1. 自己紹介
初めまして、BIGs所属プレイヤーの松原一郎と申します。2016年度からBIGsに所属させて頂いて、現在2年目のプレイヤーになります。
ちなみに、直近のモダンのGP神戸は初日落ちしました。全然勝てていません。
今回はGPマニラに参加してきたレポートということで、なんか戦果があったの?と思った方にはすみませんが・・・BIGsとして唯一のGPマニラ参加者ということで、レポートを書かせていただく運びとなりました。
やばいやばいと言われていたマニラ、折角行くヤツがいるならどうせならレポがあった方が良いんじゃないかということですね。
結果はすでに皆さん知っていらっしゃるかとは思いますが、日本から玉田遼一選手がTOP8に入り、そして初のGP優勝!!(本当におめでとうございます)。
優勝直後の写真撮影での素敵な笑顔が印象的でした。それともう一つ、BM所属プロの井上徹選手が今回の獲得ポイントでゴールドレベルが確定!!(こちらも本当におめでとうございます)。
GPの主要な出来事は以上です。なので、これはただの旅日記のようなものですが、お付き合い頂ければ幸いです。
2.僕がGPマニラに行く理由
この2年間は国内・アジア圏までの海外GPを中心に活動するも全くPT参加権利を取れず、という体たらくぶり。
そして5月はGP北京があったのですが、スケジュール上参加できず。
モダンのGP神戸は2敗で収まる気が全くせず。「流石に何とかせんとなあ」と思って海外GPスケジュールを確認し「マニラ、行こうかな」と思ったのがたしか今年の3月頃。
海外遠征は、だいたい河浜君など他BIGsメンバーと同行しており、今回も誰かいるかなと思って、BIGs数名・他数名でたまたま人数が集まった飲み会でまわりに声をかけたら、
みんな「行くわけないじゃん。危ないし。大丈夫??」
「えっ・・・・(1人??)」
み、みんな~~~。マニラは情勢が安定しておらず、トラブルリスクも高い為回避するとのこと。どうしよう・・・と思いましたが、一応その場にいた人皆に聞いてみたところ、
市川プロ「わい、行く予定やけど??」
うおおおおおお!いました!多少のリスクなどものともせずマニラに遠征する猛者が!
さすがは天下の武蔵、Team Cygamesの市川ユウキさん!
もし同行して頂けるなら一人旅にはならなさそうですが、やっぱり不安な気持ちもあり。
ちなみに別で遠征しそうな他のBIGs数名に行くかどうか確認したら、大体皆おんなじようなリアクションで、誰も行かないことが判明。一層不安な気持ちにもなりましたが、PT権利はどうしても欲しいので、腹を括って市川プロにお願いしたところ、
「じゃあ、いくか~~」という感じでOKをもらったので、無事同行して頂けることに。
3. デッキの準備
GPマニラのフォーマットはスタンダード。『アモンケット』の発売を経て、マニラまでのスタンの主要な大会は、まず5月2週目のPT『アモンケット』。
そして、その翌週のGPモントリオールとサンティアゴです。なので、そこからが準備期間となりました。
結果は、「霊気池デッキ」大流行。
PT後、2つのGPを「ティムール霊気池」が制し、完全にメタゲームの中心に。GPマニラでは恐らく激しくメタられると予想し、その他デッキから候補を探しました。「黒単ゾンビ」、「マルドゥ機体」、「緑黒昂揚」、「青赤コントロール」等が入賞する中、最初に注目したデッキはこちらのIgnazio Saezさんの「赤緑エネルギーアグロ」。
大好きな《栄光をもたらすもの》を使いたかった、というのが個人的な理由ですが、ちゃんとした理由もあります。
対『霊気池デッキ』戦では《緑地帯の暴れ者》、《牙長獣の仔》といった《蓄霊稲妻》で捌き辛い高タフネスクリーチャーが活躍し、サイドボード後もタフネス4の《ラスヌーのヘリオン》が圧倒的速度で押し込みます。また、その他クリーチャーデッキには《栄光をもたらすもの》、《不屈の神ロナス》&《逆毛ハイドラ》で強い盤面を作れます。
と、いいところを述べれば『何か強そう』と感じたかもしれませんが、実際にMOで回すと相当マナフラッドし、かといって土地要素を減らすと今度は3マナで止まったりして、ミッドレンジデッキなのでそうなると当然手も足も出ず。
GP神戸のモダンと並行して1週間合間を縫って調整し、暗礁に乗り上げたのが出発週の月曜日。デッキどうしようと思ってMOPTQのリストを見てみると、優勝したのは「ティムールミッドレンジ」。このデッキは対「霊気池デッキ」用にメインから3枚《否認》、さらにサイドに3枚《儀礼的拒否》という徹底ぶり。早速リーグで試し、感触が良ければこれでと思いつつも結果は、
