Text by まよ
みなさん、こんにちは!
まよです。
前回の記事、多くの方に読んでいただけたようで、とても嬉しいです。
ありがとうございます。
皆さんの周りに1人でも多くのマジック・プレイヤーが増えますように!
さて、話は変わりまして前回の記事で、こんな文節を書きました。
『各店舗やコミュニティでのハウスルールというものもあるかと思います。
スムーズな運営やプレイヤー間の円満な関係のためにそういったものを設けることは否定しません。
ただし、あなたの大切な仲間やコミュニティを守るために、本来のルールとハウスルールとはそれぞれ別のものとして、必ず説明しましょう。』
"そのコミュニティだけのローカルルール(ハウスルール)と、大会で採用されている公式ルールは別ものですよ"という話です。
でも実際、「どこまでがハウスルールで、どこからが公式ルールなのか」って、不慣れなプレイヤーはどうやって区別したら良いでしょうか。
というわけで今回は普段のコミュニティから出て、『はじめましてのかたとマジックをするときに気をつけたいこと7か条』―...もっと短く『あなたを守る七つの約束』をみなさんにお話させていただきたいと思います。
これまではハウスルールで友達と遊んできたけれど、そろそろ競技大会に出てみようという方に向けて掘り下げている部分もありますが、
店舗大会に出慣れてきた方でも見落としているところがあるルールがあるかもしれませんので、ご一読して再確認していただければありがたいです。
あなたの身を守るために
マジック:ザ・ギャザリングには公式に『ジャッジ』という資格・制度・スタッフが存在します。
スポーツで言うところの、審判・レフェリーに近いものですね。
マジックという複雑なゲームをプレイする上で、適切な進行を手助けしてくれます。
正しいルールで健全なマジックをプレイする上で、欠かせない存在ですね。
そしてジャッジのみなさんは、あなたと同じようにマジックを楽しみたい!という気持ちでマジックに携わっている方々です。
公平で中立な立場にある彼らは常にあなただけを一方的に擁護してくれる、というわけではありません。
あなたと対戦相手、イベントに参加しているすべての方に対して、公平であろうとしてくれます。
そしてジャッジは規則に則り、「誰かの行為がルールに反していると判断した場合」には然るべきペナルティを与えます。
このとき、あなたがハウスルールと公式ルールの境目を理解していなかったがために、不本意なペナルティを与えられてしまうこともあるかもしれません。
これは不幸な事故ではありますが、知らなかったと言えば許されるのでは公平な試合になりませんので、ペナルティを与えざるを得ないのです。
ルールというのは、あなた自身が正しくマジックをプレイし、相手にとっても公平で健全なゲームになるように定められているものです。
知らなかったあなたを陥れようとする悪意あるものではありません。
ルールについて正しい知識を持つことで、あなたがプレイするゲームの進行を守ることができ、マジックを楽しむことにもつながります。
ですので、是非一度あなた自身が認識しているルールが本当に公式のものなのかどうか。ハウスルールと混同していないかどうか、振り返ってみてください。
またも暑苦しいお話から始まってしまいましたが、次項からルールの話に移りたいと思います。
これだけは覚えておいてほしい!
まずは『あなたを守る七つの約束』を一気に書き出します。
他にも細かいルールは本当にたくさんありますが、『絶対に覚えてほしいこと』や『守ってほしいこと』として、挙げておきます。
一.ゲームの勝敗はマジックでしか決めてはいけない
二.ゲームの開始時とゲーム中に必要なシャッフルをする
三.自分が今したいことを正確に伝える
四.お互いのライフはメモを取る
五.タップ・アンタップ状態を確実に視認出来るようにする
六.用語を言い換えない
七.正々堂々気持ちのよいプレイをする
直感的に分かりやすいものも、分かりにくいものもあるかもしれません。
一つ一つ説明していきましょう。長くなりますが、お付き合い下さい。
一.ゲームの勝敗はマジックでしか決めてはいけない
"ゲームの勝ち敗けをマジック以外の方法では決めてはいけない"というルールがあります。
代表的なものは、別のゲームでの決定の禁止ですね。じゃんけんやダイスの出目の大小などです。
大きいものでもう1つ、いわゆる買収行為も完全に禁止されています。
「後で配布される賞品の分配を条件に、勝ちをゆずってもらった」というようなものです。
これらは大会の規模の大小や、賞品・賞金の高さに関わりません。
友達同士で「夕飯奢るから」とかも、ダメです。
そしてさらに、こうした行為が成立するかどうかの前に、『提案すること』も『見過ごすこと』もアウトです。
万が一、対戦相手からこうした提案をされた場合や隣の卓でそうした話が進んでいる場合には、必ずジャッジを呼んでください。
お互いが合意の上での引き分け(IDと呼ばれるものです)の話し合いがつかなかったり、予定が詰まっていて時間がなかったりするときでも
