こんにちは、加茂です。
今回はレガシーの赤単プリズンの使い方の記事になります。今回のこの記事を書こうと思ったのは以下の理由からです。
1、チーム戦であるGP京都での練習で赤単プリズンの経験値を沢山得ていたこと
2、GP京都のチームメイトであるBIG MAGIC契約プロの井上徹君とジョニーのお店でスポンサードされている高尾翔太君がGPシアトル(レガシーとスタンのダブルGP)で使用するレガシーデッキを探しており、二人のためにデッキガイドを作ってあげていたら、思っていたより捗ってしまい一本の記事にできる量のものになったためです(正直)。そして二人とも好成績を残せたからです。
よって、今回の記事のほとんどの部分は井上君と高尾君へ送ったデッキガイドの原文を少し修正したもの+今までの成績や調整歴を載せています。
1、赤単プリズンって?
《血染めの月》や《虚空の杯》を最序盤から展開して対戦相手のデッキを機能不全にさせて、そのまま押し勝つデッキです。
正直、このデッキはあまり人気のあるデッキではないです。何故かというとプレイの介入要素が極端に低く、自分も相手もあまり楽しくないというデッキだからです。
じゃあ、何故二人にこのデッキを勧めたのか?そもそも何で使おうと思ったのか?という話になりますけど、このデッキを選んだ理由は3つあります。
■一つ目:このデッキでは圧倒的にプレイングよりも知識の量が重視されるため
プレイング<<<<<知識の量
レガシーでの経験が浅くても、セオリーやキープ基準、サイドボーディングについて理解し、適正なプランをとれば簡単に高い勝率を叩き出すことができたからです。
メインボードに入っているカードの意味とサイドボードを理解できれば、普段レガシーを全くしてない人でも勝つことができるので、僕らにはうってつけのデッキでした。
■ニつ目:メタゲーム上の位置の良さ
現在のトップメタであるグリクシスデルバーに非常に有利が付き、
多く のアーキタイプがあるレガシーにおいて、ほぼ全てのデッキに即勝ちに繋がるカードが大量に採用されているからで す。
環境のベストデッキ達を粉々に粉砕できます。
■三つ目:安定性の高さ
この手の1枚のカードで対戦相手を一撃で沈めるデッキは基本的に安定性が低いという印象が強く、よく打ち消されたら負け~みたいな初動にオールインしたデッキと思われていますが、そんなことはないです。
(ここで言う安定性は毎回ゲームがきちんとできるということではなく、相手とのゲームに勝利するということです)
初動を《意志の力》で打ち消されたとしても、ニの矢、三の矢があり、1枚でも通るとそのままゲームに勝つことも多いです。
押し付けが余りにも強力なので、相手が損をしながら対応するので、普通にハメパターンを経由しなくてもゲームに勝つこともあります。
最初は僕自身半信半疑で上振れしただけだと思っていましたが、回数を重ねても高い勝率を維持していました。
論より証拠
上記で安定性、簡単に回せると言葉で説明したものの、実際のデータがなければ信用ならないものでもあります。そこで、僕らが「赤単プリズン」を回した際の成績を記載しておきます。
これはデッキの調整を始めた最初の頃から本番までの成績です。
赤単プリズン全戦績
MOリーグ:30勝15敗 勝率66%
GP京都前のイベント:35勝9敗(デッキシェアした人と二人合わせて7大会分) 勝率79%
GP京都:9勝4敗(ドロップ) 勝率69%
GPシアトル
井上 9勝3敗 勝率76%(3bye含まず)
高尾 10勝3敗 勝率77%(2bye含まず)
トータル93勝30敗 勝率75.60%でした。
対トップメタの戦績(※ここのデータは3人分でなく自分のだけ)
デルバー系(ほぼグリデル)
19勝5敗
4Cレオヴォルド
7勝3敗
ミラクル
2勝2敗
