こんにちは!「BIGs」&「MTG通販Nageya」の斉田です。
今回は4月26日~28日開催されたミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019(以下MC)に参加したお話しをさせていただこうと思います。
表題の通りMC初参加だった私ですが、実はこのロンドンが人生で初めての海外渡航でもありました。内容としてはマジックの戦略的な部分は少なく感想文多めの構成なので、のんびり気楽に読んでいただけると幸いです。よろしくお願いします。
0. ー準備編ー
今回のフォーマットはモダンとドラフト。元々構築は何でも好きなのでスタンダードでないことには特に不満はなかったものの、次第に詳細が明らかになってくると...
・ロンドンマリガンを試験運用します
・モダンは対戦前にデッキリスト公開です
・リミテッドは発売前の『灯争大戦』を使用します
・全パックからプレインズウォーカーが出ます
トッピングが多すぎて味が原型を留めていません。ただでさえ12時間のフライトや時差ボケ等の体調管理、英語が話せないことなど不安が尽きない状況。
行って帰ってくるだけでも精一杯であることは想像に難くないため、この段階で「今回は勝つことよりも楽しむことを目標としよう」と決めていました。普段であれば納得のいくまで練習に練習を重ねて大会に挑むのですが、今回ばかりは無理は禁物だとマジック以外の部分を優先的に処理して余裕を持った行動を心がけました。
そんな気持ちを後押ししてくれるように、ありがたいサポートをいくつか受けることもできました。
・同じBIGsの加藤健介さんと同行
加藤さんはこれまでに複数回MC(旧PT)に参加しており海外経験も豊富。初めてで分からないことばかりの私の質問に丁寧に答えてもらい、ホテルの手配などもしていただきました。
・『灯争大戦』のMTGアリーナ先行プレイ
シールドのみでしたが5~6回プレイ
MC参加者限定で先行プレイできるイベントがありました。本戦で使用するカードは当然英語版なので、せめてコモン・アンコモンくらいはテキストを暗記しておきたいものの、スポイラーを眺めるだけでは全然覚えられずどうしたものかと思っていたので非常に助かりました。
・同じBIGsの簗瀬要くんからサイドボーディングガイドを教授
直前までモダンのデッキを決めかねていたところ、MC前週のGP横浜で簗瀬くんが『イゼット・フェニックス』で13勝2敗の好成績を残していたため、お願いしてサイドボーディングガイドを作ってもらいました。ロンドンマリガンやリスト公開を踏まえて多少の変更はしましたが、自分で使用している時の勝率があまり良くなかったので、基本的には全てガイドに沿うと決めていました。
「旅慣れた同行者」「リミテは発売前だが最低限カードは覚えた」「構築は有識者のアドバイス」と、仲間の協力に支えられて良い状態で出発を迎えることができました。
1.ー出発日ー
木曜日の朝10時に成田を出発。約11時間のフライトでアムステルダムにて乗り継ぎ、その後約1時間でロンドンに到着する行程。
多少なりとも機内で睡眠を取りたいので、アイマスク・ネックピロー・耳栓・スリッパと完璧な装備を揃えましたが...
気づけばロンドン上空
はい、ほとんど寝られませんでした。
そもそも枕が変わるだけでも気になるノミの心臓を所持している私が機内で睡眠などできるはずもなく...。窮屈な機内で体もバキバキでしたが、フライト自体は順調で定刻通りロンドンに到着。その足で会場に向かうことに。
今回の会場『Excel London』
ちょっと広いこと以外は日本のグランプリ会場とさほど変わらない印象。と思ったらそれもそのはず、こちらは併催の「GPロンドン」で使用するホールで、「MCロンドン」は隣接した隣のホールが会場でした。
「すげ~。はぁ~、すげ~。」と語彙に乏しい感想をまき散らしつつ、とりあえず前日受付をすることに。受付をするとスリーブとドラフトを遊ぶためのパック、記念のTシャツや水筒などなどをもらえるのですが、何よりも嬉しいのが...
MC参加者であることを証明するネームプレート!自分の名前が入っているのを見て「本当にこの世界最高峰の舞台に参加できるんだ」という実感が沸いてきました。
あとはホテルに戻って即就寝。と、いきたいところですが現地時間ではまだ夕方。コンディションを整えるために眠い目をこすりながら何とか23時まで眠るのを堪えてから就寝しました。
2. ー大会初日ー
まずは1stドラフト。同卓にベン・スターク選手やジェレミー・デザーニ選手など、MCらしく強豪が名を連ねています。
最低限カードは覚えたものの、アリーナでプレイできたのはシールドのみだったのでドラフトは完全にぶっつけ本番。それでも「勝てないかもしれないけど、その分楽しもう」と決めていたので気負いはありません。そんな私の前に現れた1パック目のレアは...
令和の《苦花》!!
