はじめまして、BIGsの田中と申します。
こうしてプレビュー以外の記事でお会いするのははじめてかと思います。
至らぬ点もあるかと思いますが、少しの間お付き合いいただければ幸いです。
さて、グランプリ京都2018において、私は同じくBIGsの加藤健介と、HareruyaHopes所属の鈴池史康とチームを組み、幸運にもTop4入賞という好成績を収めることができました。
本レポートでは、前半部は3人のデッキ選択理由とその結果、後半部では今回の結果を受けての振り返りを座談会形式でお届けしようと思います。
1.スタンダード
スタンダード担当:加藤 健介
【選択したデッキ】
ビッグレッド
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
【理由】
単純なデッキパワーではグリクシスエネルギーが最も高いと考えていましたが、テストプレイをした結果マナベースの安定性にやや難ありという印象でした。
今回のGPはチーム戦ということで、普段のGPよりも安定性を重視し、青黒ミッドレンジとビッグレッドの2択に絞ることに。
その時点で、青黒ミッドレンジの最良と考えられるリストは既に広く知れ渡っており、デッキ構成で対戦相手を出し抜くことは困難であるように思われました。
また、プレイの選択肢が広く、複雑な判断を迫られることが多いため、長いラウンドでミスをせずに使い続けるのは難しいという感想を持ちました。
その反面、ビッグレッドはデッキパワーは青黒に劣るもののデッキの全貌がまだ広くは知られておらず、情報面でのアドバンテージがあると判断。
このタイプのビッグレッドは私自身が考案者であり、メタに合わせてチューンした最新版のオリジナルリストを持ち込めば勝算は十分にあると考えビッグレッドを使うことを決意しました。
今回のリストの特徴としては、メインから《凶兆艦隊の向こう見ず》を3枚採用したことで、仮想的に定めたグリクシスエネルギーと青黒ミッドレンジへの耐性がメインから向上しています。主に相手の《ヴラスカの侮辱》を《スカラベの神》に打ち返すことを目的としていますが、意外と応用範囲が広く現状のメタであれば様々なデッキ相手に活躍します。
【GPスイスラウンド成績】
1日目:4-4
2日目:5-1
合計 :9-5
【スコア】
1日目
赤緑アグロ 〇
赤白トークン ×
赤緑恐竜 〇
赤単 ×
赤緑モンスター 〇
赤単 〇
グリクシスエネルギー 〇
赤緑恐竜 ×
2日目
青白王神 〇
グリクシスエネルギー ×
青黒コン 〇
赤単タッチ黒 〇
青白コントロール 〇
青白サイクリング 〇
SE1
赤緑モンスター ×
相性有利と考えていた赤単に対してマナフラッドに見舞われ2マッチ落としてしまったのが悔やまれます。
負けたマッチはマナスクリュー、マナフラッド絡みが多く、まだまだ構築に改善できる余地があるように感じました。
【デッキの改善点】
サイドボードの《穿刺の一撃》は非常に使用感が良く、もう1枚追加したいです。やはりこのカード...赤い《ヴラスカの侮辱》...。
土地バランスに関しては調整の最後まで《熱烈の砂漠》を入れるか悩んだ結果、アンタップインの優位性を信じて入れないことを選択したのですが、マナフラッドで負けたゲームが複数あり1~2枚は入れてもよいのかなと感じています。砂漠の枚数が増えるので《屍肉あさりの地》も使いやすくなりそうです。
2.モダン
モダン担当:田中 陽
【選択したデッキ】
青白コントロール
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
【理由】
まず、モダンというフォーマットには本当に多種多様なデッキがあり、それぞれのデッキのスペシャリストがそのデッキをひたすらやりこんでいる印象があります。
では私はというと...特定のデッキのスペシャリストではありませんでした。
しかも、前述の通りモダンには多種多様なデッキがあるため、一通り触ってみるだけでも大変です。
それでもやってみないと始まらない...!ということで練習を本格的にはじめたところで、皆さんご存知まさかの禁止改定が...
