禁止改定に伴うモダン・バーンの展望! ~【中級編】りゅうじ道場 ~

りゅうじ道場へようこそ! ここではマジック:ザ・ギャザリングの腕を磨きたい人に向け、幅広くプレイに関する情報を発信していきます。
記事ごとにレベル(初級・中級・上級など)を分けて解説していく予定です。


指南をしてくださるのは、BIG MAGICが誇るゴールドレベル・プレイヤーの村栄 龍司(むらえ りゅうじ)師範!
プロツアーでの10位入賞や、MOCS (Magic Online Championship Series) の参戦経験など、華々しい成績を記録しています。


「フライデー・ナイト・マジックでなかなか勝てない」「あと一歩でグランプリ二日目に出場できたのに......」と辛酸をなめたマジックプレイヤーの方々は、この記事を読んで上達の役に立てて見てはいかがでしょうか?


【モダン・バーン】


kuirodeck01 01.jpg


第1回はモダン環境における【バーン】デッキについてです。
なお、今回お話しする内容の多くはこちらの放送動画でもご鑑賞いただけますが、記事では放送内容を詳しく補足し説明しています。
(※動画は2019年8月26日発表の禁止改定前に放送されました。)


バーンとは、赤単色に近い構成をとり、優秀な小型クリーチャー(《ゴブリンの先達》など)と高効率な火力呪文(《稲妻》など)で対戦相手のライフを迅速に0にすることを目的に据えたデッキです。
デッキの強み、キープの基準などの詳細はこちらに詳しく記載されています。2016年の記事ですが、根幹に関する部分は2019年現在でも通用します。



【2019年8月時点でのバーンについて】


kuirodeck01 08.jpg※放送時のデッキリスト


2019年8月現在、禁止改定により、モダン・フォーマットは大きく環境を変えました。
大暴れしていた《甦る死滅都市、ホガーク》、《信仰無き物あさり》が禁止され、モダン制定当初から禁止カードだった《石鍛冶の神秘家》が解禁されました。


そんな中、バーンにおけるトピックスは以下の通りです。


・『モダンホライゾン』で優秀な新規カードが増加
・禁止改定による環境の変化


優秀な新規カードが増加


・新しい《地平線の梢/Horizon Canopy》サイクル土地(《灼陽大峡谷》《焦熱島嶼域》など)


灼陽大峡谷Sunbaked Canyon(MH1).jpg


マナを出すたびにライフを失う代わり、必要な時に新たなカードに変換できる土地サイクル。
2マナ以下の呪文がデッキの大半を占めるとともに、火力呪文のプレイ回数が重要なバーンにおいては、無視できない強化です。


欠点はマナを引き出す場合のダメージですが、バーンにおいては比較的軽量なデメリットと言えます。
相手のライフを狙うデッキの性質上ライフレースでは優位に立ちやすいので、自分のライフ損失が苦にならない事が多いのです。


上記の理由から《灼陽大峡谷》4枚に加え《焦熱島嶼域》を1枚使用していますが、5枚目は好みで構いません。


・《批判家刺殺


批判家刺殺.jpg


『ラヴニカの献身』で追加された新たな火力呪文です。《頭蓋割り》に替わって投入されています。
《頭蓋割り》と基本ダメージが同等でありながら、必要なマナが2から1に減少しています。軽くプレイできるようになったことにより、キル・ターンが1ターン早まりました。



2019年8月26日の禁止改定による影響


《甦る死滅都市、ホガーク》《信仰無き物あさり》の禁止、《石鍛冶の神秘家》の解禁により、今後のモダンの空模様は大荒れが予測されます。
そんな中、りゅうじ師範によれば、バーンにおいて以下のような予報が出ています。


りゅうじ師範「今回の禁止改定はバーン自体には全く影響がないものとなりましたが、《信仰無き物あさり》の禁止でモダン環境で一番不利だったドレッジをはじめとした環境の高速デッキが多数弱体化したことにより、中速のフェアデッキが勢力を増してくるのではないでしょうか。その分《石鍛冶の神秘家》デッキが大流行すればバーンにとっては風向きが少し悪くなりそうだなと感じています


