※編注 この記事は2019年11月18日に行われた禁止制限告知の前に執筆されました。
0.はじめに
ご無沙汰しております。DJ IZMAです。
今回がコラム三部作の最終回である実戦編になります。
実戦編では、実際に赤単エルドラージを回してみるにあたってのテクニックをご紹介していきます。
目次
1.基本的なプレイの指針
2.キープ基準
3.ゲームプランとサイドボーディング
4.小技・マル秘テクニック
5.おわりに
1.基本的なプレイの指針
赤単エルドラージを回す上での基本的な指針としては以下の2点が挙げられます。
一、リターンが大きい順からプレイすべし
二、迷ったら前のめりにプレイすべし
【一、リターンが大きい順からプレイすべし】
赤単エルドラージに限った話ではありませんが、どう動けば一番リターンが大きいかを念頭に置いてプレイするといいでしょう。特に1戦目で相手のデッキがまだ分からない場合は、常にどう動けば上振れが大きいかを考えて行動すべきです。
例えば、先攻1ターン目で《虚空の杯》と《血染めの太陽》のどちらでも展開することが可能なケースを想定します。
この場合リターンがより大きいのは、《血染めの太陽》から先に展開する選択です。《虚空の杯》の展開が1ターン遅れる影響は、1マナスペルが1枚使えるかどうかですが変わりませんが、《血染めの太陽》の展開が1ターン遅れると、フェッチランドや《不毛の大地》を起動されて、その後のゲーム展開に大きく影響を与えることになります。
(もちろん《呪文貫き》や《呪文嵌め》に引っかかってしまうなどの裏目もあります)
逆に、今度は後攻1ターン目で、先に相手がフェッチランドから《山》⇒《ゴブリンの先達》と動いた際は、先展開によるその後のリターンは《虚空の杯》の方が高いと判断できるため、まず《虚空の杯》から展開すべきです。
このように、その時の状況によって、リターンの大きさも変化するため、状況判断がポイントになります。
【二、迷ったら前のめりにプレイすべし】
構築編でも触れた通り、赤単エルドラージはエルドラージストンピィと赤単プリズンのハイブリッドデッキです。そのため、純正無色のエルドラージストンピィと比べて、プリズン要素やユーティリティ火力が含まれている分、受けに回る動きを取ることが可能になっています。
とはいえ、基本的には真っ当にクリーチャーを展開して、攻撃を仕掛けていくアグロデッキですから、動きとしては積極的にこちらから仕掛けにいくことが望ましいです。
ゲーム中、「行くか引くか」「行くか待つか」みたいな選択を迫られる場面があると思います。そのような場面で迷った際は、基本的に「行く」ことを選択すべきです。日和ったら負けと言っても過言ではありません。
もちろん、あらゆる可能性を考慮した結果、「行かない」選択をする場面もあります。ですが、迷うくらい難しい選択だったのならば、前のめりに「行く」ことを念頭に置きましょう。
2.キープ基準
まず、キープ基準とは「初手札についてマリガンするかキープするか判断するルール」のことを言います。
判断するに際して重要なポイントは、「当該手札でどのようなゲームプランが組めるか」です。何らかのゲームプランが組めるならばキープ出来るでしょうし、何もプランが組めないのならばマリガンすべきでしょう。
というわけで、ここでは赤単エルドラージが採りうるゲームプランごとにキープ基準を解説していきます。
なお、以下のキープ基準は原則として7枚の初手の場合になっております。
① プリズンプラン
キープ基準
A:1ターン目《虚空の杯》or《血染めの太陽》 + 追加の土地 + 唱えられる呪文
B:先攻2ターン目《虚空の杯》or《血染めの太陽》 + 追加の土地 + 唱えられる呪文
