By Riku Imaizumi
こんにちは。「オリジナルデッキを見つけて紹介する」デッキリスト探検隊、第37回です。
面白いデッキリストを見る機会が減ってきた昨今、
「目が覚めるようなデッキリストを見たい、というかあわよくば自分のデッキをみんなに知らしめたい」
と思っているデッキビルダーのみなさまの要望にお応えし、今日もデッキリストを紹介していきます。
オリジナリティがあるだけのデッキリストは誰にでも作れます。しかしながらそれで勝つのは至難の業。
だからこそ、オリジナリティを持ち、ある程度の成績を残したデッキリストには大きな価値があるのです。
デッキリストにはビルダーの個性が光ります。
唯一無二、この世に一つしかないオリジナルデッキたち。
そんな「デッキビルダーの作品」を今日も紹介していきます!
ドレッジ
Designed by Usui Tomoki
モダンでも活躍中のドレッジがスタンダードにも姿を見せました。
キーカードは《銀打ちのグール》。
モダンとスタンダードで大きく異なるのは、墓地から帰ってくるクリーチャーの絶対数でした。
《恐血鬼》や《秘蔵の縫合体》のようなカードに欠けていたのです。
《銀打ちのグール》はそれを解消してくれました。帰ってくる条件である「3点のライフ獲得」を満たす相棒はこの3種類。
特に《這い寄る恐怖》との相性は抜群で、《深みへの冒険》(《マーフォークの秘守り》の出来事)で両者が墓地に落ちれば1ターン目から3点クロックを仕掛けられます。(そんなに揃わないとは思いますが)
《ティマレット、死者を呼び出す》は固定で3点以上のライフを得られるわけではありませんが、《ぬかるみのトリトン》などのゾンビがいれば条件は達成可能。
他にも、《ぬかるみのトリトン》×2や、《残忍な騎士》を《永遠の頂点、ブロコス》に変容したり《悪魔の抱擁》をエンチャントして攻撃、のように、3点ライフ獲得の手法が散りばめられています。
また、《悪魔の抱擁》のおかげでデッキのスピードが上がっており、モダンのドレッジのように高い火力で攻めていけます。
+3/+1と飛行を追加する能力は、《ぬかるみのトリトン》のような適当なクリーチャーをフィニッシャーに変えるのに十分です。
《永遠の頂点、ブロコス》の変容コストはさすがに軽くはないものの、役目を終えた《マーフォークの秘守り》が6/6になると考えたらなかなか強力なように思えます。
気軽に変容できるくらいコストが軽ければ、種となる《ナルコメーバ》なんかも入っていたかもしれませんね。
デッキの弱点は、言わずもがな墓地対策です。
どのカードも環境によって使用率は異なりますが、なにかしらの対抗策は用意しておきたいですね。
特に《漁る軟泥》。墓地掃除+ライフゲイン+大型ブロッカー用意を一手で叶え、これだけで劣勢をひっくり返される可能性があるため、致命的でしょう。
メインデッキの基本除去は、《漁る軟泥》にほとんど効かない《無情な行動》4枚なので、出されてしまうとかなり辛いはずです。サイドボードからは《霊気の疾風》《害悪な掌握》と対策が増えますが、《霊気の疾風》でできるのは時間稼ぎだけということは覚えておかねばなりません。
環境を見て、《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》や《夢を引き裂く者、アショク》も対処できる《取り除き》の採用を検討しても良いと思います。
また、現時点での採用率は高くないとはいえ、《墓掘りの檻》はこのリストだとほぼ対処できません。遭遇する機会が増えた場合、対策が必要です。
最も相手を選ばない「墓地対策への対策」は、相手の墓地対策にひっかからないフィニッシャーです。ついでに墓地対策カードの対処までできたら最高ですね。
ローテーション直前のスタンダードはカードが豊富なので、自分で見つけてみるのも面白いと思います。
《睡蓮の原野》・ビッグマナ
Designed by Miyata Kentarou
《睡蓮の原野》は場に出すときに土地2枚の生け贄を要求しますが、それを踏み倒せばマナ加速が成立しちゃいます。
そう、能力にスタックでターンを終了してしまえばマナ加速完了。2枚分のマナ加速ができる計算になりますから、効率だけで見れば《爆発的植生》や《迂回路》と同等。それが3マナ相当でできてしまいます。(《睡蓮の原野》タップインで1マナ分、《不連続性》キャストで2マナ分)
こうして増やしたマナをさらに増やして......
それを重いカードに存分に注ぎ込みましょう!
