こんにちは、井上徹です。
今回はミシックチャンピオンシップ・ロンドンの参加レポートをお届けします。
・デッキ選択
今回のモダンではBG(黒緑の中速デッキ)を使用しました。
BGは相手にして得意なデッキが特にない分、「これには勝てない」となる不利なデッキも少ないというのが特徴です。
ビートダウンからコントロール、コンボデッキも含めどのような相手とも戦えるため、モダンのようなデッキの種類が多い環境に合っていると思い選択しました。
全てのデッキタイプに対して戦えると言っても、それはあくまで相手のデッキを詳しく知った上でのことなので、今回は普段以上に数をこなし、より多くのデッキへの理解を深めることに重点を置いて練習を行いました。
メインボードの構成はごく一般的なBGとあまり変わりはありませんが、唯一特徴として挙げるならば《不屈の追跡者》をメインから4枚採用している点でしょうか。
本来であれば《最後の望み、リリアナ》や《ゲトの裏切り者、カリタス》の2枚目が採用されているスロットですが、そのどちらよりも盤面を選ぶことなく活躍できるカードということで4枚フルに採用するに至りました。
BGというデッキは1対1交換をすることにおいては優れていますが、カードアドバンテージを稼ぐという点においてはあまり優れているとは言えません。
そんな中、《不屈の追跡者》はプレイ直後のセットランドによって確実に1枚(フェッチランドであればほぼ2枚分)のアドバンテージを稼いでくれる貴重なカードです。
個人的にはBGを使う上で《不屈の追跡者》メイン4は外せないと思っています。
サイドボードの特徴は以下の2点。
1.《虚空の力線》の採用
BGが採用している墓地対策は一般的には《虚無の呪文爆弾》が多いですが、対ドレッジにおいて《虚無の呪文爆弾》では効果が薄いと言わざるを得ません。
実際にGP横浜では《虚無の呪文爆弾》をメインから採用したBGでドレッジと3度対戦しましたが、ほとんどのゲームで《虚無の呪文爆弾》を設置出来たにもかかわらず1-2とマッチを負け越してしまいました。
《虚空の力線》はほぼドレッジ専用かつサイドボードのスロットを圧迫するカードではありますが、そのドレッジが直近の大型イベントであるGP横浜でも活躍しており、かつロンドンマリガンの恩恵を受けるデッキの一つであることからそれに効くカードということで採用に至りました。
2.《大爆発の魔道士》の不採用
《大爆発の魔道士》は主に対トロンで活躍するカードですが、それ以外のデッキに対してはあまり劇的な活躍が見込めないため不採用としました。
《大爆発の魔道士》が抜けたことで対トロンへのガードが下がり過ぎないよう、空いたスロットには対トロンで使える、かつより多くのデッキへの対策となる《減衰球》と追加の《外科的摘出》を採用しています。
《減衰球》はトロン以外にサイドインする機会は少ないですが、サイドボードのスロットを圧迫せずに採用出来る点がメリットです。
・MC本選
・初日ドラフト
初手《ボーラスの壊乱者、ドムリ》から2手目に《崇高な工匠、サヒーリ》。
このサヒーリをピックしたことで常にスペル(非クリーチャー呪文)を意識してピックしていくことになるのですが、これが大失敗の始まりでした。
ドムリからスタートしているため色は必然的に赤緑になるのですが、色の組み合わせ的にサヒーリと相性の良い能動的に使えるスペルは限られてきます。
そのためスペルをピックする事を意識はしていてもそう簡単に枚数を確保することは出来ません。
3パック目の初手候補が《ビビアンのアーク弓》と2枚目のサヒーリで、通常であれば《ビビアンのアーク弓》をピックしていたと思うのですが、1パック目のサヒーリからスペルを意識してピックしていた結果2枚目のサヒーリをピックしてしまいます。
この時点で頭の中ではピックしたカードはかなりスペルに寄っていると思い込んでいたのですが、実際はそれほどでもなく、
サヒーリを十分生かせる内容ではありませんでした。
最終的に3パック目ではスペルを1枚もピック出来ないままドラフトが終了し、出来たデッキがこちら。
画像でもわかる通りそれほどスペルに寄っているわけでもなく、むしろ標準的な配分。
途中《ブリキ通りの重鎮、クレンコ》や《生ける竜巻》といった強力なクリーチャーをピック出来ているにも関わらず、終始サヒーリを使うことに意識がいっていたのを覚えています。
そういった視野の狭さからピックの幅が狭まり、今回の失敗ドラフトにつながったのだと思います。
3パック目の初手で《ビビアンのアーク弓》をピックし、1パック目2手目のサヒーリも途中で切る選択が出来ていれば3-0を狙えるデッキが組めていたでしょう。
R1:UB〇××
R2:UG××
R3:BG×〇〇
結果は1-2。
0-2したところでサイドボード後からサヒーリを使わない構築を検討し、
最終戦で実行したところ何とか1勝出来ました。
・初日モダン
R4:5c人間××
R5:青白コントロール××
R6:5c人間×〇〇
R7:ドレッジ〇〇
R8:5c人間〇×〇
初日のモダンは3-2。
5c人間3回、青白コントロールとドレッジが各1回と、特殊なデッキには当たらずメタゲーム通りのマッチアップでした。
3回当たっている5c人間は相性的にはほぼ5分、相手側にのみ対処不可のブン回りがある分不利といったところでしょうか。
