Text by Kuwahara Yoshiki
GP京都2017本戦(シールド)が5回戦頃の佳境を迎えるころ、サイドイベントエリアでは、リバウンドシールド、土曜日レガシー、土曜日モダンの同時開催され、本戦をドロップしたプレイヤーはもちろん、各フォーマットのファン達で賑わった。
本稿では本戦1日目にも関わらず定員の参加者64名で開催された土曜日モダンの試合の様子をお伝えしよと思う。
競技としてストイックにプレイされる一方で、アイデアや好みが活きるのも、このフォーマットの醍醐味である。
モダンファン達はどんなデッキを持ち込んでくれるのだろうか。
Game1
先陣を切ったのはライブラリーアウトフリーク達を魅了して止まない《面晶体のカニ》。
確かにこのカニはモダンにおいて一線級のカードとは言い難いが、これだけでライブラリーを削りきるポテンシャルを十分に持つ非常に危険なクリーチャーであることはフリークの間ではもはや常識だ。
左:小森 / 右:櫻井
そんな櫻井のエースアタッカーを前にして、涼しげな顔で小森が返すのは《ロッテスのトロール》。もしや小森のデッキは墓地利用を軸にしたものなのだろうか。だとすれば小森の余裕も納得できるが、現状両者のデッキの全体像は全く解らないままである。
どれだけリスクがあろうと、初めから櫻井にはライブラリーアウトを狙う以外に残された道などなく《面晶体のカニ》は愚直にライブラリーを削るしかない。小森に墓地を悪用される前に削り切って勝つ、果たしてそんなことが可能なのだろうか。
《面晶体のカニ》によって1枚、2枚、3枚と墓地に置かれる。小森が手に持つ3枚目を見た櫻井の喉の奥、声帯が「あ」、と震えた。
《彩色のマンティコア》。小森もここで落ちましたね、と小声を漏らした。
《面晶体のカニ》によって1枚、2枚、3枚と墓地に置かれる。今度は《森の女人像》と《熱情の神、ハゾレト》が見える。
櫻井は顔を顰めるばかりだが、小森の顔にはすでに勝利の笑みが浮かびつつあった。
すると小森が墓地を手にまとめて場に出すような動作を行う。やはり必殺はリアニメイトだろうか。
しかしこの予想は大きく裏切られ、小森のデッキはついに正体を表した。
これは《魂剥ぎ》デッキだ。
《森の女人像》《熱烈の神ハゾレト》《彩色マンティコア》を探査で取り除き、呪禁、速攻、破壊不能、飛行、先制攻撃、トランプル、警戒、絆魂を持っている。なんと恐ろしいクリーチャーが3ターン目に場に出たものだろうか。櫻井はコントロールする《罠の橋》で命を繋ぎたいが、4枚ある手札を減らすことが出来ず、この異形の怪物を止めることは叶わなかった。
櫻井0-1小森
Game2
自分はずっとこの《魂剥ぎ》デッキを使っていると明かす小森。「これ凄く相性悪くないですか?」と声を震わせる櫻井の表情はこの上なく楽しそうである。二人ともこれだからモダンは面白いですよねとお互いのデッキの褒めちぎり合う。2ゲーム目はどのような試合になるのだろうか。
先行の櫻井からはお馴染みのエースアタッカー《面晶体のカニ》。そしてこちらも優秀なアタッカーである《躁の書記官》と続け。変わらず1枚、2枚、3枚とライブラリーを墓地へおく。ここで小森が《彩色マンティコア》《魂剥ぎ》を墓地へ置彼るのを確認すると、櫻井はすかさず《魂剥ぎ》へ《外科的摘出》を打ち込んだ。
「やられましたね」と小森だが、必殺の勝ち筋が奪われたとはいえ《ロッテスのトロール》も十分に優秀な攻め手。櫻井の昂揚状態の《躁の書記官》との「ライフレース」の火蓋が落とされる。2体目の《ロッテスのトロール》を追加する小森。2体目の《躁の書記官》を追加する櫻井。更に《精神の葬送》と《熱烈の神ハゾレト》と攻め立てる両者の一進一退のレースは加速度的に進んでいく。
そして程なく訪れた最終局面。小森のライブラリーは残り1、櫻井のライフは2で迎えるは櫻井のターン。彼の厳選されたライブラリーアウトカードで固められたデッキなのだ。幾らでも勝てるカードがデッキに眠っていたはずだったのだが・・・
櫻井0-2小森 win!