まずはアーティファクトにはしっかり対処できるようなサイドボードを作りたいですね。
とりあえずは《石鍛冶の神秘家》デッキとそれを無視しやすい土地コンボ系のデッキにサイドボードを割きましょう。」



サイドボードについて


メインボードにおける大きな変化は《灼陽大峡谷》と《批判家刺殺》。一方、サイドボードにおいて重要なのは《コーの火歩き》です。


コーの火歩き.jpg


バーン同型戦を始めとした赤いデッキに対して優位を築く強力な一枚です。枚数をとることで、赤系デッキへの勝率が明確に変わります。


また、《流刑への道》は1枚の価値が高いカードです。基本的にライフに関与しないカードを使用したくないデッキですが、火力呪文で対処できないクリーチャーにも対応できるためです。
(例:【人間】デッキの《オーリオックのチャンピオン》)


その他のサイドボードは1枚のみの採用が多いですが、あくまで同じ役割を持っているものを複数採用しています。
(例:クリーチャーデッキ対策となる4枚目の《焼尽の猛火》と《渋面の溶岩使い》)
安らかなる眠り》は墓地デッキが大きく弱体化したいまはもうサイドボードに必要無いかもしれません。




デッキリスト・サイドボードにおける質問


放送時にあったデッキリストに関する質問について、ご紹介します。



Q. サイドアウトしやすいカードはなんですか?


A.りゅうじ師範「《ゴブリンの先達》と《溶岩の撃ち込み》です」



(補足:《ゴブリンの先達》は攻撃を止められやすい上、対戦相手に土地を与えます。サイドボード後は対戦相手が除去呪文でキープする可能性が高くなることを考えても、サイドアウトしやすいカードです。
溶岩の撃ち込み》はプレイヤーにしか飛ばない火力呪文であることが減点対象です。サイドボード後は対戦相手のクリーチャーを除去したい場面が多くなるので、盤面に干渉したいマッチアップでは《溶岩の撃ち込み》はサイドアウトしやすくなります)



Q. サイドチェンジの際、先手・後手の違いで土地の枚数を調整しますか?


A.りゅうじ師範「しません。初手に必ず2枚は欲しく、《灼陽大峡谷》のおかげでマナフラッドの受けもできています。」



 



Q. 《虚空の杯》は効きますか?


A.りゅうじ師範「もちろん辛いですが、点数でみたマナコストが1マナの呪文は合計で18枚なので、それ以外の呪文で戦える場合もあります」



補足:《批判家刺殺》や《裂け目の稲妻》等は1マナで唱えられるが点数で見たマナコストは3なので《虚空の杯》X=1の影響を受けません。噛み合いはありますが、完全に機能不全に陥らずに勝てる事もあります。
また、1マナの《ゴブリンの先達》《溶岩の撃ち込み》はサイドアウトしやすいため、サイドチェンジ後も影響は少ないです。)



Q. 《舞台照らし》はどうですか?


A. りゅうじ師範「キル・ターンを早めたいデッキの性質上《舞台照らし》を唱えるタイミングは基本的に火力呪文を使った方が強いので、採用していません」




Q. 《大歓楽の幻霊》が3枚の理由は?


A.りゅうじ師範「《批判家刺殺》で早まったキル・ターンを早めるため、《欠片の飛来》を入れたくて削りました。また、後手で弱い点も減量の理由です」



 土地1枚でのキープに関して


放送中にも「土地1枚でのキープの基準は?」という質問がありました。1マナで使用できる呪文が25枚前後投入されるバーンでは、土地1枚でのキープを選択する場合もあります。
しかしながら、りゅうじ師範の結論は「基本的にしないほうが良い」というものです。



