text by Yohei Tomizawa
BIG MAGIC主催のリミテッドフォーマットのグランプリで人気を博しているのが、所属プロによるリミテッド講座だ。本戦を明日に控え各人が掲げる目標に一歩でも近づけるように、プロが経験と実践によって培われた環境定義とテクニックを出し惜しみなく披露していくのが趣旨となっている。
今回はチーム戦ということもあり普段から講師を務めるBIG MAGIC所属プロであるタキニキこと瀧村 和幸に加え、
『グランプリ名古屋2018』のチームメイトであるチームMUSASHI所属プロである瀬畑こと市川 ユウキ、
シールドのスペシャリストrizerこと石村 信太朗
の3人による「ラヴニカのギルド」を使用したチームシールド講座になっている。
※こちらは有料の講習会になっているため、当記事では具体的な方針やテクニックについての記載は避けております。
開始時間を待ち切れないかのように参加者は早々と集合し、言葉を待つ。
瀧村「チーム戦はドラマ。」
瀧村の挨拶で、講座は開講する。運命共同体である3人でのチーム戦は各人の実力以上に、プレイヤー同士の協調性も重視される。「ラヴニカのギルド」が如く手を取り合うコンビネーションが必要不可欠なのだ。
講師紹介を経て早速環境に対する定義づけ、講座の趣旨が説明される。そもそも「ラヴニカのギルド」にはプレイアブルカードが多く、計12パックを使用するチーム戦ともなれば完成するのはドラフトデッキに近いもの。それらを完成度を高め、ライバルたちよりも一歩先に抜きんでることを目標にしているのだ。
先手後手、土地枚数、何色環境かと瀧村からの定義づけが済むとスクリーンへと灯がともり、レジュメに合わせ具体的な説明がなされていく。
最強色ディミーアが瀧村の手で解体されていく。何が強さを支えるのか、重点を置くべきこと、弱点、細かいテクニックが惜しげもなく披露され、受講者たちは一言も聞き漏らすまいと耳を傾けメモをとる。
ひとしきり説明を終えるとマイクは石村へと手渡される。石村は瀧村の説明を元に聞き手が実際にプールをもらった際に想起しやすいようにギルドのイメージを植え付ける。戦略を描きやすいよう伝えていく。
2人の解説が終わると市川へとマイクが手渡され、「補足を。」と促される。
市川「ないっすね!ディミーア強いっすね!マルチカードを並べるだけでわかる強さ!」
強張った表情で聞いていた受講生たちの表情は弛緩し、和やかな雰囲気へと移る。それを見届けると、再び言葉を続ける。
「(特定のカードを掲げ)このカードが兎に角大切。他のはコモンでもいい。」
瀧村がギルドの特徴を解説し、石村がイメージを植え付け、市川はカードをピックアップデッキ構築の指針とする。この流れで各ギルドに対して説明がなされると、いよいよデッキ構築へと移る。先ほど教わったノウハウを実践へと移す番だ。
各々が学んだことを最大限に活かすべくプールを眺め約20分、静寂は突然打ち砕かれる。
受講者たちは講師を求めて、動き出す。この講座の特徴はプロプレイヤーの環境解説とプロプレイヤー目線での構築の両輪だ。疑問に対しその場で的確に解答を提示していく。
カードに対しデッキに対しプールに対して直接指導を加え、納得がいくまで説明する。構築を終えると対戦となるが、ここでも講師を求める声は止まない。サイドボードのカード選択、色変更、キープorマリガンと疑問は尽きない。
予定時間いっぱいの19時半で閉幕となり、講師たちから受講生へ言葉が送られる。締めの一言を任された石村は、言葉数こそ少ないもののはっきりと口にした。
「是非、明後日会いましょう。」
明後日14日での会合、それは即ちグランプリ本戦2日目への進出と対戦を意味する。最高の形での恩返しを約束とし、講座は閉幕となった。
最後に今回講師を務めた3人のプロたちからマジック上達への一歩について言葉を賜ったので、それをもって本稿を締めたいと思う。
瀧村「上達するには様々な観点からカードを見なければならないので、色々なことを実践で試すべきですね。例えばボロス好きの人はボロス系のカードが他よりも評価が高くなり、暗黙の内に組んでしまいがちになっている。そうではなく選択肢を変えることで今までなかった経験を得て、引き出しを増やすことになる。重要なことだけれど、一人では難しいかもしれない。だからその切っ掛けとして、この講座を利用して欲しい。」
市川「そもそも上手くなりたいという気持ちがある時点で、一つのハードルを越えているんですよ。マジックは技術はもちろんのことながら、モチベーションが大切なので。それがある時点で、次へのステップアップへと歩みだしている。自分自身、積極的に他のプレイヤーの意見を聞いて上達したわけではない。ただ配信をしている中で自分が当然だと思っているプレイに対し、疑問や意見を投げかける。その中で気づいた部分はあると思いますね。モチベーションが高い方は次のステップとして、自分の配信で遠慮なくコメントを投げかけてくれれば助けとなると思いますよ。」
石村「自分の置かれた環境に上手いプレイヤーがいるのならば、その人に習うのが一番です。友人やショップの強者と誰でもいい。大会でプロプレイヤーの後ろに張り付き、プレイを眺め考えるのも勉強になります。ただし漠然と見ているだけではだめなんです。必ず自分の頭を使い考えながら見ること。視野を広げ、頭を使い、他人の考えを取り入れる。視野を広げる観点で自分の配信を手段の一つとして使っていただけたらと思います。」