C:後攻2ターン目《虚空の杯》or《血染めの太陽》 + 追加の土地 + 唱えられる呪文×2
Cはプリズン要素の有効性が低くなる可能性がるため、その分他の条件を厳しくしています。
②《ゴブリンの熟練扇動者》プラン
キープ基準
A:1ターン目《ゴブリンの熟練扇動者》 + 唱えられるクリーチャー
B:1ターン目《ゴブリンの熟練扇動者》 + 追加の土地 + 唱えられる呪文
C:2ターン目《ゴブリンの熟練扇動者》 + 追加の土地 + 唱えられるクリーチャー
このプランでゲームを進める場合、基本的には妨害度外視の殴り重視プランになります。そのため、追加のクロック展開が重要になってきます。
③《難題の予見者》プラン
キープ基準
A:先攻1ターン目に《金属モックス》経由で《難題の予見者》
B:後攻1ターン目に《金属モックス》経由で難題 + 他に唱えられる呪文 or 2枚目の土地
C:2ターン目《難題の予見者》 + 他に唱えられる呪文
Aは多少博打ですが、先攻1ターン目の《難題の予見者》は無事着地出来ればゲームに勝てるため、付帯条件は最低限にしています。
④《現実を砕くもの》プラン
キープ基準
A:《猿人の指導霊》経由で2ターン目《現実を砕くもの》+3枚目の土地+他に唱えられる呪文
B:《金属モックス》経由で2ターン目《現実を砕くもの》+他に唱えられる呪文
確率的にあまり採ることのないプランですが、2,3ターン目に《現実を砕くもの》を連打出来ればそりゃキープ。頭空っぽの方が現実つめこめます。
⑤《罰する火》プラン
キープ基準
A:《罰する火》+《燃え柳の木立ち》+《山》+3枚目の土地 + 他に唱えられるクリーチャー
B:《罰する火》+《燃え柳の木立ち》+《金属モックス》+2枚目の土地+刻印用の赤いカード+他に唱えられるクリーチャー
他のプランと比べると、初動が受けに回っている分弱めです。しかしマリガンするほど弱いプランではないので、厳しめに基準を設けることでキープを可とします。
⑥ マリガン後のみ採用しうるプラン
例外的に、マリガン後にこそ強いプランがあります。
プランY:《エインジーの荒廃者》
《エインジーの荒廃者》は手札を強制的に捨てるデメリットのせいで、早いターンに唱えて嬉しいカードではありません。そのため、通常はキープ基準にはならないのですが、マリガン後であればデメリットは気にならず、逆に能力によりマリガンで失った手札をリカバリーできるため、マリガンした時にこそ強いプランとしてキープ基準になります。
プランZ:《熱烈の神ハゾレト》
こちらは攻撃制限のデメリットがあるため、通常の7枚のハンドではキープ基準になりえません。しかしマリガン後であれば早いターンに突っ込ませることが可能になるため、マリガン後の一転攻勢を狙えます。
3.サイドボーディングとゲームプラン
この項では、主要なアーキタイプごとのサイドボーディングとゲームプランを解説していきます。なるべく多くのアーキタイプに触れたいので、一つ当たりの文量は抑え目にしています。さらに詳細が知りたい方はLINE調整グループにご参加下さい!
まず、全体のサイドボーディングのインアウト表がこちら(クリックで拡大)
【 VS 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》Deck】
176戦 95勝 81敗 54.0%
《秘密を掘り下げる者》を中心に据えたクロックパーミッションで、レガシー環境を代表しているデッキです。様々なバリエーションがあり、同じデルバーデッキといえど、相性も戦略も大きく変わってきますので、注意が必要です。
■UR Delver/URデルバー

