《死儀礼のシャーマン》のレガシー退場は悲しい話でもあるが、同時に喜ばしい側面も大きい。このクリーチャーが1ターン目に戦場に出るだけで機能不全に陥るカードがあまりにも多かった。これからはそれらのカードが本来のポテンシャルを発揮し、それを他のカードも黙ってみていない血で血を洗う戦国乱世な環境に突入しそうだ。実に楽しみである。
力を取り戻す可能性の高いカードとして、《敏捷なマングース》は真っ先に思い浮かびそうな候補である。1マナ1/1被覆、まずこのスペックだけでも『オデッセイ』当時は珍しかった。墓地にカードが7枚ある状態、即ちスレッショルド達成で+2/+2。1マナ2/2さえもいない時代に3/3は破格のスペックで、これを達成させるために青いドロー呪文などを連打する「青緑スレッショルド」が作られた。《熊人間》とのスレッショルドコンビネーションは鉄板だったものだ。
《激動》後にすぐ出せる点も優秀で「8Man」などのデッキで活躍した。その後は主にレガシーにて活躍、フォーマット制定時よりスタンダード当時のスレッショルドのDNAを継承したデッキの主要アタッカーとして重宝された。《タルモゴイフ》が登場し、青緑に赤も加えた「カナディアン・スレッショルド」の誕生によりその全盛期を迎える。
この1マナクリーチャーに噛み殺されたプレイヤーは数知れず、当時最も使用された1マナクリーチャーの1つであった。そして時代は流れ、より優秀な1マナクリーチャーが各色に現れたり死儀礼の降臨があり、スレッショルドしなくなったことで環境から姿を消した。天敵がいなくなった今、どれだけ暴れ回ることが出来るのか最も期待される1枚だ。やはり被覆能力が素晴らしい。オーラも装備品も付けられないが、さして気にすることではない。ブロッカーや生け贄or全体除去にだけカウンターを合わせれば良い、というのは随分楽である。
『エターナルマスターズ』にてコモンとなって再録。これでPauperでも使用可能となった。この際にKev Walkerにより新イラストを与えられている。Terese Nielsenといい、マジックの人気アーティストに縁があるマングースちゃんだな。今週はこの小さくても危険なマングースのような、かわいい小動物を紹介していくとしよう!