By Yohei Tomizawa
千葉の宮本 寛弥が持ち込んだのは「白黒タッチ《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》」のトークンデッキ。前日まで自信をもって調整していた「白黒の騎士」デッキは、FNMの結果を受け、お蔵入りになってしまったようだ。
対するは世界最強の遊☆戯☆王プレイヤーとして知られ、現在はHareruya Hopesとしてマジックの世界でも活動する神奈川の檜山 俊輔。新デッキを構築するには時間とコストの両面から難しく、今回は使い慣れた「赤単アグロ」を持ち込んでいる。
『ドミナリア』発売直後の大会ということもあり、手元にあるカードを中心にデッキをくみ上げてきた2人。新しいセットのカードやデッキがフィーチャーされる一方で、既存のデッキも存在感を示すことはできるのだろうか。
Game1
先手の宮本は《秘密の備蓄品/Hidden Stockpile》をエンチャントすると新戦力《ベナリア史/History of Benalia》を続ける。対する檜山は《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider》で赤単をスタート。フルタップの隙に騎士トークンを《削剥/Abrade》し、少しでもトークン生成エンジンのスタートを遅らせる。
《削剥/Abrade》が使用されたことで宮本は安心して《選定の侍臣/Vizier of the Anointed》を召喚。トークン生成にライフゲインエンジンも組み込み《進化する未開地/Evolving Wilds》で基本土地をフェッチし、早くも霊気装置トークンを生成する。
檜山は地上を捨て、《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》により上空からの早期決着を目論む。
檜山 俊輔
地上はいくらでもトークンによるチャンプブロックで凌ぐことができるが、飛行となると除去するしかない。２段構えで除去が必要となる《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》は尚のこと対処手段が限られてしまう。解答を引き込むため、宮本は新たなプレインズウォーカー《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》をキャスト、忠誠値を増やし、デッキを掘り進める。
地上に並ぶトークンと高い忠誠値のプレインズウォーカーと対処するのが困難かと思われたが、檜山も新カードでこの状況を打開する。《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》だ。
小粒のクリーチャーをどかし、プレインズウォーカーへも直接ダメージを与えると、余ったマナから《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra》を召喚、《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》を一撃のもと沈めることに成功する。しかも《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》はプレイヤーにダメージを与えているにも関わらず、だ。
盤面はリセットされてしまったが、宮本は動じずマナを立てたままターンを返す。
檜山の頭を掠めるのは《残骸の漂着/Settle the Wreckage》。いくら４体の屈強なクリーチャーがいようとも、たった１枚の呪文で無に帰してしまう。何より《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》だけは失うわけにはいかない。だが警戒しすぎるあまり、少数のクリーチャーでアタックしようものならトークンのブロックでターンを稼がれてしまう。
宮本の２枚の手札に《残骸の漂着/Settle the Wreckage》はあるのか。出口の見えない状況を最大効率を考え、檜山は《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider》と《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》のみでアタックする。
宮本の手から《残骸の漂着/Settle the Wreckage》はキャストされない。代わりに《燻蒸/Fumigate》で盤面を一掃し、6点のライフを獲得する。《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》の忘れ形見へは《致命的な一押し/Fatal Push》を。
こうなると赤単はどうしようもない。宮本は《選定の侍臣/Vizier of the Anointed》を不朽し、《ベナリア史/History of Benalia》でトークンとライフのエンジンを再構築。《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》までも追加すると、たまらず檜山はカードを片付けた。
宮本 1-0 檜山
Game2
檜山は《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider》、《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》と展開するが、宮本も間髪入れずに除去呪文をキャストする。
一連の交換で《封じ込め/Seal Away》が使用されたため、檜山は安心して《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》を着地させると、手札の余剰土地を火力へと変える。宮本は神への直接的解答を持たないが、戦闘によるダメージを大きく減速させる《秘密の備蓄品/Hidden Stockpile》をキャストするとすぐに霊気装置トークンを生み出すことに。
檜山は《稲妻の一撃/Lightning Strike》でもって無理矢理トークンをどかすと、《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》で宮本のライフを８まで減らす。今後戦闘ダメージが通らなくとも、起動型能力で毎ターン２点ずつ削ることができる。
ならばダメージ量を上回ればいいだけだ。宮本は《選定された行進/Anointed Procession》でトークンの生成量を倍化すると、《選定の侍臣/Vizier of the Anointed》と《軍団の上陸/Legion's Landing》で毎ターン4点のライフゲインエンジンを構築する。
宮本 寛弥
檜山は対処を迫られる。《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》は４点を刻むが、それでは宮本のライフを減らすことはできない。《選定の侍臣/Vizier of the Anointed》自体を対処しなければならないが、除去呪文をドローできないのだ。
《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》は既に１枚使ってしまっている。《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》は6体のトークンを前に、活躍は見込めない。
宮本はアップキープに《秘密の備蓄品/Hidden Stockpile》で占術能力を起動すると、紛争でブロッカーを2体用意できることから反転、全てをレッドゾーンに送り、６点ダメージを与える。追加される《ベナリア史/History of Benalia》は、檜山にとって余命を告げる時限爆弾にしか見えない。
《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》はアタックしても、宮本のライフは減らず、《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》をブロッカーにしても脇から二桁のダメージが檜山へと入る。
絶望的な状況に終わりを告げたのは、2枚目の《選定の侍臣/Vizier of the Anointed》による更なるライフゲインだった。
宮本 2-0 檜山
宮本、Win！
