by Yohei Tomizawa
企業の看板を背負ってプレイする。それはどこか誇らしくもあり、窮屈でもある。
彼らが背負うのは個人の意地だけではなく、企業の価値にも等しいためだ。
BIG MAGICの看板を背負ったスポンサードプレイヤーたちはどんな1年を送ったのか、また、今シーズンはどんな活動をしていくのか。
簡易的ではあるが、一問一答形式で契約プロプレイヤーたちに聞いてみた。
1 昨シーズン(2017~2018年)を振り返っての総括をお願いします。
2 今シーズン(2018~2019年)の目標について教えてください。
3 『グランプリ・静岡2018』で初開催となったダブルグランプリについての感想をお願いします。
4 スポンサードプレイヤーとして、今後やりたいことを教えてください。
※このインタビューは『グランプリ・静岡2018』時に実施しております。
◆BIG MAGIC所属プロ
佐藤 レイ
ノン・レベルの状態からたった1年でプロの最高峰であるプラチナ・レベルまで駆け上がったシンデレラボーイ。その勢いは衰えず、今シーズンの日本での開幕戦となった『グランプリ・名古屋2018』でもあっさりと優勝を果たしている。勢いが留まることを知らない佐藤は、この1年をどう総括するのだろうか。
1 昨シーズンを振り返って
全てが『グランプリ・香港2017』での優勝から始まったと言っていいでしょう。あれをきっかけにマジックにオールインして、大会に参加し続けることで、プラチナ・レベル到達という最高の結果となりました。文句のつけようがない1年でしたね。
2 今シーズンの目標
先ずはプラチナ・レベルの維持。具体的な戦績についていうならばプロツアーでトップ8入賞を果たし、世界選手権への出場権を獲得したいと思っています。特にグランプリはアジア地域を始め積極的に参加していく予定です。
3 ダブルグランプリについて
参加者の中には4日間開催して欲しいという意見も多いでしょうが、現実的にはどうやっても3日間にならざるを得ないでしょう。
ただ2つのグランプリが連続してあることで、最初のグランプリで負けてしまっても、まだ勝つチャンスは残っている。チャンスが2回に増えたのはいいことだと思っています。
4 やりたいこと
個人としてはオンラインサロンを開設してみたいと思っています。少数精鋭で同じ目的意識の元、活動できるのが理想ですね。自分の経験や技術を他のプレイヤーに還元できたらと考えています。また、e-sports分野ではプロリーグも行われていることから、マジックでも同様のものがあると面白いと思いますね。
瀧村 和幸
続いてはBIG MAGICが誇るミスターストイック、タキニキこと瀧村 和幸。『戦乱のゼンディカー』に続き2度目のプロツアートップ8入賞を果たしたこの1年を、瀧村はどうまとめてくれるのか。
1 昨シーズンを振り返って
よく正拳突きができた(マジックに取り組めた)1年間だったと思います。プロツアー『ドミナリア』、『グランプリ・香港2017』ではそれぞれトップ8に入ることができましたし、全体的に好成績を残すことができました。
総じて、正拳突きができた1年だったと思いますね。
2 今シーズンの目標
変わらず、愚直に正拳突きを打ち続ける。正直に言えば、目の前の大会でいきなり結果を出すことは難しいかもしれません。それでも愚直に正拳突きを打つ続けることで、必ずチャンスは巡ってきます。そのチャンスは目の前の大会か、1年後の大会かはわかりませんが、それまで腐ることなく愚直に正拳突きを打てるかが重要です。
今期具体的に目標を掲げるならばプロツアーとグランプリでトップ8入賞、意識としてはゴールド・レベルに到達できればいいかなと思っています。ですが意識し過ぎずに、先ずは目の前の大会に対して取り組んでいこうと思っています。
3 ダブルグランプリについて
グランプリが2つ開催されるのは嬉しいですが、社会人にとってはあまり関係ないかもしれません。日本人プレイヤーは年齢的にも社会人が多いと思うので、その内どれだけのプレイヤーが金曜日に休みをとり、参加できるかですね。
そしてこれはおかしな言い方ですが、今までなかったフラストレーションが生まれている可能性がありますね。グランプリはマジックの大規模大会だけではなく、お祭り的な側面も持ち合わせています。それが日程的な問題で参加できないプレイヤーが生まれ、参加できないことによるフラストレーションが生まれるわけです。それこそ国内グランプリ皆勤賞だった方もいたかもしれません。そのため一概にいいとは言えないかなと思います。なかったはずのフラストレーションが生じているわけですから。なのでダブルグランプリが今後開催されるとすれば、日程的には連休と絡ませて開催して欲しいですね。