「ダイスで決めよう」と言うのではなく、マジックをプレイするか、そうでなければ自分の意思で棄権するかを選びましょう。
※シングルエリミネーションのあるトーナメントでは賞品の分配に関して例外が存在しますが、その場合ジャッジからの説明があります。
二.ゲームの開始時とゲーム中に必要なシャッフルをする
マジックでは必ずゲーム開始時に自分のライブラリーをシャッフルし、対戦相手にもそれをシャッフルをしてもらう必要があります。
そしてそれらのシャッフルは、無作為かつ2種類以上の方法を組み合わせて行う必要があります。
相手が気の知れた友人だからといっても、省略することは出来ません。
あわせて、次のようなテキストが効果の一文として書かれたカードを見たことはないでしょうか。
「あなたのライブラリーを切り直す。」
ライブラリーの中身をみて何かを探したりするカードに付随していることが多いですね。
このテキストの意味は 『シャッフルをしてください』ということです。
そしてそれはつまり、あなた自身がシャッフルをするだけではなく『対戦相手にも同様にシャッフルをしてもらう』ということでもあります。
これらを怠ってしまうと、必要な無作為性が欠けているとして、公平で健全なゲームではないと判断されてしまいます。どんなゲームでも必ず行いましょう。
こちらも普段のフリープレイなどでは省略しがちな部分(特に対戦相手へのシャッフルの依頼)となりますので、公式のトーナメントに出る際には意識してシャッフルを心がけてください。
『シャッフル(切り直す)は自分と相手が行うことが一連の動作』であると覚えておくと良いでしょう。
では一般的なカードのシャッフルを挙げてみましょう。
①.ディール(パイル)シャッフル
②.ファロー(コンバイン)シャッフル
③.ヒンズーシャッフル
④.リフルシャッフル
基本的には、これらの中から2種類以上を組み合わせたシャッフルを行います。
それぞれのシャッフルの説明は以下のとおりです。
①.ディール(パイル)シャッフル
カードを1枚ずつ配るように複数の山に切り分けるシャッフルです。
"何山切り"という言い方もされます。
簡単ですが、時間がかかる上に無作為化の効果が低いため推奨されていません。
2017年9月現在、マジックでは通常のシャッフルには不向きとして『ゲーム開始時に1回だけ行っても良い』と制限されているほどです。
素早く枚数を数える上では非常に有効な手段のため、ゲーム開始時にデッキ枚数が正しいかの確認のためにこの1回を必ず行うプレイヤーも少なくありません。
しかしながら、やはりシャッフルとしてはあまりお勧めの方法ではありません。
これを行う際にはこれを含む3種類のシャッフルをすることで、相手への誠意あるプレイとなるでしょう。
②.ファロー(コンバイン)シャッフル
山札を大きく2つにわけ、片方の山にもう片方の山を横から差し込んでいくシャッフルです。
こちらはマジックにおいては、よく見かけることになるシャッフルかと思います。
手元を見ながら丁度半分にして行うのでは、無作為化されているように見えません。
お勧めなのは下記の画像のように行うことです。
山札を見ずに分けることで半分ではなく適当に分けることができ、より無作為化に近づきます。
手元を見なければうまく挟みこめないという方は、差し込む瞬間だけ手元を軽く見るようにしましょう。
この際にも勿論、カードの表面が見えないような視線の移動をしてください。
基本的に、ライブラリーをシャッフルしているときに手元をじっと見つめることは辞めましょう。
どんなカードがどんな順番で入っているのかを見ようとしていると受け取られかねません。
相手のライブラリーはもちろん、自分の場合でも順番操作が疑われます。
③.ヒンズーシャッフル
トランプなどを遊ぶときによく見る、一般的にシャッフルと呼ばれる方法ですね。
ザックリいうと山札を片手で持って、もう片方の手で前後に数枚ずつ抜き差しする方法です。
こちらも手元を見ていると無作為化出来ているかの判断が客観的に難しくなります。
なるべく手元から目線をはずして行ってください。
山札が厚くまとめて持つことが出来ない場合は最初から2つに分けましょう。
1つずつシャッフルしてから、あとでまとめれば問題ありません。
無理に1束にまとめてシャッフルしてこぼすことは、出来るだけ繰り返さないようにしましょう。
※オーバーハンドシャッフルやモンジーンシャッフルも類似のシャッフル方法で、左右に数枚ずつ抜き差しするイメージです。
④.リフルシャッフル
日本のマジック・プレイヤーでは使う方があまり多くない印象のあるシャッフルです。
海外の選手などは、この方法でシャッフルしているところをプロシーンなどでも見かけます。
シャッフルをする側も、される側も、カードを傷めてしまうからいやだ、という方もいらっしゃるかと思います。
これはリフルシャッフルがシャッフルのなかでも要求される技術が一番高いとされ、不完全な方法ではカードに反りがつきやすいことが原因です。
リフルシャッフルに慣れている方でも、自分の山札を混ぜるときには使用するけれど、対戦相手の山札には使用しない。という方もいらっしゃいます。