39戦 31勝 8敗 79.5%
他のデルバーデッキと違って対処出来ないファッティがいないため、デルバー系統の中では最も有利に立ち回れます。唯一《真の名の宿敵》で戦線が膠着する危険はありますが、こちらも《砕骨の巨人》という切り札を得ているため、さらに有利になったと言えます。
注意すべきなのは《発展の代価》を採用している果敢型のURデルバーです。《粉々》をケアするためにも《虚空の杯》をX=2で置きたいところです。
■Grixis Delver/グリクシスデルバー

29戦 16勝 13敗 55.2%
ハンデスと《グルマグのアンコウ》には注意が必要です。《死亡+退場》で《グルマグのアンコウ》をバウンスさせることが出来れば時間的猶予が生まれるため、その間に勝負を決めたいところです。ここ最近のメタの流れの中では、《レンと六番》を擁するRUG Delverにトップメタの座を奪われた感はありますが、デルバー同型に強い(らしい)ため、いつトップメタに返り咲いてもおかしくはありません。
(追記)
《レンと六番》の禁止により、本当にトップメタの一角に返り咲く可能性が出てきました。ただ、他のカラーのデルバーデッキも有力なため、Grixis Delver一強ということにはならなさそうです。
■RUG Delver/RUGデルバー

64戦 31勝 33敗 48.4%
一口にRUGデルバーと言っても、採用されているクリーチャーによってデッキの動きが大きく異なるため注意が必要です。《秘密を掘り下げる者》と《タルモゴイフ》が定番として、《真の名の宿敵》もよく見られますが、これら以外のもう1種に何を採用しているかでタイプが分かれます。(併用しているケースもあります)
①《敏捷なマングース》採用...古典的なCanadian Threshould
②《呪詛呑み》採用...墓地依存が少ない
③《戦慄衆の秘儀術師》採用...アドバンテージ重視
④《わめき騒ぐマンドリル》採用...隙が少ない
共通して言えることは、《レンと六番》によって《不毛の大地》連打というハメパターンを持っているため、いかに《血染めの太陽》を設置出来るかが鍵となってきます。
最近特に多い④のタイプに対するプランを説明すると、唱えても旨みがない《焦熱の合流点》や《ゴブリンの熟練扇動者》をアウトし、《死亡+退場》をインするサイドボーディングになります。《わめき騒ぐマンドリル》の探査で墓地が減ればこちらも《マグマの陥没孔》の探査と合わせて《タルモゴイフ》のサイズダウンを狙えるので、《マグマの陥没孔》の撃ちどころが鍵となります。
(追記)
《レンと六番》の禁止は痛手ですが、《レンと七番》...もとい《王冠泥棒、オーコ》は健在のため、引き続き環境に一定数は存在することになります。《血染めの太陽》を弾かれた後《不毛の大地》地獄はなくなったといはいえ、強敵であることには変わりないため、あまりガードを下げすぎてもよくないでしょう。
【 VS Combo】
251戦 160勝 91敗 63.7%
ここで解説するのはコンボに全振りしているデッキで、半分フェアみたいなデッキ(アルーレン、フードチェイン、感染、ペインターなど)や、土地系コンボデッキは除外しています。それでもMO環境で最大勢力なのが純粋なコンボデッキなので、とにかく対策は厚くしておきましょう。
■ANT

69戦 57勝 12敗 82.6%
《虚空の杯》と《難題の予見者》がとにかく強いマッチです。また、除去もブロッカーもいないため、《ゴブリンの熟練扇動者》が素早くライフを削りきってくれます。
サイドからは《三なる宝球》を投入します。また、相手のサイドカードである《ハーキルの召還術》や《残響する真実》に対処するために、《虚空の杯》をX=2で置くなり、《紅蓮破》を構えるなり、ケアを怠らないようにしたいところです。
ANTは土地を多く並べるデッキではないため、特に後手の場合は《血染めの太陽》がそこまで強くありません。サイド後は特に警戒されるため、妨害を《血染めの太陽》にのみ頼ったハンドはキープしづらいです。
注意すべき点として、妨害だけに全振りせずにクロックを展開することがANT攻略の鍵となります。ターンが経てば妨害系のパーマネントはバウンスされてしまうため、速やかにライフを削りきるクロックが本当に大事です。ライフをある程度削っておけば《むかつき》からの逆転も無くなりますからね。
■Sneak Show/SnT

