By Yohei Tomizawa
息つく暇もない。
モダンの対戦を観戦していると、いつもそう感じる。
"瞬発力"、"爆発力"、"展開力"等々。様々な方向性をコンセプトとしたデッキが入り乱れ、自身の強みを最大限生かすのが、このフォーマットの特徴だ。デッキたちは毎ターン、目まぐるしく動き続ける。当日の気分色が強く、ある意味で最も報われないフォーマットではないかと思う。
しかし練習を怠るものが勝てると言いたいわけではない。練習を突き詰めたたうえで、運を味方につけたプレイヤーのみが勝つのだ。他のフォーマットより対戦相手のデッキとの相性に左右されやすく、運の要素が多少大きく感じるだけだ。
折り返しを迎え、ここまで全勝はどんなプレイヤーなのだろうか。
谷口 裕昭は兵庫からPWPを求めて今大会へ参加している。地元の蒼猫亭ではドラフトやFNMを楽しむが、byeのためのPWP稼ぎとなれば話は別だ。ドカンと大きく稼げる大会となると限られてくる。
MOの好成績リストから「ホロウワン」を見つけ、今回は使用する。その選定眼は確かなもの。なんといっても谷口は『グランプリ北九州2013』TOP8プレイヤーであり、プロツアー経験者。RPTQを突破し『プロツアードミナリア』の権利も獲得している。
対する鈴木 立朗はグルメコミュニティ「ヘルMTG」で、マジックよりも仲間との晩餐を第一考えるなんとも羨ましいマジックライフを送っている。
使い込んでいる「青単トロン」を相棒に選んでいる。暴力的なマナは、3種類揃って初めて意味を成す。果たして三位一体となるのか。
瞬発力とマナ生成力、モダン環境らしい"暴"と"暴"の激突をみてみよう。
Game1
谷口は《沸騰する小湖/Scalding Tarn》を生贄にささげフェッチしてくるのは《山/Mountain》。ここから《通りの悪霊/Street Wraith》2連打すると召喚するのは、デッキ名にもなっている《虚ろな者/Hollow One》。
鈴木は《島/Island》、《ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant》を並べ《信仰無き物あさり/Faithless Looting》を差し戻す。
鈴木 立朗
しかし、その程度で止まる谷口ではない。2度目のチャレンジで成就させると《炎刃の達人/Flameblade Adept》と《炎跡のフェニックス/Flamewake Phoenix》でクロックサイズを上げ、3ターン目にして鈴木のライフは7。
《集団的蛮行/Collective Brutality》を増呪でキャストすると、鈴木は手札を公開せず投了。
ここまで、僅かに4ターン。
谷口 1-0 鈴木
Game2
《血の墓所/Blood Crypt》のタップインで入る静かな始まり。2ターン目の《信仰無き物あさり/Faithless Looting》は《差し戻し/Remand》された。
鈴木は《忘却石/Oblivion Stone》でタップアウトし、《信仰無き物あさり/Faithless Looting》は《炎跡のフェニックス/Flamewake Phoenix》を落とし、《虚ろな者/Hollow One》。モダン環境の《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》を前に、谷口は2体のクロックのみに留める。
鈴木のコントロールするウルザランドは2種類。暴力的なマナからのビックアクションはなく、谷口も《忘却石/Oblivion Stone》があるため展開をぐっと堪えるが、我慢しているというには大きすぎる6点クロックを継続する。
「アンタップアップキープなし、アタック。」
谷口の宣言に、ライフ12の鈴木は《忘却石/Oblivion Stone》を起動する。それはすなわち、谷口のエンペラータイムの開始を意味する。
谷口 裕昭
《信仰無き物あさり/Faithless Looting》で《恐血鬼/Bloodghast》を捨て、《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》をキャスト。お互い1枚捨てると、《虚ろな者/Hollow One》と墓地のカードをコストに《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》の登場だ。
突如現れた10点クロック。鈴木はセットランドせず、ターンを返す。戦闘に合わせ手札の《撤廃/Repeal》をプレイし、3種類目のトロンランドへ辿り着ければ、逆転もある。兎に角トロンシステムを完成させなければ、爆発的なマナは生まれない。
谷口はライフを確認すると《信仰無き物あさり/Faithless Looting》をフラッシュバックし、捨てるのは2枚の《炎跡のフェニックス/Flamewake Phoenix》。鈴木のライフを削りきるには十分な追加のクロックだ。
《恐血鬼/Bloodghast》を《撤廃/Repeal》するが、溢れ出る"暴"の群れを前に鈴木は成す術なく投了した。
谷口 2-0 鈴木
谷口 Win!