ゴールデンウィークが行っちまった...ヤツは連休の中でも最強。少年期、僕はドラえもんにハマり散らかしていたのだが、ある回ではのび太が「6月には祝日がない」と嘆くシーンがある。当時読んでいて、今一つピンと来なかったが...高校、大学、社会人と経て、ゴールデンウィークの有難味と祝日がないことの苦しみが身に染みてわかるようになった。
5月のこの行楽日和の陽気が過ぎ去れば、待っているのは梅雨特有のじっとり湿った気候と休みのない日々だ。Oh my!ということで、今週はそんな梅雨に備えて、ぬめぬめしたカードを紹介して耐性をつけようじゃないかという企画...よくわからないって?こっちもだよ!とにかく、「ぬめぬめ」というテーマはやってなかったってことに気付いたからやらせてもらうぜ!
1枚目は個人的なぬめりの象徴《のたくる塊》だ。なんか以前にも紹介したことがあるような気もするが、この際被りでもいい。マジックでも屈指のぬめぬめ感が溢れたこれを紹介しない手はないって!中学生の頃、このイラストを見て衝撃を受けたものである。『ウルザズ・ディスティニー』といえば《マスティコア》がセットの顔となる強力レアだったわけだが、当時カードリストも知らず自分たちでパックを剥いて出たレアしか知らない僕らには縁がないものだった。
それよりコモンでよく出てくる《のたくる塊》のインパクトよ、ディスティニーといえばコレだった。世代的にはもののけ姫のタタリ神を連想する、どす黒く妙にテカったコールタールが迫りくる様。ターミネーター2のT-1000を思い出すという友人もいたな。いずれにせよぬるぬるテカテカで気色の悪いもので...そして何故か、人はそういうものを見るのが好きなのである。《のたくる塊》、個人的には最高だ。
今ならウーズに分類されそうなものだがタイプはホラー。まあ、実際怖い。イラストを見る限り、結構デカそう。テキスト欄には当時のお約束フレーズが3行に渡って書かれているが、これは今なら"畏怖"の二文字でまとめられる。黒でもアーティファクトでもないクリーチャーにはブロックされない、黒特有の回避能力だ。
フレイバーテキストにも冷たい心でなければ堪えられないと書かれているように、醜悪でおぞましい容姿のクリーチャーは、恐怖を感じない闇の住人か機械によってしか迎え撃てない、という能力だ。このイラストを見れば、その能力の仕組みが一発で理解できるね。
イラストの話に戻って...やはりぬめぬめ・テラテラのイラストと言えばRon Spencerだ。氏の作品の中でも、トップクラスのおぞましさだと思っている。当時ウルザブロックにはRon Spencerの特徴的なアートが溢れており、僕ら中坊の仲間内でもこのアーティストのイラストはヤベェ!と盛り上がっていたものである。
間違いなく、そのぬめぬめ表現で多くの人の価値観を変えた、稀代の絵師だと思っている。ちなみに「のたくる」とはミミズなんかが体をうねりくねらせ這う様や、そんな具合に字を書く様子を意味する。じゃあ、連休明けの重い体でのたくっていくとしようか!