55戦 21勝 34敗 38.2%
一番辛い相性差のデッキです。《虚空の杯》も《血染めの太陽》も刺さりにくいため、メインボードは運良く《難題の予見者》を連打出来るか、《エルドラージの寸借者》を合わせられるかを祈るのみです。サイド後は《転倒の磁石》や《魔術遠眼鏡》等の墓地対策以外のサイドボードをほとんど投入することになります。《カラカス》まで投入するため、邪魔な《血染めの太陽》はサイドに沈んでいてもらいましょう。
サイド後の《虚空の杯》は迂闊にX=1で置くと《紅蓮破》が撃てなくなるため、《紅蓮破》の投入枚数によっては、X=1で置ける場合でも置かない選択肢もあります。そのため、相手を減速させる意味で、とりあえずX=0で置くことも丸い選択と言えますし、マナが余ればX=3で置いて《実物提示教育》そのものを封じることも選択肢の一つになりえます。先に《魔術遠眼鏡》や《ファイレクシアの破棄者》を置いていれば、あちらの《削剥》をケアする意味でX=2で唱えることもありえます。
■Br Reanimate/リアニメイト

67戦 42勝 15敗 62.7%
メインはだいたいは茶番ですが、《虚空の杯》や《エルドラージの寸借者》次第では勝ちの目も僅かにあります。もっとも、早いターンで勝負が決まることが殆どのため、なるべくデッキバレせずに次にいきたいところです。サイド後は墓地対策を引けるかどうかと、それ以外でどこまで行動を阻害できるかが鍵です。ベストは《三なる宝球》か《難題の予見者》を早いターンに叩きつけること。《血染めの太陽》は、初動でハメられる可能性があることと、《Bayou》をサーチさせないことで《暗殺者の戦利品》や《恭しき沈黙》から《虚空の力線》を守れる目もあることから、先手でのみ有用です。後手はまず間に合わないため、《カラカス》を優先させましょう。
相手の戦略として、ハンデスからこちらのクリーチャーをリアニメイトするプランを取って《虚空の力線》の裏をかいてくることがあります。そのため、釣られた時にリスクが大きすぎる《熱烈の神ハゾレト》や《現実を砕くもの》を減らしておくことも重要です。どうせ《虚空の力線》を探すためにマリガンが増えることが予想されるため、重いクリーチャーは唱え辛いという理由もあります。
■Dredge/ドレッジ

14戦 7勝 7敗 50.0%
基本的にはリアニメイトと同じくメインが茶番と化しますが、リアニメイトよりは理不尽な動きをされないため、コンバットで何とかなる可能性があります。《虚空の杯》で各ルーターを封じたり、《ゴブリンのクレーター掘り》で相手の《黄泉からの橋》を追放したりできれば勝ちの目もあります。
サイド後は《恭しき沈黙》こそ飛んでこないものの、《静寂》で置物が全て吹き飛ばされるため、極力被害が少ないように立ち回りたいです。効果が薄い《血染めの太陽》はサイドアウトです。
■Elf/エルフ

20戦 15勝 5敗 75.0%
《罰する火》と《焦熱の合流点》で相手の戦線を一掃出来る上に、《虚空の杯》や《血染めの太陽》ももちろん有効です。雑なトップデッキをされない限り有利に戦えます。サイド後は追加の除去や《三なる宝球》を投入し、クリーチャーを減らします。あまりクリーチャーを減らしすぎると、こちらが攻め手を欠いてリカバリーする時間を与えてしまいますが、除去兼アタッカーになれる《砕骨の巨人》の獲得によって、その心配も要らなくなりました。
【 VS Control/Midrange】
153戦 109勝 44敗 71.2%
お馴染みの青いコントロールを中心としたアーキタイプで、コントロール寄りのミッドレンジもこのカテゴリーに入れています。個人的な印象ですが、日本人は特にこのアーキタイプが好みのような気もします。
赤単エルドラージから見ると、一番相性のいいアーキタイプ群になります。初めて赤単エルドラージを回す場合、まずはこのアーキタイプを相手にして練習すると良いでしょう。
今回は代表的な3デッキについて解説していますが、《王冠泥棒、オーコ》の登場により、BUG系のコントロールが復権する気配がしますね。
なお、青くないコントロール/ミッドレンジは殆ど対戦しなかったので、別のカテゴリーに入れています。
■WUr Miracle/奇跡