※1 一部にはショットガンシャッフルと呼ばれる方もいますが、誤用とされています。
※2 シャッフルの方法はこれらの他にもいくつかありますが、ウォッシュシャッフル(麻雀の洗牌のようにテーブルに広げてかきまぜるシャッフル)など、マジックには不向きなものも少なくありません。
また単純なカット(山札を2つに分けて上下を入れ替える)は、シャッフルの1種類にカウントするには不十分です。
私自身はイベントに出る際には、最近はヒンズーシャッフルとファローシャッフルの組み合わせが多いです。
三.自分が今したいことを正確に伝える
カードゲームはコミュニケーションのひとつです。
マジックも例外ではありません。
マジックはターン進行のゲームですが、ステップやフェイズ、優先権の移行などかなり細かい区分けがされています。
その細かいタイミング1つで大きく結果が変わる場合も多くあります。
自分がしたいことと動きたいタイミングは、必ず正確に相手に伝えましょう。
■能力が誘発するタイミング
■フェイズ、ステップが移行するタイミング
■起動型能力を使用したいタイミング
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これらは自分のプレイや勝敗に直結する情報のため、宣言を躊躇するといったこともあまりないかもしれません。
けれど初めてお会いした方に力強く宣言することが難しいという方もいらっしゃると思います。
うまく伝えられないことで後々トラブルに発展するのは、自分も相手もいやな思いをしてしまうことになるので、頑張って宣言するようにしましょう。
また対戦相手の方が宣言したことに対して必要以上のリアクションをすることも出来るだけ避けましょう。
対戦相手の方にも宣言をする権利があるので、それを脅かしたり不快にさせたりするような行為はペナルティの対象となります。(威圧的な対応、恫喝など)
カードや能力のプレイではないところで、伝えたいことや確認したいことが出てくることもあるかもしれません。
■対戦相手のカードが他言語だったり見た事がないものだから、正式なテキストを確認したい
■手札の枚数が何枚あるか知りたい
■かなりの長考をしていて制限時間が差し迫っている
などなどです。
もちろん相手に不快な思いをさせないというのを念頭に置いた上で、これらのことを尋ねることや伝えること自体に問題はまったくありません。
直接的ではないものの、プレイや勝敗につながってくるものです。スムーズで気持ちのいいゲームにするためにも、プレイヤーには対戦相手に声をかける権利があります。
この項目は、最も『ジャッジを呼ぶ』という行為につながってくるものです。
ゲームの進行に支障が出ていると判断した場合は、ジャッジを呼んで公平な判断をしてもらいましょう。
勿論その場合、ジャッジの方にも『自分が今していたことを正確に伝える』必要があります。
ジャッジの方はあせらずともきちんと状況を各々に聞いてくださいますし、その分ゲームの進行が止まってしまった時間は延長時間として確保されるので安心しましょう。まずは落ち着いて、ありのままのことを伝えるように。
誰に対してでも、あなたが今したいことやしたことを伝えるということは、ゲームにおいてとても重要なものになります。意識的に心がけていきましょう。
四.お互いのライフはメモを取る
今、あなたがお友達とプレイするときにライフの管理はどのように行っていますか?
現在ではスマートフォンのアプリでもライフ管理が可能であったり、古き良きそろばんタイプや手動のカウンターもあります。
しかしこれでは、今までにあなたが何点のダメージをどうやって受けてきたのかを正しく遡ることが出来ません。
往々にしてライフの数値が対戦相手と認識が異なってしまったときは、その地点ではなく、それより前の出来事が原因です。
現時点のスコアだけを示すものものでは、そうした場合に正確な判断がしにくくなります。
ライフメモと呼ばれているメモ帳は、ほとんどのカードショップで購入することができます。
コンビニで販売しているメモノートでも構いませんが、それらより少しだけスコアの表記がしやすくなっています。
価格は100円程度からが一般的です。
誤記・詐称を防ぐためにボールペンでしっかりと記録をし、自分と対戦相手の方のライフをどちらも記録するようにしましょう。
ライフがなくなったらゲームに敗北してしまうわけですから、これもまたあなたの身と健全なゲームの進行を守るために必要なことなのです。
いずれかのプレイヤーのライフが変動したら、声に出して自分と相手が今何点だと思っているのかを確認することも心がけてください。
『そちら19点、こちら20点で間違いないですか』程度で構いませんので、伝えるようにしましょう。
ボールペンは結果記入用紙に記入する際にも必要なので、セットで持ち歩きましょう。
五.タップ・アンタップ状態を確実に視認出来るようにする
コンバット(攻撃宣言)をするときや、能力のコストでパーマネントをタップしたとき、しっかりとパーマネントを横向きにしていますか?