大量のカウンターを採っても「霊気池」には勝てない。
そりゃデッキの中身を知らなければ、《否認》も《儀礼的拒否》も突き刺さるでしょうが、相手も知ってて当たり前。そもそも《霊気地の驚異》側はサイド後、枚数を減らして《不屈の追跡者》などで殴りつつ《天才の片鱗》で揺さぶってきます。3・4リーグほど回した結果、厳しいという感触で挫折。もう悩める日数もありません。
すでに環境には《呪文捕らえ》を使ったデッキも現れ、「メタられている事を知った上で使ってもよいのか」最後に試しておこうと思い、時々使ってはいたTeam Cygames製の「ティムール霊気池」デッキを元にMOリーグへ。
結果は、4-1、5-0。
前環境で同デッキをさんざん回した経験もあり、ウラモグ神への忠誠度も高くデッキはブン回り。どんなピンチな状況でもウラモグが全て解決。結局移動日前日の木曜日、「ティムール霊気池」を使用することに決定。その後、細部を考えつつ思いました。「もう祈るしかない」。
4. 移動日、そして
準備、というにはお粗末過ぎる数日を経て、いよいよ移動日の6/2金曜日当日。
朝起きると何やら異変が・・・マニラの空港付近のカジノで銃乱射事件があった、テロかも知れないなどの情報があり、主催者のChain Linksも突然公式twitterアカウントを設けて緊急アナウンスする状況。
一部プロでも出場回避する程に不安定なマニラ情勢、恐るべし・・・
Dear Players
We will be making an announcement later the day regarding the Grand Prix.
We thank you for your kind understanding.#gpmanila
-- CL Events (@CL_EventsGP) 2017年6月1日
出発は15時、現在朝の8時。前日入りした人は既に現地に。僕より早い便のマニラ遠征組は空港に。
現状、飛行機は飛んではいるが、GP開催自体なくなる可能性もという未体験ゾーンへ。
出発まで時間のあった僕は家で状況を追っていましたが、便の時間が迫ってきた人は、あるかどうかも分からないGPのため出発へ。一体どうなってしまうのか。
数時間後、再度アナウンスがあり
GP Manila will be still be ongoing ! Additional safety measure is in place, so do enjoy an amazing Magic weekend ! #gpmanila
-- CL Events (@CL_EventsGP) 2017年6月2日
幸い、と言うべきかどうか分かりませんが、GP自体は警備を強化して開催されるとのこと。
「すでにこの一連がAmazingやん」と思いつつ、空港へと向かい市川プロと合流。不安な気持ちはありますが、「まー死んだら死んだ時やろ」と、空港で飯を食っていざ出発へ。
5. 現地着
とはいえ、もちろん出来る限りのリスクは避けたいものです。4時間程の飛行機で無事にマニラに到着、空港からの移動はお薦めしてもらったUberを使用しました。
初めて使いましたが、使い方は簡単で、「①行先を入力、②自分の現在地近くのポイントを指定する、③位置情報を元に近くの登録車両が来てくれる」というものです。
支払いもクレジットカードを登録して、そこから引き落としなので、海外あるあるのタクシーぼったくりも発生しません。ちなみにアプリ使用中の画面はこんな感じです。
(画像は手配した車がこちらに向かっているところです)
移動中もアプリ画面でルートと現在地を常に確認できるので、かなり安心です。ホテルに到着しチェックインへ。
フィリピンは英語が第二公用語というだけあって、タクシーもホテルも英語で会話が通じました。出国前はいろいろありましたが、現地に着いてからは全く問題もなく無事部屋に到着して一安心。
ホテルはこんな感じです。
ホテルで小休止し、晩ご飯へ。ホテルの向かいにショッピングモールがあったので、その中で探しました。ちょうど良さそうな感じの中華料理屋が見つかり、そこに決定。
(小籠包。横に説明書きがあり、画像で見て一番下から上に向け風味が強くなっています)
味もサービスもとても良く、ラーメン頼んだら向こうで取り分けまでしてくれまさに至れり尽くせり。食事を終え、部屋で最後のデッキ調整へ。
市川プロも「ティムール霊気池」を使用するとのことで、デッキについて細かく相談させて頂き、デッキリストを提出。
