マジックと食、となると避けて通れない1枚が《Saute》だ。ソテー、調理法であり料理名であるあれだ。フライパンに少量の油を引いて、薄くスライスされた肉や野菜に高温で短時間火を通す調理法。このカードは銀枠セット『アングルード』に収録され、同セットのテーマである"1/2"を取り扱うカードの1つだ。3マナで3点...+二分の一点のダメージを与える。よくわからんが、2マナで7点与えると思えば性能はまあ悪くはないね。
きちんとインスタントなので、銀枠限定の対戦などを行う際にはまともな除去として機能してくれることだろう。問題は性能じゃなく、そのイラスト。中華鍋でピンクの小さな生き物を炒めている。目がバッテンになってもう逝ってしまっているものが大半だが、まだ生きている個体もいる。この生き物は何なのか?これはビーブルという、マジックオリジナルのクリーチャーだ。
何故こんなかわいらしいヤツらがソテーに?と思われるかもしれないが、元々カードにそのような設定が書かれており、この呪文はそれを数年越しに形にしたに過ぎない。《泡立つビーブル》のフレイバーテキストには、かの《抹消》を唱えた大魔術師バリンが、毎年ビーブルを蒸し焼きにして食べていたことが書かれているのだ。多くのプレイヤーが「こんなもん食うのか?」とその時驚いたわけで...で、《Saute》のフレイバーテキストを見ると、マジック界の様々なクリーチャーを調理して《奈落の王》に食わせたアスモラノマルディカダイスティナカルダカールの名が。
彼女が記した"地獄料理書"は古いセットのフレイバーにちょくちょく登場していた。どれもがクリーチャーを調理する際のコツと美味しさを記したものになっているのだが、このカードの場合は
「美味しいソテーを作るには、適切なビーブルを選ぶのがコツです。毛皮が鮮やかなピンクで鳴き声のうるさい方が、口の中に入れたときにビーブルのみずみずしさがより美味しくはじけます。」
とのことだ。みずみずしいんだね...ビーブルという種族についての小話を挟もうと思ったが、それはまたの機会にしよう。どうぞ、今日は寝る前にでもビーブルの味をイメージして布団に入ってみて。
今週は「多元宇宙グルメウィーク」
岩SHOW Card of the Day 2018/05/14《龍王の召使い/Dragonlord's Servant》