「おお神よ、私に勝たせようとしてくれるとは。ありがとう。板板の板やろこんなん。ビギナーズラック万歳。渡りに舟かぁ~?ジャイアントキリングまっしぐらですわ」
調子に乗った時だけ出てくる語彙とともにニヤニヤしながらピックしましたが、結論から言うとこのカードは大して強くありませんでした。誰だよ《苦花》って言ったやつ(私です
ピック自体は初手の黒が上家と被らず、《無神経な放逐》が遅めに流れてきて空いてそうだった青を相方に。2パック目の2手目でこちらは正真正銘の爆弾級レアである《永遠の終焉》が流れてくる幸運もあって初めてのドラフトにしては悪くないデッキでした。
R1を勝利して喜んだのもつかの間、R2とR3では細かなミスと土地事故があり、相手がその隙を見逃してくれるほど甘くないこともあって1stドラフトの結果は1勝2敗。MCの洗礼を受けました。
R4からはモダン、使用デッキは前述の通り『イゼット・フェニックス』。
練習を始めた段階で『イゼット・フェニックス』と『ヒューマン』が純粋に強いデッキだと感じたため、この2つに絞って上達を目指しました。どちらもMOで調整するもなかなか勝てず、最終的に選んだ『イゼット・フェニックス』ですがトータル20勝22敗で勝率5割を切っていました。スタンダードであれば絶対に使わない勝率です。
しかしモダンでは勝てない理由のほとんどがプレイングで、デッキを変えても勝率は上がらない、経験値が大切だと思っているので他のデッキを調整することはありませんでした。『ヒューマン』はそのプレイングが非常に難しく、またコミュニケーションエラーが起こりやすいのも、今回に限り使わない理由の一つになりました。
リストはロンドンマリガンで勢力が伸びると予想して『トロン』と『ドレッジ』への対策を増やしました。サイドに《血染めの月》と《神々の憤怒》が1枚なのは対戦前リスト公開が関係していて、
実際のMCではこの情報が相手に伝わります。《血染めの月》や《神々の憤怒》はサイドにないとやりたい放題になってしまいますが、あると分かれば当然ケアされます。その状況下では複数枚取っても効力は薄いだろうと判断して最低枚数に抑えました。
対戦結果は...
R4『トロン 』◯◯
R5『イゼット・フェニックス』 ◯◯
R6『鱗親和』 ◯×◯
R7『ランタンコントロール』 ××
R8『ドレッジ』 ◯××
3勝2敗で初日トータル4勝4敗! ギリギリですが2日目に進出しました。
3. ー大会2日目ー
2ndドラフトは上家がパスカル・メイナード選手だったので思うようなピックができるか不安でしたが、『君はとりあえず青をやれ』と感じられる流し方だったので素直に従う恰好でスタート。最終的に低マナ域が少し不足するも、増殖シナジーが多めでこれまた悪くないデッキになりました。
1戦目は危なげなく勝利するも、2戦目の相手のデッキがプレインズウォーカーたくさんに《時の一掃》まで入った4色コントロールで完敗。なんとか勝ち越したい1勝1敗で迎えたのがパスカル・メイナード選手だったときは「オワタ」と思いましたが、パスカル選手の赤黒が少し事故り気味だったのでカードパワーを生かして押し込みなんとか勝利。
2ndドラフト2勝1敗のトータル6勝5敗で最後のモダン5回戦へ。
R12『トロン』 ××
R13『親和』(八十岡選手) ×◯◯
R14『ヒューマン』 ×◯◯
R15『イゼット・フェニックス』(アレン・ウー選手) ◯×◯
R16『グリクシスシャドウ』 ◯◯
八十岡さんと対戦できたことも光栄ではありましたが、海外でしかほとんどお目にかかれないという点ではプラチナレベル・プロのアレン・ウー選手と対戦できたこと、その同系での接戦を首の皮一枚で差し切って勝利できたことは本当に嬉しかったです。
アレン・ウー選手のことはマジック25周年プロツアーの優勝で知りました。彼が操る『デス&タックス』のプレイがあまりにも上手くて、画面越しにとても感動したのを覚えています。そんなプレイヤーと対戦できることは、この舞台の最大の魅力だと感じました。
【最終成績】
ドラフト 3勝3敗
構築 7勝3敗
トータル10勝6敗の96位。賞金$750とプロポイント6点を獲得。初めてのMCでしたが存分に楽しみつつ、十分な結果が残せてとても満足のいくものとなりました。
4. ーさいごにー
初めてのミシックチャンピオンシップは、初めての海外でロンドンマリガンでリスト公開で全パックPWの出るプレリドラフト...だったわけですが、思ったよりも「なんとかなる」というのが率直な感想でした。もしこれからMCを目指すにあたって不安のある方がいたら、これだけ初物に囲まれても大丈夫だったと伝えてあげたいですね。
終わってから振り返ると、あと1つどこかで勝てれば次回のMC権利獲得ではありましたが「またいつかこの舞台に立てるように頑張ろう」と思えたので、それはそれで良かったかなと感じています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。最後に、今回私をサポートしてくれた多くの仲間に心より感謝いたします。
それではまた。
斉田逸寛