BIGs 加藤健介のRPTQレポート&使用デッキ解説(青白セカンドサン)

皆様、初めまして。BIGsの加藤健介と申します。


「年に1回プロツアーに行く」ことを目標として、関東を中心に活動している社会人プレイヤーです。BIGs入りしてしばらく経ちますが、こういった形で皆様にご挨拶させていただく機会は初めてですので、自己紹介させていただきました。以後、お見知りおきください。


 


この度、先日のプロツアー地域予選(以下RPTQ)にて7位入賞し、運良くプロツアーの権利を獲得することができました。本稿では今回の使用デッキである「青白セカンドサン(副陽の接近)」を選択するに至った経緯及び簡単なデッキ解説と、RPTQでの対戦レポートをお届けさせていただきます。


 


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Chapter1.デッキ選択までの経緯


今回の参加権利は前回「PT破滅の刻」のRPTQを突破した際に発生した権利であり、


最近PPTQ参加から遠ざかっている私にとって、今後競技マジックを続けていく上でここはなんとしても掴みたいチャンスでした。


 


ちなみに、「PT破滅の刻」では運良くドラフトラウンドで5-1と健闘するも、構築ラウンドで4-6と成績が振るわず目標としていた11-5以上での次回PT権利獲得には届きませんでした。不振に終わったスタンダードの練習は急務でありながらも、どこから手を付けて良いやら分からないといった状況。


 


とても自分一人だけの力ではどうにもできないと悟った私は・・・仲間を呼んだ!


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この呼び掛けに応えてくれたのが


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川崎彗太:シルバーレベルプロにしてBIG MAGIC所属プロ、詳しくはコチラ


松本友樹:同じくシルバーレベルプロにしてBIG MAGIC所属プロ、放送でもお馴染み


簗瀬要:ブロンズレベルプロ 2017年にBIGsに新加入


高尾翔太:ブロンズレベルプロ 遊々亭所属プレイヤー GP上位入賞多数のデッキビルダー  


加茂里樹:ブロンズレベルプロ GP北京2017TOP8入賞 リミテッド実力者であり遊々亭ライターとしても活躍


伊藤大明:ブロンズレベルプロ 第2回BMOレガシー優勝 GP静岡2017春TOP8入賞 ブラマスの愛称で知られる


の6名(敬称略、順不同)。


※画像の一部はMAGIC: THE GATHERING公式サイトから引用しました。


 


いずれも前回のプロツアーに参加している、実力派の頼れるメンバーです。


平日になかなか練習時間の割けない私にとって、最新のMO事情やリアルでのフィードバックをくれる彼らは非常に頼もしく有難い存在でした。


 


日々、MOでの5-0リストを中心に検討するも「ラムナプ・レッド」、「黒単ゾンビ」といったTier1複数に有利のつくソリューションデッキ探しは難航。対策されてもなお強い「ラムナプ・レッド」か「黒単ゾンビ」がベストデッキに近く、これらを調整して使うしかないかと半ば観念していました。そんな中、簗瀬君が共有してくれた1つのリストに目が留まります。



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それがこの「青白セカンドサン」です。デッキ自体は既に広く知られていましたが、このリストは一般的なリストに各4枚積まれている《神聖な協力》と《霊気溶融》のディスシナジーが解消されており興味を惹かれました。※実は個人的に《副陽の接近》というカードは好きで、いつか構築で機会があれば使いたいと思っていました(ひそかに注目カードに選んでいました)。
MO上では非常に安価に組めることもあり、一応触っておこうかといった軽い気持ちでMOリーグにジョイン。プレイ前はさすがに《副陽の接近》4枚はやりすぎではないのかと思いつつも、実際にMOで試してみると5-0こそできないものの4-1と3-2を繰り返し好感触。また、マジックを始めた時に好きだった「全体除去」、「カウンター」、「ライフゲイン」が詰まったデッキとしてノスタルジーを感じてしまい、妙にお気に入りに。


 