57戦 42勝 15敗 73.7%
最近は奇跡呪文がない「ジェスカイメンター」も主流ですが、まとめて紹介します。負け筋は《基本に帰れ》と《僧院の導師》のゴリ押しのみなので、そこだけケアして動きます。妨害とクロック展開の順番を間違えなければ有利にゲームを進められますが、双方のプレイングにも左右されるため、練習しておきたいマッチアップの一つです。
■《レンと六番》Snow-Control
17戦 15勝 2敗 88.2%
『モダンホライゾン』から《レンと六番》と《アーカムの天測儀》を獲得して台頭してきた新しいアーキタイプで、Wur MiracleをベースにしたWURgカラーと、4CレオヴォルドをベースにしたUBRgカラーの二種類があります。《血染めの太陽》が相手の《レンと六番》を完封し、《アーカムの天測儀》などのキャントリップに対しても《虚空の杯》が刺さるため有利です。
(追記)
禁止改定によりデッキが消滅...と思いきや、バントカラーにシフトして、《氷牙のコアトル》と《王冠泥棒、オーコ》を採用したSnow-Controlが台頭してきました。
さらに、同型(というかオーコ)対策にタッチで紅蓮破を採用したタイプも出てきて、実質4C Snow-Controlという有様。
正直六番より七番の方があかんかもしれません。
■Grixis Control/グリクシスコントロール

43戦 34勝 9敗 79.1%
ハンデスやETBクリーチャーに対する回答として《罰する火》が100点。《虚空の杯》や《三なる宝球》で相手の展開を阻害するよりも、クリーチャーをぶつけていくことを意識するマッチアップ。相手の全体除去は少なく、《疫病を仕組むもの》程度のため、ハンデスされる前にガンガンクロックを展開しつつ、《罰する火》で仕留めるといった展開にもっていきましょう。逆に注意すべきなのが、《罰する火》を追放してしまう《否定の力》で、出来る限り相手が《否定の力》を唱えられないタイミングで《罰する火》を回すようにしましょう。
【 VS 《虚空の杯》Deck】
132戦 88勝 44敗 66.9%
お互いに《虚空の杯》が腐るマッチアップで、意気揚々と先手1ターン目に《虚空の杯を》置いた後デッキタイプが判明してガッカリするやつです。メインはそういう噛み合いで相性関係なく勝敗が決することが多いです。とはいえ、全体的な相性から見ると青系コントロールの次に良いです。コンバットの成否が勝敗を分けることが多いため、コンバットでミスしないように注意しましょう。
■Eldrazi Post/エルドラージポスト

18戦 11勝 7敗 61.1%
一見《血染めの太陽》が相手の《雲上の座》をアンタップインさせてしまうことから不必要のように見えますが、無効化したい土地が多いため必要になります。《魔術遠眼鏡》か《ファイレクシアの破棄者》をサイドから投入することになりますが、指定は《大いなる創造者、カーン》か《歩行バリスタ》の2択になります。
■Eldrazi Stompy/エルドラージストンピィ

19戦 10勝 9敗 52.6%
だいたい噛み合い次第ですが、コンバットミスが起こりやすいマッチアップのため、殴るかどうかは慎重に判断しなければなりません。相手もファッティが多い分、《エルドラージの寸借者》が劇的に刺さるため、唱えられれば勝ちのレベルです。サイドに《漸増爆弾》を採用している場合は、《果てしなきもの》を流すためだけに投入するべきです。
■Moon Stompy/《血染めの月》ストンピィ

28戦 21勝 7敗 75.0%
《血染めの月》がキラーカードになると思いきや、完全に腐るカードは8枚だけのため、意外と普通に動けます。逆に《血染めの月》より先にエルドラージを展開出来ればほぼ勝ちです。最終的に《罠の橋》を突破できるかの勝負になることが多いため、《削剥》や《焦熱の合流点》は慎重に使いどころを考える必要があります。
■4C Loam/4Cローム