普段は勝率のデータはあまり参考にしないのですが、チーム戦で弱いデッキを持ち込んで迷惑かけたくないし、使っている人のバイアスがかかりやすそうなデッキだと判断していたので毎回きちんとデータをとっていたら、とんでもなく勝てていました。
これだけ数をこなして、かつ使用するプレイヤーも違うのに勝率75%は無茶苦茶高い。
しかも僕も井上君も高尾君もレガシーを普段1ミリもしないのにこの成績を出せたというのは、本当にデッキが単純に強い証明になりました。
彼らはGPシアトルで初回しだったのに、二人とも3敗で耐えてプロポイントと賞金を得ることが出来ていたので、デッキガイドを書いた甲斐がありました。
またトップメタの2種にはかなり相性がいいことも実績で証明できました。GPシアトルに行った二人もデルバー系は一番多く当たって1回しか負けなかったそうです。
さて、ここからはそのデッキガイドになります。最初に書いた通り、二人に渡したほぼ原文になります。そのためカード名の略称なんかも含まれていますが、有名なカードばかりなので問題ないかなと思い、そのままにしてあります。あらかじめご了承ください。
・赤単プリズンガイド
キープ基準はかなり個人差がでるし状況を選ぶので、メインのカードの採用理由を理解した上でサイドプランとゲームプランを考えた方が早いから飛行機の中ででも読んでね。あと1人回しくらいはして欲しい。
《血染めの月》のルールはしっかり確認しておくように!あと《虚空の杯》の誘発もしっかりと。
1、デッキリスト 採用理由
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
明確に理由を付けながら調整していった結果、このリストに落ち着いた。途中かなり既存のものと変更箇所があったが一周して戻ってきた感はある。
ほとんど既存のデッキと変わらないが、この微妙な変更箇所はかなり重要だと思ってる。
・《山》と《冠雪の山》枚数の比率
ミラクルが使用してくる《予報》をできるだけ躱せるように2種類に分けている。《山》と《冠雪の山》が半々でないのは対戦相手が両方の土地を既に見てる場合においてもほぼ《山》を指定してくるためである。
完全に心理的な話だけど、実際《冠雪の山》を指定されたことはない。まぁここは深く掘り下げる必要もないか。
《槌のコス》を採用するなら奥義を《真髄の針》等で止められにくくなるため、半々がいい。
・《ピア・ナラーとキラン・ナラー》これ要る?
最後まで余ったフリースロット枠。《火炎舌のカヴー》や《槌のコス》、《紅蓮の達人チャンドラ》と色々試行錯誤した結果、一番良いと感じた。
トップメタのレオヴォルドとデルバーには良く効く。というのは盤面を面で抑えられるので除去に強く、デルバーなどのクロックを即座に受けることができるためだ。カバーできる範囲に除去耐性の強さもあることが決め手になった。
複数枚入れているリストもあるが、2枚以上引くとプレイ出来ないしダブルシンボルは意外と厳しいため1枚に抑えてある。
またエルフなどには悠長すぎて間に合わない場合が多いので注意。
・《罠の橋》の枚数は?
適正枚数は2~3。そもそもこのデッキでハメるパターンに《罠の橋》を含んではいけない。
複数引くと手札を消化できず足を引っ張り合う上に《金属モックス》での刻印もできない。初手にもほとんどの相手に必要ない。
《罠の橋》を4枚採用することは、勝ちまでの道と色マナを阻害する。2枚貼って《死儀礼のシャーマン》1枚に負けることだってザラにある。《精神を刻む者、ジェイス》や《ヴェールのリリアナ》の前にも無力である。
例えば初手にあって1T目に出せて、後続は《熱烈の神ハゾレト》と除去とかいう手札でキープするのか?という話。
正直2枚でもいいくらいだが、通ってしまった《真の名の宿敵》や《若き紅蓮術士》などを止める活躍をするので蓋の役割といった感じ。
ただメインのスニーク相手には置けば勝ちなので、そこは考えておきたい。
・《焦熱の合流点》の適正枚数?なんで《削剥》?