と、まあ、ちょっとネガティブな意見を述べてしまいましたが、実際にはお祭りやプロツアーへのチャンスが増えたわけですから、喜ぶべきですね。特に初日が2回あるので、プロツアーや上位入賞を目指している方にとってはいいことでしょう。
4 やりたいこと
以前にTwitterで書き込みましたが、マネージメントというかプレイヤーのプロデュースをやってみたいと思っています。瀧Pとして、プロツアーまで辿りつかせようと。ただし、誰でもいいというわけではありません。本当にやる気のある人、プロツアーの舞台を渇望している人をプロデュースしたいと思っています。
面接も行いますが、何よりも大切なのはマジックの実力よりもメンタルですね。すぐに結果が出なくても折れない心が必要となります。また、プロデュースするにあたりそのプレイヤーの持つ考え方や概念を一度壊して更地にする必要があります。なので時間に余裕もあり、これからガンガンマジックしていきたいという若い方をプロデュースしてみたいです。
井上 徹
グランプリでの栄冠こそないものの、2度のトップ8入賞、そして二桁を越えるプロツアー参加と抜群の安定感を誇る静かなる曲者。井上が見返す己の1年とは。
1 昨シーズンを振り返って
ゴールド・レベルこそ維持できましたが、勝つこと(グランプリトップ8以上)がありませんでした。特にバブルマッチでの相性が悪く、グランプリトップ8のかかったラインで6回も負けてしまいました。
PTQへ参加していた頃は決勝まで進めば9割勝っていたので、自分は勝負強いと思っていたのですが...壁を感じますね。
2 今シーズンの目標
今シーズンは未到達のグランプリトップ8を目標にしたいと思います。レベルの維持は考えず、先ずはグランプリで勝つこと、一度くらいカバレージのトップページに自分の名前を載せたいので。そもそもレベルは意識せずともグランプリで好成績を収めれば、自然とついてくると思っています。トップ8に一度入ることで、一つの壁を打ち破り色々変わるのではと考えています。その目標を達成できるように今年は海外グランプリも含めできるかぎり参加します。
3 ダブルグランプリについて
どうせあるなら2回とも出たいのが本音ですが、体力も相当消耗するはずですからね。今回のようにレガシーで負けてもスタンダードがあるという担保はありますが、2日間戦い抜くと考えるならば今回のようなスケジュールがベストかなと思います。ただ、フォーマットが構築2つだと情報量が多すぎて処理しきれず練習が片方に偏るので、逆にスタンダードとリミテッドとかの組み合わせの方がいいかもしれません。
4 やりたいこと
自分は大会で勝つには精神面での影響が大きいと思っています。技術も当然ですが、実際の試合ではメンタルが9割だと思っています。調子がいい時も悪い時も、如何に普段通りプレイできるか。試合に挑むにあたっての心構えとかを扱って何か書いてみたいですね。
松本 友樹
個人・チームとグランプリ2冠であり、構築戦・限定戦問わずに安定した成績を残しているのが松本だ。特に松本が作成するデッキはオリジナリティと強さを併せ持つ一級品。昨シーズンの結果はどうだったのか。
1 昨シーズンを振り返って
昨年は第1シーズンでプロポイントを10ポイント稼ぐことができ、ゴールド・レベルまでいけるかと思いましたが、結果的に失速してしまいました。グランプリでもトップ8に入賞することができましたので、少しもったいなかったと思っています。心残りとしてはグランプリ中に体調を崩して2日目参加できなかったこともあったので、そこは課題でもありますね。
2 今シーズンの目標
シーズン最初のプロツアーこそ獲得ポイント4点だったものの、チーム戦で行われたグランプリではトップ4入賞といいスタートをきることができました。今年こそはゴールド・レベルを目標とし、達成したいと思っています。また、今回は情報共有こそするもののチーム全体での調整はないため、プロツアーでは自分に合ったデッキを使おうかと思っています。
3 ダブルグランプリについて
最初に負けてもチャンスがあるため、ダブルグランプリはいい取り組みだと思います。実際に『グランプリ・シアトル2018』では初日落ちしてしまいましたが、2つ目のグランプリに切り替えて参加し、2日目に進出することができました。個人的な希望としてはグランプリを4日に分割してフルでやりたいですね。
4 やりたいこと
バーチャルYouTuber的なものを作ったり、BIG MAGICのスポンサードプレイヤー複数人でSkype等を活用してのプレイは面白いかもしれません。個人配信ではわからないプレイヤーの個性や思考が色濃く見えると思うので。
玉田 遼一
『グランプリ・マニラ2017』で初戴冠し、『グランプリ・シンガポール2018』でもトップ8入賞と安定した成績を残している玉田。プロレベルこそシルバーへと後退してしまっているが、今期の巻き返しに期待がかかる。