22戦 16勝 6敗 72.7%
《聖遺の騎士》だけは辛いですが、それ以外で厳しいカードはありません。サイドからは《虚空の力線》を置ければ盤石に。逆にあちらの除去が全部当たる《ゴブリンの熟練扇動者》はサイドアウトの候補になります。
【 VS Land Combo】
59戦 32勝 27敗 54.2%
数自体はそこまで多くないものの、相手の動きをよく知らないと一瞬でイカれるマッチアップのため、練習して相手の定石を知ることが重要です。特にデプスは亜種もそれなりに存在しており、BUGデプス、GWrデプス、ジャンドデプスが代表例です。分からん殺しをされないためにも、それぞれの構成位は知っておくべきでしょう。
■Lands/土地単

14戦 9勝 5敗 64.3%
メインは《血染めの太陽》で完封。サイド後は《クローサの掌握》で割られることと、《不屈の追跡者》等の別の勝ち手段に注意して妨害カードを展開していきます。また、相手の《罰する火》ループや《壌土からの生命》を止めるためにも《虚空の力線》はサイドインします。《罰する火》や《The Tabernacle at Pendrell Vale》に弱い《ゴブリンの熟練扇動者》はサイドアウトします。
■BG Depth/BGデプス

32戦 17勝 15敗 53.1%
ターボデプスだと《血染めの太陽》で完封出来る可能性が高いですが、スローデプスだとメインから《突然の衰微》があるため、下手したら友情コンボを食らうこともあります。入っても3枚なことが多いため、友情コンボは割り切って太陽を置いて速やかに殴りきりましょう。
《吸血鬼の呪詛術士》や《エルフの開墾者》で止まりがちな《ゴブリンの熟練扇動者》をサイドアウトします。
【 VS Non Blue Fair】
151戦 87勝 64敗 57.6%
青くなくてチャリスでも土地コンボでもない消去法的なグルーピングのため、各タイプに明確な共通点はありません。あえて言うならば、青いデッキのように《虚空の杯》でのイージーウィンがしにくくなってはいます。
対戦回数が多かった代表的な4デッキをあげていますが、この他にはエンチャントレス、ゴブリン、ジャンド、Nic-Fitなどが該当します。
■Death & Tax/デスタク

51戦 29勝 22敗 56.9%
一番プレイが難しく、慣れないとコロッと負けてしまうマッチアップ。基本的に妨害置物を優先的にプレイしたいです。負け筋は二つあり、《宮殿の看守》と《聖域の僧院長》です。《宮殿の看守》は上手くいけば《現実を砕くもの》で『統治者』マウントを覆せるため、狙っていきましょう。《聖域の僧院長》をいつ2で置かれても除去できるように、2マナ以外の除去呪文は使いどころを考えておきましょう。
■Burn/バーン

24戦 20勝 4敗 83.3%
《虚空の杯》と《難題の予見者》がひたすら強いマッチアップ。《虚空の杯》は基本的にX=1で置きますが、相手が1マナの呪文を撃ち尽くしたと思われる場合はX=2で置いて《発展の代価》や《大歓楽の幻霊》を牽制します。サイド後は間違いなく《粉々》がインされるため、最初からX=2で置くこともありえます。
■Painter/ペインター

16戦 8勝 8敗 50.0%
その時採用しているアーティファクト破壊の種類と枚数で大きく相性が変わります。《削剥》や《マナの合流点》は頼りになりますが、《ゴブリンのクレーター掘り》だと肝心の《絵描きの召使い》を単体で倒せません。
最近は《ゴブリンの溶接工》と《ゴブリンの技師》を増し増しにして、高速で《ワームとぐろエンジン》や《隔離するタイタン》を戦場に出すプランを搭載しているタイプのペインターが増えてきているので、案外墓地対策が効きます。
■Maverick/マーベリック

