こんにちは、井上徹です。
先月はミシックチャンピオンシップに向けての合宿を兼ねて、ミシックチャンピオンシップ前週のグランプリ・メンフィス2019(以下GP)に参加してきました。
最近はこの様にミシックチャンピオンシップ(プロツアー)前週から現地入りしてGPに参加、そのままミシックチャンピオンシップまで合宿というスタイルを続けていますが、密度の高い練習が出来るのはもちろん、一週間現地で過ごすことで時差ボケの解消にもなるため非常に気に入っています。
やはり大会は常にベストコンディションで出場したいですからね。
さて、今回のGPはチームでの調整をメインに考えての出場だった為、なるべくチーム内で使用デッキが被らないようにデッキ選択をしました。
直前まではエスパーコントロールを使用するつもりだったのですが、既にチーム内で2人がGPで使用することを決めていたこともあり、他のデッキを探すことに。
そこで候補に挙がったのが青単でした。
この青単というデッキ、チーム内での評判はあまり良くなくデータも少なかったのですが、僕が直近のMOリーグで青単相手に大幅に負け越していたこともあり、青単をより深く知るためにも一度回してみようということでGPでの使用デッキになりました。
使用デッキ
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます
使用したリストはAlexander Hayne選手がMTGアリーナのミシックランク1位に到達した時のリストとほぼ同じです。
唯一違う点はメインの《一瞬》が4枚目の《航路の作成》になっています。
変更の理由は《一瞬》で対象にしたいカードが特に存在しなかった為です。
単に相手のクリーチャーを退かす役割だけならば《マーフォークのペテン師》の方が効果的な盤面が多く、他にスロットを割きたいようなカードもなかった為、それならば既にデッキに入っているカードの水増しになるドローで良いのでは?という安易な発想から来ています。
サイドボードプランも基本的にはHayne選手のプランをベースに行いましたが、使用している内に自分の考えるプランとは異なる点がいくつかあったので記事後半で解説します。
それでは早速GP本戦の結果です。
・初日
R1:bye
R2:bye
R3:bye
R4:スゥルタイミッドレンジ〇×〇
R5:エスパーコントロール(中村修平)×〇〇
R6:エスパーミッドレンジ〇〇
R7:青緑ネクサス(Corey Baumeister)〇××
R8:イゼットドレイク×〇〇
R9:スゥルタイミッドレンジ×〇×
初日は7-2。負けは青緑ネクサスとスゥルタイミッドレンジ。
R7の青緑ネクサス戦は相手がサイドボードに《クロールの銛撃ち》を4枚取っていたのが印象的でした。
対戦相手のCorey Baumeister選手曰く、《クロールの銛撃ち》を4枚取っても青単側のベストな回りには対処出来ないので、マッチアップ的にはネクサス側が不利とのことでしたが、相手にする側としてはかなりのプレッシャーを感じました。
R9のスゥルタイ戦ではよくある負けパターン「2ターン目《野茂み歩き》からの探検連打」で負け。
練習段階からそうでしたが対スゥルタイでの負けはほぼ《野茂み歩き》によるものだったので、《幻惑の旋律》を増量する等もう少し意識しておくべきだったと思います。
・二日目
R10:スゥルタイミッドレンジ〇〇
R11:白ウィニータッチ黒〇〇
R12:スゥルタイミッドレンジ〇〇
R13:ジェスカイコントロール〇〇
R14:青単〇〇
R15:ID
二日目は1ゲームも落とすことなく5連勝からのIDで、久々のTOP8!
