『フォールン・エンパイア』『時のらせん』『モダンマスターズ』と収録セットが多いカードである《サリッド》、多元宇宙グルメウィークでとりあげないわけにはいかない。何故かって?このクリーチャー、実は家畜なのだ。ウルザとミシュラの兄弟戦争の残した爪痕は氷河期となってドミナリア各地に被害をもたらした。サーペイディア大陸も寒冷化により食糧難の危機を迎えていた。
ヘイブンウッドの森にすむエルフたちは事態を打開するべく、漆黒の手教団の協力を得て生命創造の魔法を研鑽した。そして、セロンというドルイドがサリッドを生み出した。このサリッドという生物は菌類である。といっても茸などとは違い、知覚と運動能力を備えている。
大変に繁殖力が高く、これを養殖したエルフたちの食糧問題は解決され、他国へと輸出されるレベルにまで至っている。後にこれらのサリッドはひょんなことから知覚をさらに目覚めさせて自我を獲得。仲間を喰らうエルフへと反旗を翻し、かくしてヘイブンウッドの文明は滅ぶこととなった。滅びを免れるために生み出した家畜に滅ぼされる、なんとも皮肉な話である。
カードとしてはその繁殖力の高さを体現するデザインとなっている。1マナ1/1で毎ターン胞子カウンターを得て、それを3個取り除いて能力を起動すると1/1の苗木トークンを得ることが出来る。連綿と続く苗木生成カードの最初の1枚である。ちなみに苗木は英語ではSaprolingと表記し、これはマジックオリジナルの造語である。
意味合いとしては腐敗生物ってところらしい。菌類や植物と共生関係にある生き物と認識するのが良いだろうか。しかし自身と同じファンガストークンではなく苗木を生み出すようにしたデザインは不思議であり、今日までこの種族が続いていることをみるとこれで大正解だったんだなと驚かされる。
単体ではそもそもひ弱であるのに長生きすることが前提のカードなので頼りないが、多数あるサリッド及びファンガス関係のカードと共にデッキを組んでやれば額面以上の力を発揮する。マジック好きのための素敵な1枚であり、『Modern Masters』では苗木アーキタイプを構成する重要なカードとしても活躍した。
さてサリッド、肝心のそのお味は?聞くところによると、茎の部分を収穫し茹でてペーストにし、香辛料や調味料で味を調えていただくとのこと。エルフの鉱物である穀物や果物に比べると噛み切りにくく味気もない、決して上等な食糧ではなったらしいが、サリッドのおかげでエルフ達は飢えずに済んだのだ。食材への感謝の気持ち、忘れないで生きていこう。さもなくば...反乱されて滅ぼされるかも!
今週は「多元宇宙グルメウィーク」
岩SHOW Card of the Day 2018/05/15《Saute》
岩SHOW Card of the Day 2018/05/14《龍王の召使い/Dragonlord's Servant》