気が付けばもう『テーロス還魂記』のプレリリース及び発売日が目の前。早い、早すぎるぞ時の流れェェィ。というわけで久しぶりの当コラム。まずは新年のご挨拶から。昨年はお世話になりました、今年もどうかご愛読いただいてコーナー存続にお力添えをいただければと願っておりますわ!
しばらく更新を休んでいたのは師走特有のドタバタ感に慢性的なネタ切れがマリアージュした結果なんだけどもね、さすがに新セット発売ということネタも自然と膨らんできたので一安心。今回は『テーロス還魂記』の新カードからインスピレーションを受けた企画だ。最後までお付き合いよろしゅうに。
12月末、『テーロス還魂記』のプレビューが始まったのは本当につい先日のことのように思える。まだセットの全容は把握できない段階で、多くのプレイヤーのハートに響いた1枚があった。《終わりなき踊りのガリア》だ。過去のマジックと現代マジックの違いは多数あるが、ここ数年で特に顕著になってきたのはポップさである。
僕がマジックを始めたばかりの『ウルザズ・サーガ』の頃はド硬派でポップさの欠片もないイラストばかり(それに心を惹かれた)。対して現代マジックのイラストは比較的万人に受け入れられる、きれいな女の子やカッコイイお兄さん、かわいらしいクリーチャーが描かれ色彩も鮮やかになったもんだ。老害とも呼ばれるようなオールドファンとしては『第5版』の《オームズ=バイ=ゴアの邪眼》のようなイラストが恋しくなるものだが、より幅広い世代・文化圏に響くものはポップなものなのだろう。
《終わりなき踊りのガリア》はその象徴とも言える。日が照っている中元気ハツラツ、健康そのものなサテュロスの娘がイェ~イとノリノリでダンスパーティー。どんだけポップなんだと。またこのサテュロス娘がかなり人間寄りのルックスでかわいく描かれているのよ。サテュロスの特徴である四足獣のような下半身が見切れているのもそれを手伝っているのだろうか。最初のサテュロスである《Willow Satyr》と比べるとそのイラストの変化に20年以上の歴史を感じる。《木を伐るサテュロス》と同族とはとても思えん。
ガリアは初の伝説のサテュロスである。そもそもほとんどピックアップされる種族ではなく、前テーロス期にいた伝説的存在であるゼナゴスもプレインズウォーカーであったり神であったりとサテュロスとしてカード化されることはなかったからなぁ。どんな種族であれ、伝説のクリーチャーが生まれるのは良いことだ。
ガリアは他のサテュロスを強化する通称ロードと呼ばれる能力も持っている。将来的にはサテュロスデッキの軸になるかもしれない。統率者などのことを考えれば選択肢が増えたのは誠に喜ばしいことだ。2020年、伝説のサテュロスが登場し...これで伝説がいないクリーチャータイプってのもずいぶん減ったんじゃないか?いや、これが実はそこそこいたりするんですよ...と、ここまでは前フリ。今回はサテュロスに続け、次は我々が伝説のクリーチャーを得る番だとその時を待ち構えているクリーチャータイプを紹介しよう!
第12回:We are minor type!未だ見ぬ伝説を求めて...
・イカ
テーロスと言えば海、タッサやキオーラが操る巨大な海獣らが登場した前ブロックに続き『テーロス還魂記』でもタッサが支配するクラーケンなどがカード化されている。海の怪物らはそもそもそれ自体が伝説になってもおかしくない規模のサイズを誇りながらも、案外その数は少ない。
リバイアサンが《上昇底流、スリン・ヴォーダ》、海蛇が《タニーワ》のみ。クラーケンは《目覚めし深海、レクシャル》《トロモクラティス》《まどろむ島、アリクスメテス》と大所帯。タコにも《潮汐を作るもの、ロートス》というレジェンドが存在するのだが、イカには...いない。
まず、イカのタイプを持つカードは5種類しかいないのも問題である。長きにわたってビーストでまとめられていた弊害とも言えよう。巨大イカなんて地球にもいるし、多くの日人がその存在に恋い焦がれているのだから、多元宇宙においても巨大なイカが神の如く君臨している次元があるに違いない。
いつかはそんな伝説のイカに巡り合えるはずだ。2000年代初頭には人類滅亡後の遥か未来、イカが地上に進出して地球の覇者になるなんて予測もブームになったものである。イカ型ヒューマノイドが文明を築いている次元があってもおかしくないはず。
・雄牛
雄牛はイカよりもずっと多く『テーロス還魂記』リリース前の時点で13種類カード化されている。世界各地には雄牛が暴れ回ってどうのこうのという伝承があるし(昨年旅行で赴いた竹富島には雄牛が暴れたことで出来たという坂があった)、伝説的な牛がいてもなんらおかしくはない。《パーフォロスの使者》なんて雄牛もいるくらいだ。パーフォロスが特にお気に入りの一頭がいれば名前を与えられているやも。ちなみに牛飼いのおっさんには《粗野な牧人、ブルース・タール》というレジェンドが。ブルースがライバルと認めた暴れ牛なんかも出てくるかも。その時には共闘持ちとして出してもらって、セットでデッキを組めるようにしていただきたいね。
・狼
伝説の狼は一応、存在する。《トルシミール・ウルフブラッド》と《狼の友、トルシミール》がそれぞれ生成する《ヴォジャ》《エルフの友、ヴォジャ》だ。ただ、トークンではなく単体でカードになっている伝説の狼は未だにいない。あらゆる次元に生息し、トークンを生み出すカードも多数あるのに意外なもんだ。ちなみに近縁とも言える猟犬には伝説がおり、家畜化された方は一歩リードしている。刀を咥えたりボディが盾状のレジェンド狼の登場が待たれる。