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これだけだといわゆる「情」の選択なのですが、少し冷静になって現状の仮想敵との相性を考えてみると、「黒単ゾンビ」、「BG系」、「ティムールエネルギー」には4枚積みの《燻蒸》により高いメインの勝率を誇り、「ラムナプ・レッド」に対してもサイドボードの《領事の権限》が劇的に効くこともあり、マッチ全体で考えると若干有利と意外と悪くはなさそうです。


 


しかしながら相性が悪いマッチも存在し、《燻蒸》が機能し辛い「マルドゥ機体」には練習段階ではほとんど勝つことができませんでした。また、《世界を壊すもの》、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》によって土地と置物破壊を得意とする「ランプ」も苦手な相手です。これらは多少のサイドボードでは相性の改善が期待できず、勝算はかなり薄いです。ですが、これらのデッキは「ラムナプ・レッド」に対して不利であることからトーナメントを勝ち進む中で淘汰され、最初の数ラウンドを凌げば実際に当たる可能性は低いと判断し、最もデッキの地力が高い「ラムナプ・レッド」と共にデッキ選択の最終候補に残りました。


 


そしてRPTQ前日の夜、


理の「ラムナプ・レッド」と情の「青白セカンドサン」の2択で悩んだ私は、


過去運良く勝てた時にどういう基準でデッキを選択していたのかを思い出しました。


 


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という訳で使用デッキは「青白セカンドサン」に決定。マジックは「情」


 


※結局、調整メンバーはほぼ全員が違うデッキでRPTQに参加していますが、とても有意義な情報交換ができたことを非常に感謝しています。


 


 


Chapter2.「青白セカンドサン」デッキ解説


「青白セカンドサン」の特徴おさらい


・昨今のスタンダードではかなり珍しいノンクリーチャーデッキ


・《副陽の接近》という干渉しづらい特殊な勝利手段をとるため一切攻めることなく勝利することができる


・《燻蒸》を4枚積んでいるため横並びのクリーチャーデッキ全般に強い


・一般的なデッキで通常8枚前後積まれている除去をメインで全て腐らすことができる


・《停滞の罠》や《排斥》を多数積んでおりパーマネント対処能力が高い


・構造的な有利不利の相性が強く出るためメタゲームの立ち位置が非常に重要


・全体的に重いアクションが多く、手数の多いデッキ相手には《燻蒸》頼みになりがち


・《失われた遺産》という「通したら負ける」レベルの致命的なカードが存在する


・そのためサイドボード後はクリーチャーを投入しベーシックな青白コントロールとして振る舞うことも多い。


 


さて、おさらいをしたところで今回のリストがこちらです。


 


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 ※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。



 


 


一般的なリストとの相違点


【4枚積みの《副陽の接近》】


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このデッキの最速勝利パターンは7ターン目と8ターン目に連続して《副陽の接近》を唱えて勝つことであり、そのベストムーブを目指すことを重視した構成になっています。3枚以上引いてしまうと基本的には無駄カードになってしまいますが、後述の《農場+市場》の《市場》面でのルーティングによる逃げ道は一応存在します。


 


【1枚挿しの《農場+市場》】


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最初は《停滞の罠》が4枚でしたが、白白のシンボルが3ターン目に確保できないことがあり、シンボルの薄いアクションが欲しかった点とフラッシュバックによってデッキに埋めた《副陽の接近》を掘りにいける点を評価して採用しています。使用感はかなり良好で、もう1枚《停滞の罠》と入れ替えてもよいかもしれません。


 


【《霊気溶融》の不採用】


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弱いカードではないのですが、《神聖な協力》との相性の悪さは明白です。前述の通り試していて非常にストレスを感じたので不採用。これによって「マルドゥ機体」には更に弱くなっているので、今後「マルドゥ機体」が多いと考えるのであれば再度採用することも考えられます。


 


