マジックのカード名で時折見かける「肉裂き」というフレーズ。肉を裂くとは強烈で、野蛮・残忍・攻撃性なんかが伝わってくる。先日紹介した《フォベロスの肉裂き》なんてその角と剛腕でこっちの身体を引き裂いてきそうな感が伝わってくる。しかしマジック以外でこんな単語は見たことがない。それもそのはず、この肉裂きというのはマジック語だ。現在、Reaverをカード名に含むものがこの「肉裂き」という訳をテンプレ的に与えられている。Reaveには肉裂きっぽい「はぎ取る」という意味もあるのだが、主に強奪したり剥奪したりと、他人から何かを「奪い取る」という意味合いで用いられ、Reaverも略奪者・強奪者を指す。というわけで今日の1枚《ファルケンラスの肉裂き》も、実は「ファルケンラスの略奪者」とかの方が適訳なのかもしれない。
何故こうなったのか?それは最も古いReaverカードを見ると推理できる。そのカードとは《肉裂き怪物》。英名はFlesh Revaerだ。Fleshは肉のことで、直訳すれば肉強奪者。骨から肉をこそいで奪い取る怪物、ってわけで《肉裂き怪物》となり...この「肉裂き」がReaverのテンプレ訳になってしまったと、こういうことでないかな。結果として残虐性が強い日本語名が誕生したので、これで良かったと思う。マジックはこういう、ゲームや背景世界と何も関係のない逸話が多数あるのが本当に面白いなと思うよ。
《ファルケンラスの肉裂き》自体はただのバニラ、熊、即ち2マナ2/2能力なしだ。かつては赤にはこのスペックでさえデメリット能力を付けられたものだが、今ではすっかり熊の色。構築で使われることは100%ないが、リミテッドでは貴重な2マナ圏。あまり多くデッキには入れたくもないが、プールに0枚よりはあった方が嬉しい。重要な任務を与えられているコモンと言えるね。
今週は「肉ウィーク」
岩SHOW Card of the Day 2018/05/29《フォベロスの肉裂き/Phoberos Reaver》
岩SHOW Card of the Day 2018/05/28《吸肉/Syphon Flesh》