こんにちは。「オリジナルデッキを見つけて紹介する」デッキリスト探検隊、第83回です。
「目が覚めるようなデッキリストを見たい、というかあわよくば自分のデッキをみんなに知らしめたい」
と思っているデッキビルダーのみなさまの要望にお応えし、今日もデッキリストを紹介していきます。
オリジナリティがあるだけのデッキリストは誰にでも作れます。しかしながらそれで勝つのは至難の業。
だからこそ、オリジナリティを持ち、ある程度の成績を残したデッキリストには大きな価値があるのです。
デッキリストにはビルダーの個性が光ります。
唯一無二、この世に一つしかないオリジナルデッキたち。
そんな「デッキビルダーの作品」を今日も紹介していきます!
青単ウィザード
Designed by Zudin Rodion
青単のマーフォーク......かと思いきやウィザードデッキです!
マーフォークでもおなじみの《潮流の先駆け》や《マーフォークのペテン師》といったアタッカーに混じり、《非凡な虚空魔道士》が4枚。《霊気の薬瓶》との相性が良く、展開とカウンターを両立してくれます。
この3種の採用枚数を見るとマーフォークをよりクロック・パーミッション寄りにしたような印象を受けましたが、それだけではないようです。
かつての青単信心よろしく、《ニクスの祭殿、ニクソス》と《波使い》が4枚ずつ。先に挙げたメインアタッカーたちはいずれも青のダブルシンボルを持っており、信心メカニズムを強く意識しているのは間違いないでしょう。
スタンダード時代の青単信心は、クロック・パーミッションを軸にしつつ《ニクスの祭殿、ニクソス》から出る膨大なマナをもって猛攻に転じることもできたデッキでした。この青単ウィザードはその構造をそのまま受け継いでいるようですね。
むしろ、《非凡な虚空魔道士》以外のウィザード・カードはあまりメインではないみたいです。
《反復の学部長、ナバン》は軽く強力な効果を持つものの、信心不足とみなされたか採用枚数は1枚。
《巻物の君、あざみ》は信心は高いものの、序盤の信心カウントに貢献しないからかこちらも1枚。
やはり軸としては信心がメインであり、ウィザードはその次の様子。《非凡な虚空魔道士》の能力も、大量のマナがあってこそ輝きますからね。
しかしながら先の二枚はウィザードにとって強力なカードですので、《エラダムリーの呼び声》のようなサーチ呪文を使えないのは若干残念でしょうか。
いえ、このデッキならこのカードがサーチの役目を果たしてくれるでしょう。
コンボカードの印象が強い《タッサの神託者》ですが、このデッキの場合は強力な占術持ちとして運用します。デッキトップ4枚程度は多くの場合見られるでしょうし、6枚以上めくることもそんなに珍しくはないでしょう。
さらに《玻璃池のミミック》が追加の《タッサの神託者》となり、状況に応じて1枚しか入っていないカードを探しにいけるようになっています。
もちろん、複数枚の《ニクスの祭殿、ニクソス》を探すのも良いでしょう。
サイドボードにも目を向けてみます。
クロック・パーミッションであれば6マナのカードはそうそう入りませんが、このデッキならば《ワームとぐろエンジン》も問題ないようです。
《虚空の杯》の基本用途はX=0か1だと思いますが、マナが出るデッキの場合は選択肢が増えますね。
《王神の贈り物》×《影の処刑者、ダッコン》
Designed by Oono Osamu
なんだかすごいデッキリストだなというのが初めて見た時の感想です。
とりあえず、《新たな造形》で《王神の贈り物》を出すのがひとつの軸であることに間違いはなさそうです。
《王神の贈り物》はクリーチャーをトークンに変えて毎ターン墓地から呼び戻すアーティファクト。『アモンケット』期のスタンダードをプレイしていた方の記憶にはまだまだ残っているでしょう。
これを《新たな造形》で呼び出す、と......。こっちはスタンダード時代にはあまり使われていなかったので有名ではないかもしれません。要はアーティファクト版の《変身》です。最近のカードで言うと《異形化》ですね。
《王神の贈り物》を出した後に呼び戻すのは、主にインカーネーションのようですね。
どちらも文句のつけようがない強力な「戦場に出たときに誘発する」能力持ち。想起 → そのまま《王神の贈り物》でトークン生成と繋げるだけでゲームにはかなりの影響を及ぼすはず。
さて、ここまではデッキの基本構造をお伝えしてきましたが、このリストを目の前にしてこのカードに触れずに済ませるわけにはいきません。
『モダンホライゾン2』でカード化された《影の処刑者、ダッコン》。マジック三番目のエキスパンション『レジェンド』に収録された《黒き剣のダッコン》と同一人物です。背景ストーリーを読んでいる方はご存知だったかもしれませんね。ちなみに、『ドミナリア』『灯争大戦』で登場した《再鍛の黒き剣》を鍛造した人物です。
このカードがこのデッキと最もシナジーするのは [ -6 ] 能力でしょうか。《王神の贈り物》を戦場に出すことができます。
とはいえ、これは土地6枚か数ターン生き残ることが条件ですので、使い方としてはメインに据えにくいですね。[ +1 ] も [ -3 ] もあまり癖がないことを考えると、おそらくはユーティリティカードとして用いながら《王神の贈り物》の着地を狙っているのではないかと思います。
サイドボードには《荒廃鋼の巨像》が控えていたりと面白いデッキですね。《新たな造形》の先に《王神の贈り物》があると見込んで墓地対策を構えた相手の顔面に、感染11点パンチがめりこみます。
白緑《天界の麒麟》
Designed by Igarashi Ritsu
こちらは非常にわかりやすいデッキです。《天界の麒麟》と《ウギンの召喚体》を揃えて土地を全て吹き飛ばします。
最近のカードであれば「土地以外」のひと言がだいたいついているのですが、《天界の麒麟》にそんな容赦はありません。《ウギンの召喚体》X=0で土地を根こそぎ破壊します。
もちろん、このデッキは自分だけ被害を逃れられるよう組まれています。
このほか、《アルゴスの庇護者、ティタニア》とのコンボは必殺の打点をたたき出すでしょう。
デッキ全体としては《エラダムリーの呼び声》と《イーオスのレインジャー長》を軸に必要なパーツをかき集めるツールボックスがコンセプト。特に《ウギンの召喚体》はどちらのサーチ呪文にも対応しており、単体で腐りやすい弱点をある程度抑えられています。
どちらかというと、序盤の制圧が課題になるかもしれません。《エラダムリーの呼び声》キャストにより2マナのテンポロスが出ることはもちろん、そもそもマナコスト以上のパワー・タフネスを備えるクリーチャーがあまり多くありません。《天界の麒麟》+《ウギンの召喚体》で土地を全て壊しても、相手の《タルモゴイフ》一枚を止められずに負け......ということになっては意味がありませんから、このデッキを使う場合は盤面の取り合いを意識すると良いと思います。
以上、デッキリスト探検隊でした。
昨今、自分のデッキを記事にする人も増えてきました。そういった発信も良い流れだと思いますが、デッキビルダーたるもの、自分のデッキが他人の記事に掲載されることこそ本懐。
あなたの作ったデッキを紹介できる日を楽しみにしています。