【サイドボードに軸ずらし用の勝ち手段である《奔流の機械巨人》や《保護者、リンヴァーラ》の不採用】 


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《奔流の機械巨人》や《保護者、リンヴァーラ》は強力なカードですが、あくまでクリーチャーであるため勝ち手段としてはそこまで信頼できるものではありません。サイドボード後も相手のアウトしきれなかった除去に当たったり、そもそもサイドプランが読まれると除去を残されたりするので、サイドボード後も《副陽の接近》で勝つというプランは基本的には変更しない方が良い、というのが私の考えです。《終止符のスフィンクス》に関しても殴って勝つフィニッシャーとしてではなく、突破困難なブロッカーとしての役割とソーサリーがカウンターされなくなる能力を目当てとして採用しています。


 


 


このリストを見せるとよく聞かれるのが下記の質問です。


《失われた遺産》で《副陽の接近》を抜かれたらどうするの?


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基本的には投了です(笑)。ただ、RPTQ時点では《失われた遺産》が黒系デッキのサイドボードに確実に採用されていたわけではなく、入って1枚・多くて2枚というのが一般的でした。そもそもサイドボードに入っているか分からず、仮に唱えられてもカウンターで対処できる場合もあります。幸い黒系デッキとのメインボードでの相性は良いので一度見るまでは過剰なケアはしないと割り切ってRPTQには臨みました。今後、このデッキが増えた場合、サイドボードに《失われた遺産》を見かけることも増えると思います。ですがその場合、《王神の贈り物》デッキに効果的な《没収》を入れづらくなるため、対策側としては難しい選択となり、結局は多くても2枚程度に抑えられると予想しています。


 


今回のサイドボードに関して


8/20時点でのRPTQという、メタが比較的読みやすい特定のタイミングに絞って組んでるため今後メタが動いた後の大会に出るのであれば再考をオススメします。ですので、マッチアップごとのインアウトは本稿では掲載しません。時間が無くて面倒臭いからではありません、本当です、嘘じゃないです。
ひとつポイントを挙げるとすればサイドボード時に《副陽の接近》を減らす場合でも2枚程度は残しておくことを推奨します。


 


Chapter3.RPTQレポート


今回のRPTQより94人以上集まった会場では上位8人にプロツアーの権利が与えられ、前回のようなTOP8決定後のシングルエリミネーション1回戦をやる必要がなくなるという、大規模RPTQに参加するプレイヤーにとっては非常に嬉しい制度変更がありました。
これにより関西のプレイヤーも東京に流れてくることが予想され、94人は余裕で達成するかと思われた東京会場ですが、受付終了間際ではなんと93人・・・でしたが、間際にギリギリ94人参加を達成して8人抜けの非常に期待値の高い大会に。この時点ではまさか自分がこの恩恵にあずかることになるとは、予想していませんでした。


PT権利獲得の期待に胸を膨らませ、いざRPTQスタートです。


 



R1.マルドゥ機体 ×〇×


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なんと一回戦から相性の悪い「マルドゥ機体」とのマッチ・・・。しかも、その対戦相手が前回のRPTQの決勝ドラフトで対戦したイトウ ミズキさんでした。


1ターン目に《模範的な造り手》を出された時は、苦笑いと共に「これは、終わったな」と思ったのをよく覚えています。メインをあっさり落とし、G2に相手の土地事故で1本拾った最終戦、《威厳あるカラカル》を2体連打し、前回のRPTQのゲームを再現しつつ一筋の光明が見えたかに思えましたが、サイド後に残っていた《無許可の分解》にて対処され、何か運命的なものを感じつつ前回のリベンジを果たされてしまいました。


 


この時点では「なんか今日はツイてないな。きっとダメだな」と感じていましたが、振り返って今思えばこの負けによって肩の荷が下りたようで、以降の対戦は非常にリラックスした状態で臨めました。


 



R2.BGエネルギーアグロ 〇×〇


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R3.ラムナプレッド 〇〇


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R4.ティムールエネルギー ×〇〇


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R5.ラムナプレッド 〇〇



怒涛の仮想敵4連戦。そうそう、こういうのを期待していました。まさに目論見通りです(適当)。仮想敵とはいえ、RPTQに参加しているプレイヤーは強豪揃いなので気を抜けるマッチは1つとしてありませんでしたが、相手の土地事故やラムナプレッド相手に絶望的なはずのメインを2本とるなど、幸運に恵まれ4-1まで持ち直して望みを繋げます。