・フェニックス
伝説のドラゴンはわらわらといるのに、伝説のフェニックスは意外なことに未だ0。各種ファンタジーではそもそもフェニックス、不死鳥自体が伝説の存在であることの方が多いよね。某Bird of Fireの如く他者にも不死を与えられ、宇宙の破滅と再生を何度も見届けている超生命体的フェニックスが出てきたりせんかな。そいつを巡ってプレインズウォーカー達が大乱戦、最後は転生したギデオンが崖登ってるところでFin。
・植物
48種類もカードがあって、未だに伝説ナシ。そもそも植物に対する部族シナジーを持ったカードが《ゼンディカーの報復者》のみでこれ自身はエレメンタルときたもんだ。特に植物をフィーチャーしたセットはこれまでに皆無。これはある意味、チャンスとも言える。植物が発展し動物同様の進化を遂げた、100%植物のオーガニック次元が冒険の舞台になることはあり得そうな話。ツリーフォークと被ってるのがこれまで伝説に恵まれなかった要因ではあるだろうね。
・象
象は59体もいる大所帯、そして実は既に伝説の象はいるにはいる。《Frankie Peanuts》、『アンヒンジド』の1枚だ。銀枠なんでね~ちょっと正規のカードとしてはノーカンだろう。統率者でも使えんし。象トークンを生成するカードはそれなりにあるので、象を呼び出してトランプルや威迫を与えるみたいなデザインの象が見てみたい。タイトルを見るからに巨大生物が闊歩していそうな『イコリア:巨獣の棲処』に期待しようじゃないか。
・ペガサス&ユニコーン
ファンタジーのド定番ではあるが、意外とその数は少ない2種類の馬系幻獣。ユニコーンは「マイリトルポニー」とのコラボ銀枠セット『Ponies: The Galloping』にて《Rarity》というレジェンドを手に入れた、これはこれで良いものだが、やっぱり黒枠が欲しいところだ。ちなみに伝説の馬も未登場。馬と共に生きるキャラクターって案外少ないんだな。愛馬と共にプレインズウォークするキャラとか出てきても良さそうだけどもな。
・ドレイク
過去90体近くのドレイクが登場しているのに、伝説のもはいないというのはちょっと驚き。マジックの世界ではドラゴンの下位互換的な扱いになっており、リミテッドでは活躍するものの構築ではドラゴンと水をあけられている。ドレイク族の悲願を果たしてくれるバシッと強力なやつが現れないもんだろうか。ドラゴンが居なくてドレイクだけ生息している次元とかがあればチャンスもありそうだが...過去そんなセットあったっけかな。ちょっと思いつかないくらい、ドラゴンとドレイクは共にある。ちなみにドミナリアのドラゴンとドレイクはすべてエルダー・ドラゴンの末裔でありその血を引いている。同じ親戚なのになぁ。
他にもマイナー種族を挙げていけばキリがなさそうな企画なのでこの辺で。割とメジャーどころというか、1セットに1体はいるようなお馴染みの種族でも伝説がいないもんだということがわかってもらえただろう。未だ見ぬ伝説の存在に胸をときめかせて過ごす、マジックにはそういう楽しみ方が残されているのだ。それぞれに思い入れのある種族が報われるような1枚がいつかやってくると良いね。
それではオマケとして、伝説がいなさそうでちゃんといた種族も紹介しておこう。
・カエル
《ギトラグの怪物》と《アーボーグの暴食、ヤーグル》の2体。実は『ディセンション』より古い時代にはたったの2体しかいなかった。これにはヒキガエルが別種族で存在したというのもあるのだけども、それにしても少ない数字であり遅咲きの種族であることは確か。ただキャラクター性があって特にデカくて人でも獣でもなんでも食うという役回りを与えやすいためか、2枚もレジェンドを確保しているのでなかなかのやり手だ。クリーチャーを無害なカエルにするカードは多数あるが、カエルを強化するようなカードはまだ存在していない。そういうのが登場したら、統率者でカエルデッキを組むことも夢じゃないのかもしれない。
・モンク
伝説のモンクなんかおるんか?と思って検索してみたらまさかの16体!そのほとんどが神河ブロックとタルキールブロック。なるほどな、条件満たしてエンチャントに反転するサイクルって皆モンクだったのか。タルキールでもジェスカイとオジュタイの面々が担っております。そんな中《寛大なるゼドルー》は異彩を放っている。
・壁
《天空塁壁、プラミコン》の1枚のみが存在する。最初、壁にはおらんやろ~とか思いながら検索する前に「万里の長城のような伝説的な壁だってあるんだからそういうクリーチャーがいても良いよね~」なんて書く気満々だった。そういや去年初のレジェンド壁が出たとかちらっと話題になってないレベルで話題になってたな。向かっていくと気が付けば思いがけなかった方向に歩いているという、海面から伸びている壁らしい。怖い設定や。
・神
当たり前だが伝説しかいない。非伝説の神とかいつか出るのか?オンリーワンじゃない神ってのもなんだかよくわからんが、"量産型の神"とかいう禁忌の存在ってのも見てはみたいな。
それじゃまた次回!皆が『テーロス還魂記』で欲しいレアを引けますように~。