普段あまりプレイしないデッキを選択していたこともあってGP序盤はサイドボーディングに悩む場面も多かったのですが、ラウンドが進むにつれてサイドプランが洗練されていき、後半は自信を持ってプレイすることが出来ました。
特にスゥルタイとのマッチアップではサイドボードの《波濤牝馬》が大活躍で、常に優位に立ち回れていました。
・決勝ラウンド
準々決勝:赤黒ミッドレンジ××
決勝ラウンドでは初戦からTOP8中最も相性が悪い赤黒ミッドレンジとの対戦となりあっさり敗北。
《ゴブリンの鎖回し》や《再燃するフェニックス》等、青単が苦手とするカードばかりで構成されているので、青単側からすると当たった瞬間諦めそうになるほどの相性差を感じました。
・デッキの感想
まず、《一瞬》と入れ替えて採用した《航路の作成》4枚は明らかにやり過ぎでした。
このデッキではドローを進める為にメインで2マナを使えるようなタイミングが少なく、GP中は手札でかさばっているシーンが多かったです。
最近はメインに1枚のみの採用に留めているリストも多いですが、複数枚重なった時以外は悪くないカードなので2枚くらいが丁度良さそうです。
今回のGPでは対戦相手の青単へのガードが高く、緑が入ったデッキのサイド後はほぼ《クロールの銛撃ち》を出されました。
スゥルタイには他にも青単に有効なカードが多いためか枚数自体はそれほど多く取られてはいなかったようですが、青緑ネクサスのように対青単を苦手とするデッキには4枚採用されていても不思議ではありません。
そのため今後《クロールの銛撃ち》をサイドに4枚採用するデッキが増えてきた場合、青単側は《本質の把捉》を増やしたり、サイド後は《セイレーンの嵐鎮め》や《プテラマンダー》をほとんど抜いてしまうようなサイドプランも必要になってきそうです。
最近は《霧まといの川守り》の枚数が2枚以下のリストも増えてきていますが、そういったサイドプランを取る場合を考えると、《霧まといの川守り》やサイドボードの《波濤牝馬》はより重要になってくるでしょう。
今回僕が使用した青単というデッキに対して、1ターン目1マナ1/1、2ターン目に《執着的探訪》をエンチャントして妨害を構える一種のハメ技だけが売りのデッキだと思っている方は多いのではないでしょうか?
まさに僕自身がそうだったので最初は青単というデッキにあまり良い印象は無かったのですが、実際に使ってみるとそういったパターンで勝つゲームは少なく、ほとんどのゲームが全てのリソースを使い切ってギリギリ20点のライフを削り切れるかどうかといった展開になることが多かったです。
青単はマジックにおける駆け引きの面白さが詰まっているので、僕のように食わず嫌いで青単を敬遠していた方にもぜひ一度プレイしてみてもらいたいデッキです!
・サイドボードガイド
対スゥルタイミッドレンジ
IN
2《幻惑の旋律》、3《波濤牝馬》
OUT
2《航路の作成》、3《呪文貫き》
《波濤牝馬》が輝くマッチアップ。
4/3になった《翡翠光のレインジャー》を止め、《採取/最終》の-4/-4に耐え、相手のデッキのほとんどのクリーチャーにブロックされません。
対スゥルタイ戦では必ず引きたいカードなので、サイドボードに4枚目の採用を検討したいです。
対イゼットドレイク
IN
2《否認》、2《幻惑の旋律》、2《氷結》、1《アズカンタの探索》
OUT
3《呪文貫き》、2《航路の作成》、2《マーフォークのペテン師》
こちらの飛行クリーチャーは全て相手のドレイクで止まってしまうので、《霧まといの川守り》に《執着的探訪》をエンチャントして守り切るのが主な勝ちパターンです。
そのため《霧まといの川守り》は他のマッチより大事にプレイしましょう。
対エスパーコントロール
IN
3《否認》、1《アズカンタの探索》
OUT
3《霧まといの川守り》、1《航路の作成》
《本質の把捉》はメイン戦では打つ対象がありませんが、サイド後は《正気泥棒》や《人質取り》、《黎明をもたらす者ライラ》が入ってくるのでサイド後も残しています。
対青単(ミラー)
IN
2《幻惑の旋律》、2《排斥する魔道士》、2《フェアリーの決闘者》
OUT
2《航路の作成》、4《魔術師の反駁》
カウンターは構え易さ重視で軽い《呪文貫き》の方を残していますが、マッチのキーになる《大嵐のジン》を消せる《魔術師の反駁》を残すプランも考えられます。(特に先手時)
対赤単
IN
3《波濤牝馬》、2《氷結》
OUT
3《霧まといの川守り》、2《魔術師の反駁》
こちらも《波濤牝馬》が活躍するマッチアップ。
タフネス5は火力1枚では対処されないので、《執着的探訪》のエンチャント先として非常に優秀です。
対白単
IN
3《波濤牝馬》、2《幻惑の旋律》、2《排斥する魔道士》、2《フェアリーの決闘者》
OUT
1《呪文貫き》、4《航路の作成》、4《魔術師の反駁》
このマッチアップで最も警戒すべきは《敬慕されるロクソドン》です。
これを通されてしまうと一気に盤面が不利になるので、ゲーム序盤の《マーフォークのペテン師》は召集を防ぐために相手のアップキープに使うことが多いです。
以上、GPメンフィスのレポートと青単の解説でした。
青単を知るために使用し、TOP8入賞という良いスタートを切ることが出来た2019年。
今年もやれることを全力でやって、競技シーンを戦っていきたいと思います。
それでは、京都でお会いしましょう!
井上徹