たまには特にテーマもなく、適当にカードを取り上げて書くのもいいだろう。そう思って、机に置いてあったカードの束を拾い上げてみた。その中で目立ったやつについて書こうという訳だが、その束にはやたらと《伝承の樹》が含まれていたので、はいはいこいつにしますよと。他のアーティファクト土地に比べてやたらと数多く持っている理由は、他の土地に比べて使用するデッキが少ない=シングルとして安い、だからトレードしたり売ったりすることがほとんどなかった...というところかな。同じアーティファクト・土地サイクルの青・赤・黒に比べると格下になってしまうのは否めないが、それでも最近出番は増えつつある、ということを紹介させていただこう。
『ミラディン』及び『ダークスティール』は、かなり"やっちまった"セットだった。親和能力と、それに噛み合うアーティファクトやクリーチャーの多さときたらね。バリエーションは違えど結局は親和デッキばかりが暴れ回るという事態になるのだが、それを引き起こしたのは間違いなくアーティファクト・土地サイクルだ。
マナ能力は最も基本的な、1色生み出すというだけなのだが、マナがかからない土地を置くというアクションでアーティファクトのカウントを増やせることは、アーティファクトの数だけコストが軽くなる親和(アーティファクト)という能力を持ったカードをかき集めてデッキを構築する際にはとてつもなく意味のあることだった。
平たく言えば、《古えの墳墓》《裏切り者の都》よりもデメリットの少ない2マナ土地を大量にデッキに投入できたようなものである。どう考えてもアカンよね。というわけでしばらくは野放しにされてはいたものの、スタンダード及びブロック構築において禁止カードとなった。この悲劇を繰り返さないために、モダンでもフォーマット設立時から禁止となっている。
正直なところ、御三家+《ダークスティールの城塞》に比べると《伝承の樹》はほとんど使われていなかった。暴れたカードが禁止されるというルールであれば、《伝承の樹》と《古えの居住地》は禁止されるいわれはない。しかし同じアーティファクト・土地である以上、取り締まらなければならない。
色はあっていないがそれでもアーティファクト・土地である以上使う、という鋼の意志でデッキを構築する猛者は少なからず出てくることだろう、そして環境の多様性を奪い続ける...それを危惧して巻き込まざるを得なかったのだろう。ここまでいったら白緑親和が見たかったと当時は思ったが、まあこれで良かったのだろう。
あらゆるフォーマットで活躍する前から禁止となってしまった《伝承の樹》だが、現在Pauperの親和デッキにて必須パーツとして活躍中である。このデッキは《甲殻の鍛冶工》を《タルモゴイフ》的に運用しており、アーティファクト破壊に巻き込まれないアタッカーの運用に《伝承の樹》は欠かせないものなのだ。
同じく巻き込まれて禁止を受けた《古えの居住地》を用いるデッキもあり、長年これらの不遇を見続けてきた者としては涙を禁じ得ない。
《伝承の樹》はフレイバーに書かれている通り、テル=ジラードのことである。ミラディンにおけるご神木的なもので、この次元の歴史を《テル=ジラードの鉄筆》を使ってトロール達が刻み続けている。カードとしてはコモンであり複数使用されることを想定して作られているため伝説ではないのだが、物語的には重要な地である。
ミラディンが新ファイレクシアとなった今は一体どうなっているのだろうか?気になるね。よし、今週はこのカードのように、背景世界における名所を紹介してみようか。多元宇宙観光ウィーク!結局、テーマで書いていくことになってしまった。