《守られた霊気泥棒》のメイン採用や、《木端+微塵》の採用などリストの特徴的な部分は「ビートが多いだろうから、そこにしっかり勝てるように。」また、《否認》については「2枚引いたら絶対負けるマッチが存在するから、メインは1枚が限界」という市川プロの意見をもらっての決定です。
これ程この人とマジックについて話をしたのはいつぶりだろうと思い返してみると、自分の初めてのPTアトランタ以来で、懐かしい思いと、その後の自分との間にある大きな差について改めて思い返したりして、就寝。
6. GP本戦へ
いよいよ当日です。出発前にホテルで朝食。
(朝食はビュッフェでした。)
ホテルから会場までは、出て真っ直ぐ歩くだけという最高のロケーションですぐに会場着。
入口では、セキュリティーチェックがあり手荷物検査もしっかりしていました。
(このドラムスティックみたいな棒で手荷物を探られます。ゲートを越えたところのもう一人がボディーチェックをします。)
警備員の横の注意書き、よく見ると、
(銃火器禁止、と書いてあります)
本戦会場はエスカレーターで上がってすぐのホール。入り口では《栄光をもたらすもの》が。
会場の中はこんな感じです。
2byeが明け、いよいよ本戦へ。
使用デッキ「ティムール霊気池」
結果は、
R3 『ティムール霊気池』〇〇
R4 『ティムール霊気池』×〇〇
R5 『青赤コントロール』×〇〇
R6 『ティムール霊気池』××
R7 『ティムールアグロ』〇〇
R8 『ティムール霊気池』〇××
R9 『エスパー機体』×〇×
6-3・・・
R6は1本目ダブマリしたところに、相手に《霊気池の驚異》起動から《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を即捲られて負け。2本目は中盤ひたすら土地とウラモグしか引けず燻り、相手に《天才の片鱗》を3連打されつつクロックと《霊気池》まで出されてなすすべもなし。
R8は2本目《導路の召使い》2体と《見捨てられた神々の神殿》経由で相手の《ウラモグ》素出しが早まり負け。3本目は4ターン目に《ならず者の精製屋》を出した返しに、相手にエネルギーが足りない状態で《霊気池の驚異》を設置され、こちらは《造反者の解放》がなく、その後《霊気池の驚異》が動き出して負け。
そして、R9は相性の悪い《呪文捕らえ》を使うデッキ。3本目の最終ターン、お互い場のクリーチャーなし、8マナ残りライフ3の状態でこちらはエンド。
そこで相手は《屑鉄場のたかり屋》を場に戻し、残りは1マナ。そこでそのまま相手にターンを渡してしまい、《奔流の機械巨人》を《金属の叱責》され、続けて手から打った《蓄霊稲妻》も《呪文捕らえ》されて負け。
相手が《屑鉄場のたかり屋》を戻したとこで動けば良いものを・・・ゲーム中《否認》、《呪文捕らえ》に意識が向きすぎて、1本目に見ていたのに《金属の叱責》の存在を忘れていたというとんでもない凡ミスで3敗目。
このまま本戦を続けても意味ないので(自分はプロツアーの権利を獲得したいため)、参加費2000ペソ(約4400円)を払い翌日のPTQにエントリー。明日はシールドです。
7. PTQ
参加人数の関係で、今回は7回戦のスイスラウンド、その後TOP8ドラフトとのこと。シールドデッキは緑黒タッチ赤になりました。
明らかに弱そう・・・。ですが今日勝てればPTです。つまり、とにかく頑張るしかありません。
1回戦 赤白 〇××
1本目は相手の色事故で勝つも、
2本目、3本目は《栄光半ばの修練者》、《威厳あるカラカル》が全く触れず負け。
2回戦 赤黒 ××
《血怒りの喧嘩屋》、《アン一門の壊し屋》、こちらがようやく出した3マナ圏に《マグマのしぶき》。まさに秒殺。
こんなん無理っす・・・。
というわけで0-2終了。
8. GPを終えて
というわけで、なんの成果もなく僕のGPマニラは終了しました。
懸念だった現地の状況については、空港・ホテル・会場の移動のみであれば、特に危ないところもなく無事だったためその点は良かったです。
ただ肝心の本戦については、「ティムール霊気地」は対同型かこちらをメタったデッキしかない、というフィールドで、リストを共有して頂いた市川プロですら、3bye込みで初日7-2、トータル10-5の戦績というのもかなり厳しく。
自身の6-3というのもしょうもない負け方もありましたが、仕方のないラインです。この結果は、調整期間・過程によるところもかなり大きく、スケジュールも込みで今後改めてしっかり考えようと思った次第です。
次回の海外遠征予定は未定ですが、次はGP京都に参加予定です。大したプレーヤーじゃありませんが、お会いしたり対戦した際はよろしくお願いします。
それではまた。