弱いですが、《儀礼的拒否》《軽蔑的な一撃》なら十分な威力があります。
「バーン」
相性:微不利
サイドアウト
3《謎めいた命令》、1《差し戻し》、1《電解》、1《論理の結び目》
サイドイン
1《神聖な協力》、1《天界の粛清》、1《払拭》、1《否認》、1《アズカンタの探索》、1《ヴェンディリオン三人衆》
《聖トラフトの霊》と《稲妻のらせん》は強いですが、土地からのダメージが多く《呪文捕らえ》も機能しづらいのでトータルで微不利程度。
土地のダメージを抑えるために色拘束のキツい《謎めいた命令》を減らしましょう。個人的には国内の大会はバーンが多い印象があるので、追加で1枚専用の対策カード(《疲弊の休息》や《ファイレクシアの非生》など)を採用することが多いです。
「黒緑トロン」
相性:微有利
サイドアウト
3《稲妻のらせん》、2《稲妻》、1《電解》
サイドイン
2《儀礼的拒否》、2《軽蔑的な一撃》、1《否認》、1《ヴェンディリオン三人衆》
メインの相性はあまり良くありませんが、サイド後ほぼ全てに対応できる打ち消し呪文が4枚も入るのでグッと有利になります。
前述した「選択肢が少ないゲーム」はこういったマッチアップで、相手の動きは基本ソーサリーなので合わせれるものを順番に合わせて、合わせられないときは本体に火力など無理矢理でも攻めるだけと相場が決まっていることが多いです。
「タイタンシフト」
相性:五分
サイドアウト
4《流刑への道》、(1《電解》)
サイドイン
2《軽蔑的な一撃》、1《否認》、1《ヴェンディリオン三人衆》、(1《払拭》)
巷ではよく不利なマッチアップと言われていますが、今回の結果は3-0しているので五分ということにしておきましょう。(笑)
《流刑への道》を相手に撃ち込むのはオウンゴールです。メインで引いてしまったら《聖トラフトの霊》から出た天使トークンがダメージを与えた後に撃ち込んで《天界の列柱》の起動を早めるようにしましょう。
相手のデッキに《稲妻》が多そうなら《呪文捕らえ》を守るために《払拭》も検討できます。一応《召喚士の契約》にも撃てることを忘れずに。
3.最後に
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余談ですが、次に使うデッキは12月9-10日開催のモダンGPマドリード&オクラホマの結果を見て決められたらいいなーと考えてます。何が勝つか今から楽しみですね!
それではまた次回!