《焦熱の合流点》はほとんどの場合、《金属モックス》の餌か全体除去での運用になる。勿論、ハメパターンのあとは本体に投げれるし丸いカードである。
実際4枚のリストはかなり見るが、2~3枚でも問題ない。そもそもダブルシンボルのカードは増やしたくないし、4マナのカードがこのデッキには既に多いので事故の原因になりやすい。
PWやクリーチャーを処理するために~という話もあるが、その場合ってそもそも大筋なハメパターンから抜け出されていることが前提になっているので、このカードをプレイしたとしても負けることが多い。
また《血染めの月》を盤面に着地をさせた状態で先に出た対戦相手の《死儀礼のシャーマン》や《秘密を掘り下げる者》に対してもかなり弱い。《血染めの月》が置いてあることで、合流点をプレイするターンは通常よりも1~2T遅れる。
その間に《死儀礼のシャーマン》や《秘密を掘り下げる者》がゲームに与える影響は大きく、ライフを致死圏まで持っていかれたりマナを供給されて盤面を作られる。要はハメパターンの阻害にもなるし、相手に抜け出す機会を与えやすいカードになっている。
勿論、利点もある。エルフやヤンパイのような面で押される展開になった時はこのカードは刺さる。しかし、そんなケースよりも勝てたはずのゲームを取りこぼすことが多かったので枚数を減らした。
よくサイドボードに入っているカード。よくサイドインするし、採用理由を考えていたら普通にメインがいいという判断になった。
理由は先程言った通り、《死儀礼のシャーマン》や《秘密を掘り下げる者》を早いターンに処理することができることが第一に挙げられるが、《トレストの使者、レオヴォルド》の処理やデスタクの《霊気の薬瓶》にもかなり有効でチャリスや月でロックした後に薬瓶から出てくるのを防ぐことが出来る。
デルバー戦では2T目に山、2マナランドから《削剥》で《目くらまし》を躱しながらプレイすることが出来るのも強みである。また、《梅澤の十手》や《殴打頭蓋》などのアーティファクトを割ることも多い。
マーベリックは《緑の太陽の頂点》から《ガドック・ティーグ》をキャストしてくるので《削剥》がないと除去れない。ガドックは天敵で《罠の橋》や月でハメたとしても、チャリスや4マナ以上のスペルが手札にたまって最終的に負ける。
後述するが、サイド後のエルドラージ戦での負け筋となる《漸増爆弾》を早く処理できるのもいい。《血染めの月》を置いた後でも《焦熱の合流点》と違いすぐにプレイすることが可能である。
簡単にまとめると、大振りなアクションが多いこのデッキにおいて、こういった軽く幅が広いアクションで相手をいなすことが出来ることは非常に重要となってくる。よってメインボードには2枚採用することになった。
・《三なる宝球》はメインサイド2枚でいいの?
2枚以上引くと効果がない上にターンが経過する毎に効果は薄まっていくので2枚がちょうど良かった。
ANTに対して有効だが基本的に茶色の置物は全て《ハーキルの召還術》で戻されてコンボを開始されるので沢山とることはあまりいい選択ではない。
4枚入っているリストもあるが、リスクはかなり高い。メタゲームが偏らない限り、そんなスペースはメインにもサイドにもないと考えてる。
2、不利なデッキ
有利なデッキがかなり多いので環境にそこそこいる不利なデッキを羅列。これを使う時点でもっともっと不利なデッキあるよって事態になっていたら素直に使うのをやめよう!
・ミラクル
基本土地が多く、ハメパターンから抜け出しやすい。デッキがバレてなければメインはとりやすい。
・オムニテル
噛み合いで勝てることはあるが、ほとんどカードが刺さりにくく、こちらは相手を妨害できない。明確に不利。
・スニーク
オムニテルと違ってクリーチャーを経由するので《罠の橋》で勝てることもある。
・ドレッジ
メインは《罠の橋》を引いた上で手札を消化できるかどうかにほぼ全てかかっている。初動が並以下だと負ける。
3、サイドボードプラン
★ゲームの鍵
■注意すること
・グリクシスデルバー
★《血染めの月》・《虚空の杯》
■《真の名の宿敵》・《若き紅蓮術士》
サイド後は消耗戦になりやすい。1ターン目から決めにいく必要もあまりない、マリガンすることがかなりハイリスクになるので緩くキープしていい。(こちらの7枚キープは相手に《意志の力》キープを強制させやすい)
先手
IN
1《特務魔道士ヤヤ・バラード》
1《速製職人の反逆者》
1《コジレックの帰還》
OUT
1《罠の橋》
2《ゴブリンの熟練扇動者》
後手
IN
1《特務魔道士ヤヤ・バラード》
1《速製職人の反逆者》
2《コジレックの帰還》
OUT
2《ゴブリンの熟練扇動者》
1《三なる宝球》
1《月の大魔術師》
・4Cレオヴォルド
★消耗戦・ロックを抜けられやすい
■《ヴェールのリリアナ》・《精神を刻む者、ジェイス》・《破滅的な行為》