完全に頭が真っ白になった私。
とりあえず、せっかく好きなカードが解禁されたのでまずは楽しもうと思い、この2枚のカードを軸にしたデッキを試しつつ、あまり対戦相手に左右されないようなオールイン系のデッキを練習しておくことにしました。
...それから様々なデッキを組んで大会に出てみるも、どれもパッとせず。
万策尽き、オールインのデッキ(=MagicOnlineで回していたボーグル)に決めてしまおうと思ってチームメイトに相談したところ、「チーム戦は初日個人5-3出来れば噛み合い次第で全勝も出来るし、安定したデッキを選んでチームワークで戦おう」との意見を貰いました。
その意見に心から同意した私は、藁にもすがる思いで白青コントロールを試してみたところ、これが思いの外好感触を得ました。
・モダンのアグロデッキ(人間/親和等)は全体除去を撃たれるとかなり困る
・《広がりゆく海》と《廃墟の地》のおかげで、土地コンボデッキ(トロン/ヴァラクート等)に対しての相性が改善されている
・《神聖の力線》というカードが特定のデッキ(バーン、ジャンド、各種プレイヤー狙いのコンボ)にめっぽう強く、このデッキは後から引いても(間に合わないことも多いが)無理なくプレイ出来る
・解禁されたジェイスも好きなカードのトラフトも使える(これは100%「情」)
そこからさらなる微調整を加え、グランプリ本戦でも使う運びとなりました。
【GPスイスラウンド成績】
1日目:3-3-途中終了2
2日目:5-1
合計 :8-4-途中終了2
【スコア】
1日目
BGウルザトロン -
5C人間 ×
白青コントロール -
親和 〇
霊気魔道士の接触 〇
RGヴァラクート ×
青単フルパーミッション × (公式のデッキテクに掲載されたデッキ)
RGヴァラクート 〇
2日目
バーン 〇
RGヴァラクート 〇
バーン 〇
エルドラージビート 〇 (フィーチャーマッチ)
アドグレイス 〇
URGヴァラクート ×
SE1
5C人間 -
初日3-3って...5-3とは一体...。
【デッキの改善点】
このデッキは、ゲームが長引いてしまうと、1枚のトップデッキで負けてしまうことが結構あります。(《血編み髪のエルフ》とか...)
《血清の幻視》を1枚だけ入れているのには、消耗戦の後に蓋をするカードを探したいという意図があります。
他の選択肢としては、単純にカードが増える《祖先の幻視》があったのですが、トップデッキした場合に即効性がなくあまり好みではありませんでした。
この枠は時間がなくて全然テスト出来なかったので、何かもっといい選択肢がありそうです。
3.レガシー
レガシー担当:鈴池 史康
【選択したデッキ】
キハラワークス(青白奇跡)
※画像をクリックすると、MOで使用できるテキストデータをダウンロードできます。
【選択した理由】
今回はチーム戦なので上振れ13-2を目指すデッキではなく、安定して10-4(勝率7割)を目指すデッキを選択する必要がありました。
全員が7割勝つことができれば噛み合いで12勝できる可能性があったからです。
直前まで悩んで「エルドラージ」「グリクシスデルバー」「青白奇跡」のパーツ持って京都へ行き、同じ宿のHareruya Hopes 小林龍海君と相談。
彼に相談した時点で青白奇跡しか選択肢はありませんでしたが(笑)
グリクシスデルバーは1番当たるデッキと予想。このミラーマッチで勝てる気がしないので断念。
エルドラージは赤プリズン流行により断念。
BGデプスもいいと思ってましたが、デッキを組むのを忘れて断念。
先手後手のムラがでやすいレガシーで数少ない「後手でもゲームしやすいデッキ」だった青白奇跡を選択しました。
常にあらゆるデッキを回しているのである程度は使いこなせるだろうと思っていましたが、引き分けにならないようにプレイ速度だけ注意していました。
【GPスイスラウンド成績】
1日目:6-2
2日目:2-1-途中終了3
合計 :8-3-途中終了3
【スコア】
1日目
赤プリズン ◯
エルドラージ ◯
赤黒リア二メイト ◯
スニークショー ◯
青黒リア二メイト ×
デス&タックス ×
緑黒デプス ◯
デスブレード ◯
2日目
赤黒リア二メイト ×
青赤欠片の双子 ◯
青赤デルバー -
ジャンド -
デス&タックス -
グリクシスデルバー 〇
2日目個人2-1-3
個人8-3-3チーム12-2で4位抜け!
スタンディングをしっかり見ていなくてオポ落ちだと思っていました(笑)
SE1
4cレオヴォルド ×
ビデオカバレージあり
サイドボードをミスっていてゲーム後に怒られました; ;
終わらなかったゲームを除くと目標だった勝率7割くらい。
直前のデッキ選択にしては上出来!
【デッキの改善点】
次は来週のGPシアトルです。
変更点はデッキ製作者に聞きます。
選択肢が多いデッキなので、プレイスタイルとプレイの意識する部分を変えたいですね。
4.グランプリを振り返って
せっかくのチーム戦なので、チームメイト全員で今回のグランプリを以下の3テーマから振り返ってみました。
・今回の勝因は?