りゅうじ師範「3ターン以内に土地を1枚引けば勝てる手札であればキープしましょう。目安としては1マナの呪文が5枚程度です」



1マナの火力呪文は基本的に3点分の換算です。5枚=15点分の火力が初手にある場合、対戦相手がフェッチ・ランドやショック・ランドからダメージを喰らう可能性を考え、3ターン以内に土地を1枚(あるいは1マナの火力呪文)引けば、20点を削り切れる可能性は十分あると言えます。


例として、放送中、師範は以下のような手札をキープしました。


バーン 土地1キープ.PNG


《ゴブリンの先達》は火力としては4点換算。1マナの呪文だけでも16点分、《山》1枚引けば《ボロスの魔除け》が追加されて20点分です。


ただし、これは後手でのキープです。「3ターン以内に土地を引く」という条件には、1ターン目にドローができるか否かも強く関わってきますので、りゅうじ師範いわく「土地1枚でキープする場合はまず後手」とのこと。


ただし、《批判家刺殺》は1マナでプレイできるとは限りませんし、《裂け目の稲妻》は点火までに時間がかかります。《ゴブリンの先達》や《僧院の速槍》が複数枚あっても、ブロッカーがいては火力換算できません。
さらに1ターンに1枚ずつ火力呪文をプレイするということは、速いデッキの優位性を完全に失っています。簡潔に言うと土地1枚では火力を使い切れずに負けます。
実際にバーンをプレイする場合は、各カードの特性によく注意してキープをしましょう。迷ったら「基本的にしないほうが良い」という師範の言葉を思い出してください。



禁止改定後のデッキリスト


kuiro02 02.png


禁止改定後の環境を踏まえたデッキリストを掲載します。
大筋は変わっていませんが、《二股の稲妻》やサイドボードの火力は青白をはじめとした石鍛冶デッキを強く意識しました。



主要デッキへのサイドボーディング


最後に、モダン環境の主要デッキに対するサイドボーディング例を紹介します。


【バーン】同型


in
2《流刑への道/Path to Exile》
2《コーの火歩き/Kor Firewalker》
2《頭蓋割り/Skullcrack》
1《焼尽の猛火/Searing Blaze》
1《灼熱の血/Searing Blood》


out
3《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》
4《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
1《批判家刺殺/Skewer the Critics》


【エルドラージ・トロン】


in
2《粉々/Smash to Smithereens》
2《削剥/Abrade》
2《流刑への道/Path to Exile》
2《極上の炎技/Exquisite Firecraft》


out
(先手時)
3《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》
3《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
2《二股の稲妻/Forked Bolt》

(後手時)
4《ゴブリンの先達/Goblin Guide》
2《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》
2《二股の稲妻/Forked Bolt》


【トロン】


in
2《頭蓋割り/Skullcrack》
2《粉々/Smash to Smithereens》
1《流刑への道/Path to Exile》


out
3《焼尽の猛火/Searing Blaze》
(先手時)
2《稲妻のらせん/Lightning Helix》
(後手時)
2《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》


【人間】


in
2《流刑への道/Path to Exile》
1《焼尽の猛火/Searing Blaze》
1《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
1《極上の炎技/Exquisite Firecraft》
1《灼熱の血/Searing Blood》


out
4《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
2《批判家刺殺/Skewer the Critics》


【ウルザ・ソプター】


in
2《粉々/Smash to Smithereens》
2《削剥/Abrade》
2《流刑への道/Path to Exile》
2《極上の炎技/Exquisite Firecraft》


out
4《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
2《焼尽の猛火/Searing Blaze》
2《批判家刺殺/Skewer the Critics》


【ジャンド】


in
2《頭蓋割り/Skullcrack》
2《流刑への道/Path to Exile》
2《極上の炎技/Exquisite Firecraft》
1《焼尽の猛火/Searing Blaze》


out
先手
4《批判家刺殺/Skewer the Critics》
(先手時)
2《二股の稲妻/Forked Bolt》
2《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
(後手時)
4《ゴブリンの先達/Goblin Guide》



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