By Riku Imaizumi
こんにちは。「オリジナルデッキを見つけて紹介する」デッキリスト探検隊、第56回です。
「目が覚めるようなデッキリストを見たい、というかあわよくば自分のデッキをみんなに知らしめたい」
と思っているデッキビルダーのみなさまの要望にお応えし、今日もデッキリストを紹介していきます。
オリジナリティがあるだけのデッキリストは誰にでも作れます。しかしながらそれで勝つのは至難の業。
だからこそ、オリジナリティを持ち、ある程度の成績を残したデッキリストには大きな価値があるのです。
デッキリストにはビルダーの個性が光ります。
唯一無二、この世に一つしかないオリジナルデッキたち。
そんな「デッキビルダーの作品」を今日も紹介していきます!
今回は『カルドハイム』から新戦力を獲得した3つの部族デッキを見ていきましょう。
マーフォーク with 《神秘の反射》
Designed by Enigma01 in Magic Online
《神秘の反射》がマーフォークに入りました。
相方筆頭は《波使い》でしょう。「戦場に出たとき」能力がスタックに乗ってから《神秘の反射》を《波使い》に使えば、出てくるトークンが全て《波使い》に変化します。
例えば《アトランティスの王》が一体いる状態で上記コンボを決めれば、もともと3体のエレメンタルトークンが出てくるはずが、3体の《波使い》が生まれ、エレメンタルトークンは合計で18体生成されることになりますね。しかも《波使い》のロード能力が重なるため、トークンはそれぞれ5/4に強化されます。
もちろん《波使い》に4マナを費やしながら《神秘の反射》をプレイしてはマナ効率が悪いため、《霊気の薬瓶》と組み合わせてやりましょう。
※記事公開時、《波使い》から生まれるトークンのうちの一体が《波使い》になる、という表記をしておりましたが間違いでしたので修正しました。大変失礼いたしました。
ちなみにこのデッキ、かなり「構える」構築になっています。
瞬速持ち、あるいはカウンター呪文が多数搭載されているため、自分のメインフェイズに動く必要が比較的少ないのです。
《霊気の薬瓶》を引けていれば、自分のターンはほとんどドロー・アタック・ゴーになるでしょう。
《神秘の反射》もインスタントですから、「構える」プレイングはけっこう重要なのだと思います。
単純に、相手のターンに《神秘の反射》と瞬速持ちクリーチャーを組み合わせてコンバット・トリックにしても良いですし、何より「次に出てくる相手のクリーチャーやプレインズウォーカー」を適当な弱いクリーチャーに変化させてしまっても良いですね。
その場合、ぜひ《アトランティスの王》に変えてやりたいところです。
初収録がアルファ版。最初期のカードの一枚なため、戦場にいるすべてのマーフォークを強化してしまいます(昨今のカードは基本的に自軍のみ強化する)。
その性質上、相手が同型でない限り、相手の場に《アトランティスの王》がいてもこちらの利になるばかりです。
《精神を刻む者、ジェイス》のようなフィニッシャーを《アトランティスの王》に変えてやりましょう。
エレメンタル with 《英雄たちの送り火》
Designed by IPlayBadDecks in Magic Online
《出産の殻》の系譜がまた生まれましたね。
《奇怪な具現》のように、条件をつけた《出産の殻》といったような印象のカードです。
条件は《奇怪な具現》より比較的緩そうです。クリーチャー・タイプを統一しておけば、とりあえず採用は可能ですから。
本デッキリストは、エレメンタルと組み合わせています。
大昔から数を増やし続けている部族であること、専用5色土地に《原初の彼方》もあることから、選択肢が非常に広く、《英雄たちの送り火》の使用条件に上手くマッチしていると思います。
さて、1マナ域は《炎族の先触れ》のみ。エレメンタルデッキとしてはもちろん優秀なのですが、《炎族の先触れ》を出した直後は《英雄たちの送り火》を起動しにくいのが少々困りものですね。
