多元宇宙観光ウィーク4日目、本日は皆さまを今ホットな次元ドミナリアへとご案内。『ドミナリア』はオンスロートブロックまでの間、マジックの背景世界の中心であり続けた。『ミラディン』以降は次元レベルで様々なバリエーションに富んだ世界が描かれることになるが、それまではドミナリアという次元1つで全く異なる世界観を構築し続けていたのだ。
中世ヨーロッパ風暗黒世界、氷河期、灼熱のアフリカ風大陸...いずれも1つの次元で表現してよいレベルの濃い世界観で、改めてドミナリアって広大な次元なんだねと。ドミナリアの地名で最も有名なものを選ぶのは難しい。しかし多くのマジック好きの記憶に残るものとなると...トレイリアが1位になるか?
トレイリアは『ミラージュ』ブロックの舞台となったジャムーラ大陸から遥か西に浮かぶ孤島である。この島に『時のらせん』より1400年ほど昔のAR3285年、当時ファイレクシアのドミナリア侵攻に対抗するべく策を練っていたウルザが「アカデミー」を建設し開校した。アカデミーにはドミナリア中の魔法の才能を持った少年少女が集められ、テフェリーとジョイラもそこで出会った。
若き才能を育てると同時に、ウルザは時間逆行の実験を繰り返す。かつて一度ファイレクシアを退けた、古代スラン帝国へヒントを求めてのことである。この実験で銀がタイムトラベルを行っても影響を受けないことが判明し、銀のゴーレム、カーンが造られた。これらアカデミーの活動のさなか、ファイレクシアの工作員が侵入。これにより襲撃を受けて大ダメージを受けるのだが、ウルザは襲撃前の時間にカーンを送ることでこの事件を未然に解決。するのだが、無理をし過ぎたため時間逆行装置が暴走、そして爆発...結局襲撃を受けたのと同様のダメージを受け、かつトレイリア周囲の時間そのものが壊れてしまうことに...。
と、話せば長くなる土地である。この地が初登場したのはなんと『レジェンド』。この時にはまだウルザの時間実験の設定はなく、当時初登場の多色で伝説のクリーチャーの1つ《Halfdane》の出身地とされているのみ。カードも単純に南の島をモチーフとしたものになっている。
イラストに描かれたヤシの木と水平線が、マジックの他の風景と趣を異にする。カードとしては青マナ土地であり、能力を起動するとマジック黎明期に広く用いられたキーワード能力・バンドを失わせるものとなっている。結局のところバンドはややこしさもあって長く続かず、実戦レベルのクリーチャーはほとんどいない。かつ、当時の青はそもそもクリーチャー同士で戦闘を行うことがほとんどないため、あまり意味のある能力ではなかった。
フレイバーテキストにはジョン・ドライデンなる人物の名前が。彼は17世紀に活躍した詩人・劇作家・文芸評論家で、イングランド文学を支配していたという。その詩の中の1つ、Fairest isle(美しき島)の一説がここに引用されている。昔は結構、この手の現実の文学からの引用があったね。背景世界の設定がかつてよりも重要視されるようになってから、この手のフレイバーがなくなってしまったのは残念なことではある。
今週は「多元宇宙観光ウィーク」
岩SHOW Card of the Day 2018/04/18《アガディームの面晶体原/Hedron Fields of Agadeem》
岩SHOW Card of the Day 2018/04/17《ヴォルラスの庭園/Volrath's Gardens》
岩SHOW Card of the Day 2018/04/16《伝承の樹/Tree of Tales》