1 昨シーズンを振り返って
マジック始めて以来一番負けたんじゃないかな?プロレベルも落ちてしまったのは残念だね。だけど、悪いことばかりじゃないよ?まだプロマジックは続けられるからね。プロツアーに参加してマジックができる、これほどの幸せある?これさえできれば他には何もいらないくらいやね。
2 今シーズンの目標
プロツアー、チームシリーズ、Player of the Yearと、タイトルを総なめにするよ。昨シーズンは力貯めてたから、その分今期は期待してて。頂点目指して取り組むつもりです。
3 ダブルグランプリについて
個人的には日程は逆の方が良かったんじゃないかと思ってる。被らせない4日間開催も捨てがたい(沢山マジックができるから)が、体力面や会場の都合も考えれば3日間がちょうどいいかな。
4 やりたいこと
先ずさ、BIG MAGICスポンサードプレイヤーで派閥に分かれよ?例えば玉田派、瀧村派、松本派等に。それで大会の成績に応じたバトルロワイヤルとか実施しない?入れ替え戦とまでは言わないけど、スポンサードプレイヤー同士競っても面白いと思うけどな。
藤田 剛史
藤田の戦績と代表作であるデッキをあげればきりがない。日本が誇るレジェンドプレイヤーはプロツアー・チームシリーズを契機にトーナメントシーンへと戻ってきた。
1 昨シーズンを振り返って
配信も開始したし、プロツアーにも参加した。ただ、現状実力的には勝ってる感覚はないね。自分の中で勝ってるところの(11勝)5敗ラインに、ちょうど1勝足りないのよ。参加者のレベルも上がってるし、厳しいところはあるね。
2 今シーズンの目標
引退目前(!)なので無事1年間マジックを続けること。今年はチームシリーズにも参加してないし、プロツアーには半分くらい行けたらいいかな。現状の実力だとプロツアーは6敗レベル。勝ち越し程度にはいけるけど、後一歩足りてない。最低限今の実力を維持しつつ、後1勝もぎとりたいね。
後は周囲との感覚の差にも助けられている部分はある。自分の中では10勝6敗は負けてる認識だけど、若い子からしたら勝ってるらしいんよ。その差がモチベーションとなって、もうちょい頑張るか、とも思ってる。
また、マジックって長く続けてると体力的にもキツイし、自分みたいに歴が長いとモチベーションの維持が大変な部分もある。体力、集中力も低下してきてるから、グランプリは全部で10回戦とかにして欲しいね(笑)
3 ダブルグランプリについて
ダブルに関して言えば...例えば今回だったらレガシーの2日目の開始時間を1時間早く、スタンダードの開始時間を1時間遅くするのとかはどうかな。参加者、特にノーバイの人に選択肢が増えて楽しめるといいと思う。例えばレガシーを2敗でギリギリで2日目進出したプレイヤーが、2日目の初戦で負けたとしてもだったらとスタンダードへ転身する選択肢が生まれるよね。レガシーの4回戦とスタンダードの1回戦が被る感じの進行がプレイヤーとしては理想なんじゃないかな。
日程については社会人が平日2日休むのは難しいと思うので3日間開催がベストやね。若しくはGWにお祭りっぽく1週間丸々マジック期間と称してトリプルグランプリとかかな。
4 やりたいこと
動画配信は何とか継続していきたいね。ただ、やっぱりしゃべりながらやるのは大変なんよ。津村(Hareruya Prosの津村 健志)に復活して欲しいわ(笑)後は時間的に問題もあるかな。上手くぴたっと時間内に終わるような放送を心掛けていきたいね。
◆BIG MAGIC ELDERS
浅原 晃
歴史と伝統を愛しつつ、マジックのトーナメントシーンへは常に革命を起こしてきたのが浅原だ。その独創的な構築力は健在であり、今回の『グランプリ・静岡2018』でも一風変わった「ANT」を持ち込んでいる。
1 昨シーズンを振り返って
結構大会に参加したシーズンだった。個人戦も、チーム戦も大会には参加していたし、後は公式で解説も。練習に関してはMOを中心にちょいちょいやって、後は大会結果見たりしてだね。
2 今シーズンの目標
ほどよく遊ぶ。大会ちょいちょい参加して、ワンチャンスプロツアー狙い(実際グランプリ・静岡でも最終戦まで2敗ラインで戦っていた)。
3 ダブルグランプリについて
2つグランプリがあっても、システム的に両方トップ8に入れないのはどうかね。どうせなら4日間開催ではなく、昼はレガシー、夜はスタンと分けて開催してみるのは? こうすれば4日間会場かりずとも、2つのグランプリが開催できるし両方トップ8に入れることになる。
4 やりたいこと
変わらずに面白記事をあげてきます。(例:『GP静岡のエルダー英雄譚Ⅰ』)
佐藤・玉田の新加入もあり、今シーズンは昨シーズン以上に内容の濃い契約プロ達の1年をお送りできることだろう。どうぞ、お楽しみに!応援のほど、よろしくお願いいたします!