サイド後はほぼ消耗戦になる。基本土地も多くとられているのでハメを抜けられやすい。極力カウンターを打たれないように動くことと、《ゴブリンの熟練扇動者》を《瞬唱の魔道士》で取られないようにする。《熱烈の神ハゾレト》が勝負を決めやすいが《悪魔の布告》、《ヴェールのリリアナ》に注意。ゴブリン一匹とて無駄に出来ない。(《悪意の大梟》に突っ込むのも考えて)
IN
2《魔術遠眼鏡》
1《特務魔道士ヤヤ・バラード》
1《速製職人の反逆者》
1《紅蓮破》
OUT
3《罠の橋》
2《三なる宝球》
・URデルバー
★《虚空の杯》・ライフ維持
■《若き紅蓮術士》
絵に書いたような展開になるので、特になし。
IN
2《コジレックの帰還》
2《瘡蓋族の狂戦士》
1《罠の橋》
1《特務魔道士ヤヤ・バラード》
1《速製職人の反逆者》
1《紅蓮破》
OUT
4《月の大魔術師》
4《血染めの月》
・エルドラージ
★《血染めの月》
■《漸増爆弾》《四肢切断》《全ては塵》《歩行バリスタ》《終末を招くもの》が負け筋になる。
《金属モックス》は《漸増爆弾》と《虚空の杯》からケアしてね
意外に負けうるので負け筋をひたすら潰すプランを目指す。必ず《血染めの月》キープをしたい。
IN
2《魔術遠眼鏡》
1《罠の橋》
1《特務魔道士ヤヤ・バラード》
1《速製職人の反逆者》
1《瘡蓋族の狂戦士》
OUT
4《虚空の杯》
2《三なる宝球》
・ミラクル
★《虚空の杯》
■《精神を刻む者、ジェイス》・《アズカンタの探索》
消耗戦。《対抗呪文》を簡単にプレイさせないように動いて。カウンターを使わせて《猿人の指導霊》で殴り勝つプランも考慮して戦って(ほぼ通るし、かなりダメージ稼げる)。
IN
3《瘡蓋族の狂戦士》
2《魔術遠眼鏡》
1《特務魔道士ヤヤ・バラード》
1《紅蓮破》
1《速製職人の反逆者》
OUT
4《血染めの月》
3《罠の橋》
1《削剥》
※相手がメンター型なら《削剥》ではなく《月の大魔術師》を減らす。
・ANT
★1ターン目置物
■《ハーキルの召還術》
キルターンよりもハメを重視。構えられているときは《瘡蓋族の狂戦士》を優先して出す。
《魔術遠眼鏡》の指定は《汚染された三角州》→《霧深い雨林》
IN
3《瘡蓋族の狂戦士》
2《魔術遠眼鏡》
1《紅蓮破》
OUT
3《罠の橋》
2《削剥》
1《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
※《魔術遠眼鏡》 《汚染された三角州》→《霧深い雨林》
・スニーク/オムニ
★《虚空の杯》《罠の橋》
■《罠の橋》を頑張って着地させる。
打ち消しハンドをキープされやすいので、遅くても実のあるハンドをキープして最終的には致命的なカードを通すプラン。
IN
3《瘡蓋族の狂戦士》
2《魔術遠眼鏡》
1《罠の橋》
1《紅蓮破》
1《特務魔道士ヤヤ・バラード》
OUT
4《血染めの月》
2《削剥》
2《月の大魔術師》
・Lands
★《虚空の杯》《血染めの月》
■《血染めの月》を張ると相手の勝ち筋は《溶鉄の渦》しかなくなる。
《虚空の杯》X=1→《血染めの月》が安定。生物は《罰する火》で焼かれるので信頼性低し。
《クローサの掌握》が3枚程度入ってくる。《血染めの月》を割られるとすぐに《マリット・レイジ》が爆誕するので注意。《罠の橋》や《血染めの月》を何枚も貼りまくってゆっくり勝つ(相手の対策より貼ればええやで^^)。《不屈の追跡者》ルートにも注意。
IN
1《罠の橋》
2《魔術遠眼鏡》
OUT
2《三なる宝球》
1《焦熱の合流点》
・BGデプス
★《血染めの月》
■Landsより速度が速い。《水蓮の花びら》or《Elvish Spirit Guide》から緑マナを出して《輪作》で基本土地→《突然の衰微》→《マリット・レイジ》に注意。
IN
1《罠の橋》
2《魔術遠眼鏡》
OUT
2《三なる宝球》
1《焦熱の合流点》
・デスタク
■《リシャーダの港》や《不毛の大地》でハメられるパターンがあるので、土地の置き順には注意。基本はビートとコントロールの関係なので特筆することはない。
先手
IN
2《コジレックの帰還》
1《特務魔道士ヤヤ・バラード》
1《速製職人の反逆者》
1《罠の橋》
OUT
4《血染めの月》
1《三なる宝球》
後手
IN
2《コジレックの帰還》
1《特務魔道士ヤヤ・バラード》
1《速製職人の反逆者》
1《罠の橋》
2《魔術遠眼鏡》
OUT
4《血染めの月》
2《三なる宝球》
1《虚空の杯》
メジャーなアーキタイプはここまでにして後は臨機応変に対応してください。大体似たようなもんです。
長くなりましたがデッキガイドは以上になります。
友人向けに作ったものですが、これが皆さまの参考になるのであれば幸いです。
ここまで読んでくれてありがとうございました。