マジックはカードデザインが多岐に及んでおり、奇想天外な能力を持つものが多数あることが魅力だ。挑戦的なデザインを施されたものの多くは『未来予知』に含まれている。これが発売された時点では他に類を見ない、でもいつの日かマジックの世界にやってくるかもしれない能力を与えられたそれらのカードは特殊なデザインの枠を持ち、未来のセットからやってきて過去に先に再録された、という遊び心溢れた設定が与えられている。
《ナルコメーバ》もこの未来から再録された1枚で、ライブラリーから直接墓地に落ちると戦場に出せるという、それまでのカードには見られないデザインで注目された。発掘能力でこれをライブラリーから墓地に送り込むことで戦場に出し、一緒に墓地に落ちたクリーチャーと《戦慄の復活》、そして《黄泉からの橋》で悪さをする「ナルコブリッジ」なるデッキが誕生。
これまでにない挙動をするカードが、マジックの歴史を変えたコンボデッキの1つを読み送り出したのだ。マナを払わずに大量のクリーチャーを得て《炎の血族の盲信者》などを絡めて瞬殺するさまは驚愕・爽快・摩訶不思議。その後も発掘能力を用いたデッキにとって唯一無二の親友として、長きに渡ってトーナメントシーンで活躍し続けている。
このカードは未来から再録された後、その人気から入手難になって一時期はそこそこのお値段で取引されるように。それもあってか初代『モダンマスターズ』に再録された。本収録される前に再々録され、それから5年経って『ラヴニカのギルド』に収録!このセットでナルコが来るとは誰も予想していなかったし、まさかのレアに昇格したことで色々と話題になったが...とにもかくにも、長かった伏線が1つ回収されたことは喜ばしい。
このカードの固有名詞はナルコレプシーなど睡眠に関する単語に使われるnarcとアメーバ/amoebaを合わせた造語である。イクァターナと呼ばれる、霊気に満ち溢れた次元に生息している。
同地に住む種族イクァティによって創られた魔力生物で、記憶そのものが生きて漂っているようなものであるという。このよくわからない生きた記憶媒体にジェイスは目を付け、改良して《ジェイスの幻》を創り出したようだ。ラヴニカの空にナルコメーバが漂っているのは、そうした繋がりがあるからなのだろう。帰化動物になったら大変なんで、ギルドパクトさんちゃんと管理はしてくださいよ。
岩SHOW Card of the Day 2018/10/02《砂草原のマストドン/Sandsteppe Mastodon》