調子よく回れば4ターン目に《精霊龍、ウギン》が着地します。
フィニッシャーが手札になくとも、《巨智、ケルーガ》が相棒の席に座っているので、やることがないなんて事態には陥りませんよ。
ちなみにサイドボードには2マナ以下の呪文が入っているので、サイドボードするときには《巨智、ケルーガ》を相棒にしておくかどうかちゃんと考えましょう。
《睡蓮の原野》+《不連続性》コンボの長所は、やはり緑を入れずにマナランプを組める点でしょう。
このデッキのように2色で安定性を高めるも良し、青赤黒や青赤白のように3色のマナランプにデザインするのも可能です。
なお、《睡蓮の原野》の誘発型能力を踏み倒すのには《不連続性》だけではなく《物語の終わり》も使えます。
こちらは相手のプレインズウォーカーを打ち消せるなど活躍の場が異なりますので、メタゲームを見て枚数を整えると良いでしょう。
黒単コントロール
Designed by Nagata Akihiko
「使うなら黒単」というこだわりを持つプレイヤーは各地にいます。
こちらもそんなプレイヤーの作品でしょうか。見事な黒単コントロールのデッキリストです。
恐らく、デッキの成立に大きく役立ったのは《精神迷わせの秘本》でしょう。
黒しか使わないとなるとアドバンテージを得る手段が問題となりますので、低マナ域を埋めつつその枠を解消してくれるこのカードはかなり重要に思えます。
《精神迷わせの秘本》のおかげで、「1対1交換を繰り返して追加ドローでアドバンテージ差をつける」という古典的なコントロール戦法がとりやすくなりました。
他にアドバンテージをとるカードはこのあたりです。
現代マジックの象徴とも言えるプレインズウォーカーたち。特に《精霊龍、ウギン》は重いですが、『基本セット2021』の新戦力・《真面目な身代わり》のおかげでプレイはある程度は現実的になっています。
地味に良い働きをしてくれそうなのが《人知を超えるもの、ウギン》で、常在型能力のおかげで《精神迷わせの秘本》をタダで置けたり、2マナで《真面目な身代わり》を唱えられたりします。
《石とぐろの海蛇》も軽くしてくれますね。
さて、ここまで紹介したカードでお気づきも知れませんが、実はこのデッキ、単色なのに色対策カードがそこまで効きません。
まず、黒単コントロールと言いながら黒いパーマネントはあまり入っていないので、《敬虔な命令》の対象があまりありません。
《残忍な騎士》は追放されてもさほど辛くありませんし、《死者を目覚めさせる者、リリアナ》も使い方さえ考えればアドバンテージ損は起きません。
次に《ガラクの先触れ》や《浄光の使徒》などの耐性持ちも、無色のカードでしのげます。
《真面目な身代わり》でブロックしたり、《石とぐろの海蛇》で相打ちしたり。最終的な対処は《絶滅の契機》でできますし、《リリアナの勝利》でもOKなので、1枚に負けてしまう状況にはなかなか陥らないはずです。
単色ゆえに《光輝の泉》をフル活用できるのも強みでしょう。アグロの多い環境ならかなり頼もしいカードとなります。
歴代の黒単と比べても、このデッキリストはクリーチャー以外への対処カードが多く、コントロールとしてなかなか良い仕上がりではないでしょうか。
《取り除き》と《残忍な騎士》を使えるので、プレインズウォーカーにアドバンテージを取られ続けて負けることはないでしょうし、サイドボードに4枚投入された《ファリカの献杯》でエンチャント対策も十分です。
ところで歴代の黒単コントロールというと、少し前の《彩色の灯籠》を採用したクロマティック・ブラックを思いだしますね。
あの時は宝物トークンを生み出せたので黒以外のカードも多少は採用できたのですが、今は厳しいかもしれません。
せめて唱える際には色マナを要求せず、それでいて十分に強くて、しかもオマケで色マナを注ぎ込む先になってくれる、夢のようなカードがあれば......。
おや、そんなカードあったような......。
《不屈の巡礼者、ゴロス》なら《光輝の泉》サーチでよりアグロへの耐性が上がりますし、状況に応じて《ロークスワイン城》、《爆発域》、《総動員地区》などをサーチできるので、単体でも活躍してくれそうです。
3ターン目《彩色の灯籠》、4ターン目《不屈の巡礼者、ゴロス》、5ターン目から《不屈の巡礼者、ゴロス》起動型能力......なんて繋げられたら強そうですね。《精霊龍、ウギン》のハードキャストもしやすくなりますし、《不屈の巡礼者、ゴロス》の能力でめくれたら最高です。
クロマティック要素を入れるか否かは実際に使ってみて判断すべきと思いますが、オプションが多くて損することはありません。ぜひ自分にとって最も手に馴染む黒単を使ってみてください。
以上、デッキリスト探検隊でした。
昨今、自分のデッキを記事にする人も増えてきました。そういった発信も良い流れだと思いますが、デッキビルダーたるもの、自分のデッキが他人の記事に掲載されることこそ本懐。
あなたの作ったデッキを紹介できる日を楽しみにしています。