By Yohei Tomizawa
『BMOスタンダード』は全10回戦というタフな戦いとなっている。Round5でやっと半分、肩で息するプレイヤーたちも出てきているのではないだろうかと心配していると、疲れを微塵も見せずフィーチャーエリアへ2人のプレイヤーが現れた。
地元の友人達と結成した"ミギノテソリューション"というチームで活動するのは藤本 和希。マジック歴5年の藤本の原動力は友人達の絆とチームによるテストプレイの成果だろう。主戦場はモダンと語りながら、定員漏れにより泣く泣くスタンダードへ切り替えたとか。それでもここまで見事4連勝。「マルドゥ機体」を手に、どこまで連勝を伸ばせるのか。
対するは"ジョニーのお店"スポンサードプレイヤー、松本 郁弥だ。彼の実力は疑いようもない。『グランプリクアラルンプール2016優勝』、『The Finals 2017』TOP4と着実に成績を残し、今期はシルバーレベル・プロとして活動している。彼にとって『BMOスタンダード』は、次の目標のための通過点に過ぎないだろう。その手に握るのは細部まで調整が施された「赤黒アグロ」だ。
Game1
《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》と《マグマのしぶき/Magma Spray》の交換からゲームは始まり、先にクロックを用意したのは先手の松本。《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》が無人の荒野を突き進む。対して藤本はファストランドで奇麗に3マナ揃えると《歩行バリスタ/Walking Ballista》を召喚。現状《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》を止めることはできないが、ゲームが進みマナが増えれば活躍の機会もあるだろう。
一方的なダメージレースで優位に立ち、順調に見える松本も実は苦しんでいた。4ターン目を終えた時点で松本がコントロールする土地は《山/Mountain》と《産業の塔/Spire of Industry》の2枚のみ。マナスクリューに陥ってしまっているのだ。
松本 郁弥
松本がクロックを追加できなかったことも相まって、藤本はライフ14を残して《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》の召喚に成功する。不死鳥の名に恥じぬ、不滅のクリーチャーは松本行く手を阻むように思えるが...。
ここしかないタイミングで3枚目の土地をトップデッキすると、サモン《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher》!松本は督励効果で6点ダメージを叩き出す。
ライフは8まで減ってしまったものの、藤本は督励の副作用に着目し《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》でビートを刻みつつ、《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》2号機を召喚する。松本のライフを16まで減らした意味は大きい。今後の展開次第では《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》2枚で2ターンで勝てるライフを意味するためだ。
その思考を打ち砕く2枚目の《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher》!再び6点クロックがレッドゾーンを駆け抜ける。これで残り2点。
この2点を死守すべく藤本は《ピア・ナラー/Pia Nalaar》で防御網を厚く敷き、地上クリーチャーからのダメージを完全にシャットアウト。火力を引かれる前にと上空からの《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》で早期決着プランを実行に移す。
松本は慎重に《ボーマットの急使/Bomat Courier》を召喚することでアーティファクトのカウントを2つに増やし、余った3マナから《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》をプレイ。いくらブロッカーの数が増えようとも、プレイヤーへの直接ダメージは防ぎようがない。
そもそも、許可など求めないのだから。
松本 1-0 藤本
Game2
藤本 和希
今度は藤本が怒涛の展開を見せる。《ボーマットの急使/Bomat Courier》、《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》、《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》と続けると、松本が《ピア・ナラー/Pia Nalaar》を召喚した返しに、《歩行バリスタ/Walking Ballista》をX=1で召喚しつつ搭乗でフルアタック。
このアタックに松本は頭を悩ます。悩みながらも《発明者の見習い/Inventor's Apprentice》で《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》を、飛行機械トークンで《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》をブロック、《歩行バリスタ/Walking Ballista》が身を捧げ、《ピア・ナラー/Pia Nalaar》以外全てのクリーチャーを失ってしまう。
盤面とライフでは後れを取るが、松本は《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》をプレイし、除去以外では突破されない盤面を築く。
藤本は《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》、《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》、《ボーマットの急使/Bomat Courier》、《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》の4体をレッドゾーンに送り、松本は《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》へ搭乗するが、そこへスタックはない。《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》を一方的に打ち取ると、絆魂の効果でライフは松本12-23藤本。
ストレートに伸びた4マナから《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》を召喚、アタックぴしゃりとシャットアウト。続くターンには《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》で松本は空地両方を抑え込むことに成功する。
藤本が欲しているのは、4枚目の土地だ。手札に抱える4マナ域がプレイできれば序盤に築いたダメージ分優位に立てる。祈るようにドローを繰り返すが、中々願いは叶わない。
松本は《削剥/Abrade》を《ボーマットの急使/Bomat Courier》へキャストし、これにスタックして藤本は《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》への搭乗を宣言。クリーチャー化済みの《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》へ《無許可の分解/Unlicensed Disintegration》をキャストすると、松本の優位は揺るがない。
やっとのことで4枚目の土地をドローするが《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》へ突き刺さる《栄光の刻/Hour of Glory》。
《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher》から《稲妻の一撃/Lightning Strike》がプレイされると、ブロッカーの足らない藤本は悔しそうにカードを片付けた。
松本 2-0 藤本
松本、Win!