3マナ2/2飛行、赤マナ1つでタフネスが上昇する。『アンリミテッド』までの初代基本セットおよび『リバイズド』ではレアであり、以降は再録禁止カードに指定されているためどのセットにも入っておらず日本語名もない。色の役割がまだ定まっていなかった時代のデザインであるため、赤にしては軽いコストで飛行持ちであり、かつタフネスアップという今の感覚とは真逆の能力を有している。フレイバーテキストには「地獄料理書」の名が。
ドミナリアを中心に多元宇宙におけるクリーチャーの調理法とその味について書かれている本であり、他のカードにも多数その名を見ることが出来る。これによるとガーゴイルの肉は非常に美味であるとのことだが、この肉を取り出すためには石の皮膚に文字通り太刀打ちできる道具が必要とのことだ。このクリーチャーはタフネスがガンガン上がるので、ガーゴイルの中でも殊更頑丈だろう。
ガーゴイルは石を材料として人の手で作られていると思われるので、これが肉を有しているのは魔力が関係にしているのだろうか。あるいは元来このような動物がおり、魔法によって人間が手なずけているのか?どちらにせよ、普段は石像として都市の一角に佇んでいる、街の守り神である。
不動ウィークのトリに《不動のアジャニ》ではなくこのカードをチョイスしたことに疑問を抱かれるかもしれない。確かに石像だが、言うほど不動か?と。実はこのカードにはあるエピソードがある。1996年に発売された「Distant Planes」なるマジックの短編小説オムニバスには「Defender」という話が収録されている。
この話の主人公こそ、この《Granite Gargoyle》。次元ドミナリアのテリシア大陸の北西部、ガルメニー。《オーランのバイパー》などで知られるオーラン山脈のある大陸だ。
このガルメニーにはビニエンという都市がある。この物語の舞台であるが、すでにここは廃墟と化しており住む者は誰もいない。この街を守護者である花崗岩のガーゴイルは、数千年もの長い年月をじっと動かず、蔦にまかれても不動のまま守護者として街に残り続けていた。彼は回想の中でウルザとミシュラが作った《羽ばたき飛行機械》に触れており、兄弟戦争が起こる前から存在していることが分かる。
守る者がいない街に居続けてもその任を果たせないことから、彼は引っ越しを決意する。そうして辿り着いたのがシヴ山。そこで彼はメスの《シヴ山のドラゴン》の襲撃を受ける。
だが、彼の皮膚はシヴ山から供給される赤マナで硬く守られ、倒されることは無かった。ガーゴイルはこのドラゴンのねぐらである花崗岩の洞窟を自分が守護すべき場所と定め、腰を下ろした。いつの日か、彼女が守護者を受け入れてくれる日が来ると信じて...『時のらせん』や『ドミナリア』の裏側では、今もシヴ山の洞窟入り口で何世紀も不動のままのガーゴイルがいたのかもしれない。
今週は「不動ウィーク」
岩SHOW Card of the Day 2018/10/22《不動の守り/Steadfastness》
岩SHOW Card of the Day 2018/10/23《揺るぎない信仰/Faith Unbroken》
岩SHOW Card of the Day 2018/10/24《動かぬ生/Still Life》
岩SHOW Card of the Day 2018/10/25《不動のアジャニ/Ajani Steadfast》