By Yohei Tomizawa
いよいよ予選Round最終戦だ。参加者500名による全10回戦。非常にタフな戦いがここまで繰り広げられてきた。最後のフィーチャーテーブルに座るのは1敗1分けの佐藤 レイと、2敗の松井 久剛の2人だ。
カードショップや大会ではなく、友人3人で結成した調整チーム"及川組"で研鑽を重ねてきたと語るのは、千葉の松井だ。チームメイトで共同使用するデッキは、サイドカードのために黒をタッチした「ガルタ」デッキ。《生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force》や《造命師の動物記/Lifecrafter's Bestiary》、《栄光の刻/Hour of Glory》といったカードが特徴的な仕上がりになっている。対戦結果も同形と青白系を3回ずつと、狙い通りのに行われたようだ。
このマッチに勝利した上でオポ勝負と崖っぷちで踏ん張っているのは、Hareruya Hopesの佐藤だ。『グランプリ香港2017』では初栄冠に輝き、リミテッドの達人として知られる佐藤だが、近年は構築戦にも力を入れている。複合フォーマットであるプロツアーを見据えてのことだろう。
使用するのはこちらも「ガルタ」デッキ。当初は「赤黒アグロ」での参戦を検討していたが、トラブルによりデッキの変更を余儀なくされた。
会場に来てデッキを忘れたことに気が付き、急遽ゴールドレベルプロの原根 健太から手渡されたデッキを使用することに。
もちろん原根が調整したデッキの影響もあるだろう。しかし直前に手渡されたデッキでここまで7勝1敗1分け。この成績からも佐藤の非凡さが見て取れる。
勝った上でのオポ勝負。先ずはこの対戦を勝利しないことには、話が進まない。
佐藤の絶対に負けられない戦いが、今、始まる!
Game1
先手佐藤は《キランの真意号/Heart of Kiran》、松井は《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker》を召喚し、続くターンには《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》の鏡打ち。ザ・クロマニョンズのアルバムと思われる"LUCKY&HEAVEN"のTシャツを着ているが、松井は不幸にもダブルマリガンスタートだ。
松井 久剛
佐藤は2枚目の《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》で《キランの真意号/Heart of Kiran》を落とし、《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk》をデッキトップにキープする。
《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk》をデッキトップにキープしたということは、佐藤の手に5枚目の土地はあるはず。ライフを守るため松井は《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》同士相打つことを選択する。ライフレースは17-12で佐藤がリード。
松井も再度《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》を召喚し《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker》を墓地に落とすが、次のカード見て小考する。デッキ名にもなっている《原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hunger》が公開されたのだ。
現状松井がコントロールするのはパワーが3の《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker》とパワーが4の《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》の2体。何もなければ次のターンには召喚できるが、果たして《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk》が許してくれるだろうか。
悩みながらもトップにキープすると、今度は佐藤が悩む番だ。《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk》を召喚するまでは決まっているが、プラス1カウンターをどのように配置し、如何にしてこのゲームを詰めるか、だ。
《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》にプラス1カウンターを4つ追加し8/7までサイズアップすると、《キランの真意号/Heart of Kiran》と合わせぴったり12点。チャンプブロックしようものなら、《原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hunger》へは届かない。
詰んだ状況がわかると、松井はサイドボードへと手を伸ばした。
松井 0-1 佐藤
Game2
今度は仲良くマリガンするが、『ドミナリア』の影響を色濃く示すのは後手の佐藤だ。
●画像《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
再録組のこの1マナクリーチャーは、速さと強さを届ける。2ターン目にタップインを処理しつつ《キランの真意号/Heart of Kiran》をキャストすると、3ターン目もタップインからの《鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》。展開力を落とすことなく、複数のタップインランドを処理することに成功する。
松井も3ターン目に《鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》を召喚するが、ダメージレースでは後手に回ってしまう。更に4ターン目は《キランの真意号/Heart of Kiran》を牽制する《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》を召喚するが、ここでのセットランドが《花盛りの湿地/Blooming Marsh》。
佐藤はこの隙を見逃さない。《栄光の刻/Hour of Glory》で除去すると、搭乗せずに6点のダメージを与え残り10。
佐藤 レイ
今度は松井が攻める番だ。自身の《鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》へ《顕在的防御/Blossoming Defense》をキャストしパンプアップすると《捕食/Prey Upon》。佐藤の《鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》を一方的に屠ると、レッドゾーンを駆け抜け佐藤のライフは8。追加するクロックは不死身の《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》。
佐藤は《ハシェプのオアシス/Hashep Oasis》で《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》をパンプアップすると《自然の流儀/Nature's Way》で《鉄葉のチャンピオン/Steel Leaf Champion》を一方的に打ち取る。盤面は五分。しかしライフ面が厳しい。《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》のアタックを受け佐藤のライフは5。
一歩遅れながらも佐藤も《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》を召喚し、《キランの真意号/Heart of Kiran》へ乗せると、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》と合わせ5点のダメージ。この際松井のライフと次のターンの動きを予想し、10点のライフを2ターンで削るべきか、それともパンプアップ呪文を警戒し《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》をブロッカーとして残すべきかを悩んでいるようだった。
上乗せ2点があれば松井の勝ちだが、その手からプレイされるのは《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker》。
佐藤は《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》を追加すると《キランの真意号/Heart of Kiran》を起動する。
《キランの真意号/Heart of Kiran》、《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
5点を削るべくレッドゾーンに送りだすと、松井からの返答は手札に眠る《原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hunger》の公開だった。
松井 0-2 佐藤
佐藤、Win!
最終戦を勝利で飾った佐藤。しかし、現実は非情である。
発表された佐藤の順位は...9位!