こんにちは!BIGsの中道大輔です。
タイトルのとおり、先日行われたグランプリ・千葉2019で運良く優勝することが出来ました。
勝ち語りとなりますが優勝に至るまでの取り組み内容や、本戦の内容について解説していきますので、どうぞよろしくお願いします。
1.取り組み開始
・点数表
グランプリ千葉に向けて取り組みを開始したのは、フルスポイラーが出てセット内のカードがすべて判明した直後です。
個人的にではありますが、新セットのフルスポイラーが出ましたらまずドラフトにおけるカードの点数表を作成しています。
これには2点理由があり、
・カードの効果を理解すること
・コンバットトリックの把握
特にコンバットトリックの把握は重要で、この状況で何が飛んでくるかを理解せずにまんまと引っかかってしまい損してしまう事にもなりかねませんし、またはブラフをしてみて対戦相手にプレッシャーをかける事も出来ますので、絶対に把握しておきましょう。
点数表自体はとりあえずザックリ作る感じで、1~5の5段階で評価で分類します。
1 基本的に使わないカード
2 デッキに入らなくもないが弱いカード
3 弱くもなく強くもない普通のカード
4 かなり強くて色があっていればデッキに入るカード
5 強くて色の指針となるカード
例)
1 《法の定め》
2 《夜明けの司祭》
3 《グリフィンの歩哨》
4 《平和な心》
5 《群れの力、アジャニ》
・最強色、最弱色
次に、コモン・アンコモンにおける最強色・最弱色を把握していきます。
目安とはなりますが、先程付けた点数の平均値を出します。
平均値が高い程、強いカードが多い事になるので必然と強い色になりやすいというのが分かります。
私が付けた点数表の色平均の順位はこちらになりました。
コモン
1位 青
2位 黒
3位 白
4位 赤
5位 緑
アンコモン
1位 赤
2位 青
3位 白
4位 黒
5位 緑
コモンのトップは青で、《雲族の予見者》《北方の精霊》の強い飛行持ちが2種があり、
《金縛り》といった珍しくクセがない優秀な除去があるため強い色という評価になりました。
逆に緑はコモン・アンコモン共に最下位としました。
・各色に飛行持ちカードがかなりあり、到達持ちの蜘蛛達が無いとすぐに負けてしまう点。
・各色の除去が優秀で、大振りなクリーチャーはすぐに捌かれてしまう点。
・接死持ちやタフネスが大きいクリーチャーがそこそこ見受けられる点。
以上の理由から緑はあまり使いたくない色という判断を最初していました。
2.実戦練習
点数表作成により予備知識をまとめたところで、ドラフト実戦練習の開始です。
結局のところ実戦を多く行うことが一番理解に繋がると思います。
今回、お世話になりましたのは
・BIGs河浜さん主催の通称『ドラキチ合宿』で2日間
ドラキチ合宿とは?
森安元希 マジックエンジョイ 河浜 貴和主催『ドラキチ合宿』紹介
総勢約30名の凄腕プレイヤー達が集まりドラフトを行い続けます。
今回初めてドラキチ合宿に参加させて頂きましたが、みんな楽しく真剣にドラフトしていました。
合宿という言葉に相応しく、お手製のカレーの提供もあり美味しく楽しくドラフト出来ました。
また、合宿自体が終了してもそこで終わりという訳ではなく合宿で行われたドラフトの分析を行ってくれており、勝ち組・負け組の傾向やデッキ一覧などを有志がまとめています。
発売して間も無いのにこれだけのデータを受け取れる環境というのは中々ありません。
ドラキチ合宿記事『基本セット2020ドラフト』編(外部リンク)
ドラキチ合宿記事『M20ドラフト』②デッキ写真50枚!3勝に学ぶ、3敗に習う!(外部リンク)
・BIGs斉田さん主催のドラフト練習会で3日間
こちらもドラフト好きな面子が集まって、朝から晩までドラフト三昧です。
各ドラフト終了後にピックの検討会を行い、各カードの人気・不人気やなどの傾向について議論します。
ピックの検討方法についての詳細はこちらをご覧ください。
1日に3~4回程ドラフトを行い、環境の理解を深めていきました。
3.点数表の再検討
実戦練習後に最初に付けた点数表を見直していきます。
評価が変わったカードも多数あり、それに伴い色の評価基準も変更しました。
・色の評価
<検討前>
コモン
1位 青
2位 黒
3位 白
4位 赤
5位 緑
アンコモン
1位 赤
2位 青
3位 白
4位 黒
5位 緑
<検討後>
コモン
1位 青
2位 黒
3位 緑
4位 赤
5位 白
アンコモン
1位 赤
2位 緑
3位 青
4位 黒
5位 白