これで分かるだろうとおもって軽く斜めにする程度で済ませていませんか?
少し言葉がキツいかもしれませんが、対戦相手とあなたはテレパシーで交信できるわけではありません。
またジェスチャーだけでは伝わらないことも多々あります。
特に現在のスタンダードでは見た目では使用の判断の有無がつかない『督励』というキーワード能力がありますし、
逆に昔から基本的なキーワード能力にあたる『警戒』を持つ場合は、しっかりと口頭での攻撃宣言が必要です。
パーマネントの状態を示しつつ口頭でもしっかりと宣言することを意識しましょう。
六.用語を言い換えない
世界には、マジック以外にもたくさんのカードゲームがあります。
それぞれのゲームに独特の用語があり、結果として指す意味が同じだったとしてもそういった言葉を使うことはコミュニケーションエラーの原因となりがちです。
あなたが過去に、または現在もやっているゲームを否定するわけではありません。
自分の主観で同じことを意味するからと違う用語で説明するのは、違うニュアンスで伝わりがちになってしまうことは覚えておきましょう。
具体的によく聞いたり使われている、マジック用語ではない用語の例を挙げてみました。
■召喚・コール
■転生・蘇生
■チェーン
■タイミングを逃す
■ガード
■クラン
■攻撃力・防御力・シールド・HP
■退却
■スタンド
■アンコール
■裁く
これらはマジックのプレイにおいては異なる意味であったり、まったく伝わらない言葉となってしまいます。
自分が示そうとしている現象をなんといったらいいのか、周りのご友人やジャッジの方に確認の意味でも聞いてみましょう。
逆もまた然りで、マジック暦の長い方だと当たり前に使っている俗語も多数存在します。
以前廃語になった用語や昔のカードがそのまま口語として残っていることもあります。
有名なもので言えば「ダメラン」「パワー9」「ラスゴ」「ボブ」などは、効果の似ているカード全般がそう呼ばれたりもします。
特定のカードを指すのであれば、より細分化されて「おにぎり」「江村」「高層ビル」「腹パン」などなどなど...。
当たり前のように使っている俗語も、伝える相手が変われば暗号です。
コミュニケーションエラーを避けるためにも、イベントの最中はなるべく使わないように、正式な用語・カード名の宣言を心がけましょう。
七.正々堂々気持ちのよいプレイをする
この項目は"『知らなかった』に備えて"といったような部分とは少し外れる部分となります。
ここまでの項目で何度か出てきたように、カードゲームはコミュニケーションありきです。
対戦相手に対して誠意ある対応を心がけましょう。
友人間ではいわゆる『煽り』のような掛け合いも多くみられるかと思います。
しかし、目の前にいる方は『はじめまして』なのです。
仲良くなりたいという気持ちはわかりますが、まずは礼儀正しく接することを心がけましょう。
カードゲームという枠に限らず、対人同士のコミュニケーションとして当たり前のことではありますが、以下のような行為は絶対にやめましょう。
・舌打ちをする
・大声で威圧する
・相手のカードを乱暴に扱う
・カードや戦術を否定する
・公開しなければならない情報を隠そうとする
・マッチ終了時に必要以上に相手を質問攻めにする
・言葉遣いや身だしなみを気に掛けない
内容や対応策は人それぞれです。
そして全ての項目において年齢や性別は関係ありません。
あなたと相手が楽しくマジックをするためにできる努力は出来るだけしていくようにしましょう。
最後に
各項目、ざっくりとした説明となってしまいましたが、みなさんいかがでしたでしょうか。
今回は「ハウスルールにはどんなものがあるのか」というよりも、イベントに参加する為の準備部分を中心とした話とさせていただきました。
私もこの記事を書くにあたり、友人たちに経験談を聞いてみたり、自分の過去の行動や失敗談を振り返ってみました。
今回の記事がみなさんの競技大会への参加を促し、ひいてはマジックを楽しむための助けとなれば幸いです。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!!!
レッツ エンジョイ マジック !!!!!
まよ