こんにちは、BIG MAGIC所属プロの井上徹です。
今回は25周年PTのレポートをお届けします。
先に成績を書いてしまいますが、チーム5-7(1bye含む)、個人2-9で途中ドロップでした。
今回は主に、何が個人2-9という大敗の要因となったのかを探りながら書いていこうと思います。
・デッキ選択
今回はPTの前々週にGP千葉、前週にGPミネアポリスとリミテッドGPが続けて開催されたため、リミテッドと構築の練習を平行して行いながらデッキを絞っていきました。チーム構築戦ということで、僕が担当したのはスタンダードでした。
GP期間が終わった時点で候補に上がっていたのが以下の3デッキです。
赤黒・緑単・青単ストーム
どのデッキもその他のデッキに比べて一段階上のデッキパワーがあると感じ、PTのメタゲームもこの3デッキが上位を占めるだろうと予想していました。
普段の僕であれば候補の中に必ずコントロールデッキが含まれ、事実それを選択したプロツアーも多いのですが、今回は選択肢の段階から含まれていません。
それはなぜか?現環境のコントロールデッキといえば青白コントロール、エスパーコントロールです。
これらのデッキには『基本セット2019』(以下M19)が加わっても、これといって新戦力になるようなカードはありませんでした。
現環境の王者である赤黒系のデッキもコントロールデッキと同じくM19で得られたカードはないようで、こちらは相性的に大きな変化はありません。
問題はメタゲーム上2番手だった緑単で、《蔦草牝馬》《茨の副官》という除去耐性を持つ対コントロールで強力なカードが2種類も追加されています。
特に《蔦草牝馬》はエスパーコントロールでは除去手段がほぼ無い上、《スカラベの神》ではトークン含めブロックも出来ないため、序盤を除去で捌いて《スカラベの神》で蓋をするといった従来のゲームプランが非常に取り難くなりました。
さらにM19加入によって新たにメタゲーム上位に加わることが予想された青単ストームも相性的には厳しく、これらの状況からコントロールにこだわるメリットはなさそうという事で早々にコントロールをプレイすることを諦めてしまいました。
普段であればこういった状況でも自身の好みを重視してコントロールにこだわってデッキを模索したいところですが、今回のPTはチーム戦です。
「チームメイトにコントロールを使うメリットを説明出来ない状況でこだわり続けるのは理ではない」という判断だったのですが、これは後に大きな反省点となります。
そういった考えのもと、最終的に選択したのは赤黒でした。
今回はチーム戦ということで、とにかく無難な選択がしたかったというのが本音です。
使用デッキ『赤黒アグロ』
25土地
14 《山》
4 《泥濘の峡谷》
4 《竜髑髏の山頂》
2 《霊気拠点》
1 《沼》
23クリーチャー
3 《ボーマットの急使》
3 《損魂魔道士》
4 《屑鉄場のたかり屋》
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》
4 《ゴブリンの鎖回し》
1 《ピア・ナラー》
3 《再燃するフェニックス》
1 《熱烈の神ハゾレト》
2 《栄光をもたらすもの》
12スペル
2 《木端+微塵》
3 《削剥》
2 《キランの真意号》
3 《無許可の分解》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》
サイドボード
3 《強迫》
2 《チャンドラの敗北》
2 《マグマのしぶき》
1 《ボーマットの急使》
1 《削剥》
2 《大災厄》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《熱烈の神ハゾレト》
1 《再燃するフェニックス》
1 《栄光をもたらすもの》
基本的には一般的なリストから大きな変更はありません。
主な特徴は以下の通りです。
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《木端/微塵》2枚
《無許可の分解》3枚
《削剥》3枚
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主に緑単の《鉄葉のチャンピオン》、《原初の飢え、ガルタ》を意識し、1枚で対処出来る除去を多めに採用。
代わりにどちらにも触ることが出来ない《削剥》を減らしています。
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《ボーマットの急使》3枚
《損魂魔道士》3枚
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一般的には《ボーマットの急使》4枚、《損魂魔道士》2枚のリストを多く見かけますが、対赤黒・対緑単を意識してより有用な《損魂魔道士》を増やし、《ボーマットの急使》を減らしています。
《ボーマットの急使》は対コントロールで必ず4枚欲しいので、サイドボードに4枚目を採用しています。
振り返ってみるとこの選択が今回のデッキ構成で一番矛盾を抱えている部分で、事前予想でトップメタを赤黒・緑単としておきながら、その両方に対して中途半端な枚数選択をしてしまっています。
練習段階で対赤黒・対緑単において《損魂魔道士》は常に引きたいカードだったのに対し、《ボーマットの急使》は最も不要なカードだったのですが、
その経験がリストに反映されていません。
練習での感触と事前予想をしっかり反映するならばまず《損魂魔道士》をメインに4枚採用した上で《ボーマットの急使》は残りのスロットに採用、もしくはメイン0枚、サイドボードに4枚とするべきだったと思います。
・対戦結果
1回戦 緑単 1-2
2回戦 赤黒 1-2
3回戦 白青スーパーフレンズ 0-2
4回戦 赤単タッチボーラス 2-1
5回戦 赤黒 1-2
6回戦 赤黒 1-2
7回戦 緑単 1-2
8回戦 BYE
9回戦 赤単タッチボーラス 1-2
10回戦 赤黒 1-2
11回戦 青単ストーム 1-2
12回戦 青単ストーム 2-0
ほぼ事前のメタゲーム予想通りのマッチアップだったのですが、結果は最初に書いたように個人2-9でした。
・反省点① デッキ選択
まず反省すべきと思ったのがデッキ選択です。
先ほどデッキ選択理由を「チーム戦だから無難な選択がしたかった」と書いていますが、この考えが良くありませんでした。
なぜ無難な選択がしたかったのか?と言うと、弱いデッキを選択した上で大敗すること恐れたのです。
もっと言えばチーム戦ゆえに最低限の成績さえ残せればある程度格好は付くだろう、と。
そもそも「無難なデッキを選択する=ある程度安定した勝率が出せる」と考えていたのもおかしな話です。
デッキ選択についてはもちろんチームメイトに相談しましたが、無難な選択云々の部分までははっきり言えてなかったので、そこをしっかり伝えるべきでした。
そういった面ではチームメイトとのコミュニケーションが不足していたと思います。
・反省点② アグロデッキへの理解不足
これはチームメイトから言われて気付いたのですが、僕はプレイに選択肢がある場合、
アグロデッキを使っていても、多くの場面でコントロールを使う時と同じような受身の選択肢ばかり取っていたのです。
これは普段受身のコントロールばかり使っている弊害で、アグロデッキを使う上で基本となる「如何に自分の都合を相手に押し付けるか」といったプレイが全く出来ていませんでした。
僕自身アグロデッキを使うのが苦手だということは理解していたつもりでしたが、まさか基本的なプレイですら出来ていないとは...
これは極端な例ですが、普段から色々なデッキを触っておくことで、自分の得意・不得意ははっきりさせておきたいですね。
それさえ出来ていれば今回のデッキ選択が自分にとっては間違いだったと事前に気付けていたことでしょう。
現状の自分ではコントロールを使うべき理由を説明しきれなくても、それでも今回もコントロールを使うべきたったと言い切れますが、理想はどんなデッキでもプレイ出来るプレイヤーになることだと思います。
反省点ばかりが目立つ結果となりましたが、2017~2018シーズンのプロツアーもこれで終わりです。
今回は大きな悔いを残す結果となってしまいましたが、この経験を糧に今シーズン残りのGPも全力でプロポイントを追っていきます!
以上、25周年PTレポートでした。最後までお読みいただきありがとうございました。