となりました。
変更点は白と緑の評価が逆転しています。
大きく評価が上がったのは緑で、
コモンでは下記の2種になります。
《シルバーバックの巫師》
《残忍な発動》
あまり強くないと思っていたのですが、使われてみるととても強かったので評価を上げてます。
アンコモンでも下記のカードは特に強くて勝利貢献度も高かったので好きなカードになりました。
逆に弱く評価した白は
コモン・アンコモン共に中途半端でゲームに勝利または戦況を有利に出来るくらいの強いカードが少なく、色の指標となるような所謂ボムカードは多くないという判断になりました。
そのため、
・白への参入基準が難しい
・白を始めたとしても途中でボムカードを拾える可能性が低い
また、上記を踏まえた上で白系デッキをドラフトしましたが一度も3-0することは出来ませんでした。
何か評価が他人とズレているのか、それとも単純に勝ち方が分かってないのか。
兎に角、私は「絶対に白はやらない」と誓いました。
こうした評価は、
他人のプレイを見たり聞いたり、意見を交換することで評価が上がったり下がったりした結果です。
実際に使ってみないと分からない事もありますし、他人と議論することも大事です。
また、練習の内に試せることはなんでも試しておくことをオススメします。
4.グランプリ1日目
散々練習したドラフトの成果を見せるためには初日のシールドを切り抜けなければなりません。
祈るような気持ちで6パック分のカードを受け取ると、それは1枚でゲーム勝てるような爆弾レアもほとんどなく、飛行もほとんどない...最悪と言っても過言ではないプールでした。
とりあえず見た瞬間に「サイドイベントのミシック予選は何時からだっけ?」と考えもしました。
とはいえ、とりあえずデッキを組まねば始まらないのでカードを並べていきます。
最終的に候補は2つに絞り、
コンバットトリックで押すしかない白緑
地べた這いずり回りビートダウン
唯一強力なレアである《朽ちゆくレギサウルス》を使用した黒緑
頼むぞ《朽ちゆくレギサウルス》!
パッと見では黒緑の方がカードパワーは高いと思いますが、メインデッキには白緑を選択しました。
少しでも早く決着を付ける事で、対戦相手のレアを無視出来る可能性がまだ高そうというのが選択理由です。
サイド後は
先手であれば白緑
後手 or 先手でも白緑では攻めきれないような相手であれば黒緑
を選択して軸をずらすことでなんとかするといった戦略を取りました。
R1 bye
R2 bye
R3 ⚪ 赤緑(炎の大口、ドラクセス)
R4 × 赤緑
R5 ⚪ 青緑(茨の騎兵)
R6 ⚪ 白青赤(群れの力、アジャニ、天空の刃、セファラ)
R7 ⚪ 青白飛行
R8 ⚪ 青赤緑(乱動の座、オムナス)
R9 ⚪ 青黒(裏切りの工作員)
当たり運が良かったのか対戦相手から出てくるレアも無事対処出来て、初日を8-1という好成績で乗り切ることができました。
2.グランプリ2日目
1stドラフトは5番卓。
ドラフトの1-1で運良く《目覚めた猛火、チャンドラ》を引けたので、そのまま赤路線を突き進み出来上がったデッキはなんと赤単!
R09 ⚪ 青緑
R10 ⚪ 青緑タッチ《目覚めた猛火、チャンドラ》
R11 ⚪ 白単
文句なしのパワーカードであるチャンドラが圧倒的な強さを見せて、戦場に出したゲームはすべて勝ちました。
無事、1stドラフトを3-0して、ここまでで11-1
2ndドラフト次第ではトップ8も狙える位置です。
そして、2ndドラフトは1番卓でフィーチャーテーブル。
1-1 《新米紅蓮術師、チャンドラ》
1-2 《大気の精霊》
と順調な滑り出しでしたが、
2~3パック目はかなり厳しめで大幅な強化は出来ず、少し中途半端なデッキとなりました。
1戦目はドラキチ合宿でも共にしたコジマさんの白緑でしたが、市川ユウキプロ曰く"デッキが宇宙一弱い"ため勝ち。
2戦目は島津さんの《血の取引者、ヴィリス》がフィニッシャーの青黒
テキストカバレージを書いて頂いていますのでこちらもご覧ください。
1ゲーム目に勝ちが確定している状態からミスを犯してしまいました。
対戦相手の残りライフが少ないが盤面は膠着している状態で、そのターン引いた《ゴブリンの密輸人》を出してすべてのクリーチャーで攻撃すれば勝っているところでしたが、その状況に気付かずに《ゴブリンの密輸人》の能力を使用しての1体のみの攻撃をしてしまいました。
返しに《涙の氾濫》を打たれてしまい危うく負けるところでした。
2ゲーム目も中々攻めきれず苦しんだもののなんとか勝利して13-1。