 



R6.青白王神 〇〇


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MOで対戦した限りでは若干有利と感じているマッチアップです。《王神の贈り物》に対して《排斥》という完璧な回答をもっているため、最速で動かれなければ相手を捌きながら2回《副陽の接近》を唱える方が早いです。1G目は《至高の意志》の《衝動》モードで見た4枚の中に《副陽の接近》が無ければ負けという状況まで追いつめられるも、最後の4枚目に発見し劇的勝利。2G目は《副陽の接近》を唱えた後にどうやって耐えようか考えていたらうっかり2枚目を引いてそのまま勝利。《副陽の接近》が4枚積みで良かったと感じた瞬間です。


 



R7.ランプ ID


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初戦負けの割にはオポが高く、幸運にもIDすることができました。後ほど対戦相手の方のデッキリストを確認してみるとメインから《世界を壊すもの》が4枚積まれており、プレイすれば敗北必至のマッチでした。IDに漕ぎつけることができたのは8人抜けでなければ起こり得なかったことなので、制度変更と94人目の参加者に救われた格好になりました。


 



最終結果は5-1-1の7位にて権利獲得


kksecound sun 21.jpg※画像はプロツアー『イクサラン』地域予選in東京カバレージから引用しました。


 


※同じ調整チームの高尾君はオリジナルの赤黒ビートダウンを使用し「5-0-2」と圧倒的な強さで一足先に権利を獲得していました。


 


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振り返りと検証


当日のトップ16までのデッキ分布をみると、赤単系(赤黒含む)4名、BG系(スゥルタイ含む)4名、ティムール3名、機体2名、ランプ2名、青白1名と青白(私)視点では約7割の相手に有利が取れるメタゲーム上では良い立ち位置だったことが分かります。その反面、残りの3割が相当に厳しい相手だったことを考えると、当たり運にも恵まれたというのが率直な感想です。


 


Chapter4.今後の「青白セカンドサン」の立ち位置について


 毎週末メタが移り変わり、今一番面白いフォーマットと言っても過言ではないスタンダードですが、今週末から3週連続でスタンダードの大型イベントが続きます。「第9期スタンダード神挑戦者決定戦(8/27)」「破滅の刻 環境名人戦(9/2)」「日本選手権2017(9/9-10)」


本稿掲載時点ではGPデンバーでの結果を受け、ティムールエネルギーが流行の兆しをみせています。サイドボード後の《否認》をどう捌くかという問題はありますが、相性はマッチ通して若干有利ですので、このデッキの立ち位置としては悪くなさそうです。ただ、「青白セカンドサン」自体は対策されると途端に勝てなくなる類のデッキであることは事実なので、メタゲームの流れをよく読んだ上で持ち込むことをお勧めします。今回は青白の2色構成ですが、色を足すなどデッキの伸びしろはかなり残っていると感じています。《副陽の接近》さえ入っていればあとは好きに組むことができるので、オリジナルデッキに挑戦してみるのも良いかもしれませんね。コントロールフリークの方は是非《副陽の接近》で太陽を2度掲げましょう!


 



Chapter5.終わりに


 さて、おかげさまで前回に続いて今回のRPTQでもPT権利獲得(2回連続)という最高の成果を出すことができました。この結果は自分一人では到底辿り着くことのできなかったものであり、調整メンバーの6名と最後の調整に付き合ってくれたBIGsの斉田君には本当に感謝しています。今回の「PTイクサラン」への出場は仕事の都合もあり出場できるかどうかは現状五分五分といった状況ですが、行けるのであれば十分な準備をして臨みたいと思います。


 


最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。


ご意見、ご感想などありましたらこちらまでお願いします。


 


それではまた、どこかのトーナメント会場でお会いしましょう!


 


                                    以上


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