24戦 11勝 13敗 45.8%
やはり《聖遺の騎士》がツラいです。しかもDeath & Taxと違って、メインから置物を破壊する手段が多いので、《血染めの太陽》や《虚空の杯》がアテになりません。最速で《血染めの太陽》を設置した後に《難題の予見者》で《緑の太陽の頂点》を追放して、軽量クリーチャーを火力で焼いて勝つことが理想のゲーム展開になります。
【 VS Blue Fair】
78戦 36勝 42敗 46.2%
アーキタイプ群の中では唯一負け越しているのが、この青いフェアデッキ群です。基本的にはWUx Stonebladeに負け越しているのが大きく響いています。その他には、数は少ないですが感染や食物連鎖にも負け越しています。
一方で、忍者やマーフォークなど勝ち越しているアーキタイプも存在しているため、このアーキタイプ群の全てに不利というわけではありません。
■WUx Stoneblade/WUx 石鍛冶

29戦 14勝 15敗 48.3%
純正白青だけなら1敗だけの負け越しのため、そこまで不利には見えないかもしれません。しかし、派生型であるエスパー、バント、ジェスカイ、4Cなどに全て負け越してるため、やはり不利な相性と言えるでしょう。
デッキに採用されているアーティファクト破壊の数が勝敗に直結します。Death & Tax・マーベリックのような青くない石鍛冶デッキ相手だと安心して装備品を割れるのですが、相手が青いため、こちらの虎の子の《焦熱の合流点》があっさり打ち消されて装備品マウントを覆せないのがよくある負け筋です。余裕があるなら《難題の予見者》で前方確認をしたいところです。
4.小技・マル秘テクニック
意外と知られていない小技や覚えておきたいtipsをご紹介します。
【《エインジーの荒廃者》のマッドネス】
レガシープレイヤーにとって「マッドネス」はあまり耳にしない能力です。そのため、赤単エルドラージを使う際には、使いどころをしっかりと把握しておく必要があります。
例えば、ハンデスを多用するデッキと対戦した際は、《エインジーの荒廃者》と赤含む2マナを確保しておくことで、マッドネスで裏をかくことが出来ます。《猿人の指導霊》があれば更に意表を突けるので、温存すると良いでしょう。
また、《戦慄衆の勇者、ネヘブ》の誘発型能力で《エインジーの荒廃者》を捨てた際、その能力で生まれたマナを使って《エインジーの荒廃者》を唱えることが出来ます。《猿人の指導霊》を引けば実質ゼロカロリーです。
【《エルドラージの寸借者》の誘発型能力】
過去に別の記事でも紹介しましたが、自軍のクリーチャーも対象に取れます。一番やる価値があるのは《終末を招くもの》ですね。
他には、泥仕合で《エルドラージの寸借者》を温存してたら《ゴブリンの熟練扇動者》を引いて場には8マナある・・・
あれ?7点入りますね?
また、アンタップにより疑似的な警戒としても使えます(そんな盤面に出くわすことがあるかは分かりませんが)
【踏みつけでプロテクション突破】
構築編でサラッと触れましたが、意外と知られてないため、こちらで詳しく紹介。手順は下記の通り
① プロテクション持ちに自軍のクリーチャーをブロックさせます。
② 《踏みつけ》で直接プロテクション持ちを対象に取ることはできないため、対戦相手本体か別のクリーチャーを対象に唱えます。
③ 呪文が無事解決されれば、《踏みつけ》の効果でプロテクションによるダメージ軽減がなくなります。
④ 無事にダメージ解決。ドヤァ!
という具合です。
一度《踏みつけ》を見せれば、相手は警戒してブロックすることを躊躇してくるのもポイントです。《真の名の宿敵》で《難題の予見者》や《熱烈の神ハゾレト》をブロックする場合ですと、相打ちどころか犬死にですからね。
マウリシオ・ショーグンばりに相手の顔面を《踏みつけ》て戦場を蹂躙しましょう。
5.おわりに
だいぶ長くなりましたが、今回の記事三部作は以上になります。
どこまで皆さんのお役に立てたかは分かりませんが、この記事で少しでも赤単エルドラージについて興味を持って、実際に使ってみてもらえたら嬉しいです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。