・印象に残ったことは?
・今後の展望
・今回の勝因は?
全員で大負けはしないデッキを選び、うまく勝敗が噛み合ってくれたことかな。
誰か一人が大負けするとその時点で厳しくなるからね。噛み合うかどうかは正直運だけど、運に任せるところまではやった感はある。
前から勝率7割噛み合いプランって言ってましたし。
個人では箸にも棒にも掛からぬ成績でもトータルでは何とかなるかもしれないっていうのは、チーム戦のいいところだね。
初日も4-4噛み合いでいいって言ってたじゃないですか、これって晴れる屋レガシー杯の入賞ラインより低いんですよ。それでめちゃくちゃ気が抜けたというか気持ちに余裕ができたというか。
そうそう。デッキ選択煮詰まってた時とかは特に、5-3でもなんとかなるっていうのは心強く感じた。これもチーム戦のいいところかなと。
確かに、そこらへんは自分が絶対に勝ち続けなければという気負いは少なかったね。
後は、さんざん言われていていい面も悪い面もあると思うけど、他のプレイヤーのゲーム=他のフォーマットに口出さなくていい(というか出せない)からこれも気楽だった。
確かに、相談するのはメリットもあるけどデメリットも相応にあるからね。ハンド読まれたり。
対リアニ戦で《意志の力》が4枚のハンドキープしたの見せましたっけ?
そうですそうです。相談というより笑いあってゲームしてて、ほんとリラックス出来ました。
・印象に残ったことは?
結構自分たちのことを知っていて、声を掛けてくれる人がいて嬉しかったよね。
でも、一番嬉しかったのは、TOP4入賞が決まった時に尊敬する津村さん(津村健志・Hareruya Pros所属)から"頑張れー"っていうLINEが来たことですね。泣きました。
俺は今回がはじめてのグランプリTOP4(8)だったんだけど、やっぱり色々な人が祝福してくれたのがほんっとうに嬉しかった。
わざわざお祝いの言葉を言いに来てくれる人がいっぱいいて、やっぱり縁って本当に大事だよなあって。
そうですね。ずっと「ありがとう、ありがとう」言いながら歩いてると泣いてまう。
ピン刺しのくせになぜか大事なところで駆けつけてくるトラフト(笑)
対戦相手がライフ7、フルタップ状態の時にサイクリングして駆けつけてくるハゾレト(笑)
僕は本当に顔に出てしまうタイプなので、そういう時は大体席を立っているんですよね。
・今後の展望
振り返りなんですが、皆さん何回目、どれくらいぶりのPTになるんですか? 僕は2回目、最後が『破滅の刻』なので1年ぶりですね。
俺は4回目で『イクサラン』以来。思ったより早くきたな、というのが正直な印象。あきらは結構久々なんだね。
『25周年記念プロツアー』本戦も、今回のGPと同じく3フォーマットによるチーム戦のはずだけど、基本的には今回と同じ担当でやれたらいいと思っている。
特にレガシーやモダンは習熟に時間が必要だから、今回の経験値を少しでも引き継ぎたいよね。
プロとPTでレガシー出来るなんて、レガシー好きプレイヤーの夢ですよ。 デッキ1つ決めての練習はメタゲームの動きに合わせられないので、また一通り回していきます。
今回や最近の結果から見て、自分は「スタンダード自信ニキ」的なポジションなんだろうなと。正直自信は全然ないんだけどね。
そこは折角だから練習して、斉田くんとかみっくすみたいな「モダン自信ニキ」ポジション狙っていこう(笑)
まあ、レガシーと同じく一通り回して、習熟度上げていくのがいいかなと。
そうですね。一通り回してそれぞれのデッキの欠陥を知ってると勝ちやすい。
まあ、何はともあれこのメンバーでプロツアーにいけるのが楽しみですね。今回、賞金総額100万ドルって知ってましたか?
『25周年記念プロツアー』は本当に特別な経験になると思うので、参加できる権利を得たことを幸運に思う。ただ、プロツアーは"出るだけ"だとあまり意味がないというのもこれまでの経験からやっと理解し始めてきたので、何とか結果を残せるように頑張りたい。
そうだね。このチームでのグランプリは、ゲーム外(旅行そのもの)も本当に楽しかったし、良い縁に恵まれたよ。これからも楽しんでいこう!
以上、「BIG Hopes」によるグランプリ振り返りと今後に向けてのご報告でした。今回は応援及び祝福の言葉をいただき、本当に感謝でいっぱいです。ありがとうございました!プロツアーも頑張りますので、よろしくお願いいたします!