一方、2~3マナ域は非常に充実しています。
「戦場に出たとき」能力や、「戦場を離れたとき」能力を持つクリーチャーたち。
元祖《出産の殻》で《台所の嫌がらせ屋》が大活躍していましたし、やはりこのデッキでも基本のラインはこうした能力のクリーチャーになるようです。
特に《発現する浅瀬》が強そうですね。生け贄にしても良いですが、場に残り続ける限り、《英雄たちの送り火》の起動でアドバンテージを一枚ずつ獲得できます。
クリーチャーの選択肢は充実していますし、アドバンテージを稼げるという意味でも問題はなさそうです。
その中で《出産の殻》と比較するなら、やはり起動コストの重さが気になるところでしょうか。
《出産の殻》はほとんど1マナで起動が可能でした。もちろんライフは失うものの、ライフ回復手段が豊富でしたので、問題になるほどではなかったのです。
一方、《英雄たちの送り火》はどうしても2マナが必要になります。また、構造上《極楽鳥》などを採用しにくいので、序盤はマナに余裕がありません(後半は《発現する浅瀬》のおかげで大丈夫そうですが)。
そのために入っているのが《霊気の薬瓶》なのでしょう。
部族デッキでは毎度おなじみ。疑似的なマナ加速と疑似的な瞬速の付与をしてくれるお化けアーティファクト。
クリーチャーの展開にマナを使っていては《英雄たちの送り火》の起動が遅れてしまいがちなので、やはりこうしたカードで補強する必要がありそうです。
インスタントタイミングで現れることで強力になるクリーチャーはそれほど多くはありませんが、相手ターンの終了ステップに《稲妻の骨精霊》を出せば次の自分のターンまで生き残ってくれますし、《炎族の先触れ》を出せば必要なエレメンタルをすぐにサーチできます。後者に限っては、自分のアップキープに出してやっても良いですね。
ただし、《霊気の薬瓶》は採用クリーチャーのマナ域がある程度揃っていなければ使いにくいという欠点があります。
本デッキリストのクリーチャーのほとんどが2~3マナ域なのもそれが理由なのかもしれません。
マナ域を揃えてしまうと今度は《英雄たちの送り火》の自由度が下がってしまうので、使いながら最適な構築を探していくのが良いでしょう。
エルフ with 《エルフの戦練者》
Designed by najjan31 in Magic Online
注目すべきは前者。新機軸のコンセプトを生み出しました。
《エルフの戦練者》のおかげでエルフの頭数がどんどん増えていきますので、《遺産のドルイド》でそれをマナに変換。
増えたマナは《領界渡り》から飛び出してくる新たなエルフに使用して、エルフが増えればまた《遺産のドルイド》がマナを出して......という風にガンガンエルフを呼び出していきましょう。
そうして「群れ」を確保したら、《群れのシャーマン》や《背教の主導者、エズーリ》の能力でとどめです。
このようにコンセプトはいたってシンプル。
一方で《エルフの幻想家》が抜けてしまったので、除去コントロールには弱くなった可能性があります。即座にアドバンテージを獲得できるカードが、メインデッキでは《ドゥイネンの精鋭》と《集合した中隊》だけになってしまいました。
また、《エルフの大ドルイド》以外のロードもいなければ《召喚の調べ》もないので、打点そのものは下がっているでしょう。
それでも除去さえ打たれなければ毎ターンエルフが増えていくようになりましたから、盤面での勝負ではなかなか負けなくなっているはずです。まずは手に取って確かめてみたいですね。
《召喚の調べ》が外れたあたりは、遥か以前に人間デッキから《集合した中隊》が抜けた時のことを彷彿とさせます。いずれエルフからも《集合した中隊》が抜ける日が来るかもしれません。
以上、デッキリスト探検隊でした。
昨今、自分のデッキを記事にする人も増えてきました。そういった発信も良い流れだと思いますが、デッキビルダーたるもの、自分のデッキが他人の記事に掲載されることこそ本懐。
あなたの作ったデッキを紹介できる日を楽しみにしています。