これにてミシックチャンピオンシップの権利を獲得することが出来ました。
3戦目は、同じドラフト卓内で2-0していた八十岡翔太さんと当たるはずであり、IDすることが出来れば13-1-1となりトップ8がほぼ確定すると思っていました。
しかし、次のペアリングが発表された瞬間、嫌な汗が流れました。
発表された対戦相手は12-2のHan, Bingさんだったからです。
後から理由を聞きましたが、マッチング自体はその卓内の勝ち数ではなく、全体の勝ち点(現状だと39点と同率の方と当たる)で決まるそうで、運悪く下当たりとなりました。
勿論、2敗のプレイヤーを相手にIDは出来る訳も無いので対戦するしかありません。
喜びも束の間、トップ8を賭けた真剣勝負が始まります。
対戦相手のデッキは攻撃的な赤緑デッキで、1ゲーム目は物量差とスピーディーな試合展開に為す術もなくやられ、2ゲーム目は対戦相手のマナトラブルに陥り勝ちましたが、問題は3ゲーム目。
《樹皮革のトロール》に《残忍な発動》が付いてしまい、対処可能なのはクリーチャーでブロックするかデッキに2枚入っている《金縛り》しかありません。
対戦相手の土地が全てタップされた状態で
こちらの土地は6枚、手札には《予期》《予言ダコ》。
冷静であれば《予期》からプレイし、回答である《金縛り》を探しにいくところですが何故か《予言ダコ》からプレイし、当然ライブラリーの上にあったのは欲しかった解答である《金縛り》...フルタップという千載一遇のチャンスを逃すことに。
「ミスしたら負ける」
当たり前の事なのですがこの時ばかりは運が味方し、すぐに相打ち可能な《炎の精霊》を引き、無事除去されなかったため膠着状態まで凌げました。
最後のターンも対戦相手に除去や《超克》を引かれたら負けるところでしたが無事引かれず勝利。
14-1と今度こそ間違いなくトップ8に残ることが出来ました。
R13 ⚪ 白緑
R14 ⚪ 青黒
R15 ⚪ 赤緑
悲願のグランプリトップ8を果たす事が出来てとても嬉しく、後ろから見ていたBIGs斉田君も祝福してくれました。
しかし、まだ終わりではなくここからが真に厳しい、トップ8ドラフトが残っています。
1-1《裏切りの工作員》と《発現する浅瀬》が同居しており、これらの中から《裏切りの工作員》をピックするのですが、下家の八十岡さんはカードパワーからおおよそ《発現する浅瀬》を取る可能性が高いと思われます。
そうなると協調するために青緑はあまり選択しない方が良いのではと青黒を中心にピックしよう...と思いましたが、練習時に青黒デッキで成功した経験がなく、あまりやりたいカラーリングとは思いませんでした。
出来れば青緑多色をやりたかったのです。
その選択が運良く実り、2-1で強力カードである《アーク弓のレインジャー、ビビアン》を引き、すんなりデッキに入れることが出来ました。
対戦の詳細はテキストカバレージがありますのでこちらからご覧ください。
準々決勝:中道 大輔(東京) vs. 細川 侑也(東京)~ビビアンっていうカード、強すぎない?~(外部リンク)
準決勝:Raoul Zimmermann(イングランド) vs. 中道 大輔(東京)~ピンチのピンチのピンチの連続そんなとき~(外部リンク)
決勝:鈴木 和茂(愛知) vs. 中道 大輔(東京)~選択の果てに~(外部リンク)
本当に運にも恵まれて優勝することが出来ました。
5.振り返ってみて
・練習は大事
今回の結果は、今まで以上に練習環境に恵まれたのが大きく、逆に練習なしに結果を残すのは難しいことなんだというのを改めて感じました。
・フィードバック
私の中で、今回のドラフト基準を明確に出来たのも勝因の一つかもしれません。
『白はやらない』という無茶な事ですが、自分の中で明確な結論を出せたのが大きいと感じてます。
6.終わりに
目標の一つであったグランプリトップ8、そしてそれを飛び越してグランプリ優勝を果たす事が出来てとても嬉しいという気持ちです。
ミシックチャンピオンシップ・リッチモンドの権利も獲得と、これまでにない充実した結果を残すことが出来ました。
今回、ドラフト練習に付き合って頂いた方や応援して頂いた方にはとても感謝しています。
またミシックチャンピオンシップ出場のチャンスを頂いたので、それに向けての練習も張り切っていきたいところです。
これからも良い結果を残せるよう頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。