R5の青白コントロールに負けた時点で1-4とかなり初日落ちが見えていたのですが、何とか4-4で二日目へ。
・二日目ドラフト
初手は《終局の始まり》。
早い段階で《洞察の絆》が2枚ピック出来たこともあり、スペル中心のデッキへ一直線。
ポジションが良かったのか、終始必要なカードをピックし続けることが出来ました。
《洞察の絆》と《ラルの発露》が2枚ずつ入った理想的な青赤が完成。
R9:UG〇×〇
R10:UB〇〇
R11:BRG×〇〇
結果は3-0。
充実した2マナ域のおかげで常に安定して後半のアドバンテージカードへ繋ぐことができ、危なげなく3-0することが出来ました。
・二日目モダン
R12:緑単トロン×〇〇
R13:イゼットフェニックス××
R14:アブザンミッドレンジ×〇〇
R15:青黒フェアリー×〇×
R16:感染〇×〇
二日目のモダンも3-2でトータル6-4。
練習段階でのモダンの成績が勝率約58%だったので、ほぼ練習通りの成績でした。
良くも悪くもデッキの安定性の高さが表れた結果だと思います。
最終成績はドラフト4-2、モダン6-4のトータル10-6。
今回のMCはドラフトで発売前の『灯争大戦』を用いたり、ロンドンマリガンが導入されたりと初の要素が多く、
何かと不安が多かったのですが、特に大崩れすることなく大会を終えることが出来ました。
モダンで使用したBGですが、選択理由に上げた通りどのデッキとも安定して戦うことができ、
終始「マジックしてる感」を味わうことが出来る良いデッキでした。
ハンデスを多用するため、自分のデッキはもちろん相手のデッキに対する理解度が勝率に直結するこのデッキは、
一つのデッキを極めたい方に特におすすめのデッキです。
次回のMCもモダンということで、僕の方もまだまだBGを使い込んでいこうと思っています!
以下に現時点でのサイドボードプランをまとめておきますので、よろしければ参考にして理想形を探ってみてください。
主なデッキへのサイドボード
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対5c人間
IN
2《仕組まれた爆薬》
1《集団的蛮行》
1《滅び》
1《ゲトの裏切り者、カリタス》
《思考囲い》の2ダメージは痛いですが、1ターンに複数回行動することが重要なマッチなのでサイド後も全て残します。
《闇の腹心》は能力によるダメージが痛すぎる上に、戦闘に参加できるサイズではないので全てサイドアウトします。
先手時であれば残すことを検討しても良いですが、複数枚引いた時の役割がほぼチャンプブロックしかないため2枚ぐらいがおすすめです。
このマッチアップでは毎ターン相手のクリーチャーと1対1交換をし続けることが求められるため、マリガンは厳しめに行いましょう。
特に後手時は相手の《スレイベンの守護者、サリア》1枚で嵌りやすいので、ハンデスもしくは《致命的な一押し》キープを狙います。
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対緑単トロン
IN
3《外科的摘出》
1《減衰球》
1《生命の力、ニッサ》
1《ゲトの裏切り者、カリタス》
サイドボードに《大爆発の魔道士》を取っていない分、多めにとっている《外科的摘出》でトロンランドを抜くのが主な勝ち筋になります。
そのためハンデスで相手の手札に《大祖始の遺産》を見つけた場合は優先して抜いておきましょう(摘出スタックで対象となった土地を追放して避けられてしまうため)。
トロンランドが揃わなくても出てくる相手の《ワームとぐろエンジン》に対しては、サイドボードからも追加する《ゲトの裏切り者、カリタス》で対処します。
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対青白コントロール
OUT
4《致命的な一押し》
IN
1《集団的蛮行》
1《生命の力、ニッサ》
1《窒息》
1《ゲトの裏切り者、カリタス》
相手の《精神を刻む者、ジェイス》、《ドミナリアの英雄、テフェリー》がキーとなるマッチアップ。
ミシュラランド(特に《樹上の村》)は安易にセットせず、事前にこちらの《廃墟の地》で相手の《廃墟の地》を壊すことが重要になります。
《廃墟の地》は相手の《天界の列柱》にも使用したいところですが、《天界の列柱》を起動されるのはゲーム終盤なので
それまでにマナが余っているからといって安易に使用しないようにしましょう。
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対ドレッジ
OUT
4《ヴェールのリリアナ》
4《致命的な一押し》
3《暗殺者の戦利品》
IN
4《虚空の力線》
3《外科的摘出》
1《集団的蛮行》
1《滅び》
1《ゲトの裏切り者、カリタス》
1《生命の力、ニッサ》
メインボードは最速の《漁る軟泥》でワンチャンスあるものの、ほぼサイドボード後からの勝負になります。
サイドボード後は《虚空の力線》を4枚取っているため、可能な限りマリガンして《虚空の力線》を探しましょう。
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今回のレポートは以上となります。
次回のミシックチャンピオンシップも良い結果を残せるよう、チームメイトらと調整して臨みます!
それではまた、大会レポートでお会いしましょう。
井上徹