By Riku Imaizumi
こんにちは。「オリジナルデッキを見つけて紹介する」デッキリスト探検隊、第40回です。
面白いデッキリストを見る機会が減ってきた昨今、
「目が覚めるようなデッキリストを見たい、というかあわよくば自分のデッキをみんなに知らしめたい」
と思っているデッキビルダーのみなさまの要望にお応えし、今日もデッキリストを紹介していきます。
オリジナリティがあるだけのデッキリストは誰にでも作れます。しかしながらそれで勝つのは至難の業。
だからこそ、オリジナリティを持ち、ある程度の成績を残したデッキリストには大きな価値があるのです。
デッキリストにはビルダーの個性が光ります。
唯一無二、この世に一つしかないオリジナルデッキたち。
そんな「デッキビルダーの作品」を今日も紹介していきます!
《世界を彫る者、ファイラス》
『ゼンディカーの夜明け』には過去のゼンディカー関連のセットを彷彿とさせるカードが多く収録されています。
《世界を彫る者、ファイラス》もその1枚。
初代『ゼンディカー』期に大活躍した《ゼンディカーの報復者》のリメイクです。
リメイクされたはいいものの、トークンを生み出す時に参照するのが基本土地のみに変更されてしまいました。ついでに赤緑になってしまったので、先代と比べてかなりデッキを選ぶカードになっています。
ですが、弱体化してしまったのはその2点だけで、上陸能力が《ゼンディカーの報復者》に明確に劣るわけではないですし、マナコストに至っては軽くなっています。
使いこなすのは難しくとも、ポテンシャルは秘めているはずです。
そんな《世界を彫る者、ファイラス》を使ったデッキがこちら。
Designed by Saitou Shougo
《世界を彫る者、ファイラス》を使うために、白にも手を出しています。
デッキの屋台骨となるのはこの2枚。どちらも基本土地を参照するカードで、《世界を彫る者、ファイラス》を強く支えてくれるでしょう。
2ターン目:《ムラーサの根食獣》キャスト
3ターン目:《ムラーサの根食獣》起動+《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》キャスト
と動くと、《ムラーサの根食獣》の手札消費の激しさをカバーしつつ、2/3と4/4が並び、しかも6枚の土地を確保できます。
デッキ自体はマナランプよりの構成ではあるものの、《ムラーサの根食獣》《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》のマナレシオが良好なことや、《スカイクレイブの亡霊》《エメリアのアルコン》などが入っていることから考えると、序盤から攻撃することも考えているのでしょう。
そのプランの際に役に立つのが《フェリダーの撤退》です。
上陸能力で2/2を量産しても良いのですが、《水蓮のコブラ》《絡みつく花面晶体》のようなマナクリーチャーを強化できる、全体に+1/+1カウンターをばらまく能力もかなり重宝します。
もちろん《世界を彫る者、ファイラス》との相性は最高です。《硬鎧の大群》も入っているので、クリーチャーを増やしまくってどんどん強化してやりましょう。
このデッキの強みは「序盤にそこそこ殴りながらも後半になったら重いカードで蹂躙できる」ことですが、《エメリアの呼び声》はまさにそれを体現しています。
かつて《ゼンディカーの報復者》が活躍したデッキとはかなり違うものの、《世界を彫る者、ファイラス》の活躍にも期待できそうです。
白青《見捨てられた碑》
Designed by Sugasawa Shinobu
こちらは《見捨てられた碑》を使ったデッキ。
かつての『ゼンディカー』を経験していると《エルドラージの碑》を思い出すのですが、能力はけっこう違います。
ひとつめは《鍛えられた鋼》のような全体強化。影響を受けるのが無色のクリーチャーに限られているため、なるべく軽く、なるべく優秀な無色のクリーチャーを集めています。
もうひとつは、パーマネントをタップして無色のマナを出す際に、追加でもうひとつ無色マナを出す、という能力。
感覚的には無色のマナソースから出るマナが倍になるような感じに近いです。(もちろん厳密には違います)
現環境に《アダーカー荒原》のような自由に色マナと無色マナを生み出せる土地があれば良いのですが、都合の良いものはないので、普通の無色土地を採用しています。
「無色マナが増える」「クリーチャーに関係する」という2点から、《眷者の居留地》《這い回るやせ地》は特に《見捨てられた碑》との相性が良いですね。
《見捨てられた碑》でマナが大幅に増えることから、《精霊龍、ウギン》も入っています。
《見捨てられた碑》を引けないパターン、定着させられないパターンがあるため、普通ならただ《精霊龍、ウギン》を入れるだけでは腐りやすいのですが、このデッキではクリーチャーで上手にカバーしています。
《見捨てられた碑》を引けなかった時ためののマナ加速になり、引けたときは+2/+2修正を受けて戦力になるわけです。
メインデッキ唯一の色つきカードである《屋敷の踊り》は、大量にマナを消費することや、一気にクリーチャーを展開できることからも《見捨てられた碑》と噛みあっています。能動的にアーティファクトを墓地に落とす手段がないことだけが欠点ですが、消耗戦となるマッチアップでは輝くことでしょう。
《団結の標、タズリ》パーティー
昔ながらのゼンディカーを思いだすカードやデッキを紹介してきましたが、最後は新しいメカニズムを存分に使ったデッキを見てみましょう。
Designed by Morita Takumi
パーティーデッキです!
まずはこのデッキの最大値を紹介します。
1マナで《払拭の光》。1マナで《魔性の教示者》。1マナで《英雄の破滅》。しかも追加効果を含むものまであり。
わずか1マナで3マナ以上の能力を使えると考えれば、どれだけ強いかなんとなく想像はつきますよね?
もちろん問題はあります。パーティーを揃えられるかどうかです。
このハードルは確かに高いものの、これを超えれば前述したパフォーマンスを引き出せます。挑戦する価値は十分あるでしょう。
このデッキでは主にパーティーの構成部族をなるべく均等に散らすことで揃えようとしているようですね。
唯一、《石造りの荷役獣》だけはジョーカー的な役割を果たします。
パーティーの欠点としては、単に揃いにくいことだけではなく、全体除去に弱いことも挙げられます。
《英雄的介入》のような能力で補ってあげると良いでしょう。このデッキでは、その役目は《海門の擁護者、リンヴァーラ》が務めています。
自分もパーティーの一員でありながら欠点を明確に補ってくれる、頼りになる1枚です。
さらに、パーティーが揃った時の能力はゲームを決め得る影響力を持ちます。相手のデッキによりますが、生き残れば完封できるようなマッチアップもあるかもしれませんね。
パーティーさえ揃えば、他にも1マナ4/6なんてクリーチャーも使えます。
パーティーが揃っていなかった平凡なマナレシオですが、3マナくらいで唱えられればなかなか強力なはず。
前回の《タズリ将軍》はさっぱり活躍しなかったので、今回は期待したいですね。
ハードルを超えさえすれば、1マナで《払拭の光》、《魔性の教示者》、《英雄の破滅》。そして《団結の標、タズリ》。頑張ってパーティーを揃えてみましょう。
以上、デッキリスト探検隊でした。
昨今、自分のデッキを記事にする人も増えてきました。そういった発信も良い流れだと思いますが、デッキビルダーたるもの、自分のデッキが他人の記事に掲載されることこそ本懐。
あなたの作ったデッキを紹介できる日を楽しみにしています。