近年と過去のマジックにおいて、そのイラストには大きな差があるのは一目瞭然。25年も続いているから、アートの世界も進化しているのは当然のこと。そんなわけで最近はCGを用いてよりリアルに、緻密に描かれたカッコイイイラストがコモンカードでもわんさかある。
ただ、なんというかトラウマになるような不気味さを持ったものは過去の絵の具で実際に描かれたものに限るな、というのが私見。子どもに見せると本当に怖がるであろうレベルの気持ち悪さ、リアリティが抑え目だからこそ表現できる気味の悪さ...黒を中心に、古き時代のセットにはパックを剥いて出てきたら「うわ」と思ってしまうカードが多数あった...近所で投げ売りされていた『ポータル:セカンドエイジ』を剥くというのが僕が中学生の時にマジック仲間の間で流行ったのだが、その時にこの薄気味悪いクリーチャーが出てきた時には背筋や肝が冷えたものである。というわけで《吸血のスピリット》。
イラストもそうだが、その能力も気持ち悪いもの。4マナ4/3飛行とスペックは抜群だが、場に出た時に4点のライフを吸い取っていく。所謂スーサイド・クリーチャーってやつだ。コイツの場合は1回で払いきりだから借金取りのように毎ターンライフを取り立てに来るということはないが、4点は中々に痛い。《暗黒の儀式》から2ターン目に出せばそれなりに仕事はしてくれるだろうが、タフネスが3と比較的死亡しやすい値なのがネック。
どうせならもっとスーサイドにライフの半分を持っていくが、1マナ軽くて4/4飛行な《隠れ潜む邪悪》を1ターン目に唱えるくらいやりたいところ。ただ、当時僕らの間で遊ぶ時にはこのカードに書かれたままのテキストに従っていたので、手札からでなく墓地から場に出た際にはライフを失わなくてよい、という形でやっていた。《悪魔の隷従》なんかで釣り上げる分には悪くない。もちろん、今はテキストは修正され領域はどこであれ戦場に出れば4点のライフをかっさらっていく。
しかしまあイラストは何度も言うように不気味だ。特にこの、女性の吸血鬼的な上半身と繋がる下半身?というか首から下というか...なんか青白くぬめぬめした質感が油絵具で見事に表現され、トラウマもんである。
『第8版』に再録されているが、イラストを変えなかったのは英断というかいじわるというか...僕より若い世代はポータルではなくこのセットを剥いてトラウマを覚えたりしたのだろうか。彼岸島で邪鬼が出てきた時にはこのクリーチャーのことを思い出したものである。
今週は「ぬめぬめウィーク」
岩SHOW Card of the Day 2018/05/09《治癒の軟膏/Healing Salve》
岩SHOW Card of the Day 2018/05/08《苔犬/Mossdog》
岩SHOW Card of the Day 2018/05/07《のたくる塊/Squirming Mass》